共同研究 「イラク戦争を考える」: Thinking About The Iraqi War

慶應義塾大学 経済学部 延近 充 編著 (2004年9月25日公開)

アフガニスタン戦争,イラク戦争を含む「対テロ戦争」がなぜ「終わらない」性格をもつのか,またアメリカのブッシュ政権が国際社会の反対の中でなぜイラク攻撃を強行したのかについてのわたしの見解は,

『対テロ戦争の政治経済学― 終わらない戦争は何をもたらしたのか』(明石書店,2018年3月)をお読みください。

本書の理論的基礎およびより詳しい現状分析について,下記の2冊が参考となります。

2008年秋以降の世界的金融・経済危機の構造を国際政治や軍事面を含めて論じた『薄氷の帝国 アメリカ― 戦後資本主義世界体制とその危機の構造』(御茶の水書房,2012年2月,本書の構成と序論),

現在の世界経済の危機的状況と90年代以降の日本経済の構造変化を基礎理論から現状分析まで展開し,平易に説明した『21世紀のマルクス経済学』(慶應義塾大学出版会,2015年7月,本書の目次)
What's New
<資料> 終わらない「対テロ戦争」−年表 2003年2月〜 (2024.12.22, 更新)

【欧米でのIS関係のテロ】(2015年〜)

【トランプ政権の政策関連年表2017〜2021年】(2020大統領選挙,バイデン政権によるトランプ政権の政策変更を含む)

[イラク情勢] 【イラク戦争における犠牲者数】
「暴力事件」などによるイラク人の2024年12月の死者3人(21日まで)。
・アンバル州のシーア派民兵部隊司令官がシリアの反体制派がアサド政権を打倒したことを受けて,イラク軍とシーア派民兵部隊,国境警備隊がシリアとの国境の警備を最高度に強化したと発表(12.8)。
[パレスチナ情勢] パレスチナ問題の経緯については『対テロ戦争の政治経済学』第6章をお読みください。

2024年のパレスチナ情勢年表

過去のパレスチナ情勢年表一覧はこちら

【イスラエル・パレスチナ紛争における犠牲者数】*(12月21日まで)
イスラエル軍のガザ地区とヨルダン川西岸地区への攻撃による
2024年12月のパレスチナ人の死者

978人
 うちガザ地区での死者 968人
 ヨルダン川西岸地区での死者 10人
 2023年10月7日のハマスのイスラエルへの攻撃以降の
ガザ地区とヨルダン川西岸地区へのイスラエル軍の攻撃による
パレスチナ人の死者総数
 
瓦礫の下に埋まるなどによる行方不明者(少なくとも)


 46,456人
10,000人
 うちガザ地区での死者(多数の女性と子どもを含む) 45,813人
 ヨルダン川西岸地区での死者 624人
パレスチナ人の負傷者数 107,573人
10月7日のハマスのイスラエル南部攻撃によるイスラエル人の死者
10月20日のイスラエル軍のガザ地区での最初の地上作戦実施以降の
パレスチナ武装勢力(レバノンのヒズボラ含む)との戦闘によるイスラエル兵の死者
1,200人

 827人
2024年
12月
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は21人,負傷者は61人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は45,227人,負傷者は107,573人と発表(21日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人女性と子ども含むパレスチナ人28人死亡,医療従事者と保健当局発表,中部ヌッセイラート難民キャンプの民家への空爆により子ども75人と女性1人含む少なくとも11人死亡,14人負傷,北部ガザ市の民家への空爆により子ども7人と女性2人含む12人死亡,中部ディル・アルバラで空爆により5人死亡(21日)。
・イエメンのフーシ派がイスラエル西部テルアビブをミサイルで攻撃,イスラエル軍が迎撃に失敗しジャッファ地域に着弾,16人負傷,イスラエル軍発表(21日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は77人,負傷者は94人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は45,206人,負傷者は107,512人と発表(20日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも25人死亡,医療関係者発表,北部ジャバリア難民キャンプで空爆により少なくとも子ども7人含む10人死亡,中部ヌッセイラート難民キャンプの集合住宅への空爆により少なくとも8人死亡(20日)。
ヨルダン川西岸地区北部マルダ村をユダヤ人入植者の集団が襲撃し,モスクに放火し建物の壁にヘブライ語で「アラブ人に死を」などの差別的スローガンをスプレーで落書き,村長は襲撃者はネタニヤフ政権の支援を受けていると非難(20日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は32人,負傷者は94人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は45,129人,負傷者は107,338人7と発表(19日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ少なくとも44人死亡,医療関係者発表,北部ガザ市の難民キャンプで空爆により少なくとも9人死亡,北部ベイト・ラヒヤで空爆により4人死亡,ガザ市東郊トゥッファの避難所への空爆により少なくとも15人死亡,ガザ市郊外のサブラの民家への空爆により少なくとも3人死亡(19日)。
・ガザ地区北部ジャバリア難民キャンプでハマス軍事部門アル・カッサム旅団戦闘員がイスラエル軍将校1人と兵士3人を刺殺,同旅団発表(19日)。
・ヨルダン川西岸地区北部ナブルス近郊のバラタ難民キャンプでイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人2人死亡,ヨルダン川西岸地区北部トゥルカレムの難民キャンプでイスラエル軍の空爆によりパレスチナ人4人死亡,3人負傷,パレスチナ保健省発表(19日)。
国際人権団体の「ヒューマン・ライト・ウォッチ」がイスラエル軍がガザ地区の飲料水インフラを破壊し住民への清潔な水の供給を阻害しているために数千人のパレスチナ人が死亡しているのは「ジェノサイド」と非難する報告書を公表,イスラエル外務省は虚偽と批判(19日)。
・イエメンのフーシ派がイスラエルに長距離ミサイルを発射し学校の建物を破壊,イスラエル軍はフーシ派が支配する港や石油,エネルギー施設を空爆し少なくとも9人死亡(19日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は38人,負傷者は203人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は45,097人,負傷者は107,244人と発表(18日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ少なくとも30人死亡,医療関係者発表,北部ベイト・ラヒヤの民家への空爆により少なくとも10人死亡,カマル・アドワン病院のICUへのイスラエル軍の攻撃により少なくとも8人死亡,北部ジャバリア難民キャンプで民家への空爆により少なくとも10人死亡,北部ベイト・ハヌーンの民家への空爆により4人死亡,ジャバリアのアル・アウダ病院への砲撃により医師7人と患者1人負傷,病院長発表(18日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は31人,負傷者は79人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は45,059人,負傷者は107,041人と発表(17日)。
・ガザ地区北部ガザ市中心部ダラジ地区で民家へのイスラエル軍の空爆により女性2人と子ども4人含むパレスチナ人家族ら少なくとも10人死亡,北部ベイト・ラヒヤで空爆により15人死亡,医療関係者発表,南部ラファのエジプト国境近くのマワシ地区にイスラエル軍戦車が侵入し複数の住宅を爆破し避難テントに放火(17日)。
・ハマス軍事部門のアル・カッサム旅団がガザ地区北部ジャバリアでの戦闘でイスラエル兵3人死亡と発表,イスラエル軍はジャバリア難民キャンプの複数の民家に放火(17日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は52人,負傷者は203人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は45,028人,負傷者は106,962人と発表(16日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも50人死亡,保健省発表,北部ガザ市の民家への空爆により少なくとも10人死亡(16日)。
・ヨルダン川西岸地区北部ジェニンでパレスチナ自治政府治安部隊と武装組織戦闘員の銃撃戦によりパレスチナ人2人死亡(16日)。
・米中央軍(USCENTCOM)がイエメンのフーシ派の紅海やアデン湾の米海軍艦船や商戦に対する攻撃の指揮統制施設を空爆したと発表(16日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は46人,負傷者は135人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,976人,負傷者は106,759人と発表(15日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも53人死亡,医療関係者発表,南部ハンユニスの避難所への空爆により女性と子ども含む少なくとも20人死亡,北部ガザ市の住宅への空爆により少なくとも11人死亡,北部ベイト・ラヒヤ,ベイト・ラヒヤ,ジャバリアで空爆により計9人死亡,中部ヌッセイラート難民キャンプで空爆によりアルジャジーラの記者1人と子ども含む6人死亡,南部ラファで空爆により2人死亡(15日)。
・イスラエル政府が1967年の第3次中東戦争で占領したシリア南西部のゴラン高原の人口を倍増させる計画を承認,解説:国連安保理決議242で占領地域からのイスラエル軍の撤退を義務付け,81年にイスラエルが自国への併合を宣言,2019年にトランプ大統領が併合を承認(15日)。
・イスラエルのネタニヤフ首相がトランプ次期大統領と14日に電話会談を行ない,ガザ地区での「イスラエルの勝利を完全なものにする必要性」,シリアに対するイスラエルの立場,レバノンのヒズボラの再武装を阻止することなどについて「非常に温かい」話し合いだったと発表(15日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は55人,負傷者は170人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,930人,負傷者は106,624人と発表(14日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも22人死亡,医療関係者発表,中部ディル・アルバラの市庁舎近くで空爆により少なくとも10人死亡,同市の他の地域で市長含む5人死亡,イスラエル軍は市長がハマス戦闘員を援助していたための攻撃と主張,北部ガザ市の避難所の学校への空爆により少なくとも9人死亡(14日)。
・ヨルダン川西岸地区北部ジェニンでパレスチナ自治政府治安部隊と武装組織戦闘員との交戦によりパレスチナ人1人死亡(14日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は40人,負傷者は98人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,875人,負傷者は106,454人と発表(13日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも12人死亡,南部ハンユニスの避難テントで3人死亡,保健当局発表(13日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は30人,負傷者は99人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,835人,負傷者は106,356人と発表(12日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも66人死亡,医療関係者発表,中部ヌッセイラート難民キャンプの避難所の郵便局への空爆により少なくとも30人死亡,50人負傷,北部ガザ市のアル・ジャラア通りの居住用建物とヌッセイラート難民キャンプ西部の民家への空爆により計22人死亡,南部ラファとハンユニスで空爆により人道援助トラックを警備する部隊の13人死亡,イスラエル軍は輸送物資を奪おうとしたハマス戦闘員への攻撃と主張,北部ジャバリア難民キャンプでイスラエル兵の発砲により整形外科医1人死亡(12日)。
・ヨルダン川西部エルサレム南方ベツレヘム近郊でイスラエル人の乗るバスへの銃撃により少年1人死亡,3人負傷(12日)。
・レバノン南部でイスラエル軍の空爆により1人死亡,1人負傷,レバノン保健省発表(12日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は19人,負傷者は69人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,805人,負傷者は106,257人と発表(11日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の空爆によりパレスチナ人少なくとも38人死亡,医療従事者発表,北部ベイト・ラヒヤのカマル・アドワン病院近くの集合住宅で女性と子ども含む少なくとも22人死亡,ベイト・ハヌーンでも多数死傷,中部ヌッセイラート難民キャンプで少なくとも7人死亡,北部ガザ市で9人死亡(11日)。
国連総会(193カ国)でガザ地区におけるイスラエルとハマスの即時,無条件かつ恒久的な停戦とすべての人質の即時解放を求める決議を賛成158カ国で採択,米国とイスラエルなど7カ国が反対,13カ国が棄権,国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を支持し,イスラエルで来年1月下旬に発効するUNRWA活動禁止新法を非難する決議を賛成159カ国で採択,米国とイスラエルなど7カ国が反対,11カ国が棄権(11日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は28人,負傷者は54人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,786人,負傷者は106,188人と発表(10日)。
・ガザ地区政府広報局がイスラエル軍はガザ地区北部を200日以上封鎖しており,住民を飢餓に追い込む政策をとっていると発表(10日)。
・ガザ地区北部ベイト・ハヌーンでイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも25人死亡,ガザ地区政府広報局発表(10日)。
・ガザ地区中部ヌッセイラート難民キャンプでイスラエル軍の空爆によりパレスチナ人少なくとも7人死亡,7人負傷,医療従事者発表(10日)。
イスラエル西部テルアビブの裁判所で便宜供与の見返りに実業家らから高価な物品を受け取った他,イスラエルのメディアに対し自身への好意的な報道と引き換えに優遇を図ったなど収賄,背任,詐欺容疑で起訴されているネタニヤフ首相の証人尋問を実施,ネタニヤフ氏は「汚職はない。ばかばかしい」,「起訴は不条理だ」などと無罪を主張(10日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は50人,負傷者は84人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,758人,負傷者は106,134人と発表(9日)。
・イスラエル軍がガザ地区北部での戦闘で兵士3人死亡と発表(9日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は44人,負傷者は74人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,708人,負傷者は106,050人と発表(8日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃により少なくとも子ども8人含むパレスチナ人14人死亡,保健当局発表,中部ブレイジ難民キャンプで空爆により子ども6人含む9人死亡,アル・アクサ病院発表,中部ヌッセイラート難民キャンプで避難テントへの空爆により少なくとも子ども2人含む5人死亡,北部ガザ市のインドネシア病院への攻撃により患者6人負傷,保健省発表(8日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は52人,負傷者は142人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,664人,負傷者は105,976人と発表(7日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも34人死亡,保健当局発表,北部ガザ市で民家への空爆により女性4人死亡,ガザ市西部の学校への空爆により3人死亡,北部ベイト・ラヒヤのカマル・アドワン病院への空爆により医療スタッフ3人死亡(7日)。
・ヨルダン川西岸地区北部トゥバスの検問所でイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人1人死亡,イスラエル警察はパレスチナ人がイスラエル兵に爆竹を投げたための自衛措置と説明(7日)。
・ヨルダン川西岸地区北部ナブルスや南西部ヘブロンなど各地の難民キャンプをイスラエル軍が襲撃しパレスチナ人の複数の車両を押収,パレスチナ人青年1人を逮捕(7日)。
レバノン南部ベイト・リフでイスラエル軍の空爆により6人死亡,5人負傷,レバノン保健省発表(7日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は32人,負傷者は95人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,612人,負傷者は105,834人,ただしガザ地区北部の病院へのイスラエル軍の激しい攻撃のために情報入手困難のために北部地域の死傷者は除外と発表(6日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも53人死亡,医療関係者発表,中部ヌッセイラート難民キャンプで空爆により子ども6人と女性4人含む少なくとも18人死亡,46人負傷(6日)。
・ガザ地区北部ベイト・ラヒヤのカマル・アドワン病院をイスラエル軍が空爆後に地上部隊が襲撃し医療スタッフや避難民の一部を敷地外に強制退去,病院長は空爆により医療スタッフ4人含む少なくとも29人死亡と発表し「病院内と周辺の状況は悲惨だ。多くの負傷者はいるが,外科医は残っていない」と状況報告,イスラエル軍はハマスが病院などを隠れ蓑として利用と主張(6日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は48人,負傷者は201人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,580人,負傷者は105,739人と発表(5日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも39人死亡,医療関係者発表,イスラエルが「人道地区」に指定し住民に避難を命じていた南部ハンユニス西方のマワシ地区で空爆により女性と子ども含む少なくとも20人死亡,北部ガザ市で避難所への空爆により少なくとも3人死亡,ガザ市東部シェジャイアで空爆により3人死亡,北部ベイト・ラヒヤの医療施設への無人機攻撃により少年1人死亡,医療従事者数人負傷,南部ラファで空爆により3人死亡(5日)。
・アムネスティ・インターナショナルが公表したイスラエルがガザ地区でジェノサイドを行なっているとする報告書について,イスラエル外務省が「アムネスティ・インターナショナルという嘆かわしい,狂信的な組織がまたしても完全な虚偽で捏造した報告を行なっている」と非難(5日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は30人,負傷者は84人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,532人,負傷者は105,538人と発表(4日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも47人死亡,100人以上負傷,医療関係者発表,イスラエル軍が住民に避難命令を出した南部ハンユニス近郊のマワシ地区の避難民テントへの空爆により少なくとも17人死亡,ガザ市の住宅への空爆により少なくとも10人死亡,中部地域で空爆により子ども6人含む11人死亡,南部ラファで戦車からの砲撃により9人死亡(4日)。
アムネスティ・インターナショナルがガザ地区でイスラエルが多数のパレスチナ人を殺害し,重要インフラを破壊し,食料や医薬品などの供給を阻んでいるのは2023年10月のハマスのイスラエル攻撃で正当化できない「ジェノサイド」と非難する報告書を公表(4日)。
・ヨルダン川西岸地区北部ナブルス近郊フワラとベイト・フリクのパレスチナ人所有地をユダヤ人入植者約70人が襲撃し家屋に放火,境界警備員2人負傷,イスラエル警察が入植者8人を逮捕(4日)。
・レバノン南部をイスラエル軍が空爆,ヒズボラが停戦合意に違反と主張,ヒズボラは停戦合意を遵守と主張(4日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は36人,負傷者は96人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,502人,負傷者は105,454人と発表(3日)。
・ガザ地区北部地域へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも23人死亡,ベイト・ラヒヤで空爆により8人死亡,ガザ市で空爆により少なくとも9人死亡,ガザ市近郊ゼイトゥン地区の避難所の学校への空爆により子ども2人含む6人死亡,サブラ地区の居住用建物への空爆により少なくとも3人死亡,ジャバリア難民キャンプで空爆により2人死亡,北部カマル・アドワン病院への無人機攻撃により医療従事者3人負傷,南部ラファで無人機攻撃により女性3人死亡(3日)。
・ヨルダン川西岸地区北部アカバでイスラエル軍の空爆によりパレスチナ人3人死亡,ハマス軍事部門は死者は同組織の戦闘員と発表,イスラエル軍が同地区のトルコ病院に3人の死体が搬送されたとして病院を襲撃(3日)。
・パレスチナ自治政府主流派のファタハとガザ地区のハマスがガザ地区でのイスラエルとの紛争終了後のガザ地区を共同管理するための委員会を創設することで合意(3日)。
エルサレムのイスラエル裁判所がネタニヤフ首相の汚職や収賄,詐欺疑惑についての裁判で来週テルアビブの裁判所で同首相に証言するよう命令(3日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は37人,負傷者は108人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,466人,負傷者は105,358人と発表(2日)。
・ガザ地区各地へのイスラエル軍の攻撃によりパレスチナ人少なくとも25人死亡,北部ベイト・ラヒヤの避難所の民家への空爆により少なくとも15人死亡,多数が行方不明,医療関係者と民間防衛隊発表(2日)。
・レバノン各地へのイスラエル軍の空爆により少なくとも11人死亡,ヒズボラがイスラエルが停戦合意に違反しているとして「防衛的・警告的対応」のためにイスラエル軍の拠点へ向けて飛翔体を発射(2日)。
・ガザ保健省(GMH)が過去24時間のガザ地区へのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は47人,負傷者は108人,2023年10月7日以降のイスラエル軍の攻撃によるガザ地区のパレスチナ人の累計死者数は44,429人,負傷者は105,250人と発表(1日)。
・ガザ地区北部の居住用建物へのイスラエル軍の空爆によりパレスチナ人少なくとも40人死亡,パレスチナ・メディア報道,民間防衛隊は瓦礫の下の死体を含めて約100人死亡と発表(1日)。
[アフガニスタン情勢] 【アフガニスタン戦争における犠牲者数】
アフガニスタン戦争の経緯については『対テロ戦争の政治経済学』をお読みください。

・北東部バダクシャン州ファイザバードで6日に自動車爆弾攻撃により死亡したタリバンの州副知事の葬儀が行なわれていたモスク内での爆弾攻撃により16人死亡,50人以上負傷,ISが実行声明(2023.6.8)。
・パキスタン北西部ペシャワールの警官利用のモスク内で自爆攻撃により警官ら61人死亡,170人以上負傷(2023.1.30)。

・東部ナンガルハル州ジャララバードをタリバンが無抵抗で制圧,カブール郊外の複数の地域にタリバンが進軍し包囲,タリバン報道官が全部隊に対してカブール入り口で待機し市内に入らないように指示したと発表,
カブール国際空港に米軍1000人規模が到着し欧米の外交官や市民の郊外退避を警備,ガニ大統領ら政府と議会幹部がタジキスタンやパキスタンに退避し政権崩壊,タリバンがカブールを制圧し政治部門代表のバラダル師が勝利宣言報道官が90年代後半の統治よりも穏健な政策を採用し女性の権利を尊重し外国人とアフガン人を保護する方針を発表(2021.8.15)。

[パキスタン情勢]
北西部カイバー・パシュトゥンクワ州アフガニスタン国境近くのバジュール地区でイスラム主義強硬派政党「イスラム聖職者協会ファズル派」(JUI-F)の集会での自爆攻撃により少なくとも子ども5人含む63人死亡,約200人負傷,ISホラサン州が実行声明(2023.7.30)。

[論文・分析]

「対テロ戦争」は何をもたらしたのか(2017/3/25)
『薄氷の帝国 アメリカ ― 戦後資本主義世界体制とその危機の構造』 ( 出版案内と序論 12/1/25公開)
イラク戦争前史 ― パレスチナ問題(09/1/31掲載)
「イラク情勢メモ」:イラク情勢の「改善」をどう見るか?(09/1/25掲載)
Collateral Damage ― “対テロ戦争 War on Terror”の非人間性(2009/1/20掲載)

はじめに

〔共同研究開始の経緯〕

2003年2月,アメリカによる対イラク攻撃が迫っている危機的状況のなか,社会科学研究者の有志36人が呼びかけ人となって,新聞に「意見広告 社会科学研究者は訴える」を掲載する運動をはじめました。
国際法や国際世論を無視した先制攻撃と日本の加担への反対を世論に訴えることが目的でした。その運動の一環としてウェブ・サイトを開設することになり,呼びかけ人の依頼により,わたしがサイトの作成・管理にあたることになりました。
そこで2月中旬に「研究者は訴える」と題したウェブ・サイトを開設し,賛同者名簿の作成,運動の進展・拡大にともなう更新,読者から送られてくるメールへの対応などを担当しました。
さらに3月17日,ブッシュ大統領の最後通告演説をうけて,呼びかけ人による「軍事行動即時停止要求の声明」をウェブ・サイト上で発表し,「声明」への賛同者のメールによる受付をはじめました。
しかし3月20日,世界的な反戦運動の盛り上がりをあざ笑うかのように米英軍のイラク攻撃が強行されました。
(この意見広告や声明,運動の経緯については「研究者は訴える」ウェブ・サイトをご覧ください。また,最後通告演説直後にウェブ上に公開した私見はこちらをご覧ください。)
わたしはこの「イラク戦争」の経過の記録をはじめるとともに,わたしの研究会(ゼミナール)の学生(新4年生)に,この戦争の記録と背景や実態の分析を2003年度の共同研究のテーマとしてはどうかともちかけてみました。わたしのゼミの専攻分野が政治経済学・現代資本主義論であり,第2次大戦後の資本主義を世界史的視野から理論的・実証的に分析することが基本テーマであったからです。彼らも現在進行中の深刻な問題をリアルタイムで取り扱うことに非常に興味を持ってくれ,4月から参加した新3年生の同意も得て,「イラク戦争を考える」共同研究が出発しました。

〔分析視角〕

共同研究を始めるためには分析視角を共有することがまず大切です。
わたしたちは,「イラク戦争」を単に時論的にではなく,
1. 多面的・歴史的視点から考察すること,
2. 自分たち自身の問題として考えるため,また戦後日本経済をゼミのテーマの1つとしていることから,国際社会と日本との関係・日本の「戦争」への対応を考察の柱の1つとすること,
3. 安易に独りよがりの結論を下すのではなく,考えるための材料を可能な限り集めて取捨選択して提示すること,
を基本方針としました。
(1) より具体的には,この「戦争」を9.11同時多発テロに起因する問題としてではなく,あるいは少しさかのぼって1991年の湾岸戦争前後に根源がある問題としてでもなく,第2次大戦後の国際関係や中東地域の複雑な政治・軍事関係を考慮しなければ本質が理解できない問題として分析するということです。
もちろん,中東問題の焦点であるパレスチナ問題の起源は紀元前にあります。そこまでさかのぼらなくとも,現代につながるパレスチナ問題の複雑化*の出発点は,第1次大戦中,イギリスがパレスチナの地にアラブ人とユダヤ人双方に独立国家建設を認める矛盾した政策(フサイン・マクマホン協定とバルフォア宣言)をとったこと,いわゆるイギリスの「二枚舌外交」にあります。
*現代のパレスチナ問題の起源と経過については,「イラク戦争前史―パレスチナ問題」をご覧ください。
(2) ただ,イスラエルとアラブ諸国との対立にしてもイスラム圏諸国間関係にしても,今回の「イラク戦争」につながるような問題の複雑化を規定する要因の大部分は,第2次大戦後の特殊な国際関係にあるとわたしたちは考えました。
第2次大戦後の特殊な国際関係においてもっとも重視すべき要素は,戦後まもなくはじまった米ソ冷戦です。アメリカを中心とする西側資本主義陣営とソ連を中心とする東側社会主義陣営との対立はグローバルな広がりを持ち,政治・軍事・経済・社会などさまざまな分野で戦後世界を規定する重要な要因となりました。
40年以上続いた冷戦期間中,米ソがそれぞれ自陣営の支配圏の維持・拡大と強化のために,世界各国の政権や諸勢力に政治・軍事・経済的に影響力を行使しました。
国際的な紛争を平和的に解決する目的で設立された国際連合も,米ソ間の利害の対立する問題については機能不全に陥りました。
日本は敗戦から6年以上もアメリカ主導の占領下に置かれ,諸制度の急激な改革が行なわれました。日本の独立と同時に結ばれた日米安保条約(日米軍事同盟),その後も続く政治的な対米依存(従属),日本経済の復興や急激な経済成長も,冷戦体制のもとでのアメリカとの関係によって根本的に規定されています(これはわたしのゼミで扱う基本テーマの1つです)。
中東地域も米ソ対立・覇権争いの変遷に翻弄された地域です。
(3) 冷戦は,時に朝鮮戦争やベトナム戦争のような地域的な(代理)戦争として,熱い戦争として現実化しましたが,米ソが直接戦うことはありませんでした。しかし,米ソの熾烈な軍拡競争とそれぞれの支配圏の維持・拡大のための軍事的・経済的な介入は,両国にとって実際の戦争を戦うのと同様の重い負担となりました
象徴的なのがアメリカのベトナム戦争への介入とソ連のアフガニスタン侵攻です。
アメリカは1965年からベトナム戦争に本格的に介入をはじめました。介入当初の予想に反して,南ベトナム解放民族戦線と北ベトナムの抵抗によって戦闘は長期化・泥沼化していきます。アメリカは,ピーク時で年間288億ドル(総額1,067億ドル)の巨額の直接戦費と54万人の兵力を投じ,核兵器以外のあらゆる近代兵器を使用しました。死者だけでも,アメリカ兵約4万6000人,南ベトナム軍や韓国軍などの援助軍約19万人,北ベトナム・解放戦線軍92万人,民間人120万人といわれています。負傷者や後遺症に苦しむ人はさらに膨大でしょう。
これだけの犠牲を払いながら勝利できず,アメリカ国内や世界的な反戦運動の高まり,後述の経済的負担の重さなどから,1973年のパリ協定でアメリカ軍の完全撤退となりました。
アメリカは軍事的に敗北しただけでなく,経済的にも深刻な影響を受けました。ベトナム戦争はアメリカの財政赤字を膨大なものとし,インフレーションに拍車をかけ,産業の国際競争力を低下させ,国際収支の赤字を悪化させました。その結果,基軸通貨であるドルに対する信認が低下してドル危機が深刻化し,アメリカは1971年に金とドルの交換を停止せざるを得なくなります。国際経済は混乱し,固定相場制が維持できなくなって変動相場制に移行します。第2次大戦後の資本主義諸国の経済復興と成長の枠組みであったIMF体制が崩壊し,世界経済は1970年代の長期停滞に入っていきました。
ソ連は1979年末にアフガニスタンの内戦に軍事介入しました。反政府派はパキスタンの支援をえながらゲリラ活動で対抗し,アメリカも武器の供与など反政府派を援助して,戦闘は長期化・泥沼化していきました*。ソ連は10万を超える兵力を投入しながら勝利できず,多数の人的損害(15,000人の戦死者・37,000人の負傷者といわれる)をこうむり,経済的にも大きな負担となったため,1989年2月,ゴルバチョフ政権のもとで撤兵が行なわれました。
*サウジアラビアの富裕な家に生まれたオサマ・ビン・ラーデンがソ連と戦うためにアフガニスタンに入り,アラブ義勇兵の募集や訓練に資金提供などで重要な役割を果たしました。そのために作られた基金がアル・カーイダ(al Qaida)です。
この時期にはオサマは親米でしたが,ソ連のアフガニスタンからの撤退後の90年代に反米に転じて,アル・カーイダは反米武装組織に変わっていきます。
(4) 米ソ両国とも冷戦とそれに付随する地域戦争の負担に耐えられず,1989年のマルタ会談によってようやく冷戦の終了が公式に宣言されたのです。アメリカはレーガン軍拡の影響も加わって80年代後半に純債務国となったことに象徴されるように経済的に衰退し,ソ連は経済的困難ばかりか政治的混乱も極限に達し,国自体が消滅してしまいました。
第2次大戦後の戦争(冷戦・熱戦)は,戦場となった国・地域を荒廃させたのはもちろん,正義のない戦争を強行した米ソ両国をも多様な意味で荒廃させてしまったのです
*。
*戦後資本主義体制において冷戦のもつ意味については,わたしの「冷戦とアメリカ経済」『薄氷の帝国 アメリカ ― 戦後資本主義世界体制とその危機の構造』をお読みください。
さらに,冷戦中に米ソが影響下に置いた各国や地域・諸勢力に対して行なった政策は,それら国民や民族の自立・民主化のためにではなく,自陣営の安全保障と支配圏の維持・拡大と強化を第1の目的としていました。両国とも民主的国家や勢力だけでなく,独裁政権や軍事政権であっても自国にとって有用であれば軍事・経済援助やその他の支援を行ない,支配下に置いたのはその現われです。
冷戦終結後はアメリカもソ連(ロシア)もその影響下に置いていた国や地域の多くに対して,そうした支援と支配を続ける必要もその余裕もなくなりました。いわば,冷戦体制の維持というタガが外れたのです。
冷戦中に米ソ両国の援助と支援を受けた体制の下で抑圧され続けてきた人々や民族は,その体制に対する強い抵抗意識だけでなく,強い反米意識・反ソ(反ロ)意識を持ったのは当然でしょう。米ソの影響力が低下し,既存の支配体制が弱体化すれば,そうした意識を行動として現実化させようとする動きが出てくることも当然でしょう。
1990年代以降,世界の各地で民族紛争や地域紛争がいっきに噴出しはじめたこと,アメリカやロシアなどに対するテロ(実行者にとっては抵抗運動)が頻発するようになったことは,こうした背景のためだと考えられます。
(5) 他方,冷戦終結は国際紛争の調停機関としての国連の存在意義と機能を高めるはずです。アメリカもロシアも一国だけで国際紛争を封じ込める能力も必要性もなくなったからです。また,国連のシステムにはさまざまな弱点があるとしても,現実的に国際紛争を調停し解決する多国間の協議・協力機関は国連しかないからです。
(6) 以上のような認識にたって,わたしたちは「イラク戦争」を分析していこうと考えました。
そこで,以下のような論点と課題を設定しました。
1. 冷戦中および冷戦後のアメリカの中東政策
2. アメリカの政策の中東地域への影響
3. アメリカのイラク攻撃の経緯:単独行動主義への傾斜
4. 冷戦中および冷戦後の国連の役割
5. 冷戦中および冷戦後の日米関係
6. イラク戦争の原因についての諸説の検討
さらに,
7. イラク戦争の推移を記録し,分析視角(4)の認識からこの戦争が容易には「終わらない」性格を持っていることを明らかにすること
8. アメリカにとってのベトナム戦争,ソ連にとってのアフガニスタン侵攻のように,イラク戦争は現代世界にどのような影響を与え,世界史の中でどのような意味を持つことになるのかを考察していこうと考えました。
2003年度は,これらの一部(1〜6)について延近が論文構成を提案し適宜コメントしながら,延近研究会12期・13期の学生が論文にまとめ,三田祭と延近研究会OB/OG会でとして発表しました。しかし,問題の難しさと幅の広さから論文としてはかなり未消化なものでした。
2004年度は,13期と14期の学生がそれらの改良と7,8の作業を行ない,延近提案の論文構成とコメントにより「イラク戦争のアメリカ政治・経済への影響」を中心として論文にまとめ,三田祭と延近研究会OB/OG会で発表しました。
当初は論文本体と要約をこのウェブサイト上に公開する予定でしたが,インターネット利用者の著作権軽視の状況*にかんがみ,公開の形式等を検討中です。
*このウェブサイト上に公開しているわたしの著作が他大学の学生によってコピーされてレポートとして提出されているばかりか,某大学の教員(非常勤)が,出典を明示せずに無断で教材として配布していたとの情報を当該大学の学生から連絡を受けたことがあります。
「イラク戦争を考える」を読みたいという希望も多く,公開を検討してきましたが,公開するためには論文としての完成度を上げ,現時点までのイラク情勢や「対テロ戦争」の推移についても盛り込んだものを公開したいと考えています。現在,一般公開に向けて私が全面的に改訂作業中です。その一部は論文ドラフトとして順次掲載していく予定です。(2009年1月31日記)
「イラク戦争を考える 第1部」については,2003年度の論文作成時点の原稿の修正は最低限にとどめたものをPDFファイルで公開しました。ファイルのダウンロードおよび印刷はできますが,著作権保護のために,文章や図表などのコピーはできないようなセキュリティ設定としてあります。また背景にわたしのニックネームが透かしとして入っています。
イラク戦争を含む「対テロ戦争」と「新帝国主義」戦略についてのわたしの見解は,別に「薄氷の帝国 アメリカ」と題する論文として公開しています(2009年12月30日記)。
「薄氷の帝国 アメリカ」は,大幅に加筆修正して,2008年秋以降の世界的金融・経済危機の構造を論じた著書『薄氷の帝国 アメリカ― 戦後資本主義世界体制とその危機の構造』として,御茶の水書房から2012年2月に出版いたします。本書の構成と序論はこちらでご覧ください(2012年1月25日追記)。
「イラク戦争を考える 第1部」(pdf. 3.6MB)
「薄氷の帝国 アメリカ」

(延近 充)

各年度の論文構成は次のページをご覧ください。
「イラク戦争を考える」第1部(2003年度)
「イラク戦争を考える」第2部(2004年度)
7.のための資料として作成中の年表は次のページをご覧ください。
イラク戦争(対テロ戦争)関連年表 2003年2月〜
原則として複数のソースで確認できた事実のみを分類・収集して作成。
日付は時系列参照の便宜のため日本時間で表示し,必要に応じて現地時間を併記した。
現在,ほぼ毎日更新中です。
8.の考察のために作成している,イラク情勢の現状に関する私のメモはこちらのページをご覧ください
イラク戦争における
犠牲者
アフガニスタン戦争
における犠牲者
原油価格の推移
2003年〜
日米株価の推移
2008年9月〜
延近研究会 共同研究メンバー
第12期 植村昌史,大倉由貴子,乙武郁子,菊地雅子,岸田昌子,高石裕介,田川亮輔,永田大介,
村上創太,山口顕
第13期 安部雅隆,石井宏太郎,和泉ちひろ,小島健一郎,杉井良子,関谷直人,関屋文彦,
長江崇将,福市年成,堀田佳秀,山口功,山本真澄,吉田一陽
第14期 井上允之,内川浩樹,内田健介,栢島由佳里,今野聡,田中広美,中尾俊明,西山浩平,
福原早苗,松崎禎夫,望月さやか,山崎理絵,渡辺陽介
Iraq Body Count(民間人死亡者)

【関連情報・リンク】

対イラク戦争と日本の加担に対する研究者有志の反対声明(2003.3.20)
Column アメリカの対イラク最後通告と日本の対応について(2003.3.18)
研究者有志による意見広告「アメリカの対イラク先制攻撃と日本の加担に反対します」(2003.2.27)
ドキュメンタリー映画「アメリカばんざい - crazy as usual -」
イラクで死んだ兵士の家族,イラク派遣を拒否した兵士,ベトナム・アフガニスタン・イラクからの帰還兵,現役海兵隊員へのインタビューや海兵隊員養成のブート・キャンプの取材などで構成されたドキュメンタリー映画。2008年7月26日から公開。私も協賛しています。
「リダクテッド 真実の価値」
2006年にイラク・サーマッラで起きた米兵によるイラク人少女レイプ殺人事件を題材としたブライアン・デ・パルマ監督の作品。フィクションとインターネット上で公開されている実際の映像をミックスして,Redacted−情報の事前削除・編集:アメリカの情報操作・報道規制や偏向報道を描いている。10月25日から公開。この映画のサイトではイラク研究者の酒井啓子氏を講師とするシンポジウムなどの情報あり。
解放軍として歓迎される期待が裏切られ,泥沼化するイラク戦争下,「テロ」を恐れて心理的に追い詰められる米兵たち。イラクで何が起こっているのか,イラクに派兵したアメリカ社会では何が起こっているのかを考えさせる映画。
イラクと同様に泥沼化するアフガニスタンへ日米同盟のために自衛隊派遣を模索し続ける日本政府。
これは「ひとごと」の話ではない。無知は免罪符とはならないのである。

「対テロ戦争」の最前線の実態を知るための手がかりとなるこの2つの映画についての私のコメントをアップしてあります。

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