4月2日にトランプ大統領は世界の185カ国への「相互関税」と発表しました。
トランプ政権の貿易・関税政策の誤謬についてはこちらをご覧ください。
月日 | 対国際機関 ・国際的協定 |
貿易・関税 | イスラエル ・パレスチナ問題 |
ウクライナ ・ロシア紛争 |
バイデン政権までの 政策の否定 |
その他 |
1.20 | ・世界保健機関(WHO)からの脱退 ・気候変動抑制に関するパリ協定(2015年12月採択)からの再離脱(1期目の19年11月に離脱,バイデン政権が21年2月に復帰) |
・ヨルダン川西岸地区でパレスチナ人への暴力や略奪等でバイデン政権がユダヤ人入植者に科した制裁を解除 | <移民問題> ・メキシコとの国境に非常事態宣言,軍隊を派遣し壁の追加建設,難民申請者の入国の一時停止 ・不法移民の強制送還 ・国籍の出生地主義の見直し <多様性> ・ジェンダーは男性と女性のみを認める ・前政権までの「DEI」(多様性・公平性・包摂性)の取り組み終了 <エネルギー> ・沿岸部の新たな石油・ガス掘削禁止を禁じたバイデン政権の覚書の取り消し ・電気自動車(EV)の普及策の撤廃 |
・メキシコ湾をアメリカ湾に改称 ・2021年1月の連邦議会議事堂襲撃事件で有罪となった服役囚約1600人に恩赦 ・アラスカ州の山デナリの名称をを旧称のマッキンリーに戻す |
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1.23 | トランプ大統領が就任式直後に署名した米国籍の「出生地主義」を廃止する大統領令について,ワシントン州シアトルの連邦地裁のクーゲナー判事がワシントン,アリゾナ,イリノイ,オレゴン4州の司法長官の提訴を認め,憲法修正14条の「明白な違反」として差し止め命令 | |||||
1.24 | トランプ大統領がイスラエルに対する大型爆弾の供与保留を解除するよう国防総省に指示,MK84無誘導爆弾1800発が数日以内にイスラエルに搬入予定 | |||||
1.25 | トランプ大統領がヨルダンのアブドゥラ国王との電話会談で,ガザ地区は「ほとんどすべてが破壊され,人々が亡くなっている」との認識を示し,150万人の避難民をヨルダンやエジプトに移住させる構想を提案 | |||||
1.26 | エジプト外務省がトランプ米大統領が25日にガザ地区の避難民150万人のヨルダンやエジプトへの移送を提案したことに対して,パレスチナ人の定住の権利を侵害し,地域の安定を危険にさらし,紛争の拡大のリスクを拡大するパレスチナ人の一時的または長期的な移送を拒否するとの声明を発表 | |||||
1.27 | トランプ大統領が米軍再編のための4つの大統領令に署名,トランスジェンダーの兵士の軍への入隊の禁止,DEI)に関するあらゆる「差別的」な政策の禁止 | |||||
2.1 | トランプ大統領がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税,中国からの輸入品に10%の追加関税を4日から賦課する大統領令に署名 | |||||
2.2 | トランプ大統領がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を賦課する大統領令に署名したことに対して,全米製造業者協会が貿易協定の「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を締結したことで北米の経済力が強まり、米国での雇用や投資も増加した,メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課せば「米製造業の国際競争力を高めてきた供給網を根底から覆す」と非難,米自動車部品工業会は両国への関税は「自動車の必須部品のコストを大幅に押し上げ,追加コストは消費者に転嫁される」と批判 | |||||
2.3 | トランプ大統領がメキシコのシェインバウム大統領とカナダのトルドー首相と相次いで電話会談し,両国への25%の関税賦課を少なくとも30日間延期すると発表 | |||||
2.4 | トランプ大統領が国連人権理事会から離脱する大統領令に署名 | トランプ大統領がホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相との会談でガザ地区の住民の域外での恒久的定住を提案,会談後の記者会見で,ガザ地区について,パレスチナ人が別の土地に再定住した後に米国が所有し「中東のリビエラ」として再開発する構想を発表,ネタニヤフ首相は「注目に値するアイデア」と賞賛,サウジアラビア外務省は「パレスチナ国家の樹立なくしてイスラエルとの関係正常化はありえない」,「パレスチナ人をその領土から追い出そうとする動きなど,パレスチナ人の正当な権利の侵害を拒絶する」と非難。 ・民主党の複数の下院議員はトランプ氏が「公然と民族浄化を呼びかけている」と非難 |
政府効率化省のイーロン・マスク氏がトランプ大統領が国際開発局(USAID)の閉鎖を承認したと発表,ルビオ国務長官がUSAIDの局長代行を務めると宣言 | |||
2.5 | トランプ大統領のガザ地区を米国が所有し「中東のリビエラ」として再開発するとの4日の発言に対して,サウジアラビアやヨルダンなどアラブ諸国,ハマス,ドイツ,ロシアなど国際社会が非難 | メリーランド州連邦地裁が米国籍の「出生地主義」制度を制限する大統領令は憲法違反として19日予定の大統領令の発効を差し止める仮処分命令 | ||||
2.6 | ・トランプ大統領が国際刑事裁判所(ICC)の職員らを対象に米国内の資産凍結,ビザ発行の制限などの制裁を科す大統領令に署名,ICCがイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を発行したことへの対抗措置(6日)。 ・ルビオ国務長官がガザ地区は不発弾などが残され危険なため現時点で居住は不可能になっているため,復興中は住民を一時的に他の場所に移住させる必要があると主張 |
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2.10 | トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムの米国への主要供給国のカナダ,メキシコ,ブラジルなどへの関税の適用除外措置と無関税枠を撤廃し,25%の関税を課すと発表 | |||||
2.19 | ウクライナのゼレンスキー大統領がトランプ大統領の「ゼレンスキー大統領がロシアとの戦争を始めた,国民に不人気で支持率は4%」(ウクライナの世論調査では支持率57%)との18日の発言に対して,トランプ大統領は「偽情報」に基づいて誤った主張をしていると非難,トランプ氏はゼレンスキー大統領を「選挙なき独裁者」,「早く行動しなければ国は残らないだろう」とSNSに投稿,イギリスのスターマー首相はゼレンスキー大統領との電話会談後にゼレンスキー氏は民主的に選ばれた指導者と支持を表明 | |||||
2.20 | ワシントンポスト紙とイプソスの共同世論調査(2601人対象)でトランプ大統領は越権行為をしたとの回答が57%,就任からの仕事の肯定的評価が43%,否定的評価が48%,トランプ氏とマスク氏による政府支出削減について66%が議会の承認を得るべきだったと回答,連符支出削減や人員削減について84%が裁判所の判断に従うべきと回答 | |||||
2.21 | トランプ大統領がラジオ番組のインタビューでロシアのウクライナ侵攻についてプーチン大統領の責任を認めず,プーチン氏が望めばウクライナの「全土を占領できるだろう」と述べ,ゼレンスキー大統領が戦争終結を「難しくしている」と主張 | |||||
2.22 | トランプ大統領がワシントンDC近郊で開催の保守政治行動会議(CPAC)での演説で,バイデン前政権がウクライナに供与した軍事・経済支援などの見返りとしてウクライナのレアアースなどの鉱物資源5000億ドル相当を要求していると発表,2025年1月初めまでの国防総省の対ウクライナ安全保障支援総額は665億ドル,財政・人道支援額を含めても1198億ドル | ・トランプ大統領がブラウン統合参謀本部議長を解任したと発表,ヘグセス国防長官が海軍作戦部長のリサ・フランチェッティ中将と空軍ナンバー2のスライフ空軍副参謀総長の解任を発表,ブラウン氏は故パウエル氏に次いで2人目の黒人統合参謀本部議長,フランチェッティ氏は女性初の作戦本部長,3人ともバイデン前大統領が任命,ヘグセス氏は2024年の著書でフランチェッティ氏を「DEI枠で雇われた人物」と言及 ・メリーランド州連邦地裁がトランプ大統領によるDEI推進プログラム禁止を合衆国憲法の言論の自由の権利を侵害する可能性が高いとして一時的に差し止め |
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2.24 | トランプ大統領がホワイトハウスでのフランスのマクロン大統領との会談後の記者会見で,ウクライナへの支援について,「米国は3000億ドル以上を費やしているが,欧州は1000億ドル程度だ」と事実に反する主張,マクロン氏は会談中にトランプ氏の認識の誤りを指摘したが再び誤情報を主張,ドイツのキール世界経済研究所によれば昨年末までのEUと欧州諸国の支援総額は2580億ドル,米国は1240億ドル,軍事・財政・人道援助総額は欧州が1380億ドル,米国は1190億ドル,軍事援助は欧州650億ドル,米国665億ドル | |||||
2.26 | 国務省が国際開発局(USAID)が締結した複数年の対外援助契約を含む対外開発援助計画の予算を92%,540億ドル削減すると発表 | |||||
2.28 | ホワイトハウスの大統領執務室でトランプ大統領とゼレンスキー大統領が会談,ゼレンスキー氏がロシアを信用して譲歩すべきではないと警告,トランプ氏は「米国を侮辱した」と非難,口論となりウクライナの鉱物資源の開発についての合意への署名と共同記者会見を見送ってゼレンスキー氏は退出し会談は決裂,同席したヴァンス副大統領は「報道陣の前で訴えるのは失礼だ」と反発。トランプ氏も「取引しないなら我々は撤退する」と怒りの表情でコメント <トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談の決裂を受けた欧州首脳の反応> <私のコメント> |
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3.2 | ルビオ国務長官が40億ドル規模のイスラエルへの軍事援助の指示に署名 | |||||
3.3 | トランプ米大統領がウクライナへの軍事支援の一時停止を指示,ゼレンスキー大統領に対して米国の軍事支援に「もっと感謝すべきだ」と再度強調 | |||||
3.4 | トランプ政権がカナダとメキシコからの輸入品に25%の追加関税を発動,中国に対して2月に発動した10%の関税を20%に引き上げる大統領令に署名,カナダのトルドー首相は1550億カナダドル(約16兆円)相当の米国製品に対する25%の報復関税を発表,中国政府は米国から輸入する鶏肉,小麦,トウモロコシ,綿花に15%,ソルガム,大豆,豚肉,牛肉,水産物,青果,乳製品に10%の追加関税を課すと発表 | ゼレンスキー大統領が米国の支援への謝意を表明し「今こそ事態を正すべき時だ。今後の協力とコミュニケーションが建設的なものになることを望む」とし,「トランプ大統領の強力な指導力の下で、永続的な平和を実現するために協力する用意がある」とSNSに投稿 | ||||
3.5 | トランプ政権が4日に発動したカナダとメキシコからの輸入品への25%の関税賦課について自動車を1カ月間対象外にすると発表 | CIAのラトクリフ長官がFOXテレビのインタビューでウクライナとの人工衛星の画像などの機密情報の共有を一時停止したと発表,ロシア軍の位置などの情報遮断で攻撃に対するウクライナ軍の応戦が困難になる危険性 | トランプ大統領が連邦議会上下両院合同会議で施政方針演説,冒頭の「アメリカは戻ってきた!」から1時間40分,歴代大統領で最長の演説,内容は不正確または誇張,虚偽の事実を含めてほとんどが「自画自賛」,共和党議員は拍手喝采,民主党議員は反発のブーイング,民主党のスロットキン上院議員が反論演説でトランプ氏が「億万長者の友人たちへの前例のない贈り物」を行なったと非難し,「彼は我々を不況に導く可能性がある」と警告 | |||
3.7 | 米国家地理空間情報局(NGA)の報道官が政府が購入した商業衛星画像をウクライナが利用することを「一時停止」したと発表,衛星画像はロシア軍の動きの追跡のために重要な情報で,画像の利用停止はロシア軍の攻撃に対するウクライナ軍の対応に深刻な影響 | |||||
3.11 | トランプ大統領がすべての国からの鉄鋼・アルミニウムの輸入に25%の関税を課す方針を発表,関税を高くすればするほど生産拠点を米国に戻す企業が増えると主張 | |||||
3.12 | トランプ政権が米国が輸入するすべての鉄鋼とアルミニウムに対して25%の関税賦課を発動,中国からの輸入品は20%の関税を付加済みで鉄鋼とアルミニウムは25%を上乗せして45%の関税に,EUは対抗策として米国からの260億ユーロ(4兆2000億円)相当の輸入品に関税を課すと発表,カナダ政府が米国からの298億ドル(3兆円)相当の輸入品に25%の報復関税を課すと発表 | |||||
3.15 | トランプ大統領がイエメンのフーシ派による紅海やアデン湾での商船に対する攻撃への報復として「断固とした強力な軍事行動」を米軍に指令,イエメン西部サヌアへの米軍とイスラエル軍の空爆により民間人9人含む13人死亡,9人負傷,フーシ派は空爆を「戦争犯罪」と非難し,「エスカレーションにはエスカレーションで対抗する準備はできている」と警告 | |||||
3.18 | トランプ大統領がロシアのプーチン大統領と電話会談,プーチン氏は米国が提示する広範な停戦案はウクライナに再軍備の余裕を与えるとして受け入れず,ウクライナのエネルギー施設やインフラに対する攻撃を30日間停止することで合意 | トランプ大統領がベネズエラ人の強制送還の14日間の差し止めを命じたワシントン連邦地裁のボアズバーグ判事を「弾劾すべき」と批判,ロバーツ米最高裁判所長官は「2世紀以上にわたり,司法判断に関する見解の相違に対応する上で弾劾は適切でないと確立されている」とし,控訴することが正しい対応と反論,トランプ政権は第2次世界大戦時の「敵性外国人法」に基づいてベネズエラ人200人超を強制送還 | ||||
3.21 | トランプ政権がバイデン政権時に開始されたキューバ,ハイチ,ニカラグア,ベネズエラからの移民に在留資格を与えるプログラムを廃止し,これらの国からの移民の在留資格を取り消し,4月24日までに出国させる命令を発表 | |||||
3.26 | トランプ大統領が米国に輸入されるすべての自動車に対して25%の関税を賦課すると発表,エンジンやトランプミッションなどの部品も対象,東部時間4月3日午前0時1分に発効予定,EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長が非難声明,カナダ・オンタリオ州首相は報復措置をとるべきだとの認識でカーニー首相と一致したと発表 | |||||
3.29 | トランプ大統領がNBCニュースのインタビューで外国製自動車への関税賦課について,自動車の値上げは「まったく気にしない」と述べ,外国製自動車への恒久的な関税は米国内の工場に追い風となり,米国製自動車の売り上げ増加につながると主張 | |||||
3.30 | トランプ大統領がNBCニュースの電話インタビューで憲法で禁止されている3期目の大統領を目指す意図を表明,憲法改正は困難なため2028年の大統領選挙でヴァンス副大統領を当選させ,自身は大統領の職務を引き継ぐ狙いか | |||||
4.1 | ウィスコンシン州の最高裁判事選挙でリベラル派の民主党が支持するクロフォード判事が当選,同州の最高裁判事はリベラル派が4人,保守派が3人を維持,イーロン・マスク氏が保守派候補の支援のために2000万ドルを支出,有権者に対して「活動家判事」に反対する嘆願書に署名すれば現金を提供すると選挙期間中に表明 | |||||
4.2 | トランプ大統領がすべての輸入品に一律10%の関税を賦課し,各国の関税や非関税障壁を考慮した国・地域別の税率を上乗せすると発表,日本は上乗せ分を含めて24%,EUは20%,中国は54%など,トランプ氏は「何十年もの間,米国は近くて遠い国々,敵も味方も関係なく略奪されきた。これは独立宣言だ」,「我々はついに米国を第一にする」と主張,民主党のミークス下院議員は「トランプ大統領はすべての輸入品に大規模な関税をかけるという現代史上最大の逆進的増税を米国民に課した。同氏の無謀な政策は市場を暴落させるだけでなく,労働者世帯をとりわけ痛めつけるだろう」と批判 ・トランプ大統領の相互関税導入の発表に対して経済界の諸団体が事業への悪影響を指摘し非難,全米製造業者協会は「追加関税の高コストで,投資や雇用,サプライチェーンのみならず,他国と競争し製造業の超大国として世界をリードしてきた米国の立場も脅かされることになる」と批判,商工会議所は「広範な追加関税という増税により,米国民は物価高に直面し,米国経済は打撃を受ける」と主張,全米民生技術協会は「各国への相互関税は米国民に対する大型増税を意味し,インフレを招き,一般的な国民の雇用が奪われ,米国経済に不況をもたらす可能性がある」と指摘 トランプ政権の貿易・関税政策の誤謬についてはこちらをご覧ください |
ロイター/イプソスの世論調査(3月31日〜4月2日に成人1486人対象に実施)でトランプ大統領の支持率が43%,2期目で最低水準,前回調査から2ポイント低下,大統領就任直後は47% | ||||
4.3 | ロイター/イプソスの世論調査(3月31日〜4月2日に成人1486人対象に実施)でトランプ大統領の支持率が43%,2期目で最低水準,前回調査から2ポイント低下,大統領就任直後は47% | |||||
4.4 | 中国政府が米国からのすべての輸入品に34%の追加関税を賦課すると発表 | |||||
4.5 | 全米各地でトランプ大統領とイーロン・マスク氏に対する抗議デモ開催,主催者団体は約60万人が参加と発表,英独仏でも同様の抗議行動 | |||||
4.8 | ホワイトハウスのレビット大統領報道官が中国からの輸入品に50%の追加関税を課すと発表,東部時間9日午前0時から発効,中国政府が4日に米国からの全輸入品に34%の報復関税を課すと発表したことに対して,7日にトランプ大統領が8日正午までに中国が報復関税を撤回しなければ追加関税を34%から84%に引き上げると警告,発動されれば中国に対する関税は104%に引き上げ,中国商務部は「米国が関税措置をエスカレートさせるなら,中国は自国の権利と利益を守るために断固たる対抗措置を取る」と警告 | |||||
4.9 | トランプ大統領が2日に発表し8日に発効した世界各国への「相互関税」について,中国以外の国・地域について90日間の一時停止を発表,75カ国以上が交渉を求めていることが理由とし,「人々が少し行き過ぎていると思った。神経質になり,少し怖がっていた」,「柔軟性を持たなければならない」と説明(私のコメント:「相互関税」を維持しながら交渉は可能だから,株価や米国債価格の予想外の急落にあわてて言い訳か?),10%の一律関税は維持,中国については関税を125%に引き上げ | |||||
4.10 | ホワイトハウスが9日にトランプ大統領が発表した中国からの輸入品への125%の追加関税はすでに発動済みの20%の関税へ加算され,対中関税は計145%と発表 | |||||
4.11 | ・中国政府が米国からの全輸入品に対する報復関税を84%から125%に引き上げると発表,「米国が関税による数字遊びを続けるのであれば,中国は関与しない。しかし,米国が中国の利益を実質的に損ない続けるのであれば,中国は断固とした対抗措置を講じ,最後まで戦う」と警告 ・トランプ政権の税関・国境取締局(CBP)がスマートフォン,ノートパソコン,タブレット端末,ハードディスクなどの電子機器を「相互関税」の対象から除外すると発表,米国で販売されるアップル社のiPhoneの80%は中国製,20%はインド製 |
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4.14 | ハーバード大学がトランプ政権による学生や教員の「反ユダヤ主義的な活動」の取り締まり強化のための学校運営や雇用,入学審査などに関する要求に対して,「当大学は独立性を放棄することも、憲法上の権利を放棄することもしない」と拒否,「政府からの要求には反ユダヤ主義との闘いを目的としたものもあるが,大部分はハーバードの『知的状況』を政府が直接規制しようとするものだ」と言明,トランプ政権の教育省はハーバード大学への22億ドルの助成金と6000万ドルの契約を直ちに凍結すると発表 | |||||
4.15 | ・ハーバード大学がトランプ政権からのDEIの取り組み廃止,能力に基づく採用,入試改革,「学問よりも運動に力を入れる」教職員の権限縮小などの要求を拒否したことに対して,トランプ大統領が「ハーバード大学が政治的でイデオロギー的、そしてテロリストに触発された『病』を推し進めるのなら、同大学は免税の資格を取り消され、政治団体として課税されるべきだろう」とSNS上で主張 | |||||
4.19 | ・全米各地の州議会議事堂や裁判所,市庁舎などでトランプ大統領とその政権の民主主義制度や移民的自由への攻撃に対する抗議行動「50501ムーブメント(50州,50の抗議,1つの運動の略)」実施(19日)。 ・連邦最高裁が「敵性外国人法」の適用対象となり得る移民の強制送還を一時的に差し止める判断(19日)。 |
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4.22 | トランプ大統領がホワイトハウスで記者団の対中関係の質問に対して,145%の関税率は非常に高いとの認識を示し,対中国関税率は「大幅に引き下げられるが,ゼロにはならない」と述べ,中国との貿易に関する方針を転換する可能性を示唆 | トランプ政権とロシアのウクライナ停戦交渉での和平案の概要を米英メディアが報道,プーチン大統領はウクライナ東部ルハンスク州,ドネツク州,南部ザポリージャ州,へルソン州の現在の前線で攻撃を停止しウクライナ側が掌握している地域の領有を断念,米国は4州のロシア占領地域を承認し,南部クリミアのロシアによる併合を承認,ウクライナのNATO加盟を拒否,西側諸国の対ロ制裁の解除など,ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアにきわめて有利な内容と批判しクリミアのロシア領有は認めないと強調 | プリンストン大学,ブラウン大学など100校以上の教育機関が「前例のない政府の過剰介入と政治的干渉が米国の高等教育を危険にさらしている」,「我々は建設的な改革にはオープンであり,正当な政府監視には反対しない。しかし,不当な政府介入には反対する必要がある」とトランプ政権による前例のない高等教育への「政治介入」を非難する共同書簡を公表,ホワイトハウスのレビット報道官は「全国のキャンパスにおけるユダヤ系米国人学生や他の信仰を持つ学生に対する違法な嫌がらせや暴力を容認しない」と強調(22日)。 | |||
4.23 | トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領がクリミア半島をロシア領として認めないと強調したことに対して,「だれもゼレンスキー氏にクリミア半島をロシア領と認めるよう求めていない。論点ではない」とし,「ゼレンスキー氏の扇動的な発言が戦争の解決を困難にしている」とSNS上で非難,ロンドンで開催のウクライナ和平の協議のための外相級会合へのルビオ国務長官の参加を取りやめ | |||||
CNNの世論調査(4月17日〜24日に全米の成人1678人対象)でトランプ大統領の支持率が41%(3月の調査比4ポイント低下,2月の調査比7ポイント低下),アイゼンハワー大統領以降の歴代大統領で最低を記録,「強い支持」は過去最低の22%,「強い不支持」は45%とほぼ倍増,女性の支持率は36%,ヒスパニック層の支持率は28%(いずれも3月の調査比7ポイント低下),共和党員の支持率は86%,民主党員の不支持率は93%,無党派層の支持率は31%,インフレ対策関連の支持率は9ポイント低下の35%,関税政策の支持率は4ポイント低下の35%,経済政策の支持率は5ポイント低下の39%,外交政策の支持率は39%,不支持率は60%(27日)。 | ||||||
4.29 | トランプ大統領が自動車や部品に対する25%の追加関税について,米国内で生産される自動車を対象に部品を輸入する際の関税の一部を還付する負担軽減措置を導入すると発表,グローバルなサプライチェーンによって自動車を生産する業界からの要請に基づく | ミシガン州デトロイト郊外でトランプ大統領が2期目の就任から100日の集会で演説,関税政策や移民対策などで「この国の歴史上のどの政権よりも,もっとも成功した100日だった」と自画自賛,「インフレを終わらせている」と強調するも,2025年第1四半期のGDPデフレーターは3.7%で24年第4四半期の2.3%より上昇,成果が乏しい外交についてはほとんど言及せず,多くの世論調査での支持率低下については「フェイクだ」と主張(29日)。 | ||||
4.30 | 商務省発表の2025年第1四半期の実質GDP(季節調整済み)の速報値で前期比0.3%減(年率換算,前期は2.4%増),2022年第1四半期以来3年ぶりのマイナス成長,トランプ大統領はマイナス成長はバイデン前大統領に責任があると非難(私のコメント:t輸入が前期比41.3%増,寄与度はー5.1%で,高関税賦課の前に駆け込み輸入が急増したことが主原因であることは明らか)(30日)。 | |||||
5.1 | 全米で弁護士団体と200以上の労働組合や移民の権利擁護団体の連合が組織したトランプ大統領の政策に抗議する大規模なデモ,主催団体はトランプ政権が富豪の利益を優先していると非難し,医療,住宅,公立学校に資金を提供し労働者を支援するよう要求 | |||||
5.2 | トランプ政権が2026会計年度(25年10月〜26年9月)予算で国防費を1133億ドル増額し,前年度比13%増の1兆100億ドルとするよう要求(2日)。 | |||||
5.4 | ・トランプ大統領が米国外で製作されるすべての映画に100%の関税を課すと発表,他国が優遇措置を講じて米国の製作会社を誘致しているために米映画産業が「急速に死につつある」ためと主張,ウォルト・ディズニー社,ネットフリックス社,ユニバーサル・ピクチャーズ社などはカナダや英国などで撮影,戦略国際問題研究所のラインシュ上級研究員(元商務省高官)は映画関税に他国が対抗措置を取れば「国内映画産業を破壊するだろう。得るものより失うものの方がはるかに大きい」と批判 | トランプ大統領がNBCニュースのインタビューで,次期大統領選に出馬し憲法が禁じる3期目を狙うかとの質問に,「私がやりたいことではない」と否定したうえで,米国第一主義運動「MAGA(米国を再び偉大に)」は自身の退任後も影響力を持ち続けると強調 | ||||
5.6 | トランプ大統領がホワイトハウスでカナダのカーニー首相との会談でカナダの併合について言及,カーニー氏はカナダは「売り物ではない。永遠に売ることはない」と反論し両者が対立,関税をめぐる議論も平行線 | |||||
5.8 | ・トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談後にSNS上でロシアとウクライナに対して30日間の無条件停戦を要求。 | |||||
5.12 | ベッセント財務長官がスイス・ジュネーブでの中国代表との2日間の交渉により,両国が14日から90日間,互いに関税を115%ポイント引き下げることで合意したと発表,中国商務省も同様の発表,米国が中国製品に課す関税は30%,中国が米国製品に課す関税は10%に | |||||
5.14 | トランプ大統領がサウジアラビア中部リヤドでシリアのシャラア暫定大統領と会談,会談後にシリアとイスラエルの関係正常化を促したと発表(14日)。 | |||||
5.22 | トランプ政権がハーバード大学の留学生受け入れ資格を取り消しを発表,在学中の留学生は他大学に転出しなければ滞在資格を喪失すると警告,国土安全保障省のノーム長官はハーバード大が「暴力や反ユダヤ主義を助長し,中国共産党と連携している」と非難し,学生ビザ取得に必要な「学生・交流訪問者プログラム」の認定を取り消すと説明 | |||||
5.23 | トランプ大統領がEU製品に対して6月1日から50%の関税を課すと発表,また米国内で販売されるアップル社のスマートフォンが米国内で製造されていない場合,アップル社は25%ん関税を支払う必要があると主張 | トランプ政権がハーバード大学の留学生受け入れ資格の取り消しを発表したことについて,ハーバード大学の提訴を受けたボストン連邦地裁が留学生受け入れ資格の取り消しを差し止める決定 | ||||
5/28 | トランプ大統領が「国際緊急経済権限法」を根拠として4月2日に発表した「相互関税」(4月8日に発効,4月9日に中国以外の国・地域について90日間の一時停止を発表)について,国際貿易裁判所が「同法が無制限に権限を与えているとは読み取れない。同法に基づいて課された関税は無効だ」として一部差し止めを命令 | |||||
5.29 | 連邦控訴裁判所が28日に国際貿易裁判所が下したトランプ大統領の関税を差し止める判断の効力を一時的に停止する決定 | ボストン連邦地裁のバローズ判事がトランプ政権によるハーバード大学の留学生受け入れ資格はく奪について,23日に下した措置の一時差し止めを延長すると発表,同大学の資格に一切変更を加えないよう国土安全保障省と国務省に命じる方針を提示 | ||||
5.30 | ・トランプ大統領がペンシルベニア州ピッツバーグの製鉄所での演説で「鉄鋼に対する追加関税を25%から50%に引き上げる。これにより米国の鉄鋼産業はさらに安定するだろう」と主張,関税引き上げは6月4日から実施(30日)。 |
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<トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談の決裂を受けた欧州首脳の反応>
・ドイツのショルツ首相:「ウクライナの国民以上に平和を望んでいる者はいない。だからこそ我々は永続的で公正な平和への道をともに模索している。ウクライナはドイツ,そして欧州に頼ることができる」
・フランスのマクロン大統領:「ロシアは侵略者で,ウクライナは侵略された側だ。3年前,ウクライナを支援しロシアに制裁を科したことは正しい措置で,我々は今後もそれを続ける」
・EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長:「ゼレンスキー氏の尊厳はウクライナ国民の勇気を称賛している。強く勇敢に,恐れずにいてもらいたい。あなたは決して一人ではない」,「我々は公正で永続的な平和のためにあなた方との連携を続ける」
・スペインのサンチェス首相:「スペインはウクライナとともにある」
・ポーランドのトゥスク首相:「親愛なるゼレンスキー大統領、親愛なるウクライナの友人たち、あなた方は一人ではない」
・EUのカラス外交安全保障上級代表:
「ウクライナは欧州の一部だ。我々はウクライナとともにある」,「ウクライナが侵略者に対して反撃を続けられるよう,我々はウクライナへの支援を強化する」,「自由世界には新たな指導者が必要であることは明らかだ。この課題に取り組むのは我々欧州人だ」
・ハンガリーのオルバン首相:「強者は平和を,弱者は戦争を生み出す。トランプ大統領は勇敢に平和のために立ち上がった。トランプ大統領に感謝する!」
<私のコメント>
トランプ氏は第1次政権期に前任者のオバマ大統領が「核兵器なき世界」の提唱演説や「イスラム社会との和解」演説などでノーベル平和賞を授与されたことへの「対抗意識」から,同賞を獲得することを強く望んできたがかなわなかった。
彼が大統領に再選され,ノーベル平和賞の獲得という悲願達成のために,自分の手によってウクライナでの戦争を終わらせたとの功績をあげることを最優先し,ウクライナ東部や南部のロシアの占領地をロシア領と認めることで,プーチン大統領に停戦に合意させようとしている。合意後のウクライナの安全保障を確約せず,ウクライナを交渉に参加させないのは,ロシアに有利な条件を提示してロシアの停戦合意をすることを促すためと思われる。
ゼレンスキー氏がトランプ氏との会談で「警告」したのはトランプ氏の意図を読み取り,釘を刺したのだろう。トランプ氏の国際社会に対する強権的・独裁的政策に反発する欧州各国(親ロシアのハンガリーを除く)が直ちにウクライナへの連帯と支援を表明したのは当然であり,ゼレンスキー氏はそのことを予測して「警告」という手段を選択したのかもしれない。