「対テロ戦争」関連年表 2022年6月

アフガニスタン戦争，イラク戦争を含む「対テロ戦争」がなぜ「終わらない」性格をもつのか，またブッシュ政権が国際社会の反対の中でなぜイラク攻撃を強行したのかについてのわたしの見解は，

『対テロ戦争の政治経済学― 終わらない戦争は何をもたらしたのか』(明石書店，2018年3月)をお読みください。

本書の理論的基礎およびアメリカ経済のより詳しい現状分析について，下記の2冊が参考となります。

2008年秋以降の世界的金融・経済危機の構造を国際政治や軍事面を含めて論じた『薄氷の帝国 アメリカ― 戦後資本主義世界体制とその危機の構造』(御茶の水書房，2012年2月，本書の構成と序論)，

現在の世界経済の危機的状況と90年代以降の日本経済の構造変化を基礎理論から現状分析まで展開し，平易に説明した『21世紀のマルクス経済学』(慶應義塾大学出版会，2015年7月，本書の目次)

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主な出来事

1. ［イラク情勢］
   「暴力事件」などによる6月のイラク人の死者27人(30日まで)。
   ・昨年10月の国民議会議員選挙で73議席を獲得し第1党となったサドル師派議員が連合政権の樹立交渉の膠着状況下で辞職願を提出し，議長が受理(12日)。
   ・ニナワ州北西部シンジャル地域のクルド労働者党(PKK)系の武装組織「シンジャル抵抗部隊」の司令部と民間人居住地域をトルコ軍が空爆，少なくとも2人死亡，7人負傷(15日)。
2. ［パレスチナ情勢］
   イスラエル軍や警察の発砲などによる6月のパレスチナ人の死者11人，パレスチナ人の襲撃などによるイスラエル人の死者0人。
   ・ヨルダン川西岸地区ヤバド村でイスラエル軍が3月29日にテルアビブでイスラエル人5人を殺害したパレスチナ人の逮捕のための強制捜索，パレスチナ住民の抗議行動と衝突しイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人1人死亡，2人負傷(1日)。
   ・ヨルダン川西岸地区南西部ヘブロン地域でイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人女性1人死亡，イスラエル軍はパレスチナ人がナイフを所持して近づいてきたための自衛措置と説明(1日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ベスレヘム近郊でイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人1人死亡，イスラエル軍は強制捜査中にパレスチナ人が投石や火炎瓶で抗議行動をしたための自衛措置と説明，ヨルダン川西岸地区でイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人青年1人死亡，イスラエル軍は青年が防護壁に近づいて火炎瓶を投げようとしたための自衛措置と説明(2日)。
   ・ガザ地区の海岸でイスラエル軍が漁獲禁止地域に侵入した容疑で漁師4人を拘束，イスラエル兵の発射したゴム弾により漁師2人負傷(4日)。
   ・ヨルダン川西岸地区南西部ヘブロン近郊でイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人1人死亡，6人負傷，イスラエル軍は部隊による対テロ活動中にパレスチナ人グループが投石や爆発物で妨害しようとしたための自衛措置と説明(9日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ジェニンでイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人3人死亡，イスラエル軍はパレスチナ武装勢力の武器の押収活動中に攻撃を受けたための自衛措置と説明，イスラム聖戦は死者が占領者への対抗活動中のメンバーと認め，ハマスは死者の1人をメンバーと発表(17日)。
   ・ガザ地区からイスラエル南部アシュケロンへ向けてパレスチナ武装勢力がロケット弾1発を発射，イスラエル軍の防空システムにより撃墜，イスラエル軍がガザ地区の複数のハマスの拠点を報復空爆，死傷者なし(18日)。
   ・ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地アリエル近くのパレスチナ人居住地でイスラエル人がパレスチナ人1人を刺殺(21日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ラマラ近郊でイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人1人死亡，イスラエル軍はパレスチナ人のグループが幹線道路で車に投石したための危険回避行動と説明(25日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ジェニンでイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人1人死亡，イスラエル軍は対テロ作戦行動中に爆発物による攻撃を受けたための自衛措置と説明，イスラム聖戦が死者はメンバーの1人と発表(29日)。
3. ［アフガニスタン情勢］
   ・南部ヘルマンド州でタリバン政権が4月のケシ栽培禁止命令に基づいてケシ畑の破壊を実行しているとAP通信が報道(2日)。
   ・タリバン政権のムジャヒド報道官がブリンケン米国務長官のアフガニスタンには宗教の自由が侵害されているとの報告に対して，誤った情報に基づいておりアフガニスタンにおいては少数派の宗教および市民の権利は保護されていると反論(5日)。
   ・カブールで地区首長標的のIED攻撃により数人負傷(6日)。
   ・国連アフガニスタン支援団(UNAMA)の政治情勢担当局長が女子中等教育の禁止措置などタリバン政権の多くの政策方針についてタリバン内で意見の不一致があるとの報告書を公表(11日)。
   ・北部タカール州タロカンでタリバン戦闘員の作戦行動によりIS戦闘員8人死亡，タリバン政権のムジャヒド報道官発表(12日)。
   ・北東部バダクシャン州ファイザバードでタリバン軍輸送車標的のIED攻撃，死傷者なし(12日)。
   ・北部クンヅズ州でIED攻撃により民間人4人負傷(12日)。
   ・東部クナール州アサダバードでタリバン軍車両標的の爆弾攻撃によりタリバン戦闘員1人死亡，6人負傷(12日)。
   ・カブールでタリバン治安部隊の作戦行動によりIS指揮官1人死亡，ムジャヒド報道官発表(13日)。
   ・北部クンヅズ州のモスク内に仕掛けられたIEDの爆発により1人死亡，7人負傷(17日)。
   ・北東部パンジシール州アレズー渓谷で反タリバン派の「民族抵抗戦線」がタリバンのヘリ1機を撃墜しタリバン戦闘員2人死亡と発表(17日)。
   ・カブールのシク教寺院への自動車爆弾を含む攻撃により礼拝者1人と攻撃者を排除しようとしたタリバン戦闘員1人死亡，7人負傷(18日)。
   ・南部ヘルマンド州ババジ地区で不発迫撃砲弾の爆発により1人死亡，3人負傷(18日)。
   ・東部ナンガルハル州ギャニ・ハイル地区でIED攻撃により2人死亡，28人負傷(20日)。
   ・東部地域でM5.9の地震が発生しパクティカ州などで1000人以上死亡，1500人以上負傷(22日)。
   ・タリバン政権が22日の東部地域での地震の被災者の救済や復興のために国際社会に対して70億ドル規模の外貨資金の凍結解除と援助を要請(25日)。
   ・タリバン政権のムジャヒド報道官がカブールで30日にロヤジルガ(大会議)を3000人以上が参加し予定通り開催すると発表，タリバンのハナフィ副首相が会議には男性が代弁する形式で女性にも参加が認められると国営メディアのインタビューに回答(29日)。
   ・南西部ニムロズ州イラン国境地域で武装集団とイラン国境警備隊の衝突により警備隊員1人死亡(29日)。
   ・カブールのタリバン主催のロヤジルガ会場近くで爆弾攻撃と銃撃，死傷者なし，反タリバン派の「民族抵抗戦線」が実行声明(30日)。
4. ［各国情勢］
   ・アフリカ中西部ナイジェリア南西オンド州のカトリック教会を武装集団が襲撃し礼拝者少なくとも50人死亡(5日)。
   ・イエメン南部アデンで車に仕掛けられた爆弾によりイエメン人ジャーナリスト1人死亡(16日)。
   ・イエメン南部アビヤン州でIED攻撃によりイエメン軍兵士5人死亡，南部シャブア州の検問所への武装集団の攻撃によりイエメン軍兵士5人死亡，アルカイダ系武装勢力の攻撃の可能性(23日)。
   ・イエメン南部アデンでイエメン軍高官の車列標的の自動車爆弾攻撃により少なくとも民間人5人と軍将校1人死亡，6人負傷(29日)。
   
   [ウクライナ情勢]
   ・クレジット・デリバティブ決定委員会(CDDC)がロシア国債に利息190万ドルの支払い不履行が発生したと認定(1日)。
   ・ロシアのリャブコフ外務次官がアメリカ政府がウクライナに高機動ロケット砲システム(ハイマース)を供与する方針を明らかにしたことに対して，ロシアとアメリカの直接対決に発展するリスクを増大させると警告(1日)。
   ・ロシアの国営天然ガス企業ガスプロムの1〜5月の旧ソ連構成国以外へのガス輸出量が前年同期比27.6％減少と発表(1日)。
   ・ドイツのショルツ首相がウクライナにロシアの攻撃から大都市を防衛できる防空システム「Iris-T」を供与すると発表(1日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州セベロドネツク中心部にロシア軍が侵攻，ウクライナ当局は同市の70％がロシア軍に制圧されたと発表(1日)。
   ・ブリンケン米国務長官がウクライナに供与する高機動ロケット砲システム「ハイマース」についてウクライナ側からロシア領内への攻撃には使用しないと確約を得たと発表(1日)。
   ・ゼレンスキー大統領がロシア軍はクリミア半島と親ロシア派が実効支配する東部地域を含めてウクライナの国土の約20％を支配していると発表(2日)。
   ・ロシアのウクライナ侵攻開始から100日を機にゼレンスキー大統領がビデオ演説で「我々が勝利を手中に収めるだろう」と主張(3日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州のハイダイ知事が欧米から供与された長距離攻撃兵器により同州のセベロドネツクの約20％をロシア軍から奪還したと発表(3日)。
   ・国連のウクライナ危機担当のアワド事務次長が「この戦争にはこれまでもこれからも勝者はいない。我々が100日間にわたって目にしてきたのは人々の命や家，職，未来が失われる様子だ」と述べ即時終結を訴える声明を発表(3日)。
   ・ロシアのプーチン大統領が「ウクライナからの穀物輸出に問題はない」と明言し穀物の世界的高騰は西側の行動に起因すると主張(3日)。
   ・ベラルーシのルカシェンコ大統領がベラルーシの生産物がバルト海の港からの船積みが認められることを条件にウクライナの穀物をベラルーシ経由でバルト海に輸送することを許可すると発表(3日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州のハイダイ知事が同州のセベロドネツクでウクライナ軍のロシア軍への反攻により同市の30％を奪還したと発表，ゼレンスキー大統領は同市の状況は依然として困難で激しい戦闘が継続中と発表(4日)。
   ・ロシアのプーチン大統領が西側諸国がウクライナへの
   長距離ロケットシステムを供与すればロシア軍は「これまで標的となっていない対象」を攻撃することになると警告(5日)。
   ・ウクライナ・キーウの列車修理施設などのインフラがロシア軍のミサイル攻撃により炎上，キーウ市長発表，ウクライナ軍参謀はロシア軍がカスピ海から発射した巡航ミサイル5基によると発表(5日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州のハイダイ知事がロシア軍は同州のセベロドネツクの制圧をめざして「全戦力を投入」しているとの認識を示しつつ，セベロドネツクの攻防でウクライナ軍がロシア軍を後退させ市域の半分を掌握したと発表(5日)。
   ・ウクライナ東部ドネツク州スビャトゴルスク大修道院がロシア軍の攻撃により火災が発生したとウクライナ当局が発表(5日)。
   ・ロシア国営メディアがウクライナ東部でロシア軍のクツゾフ少将が死亡したと発表。(R)
   ・ロシアのラブロフ外相が予定していたセルビア訪問をブルガリア，北マケドニア，モンテネグロが了解飛行を拒否したために断念したと発表(6日)。
   ・ゼレンスキー大統領が東部ドンバス地方のリシチャンスクやバフムートなどのウクライナ軍司令部や前線部隊を視察し兵士たちを激励(6日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州のハイダイ知事がセベロドネツクの攻防は一進一退でウクライナ軍が再び劣勢に立たされていると発表(6日)。
   ・ウクライナ軍がロシア軍の艦隊を黒海沿岸から100�q以上後退させたと発表(6日)。
   ・ブリンケン国務長官がロシアがウクライナ産の穀物を略奪し転売しているとするNYタイムズ紙の報道について信ぴょう性があると述べ，黒海沿岸のオデーサからの穀物積載船の出港をロシアが妨害していると発表(6日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州セベロドネツクでのロシア軍とウクライナ軍の激しい戦闘が継続，ゼレンスキー大統領が困難な状況であることを認めつつロシア軍の支配地域の奪還に注力することを誓約(7日)。
   ・ロシアのショイグ国防相がウクライナ東部ルハンスク州セベロドネツクの住宅地を完全に掌握したと発表(7日)。
   ・ウクライナ政府が南部へルソン州でロシア軍がジャーナリストや親ウクライナ派住民約600人を拘束し拷問していると発表(7日)。
   ・ロシアのラブロフ外相がトルコ・アンカラを訪問しチャブシオール外相との会談後の共同会見で「我々はウクライナの港を出る船の安全を確保する用意がある」と述べ，チャブシオール外相は世界への穀物供給を改善させる代わりに対ロ制裁を撤廃せよというロシアの要求は「正当」だと擁護(8日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州のハイダイ知事がセベロドネツクの大半をロシア軍が制圧したと述べウクライナ軍のセベロドネツクからの撤退の必要性に言及(8日)。
   ・ウクライナのゼレンスキー大統領が東部ルハンスク州セベロドネツクでのロシア軍との戦いがドンバス地方全体の運命を決するとの認識を表明(9日)。
   ・南部オデーサ州報道官がオデーサ港周辺での機雷を除去すればロシア艦隊の行動を自由にし攻撃を受ける可能性が高まるため機雷掃海を実施しない方針を表明(9日)。
   ・東部ルハンスク州のハイダイ知事が西側所億から長距離兵器が到着すれば数日中にセベロドネツクのロシア軍を撃退し同市を奪還できるとの認識を表明(9日)。
   ・ウクライナ国防省が南部へルソン州でウクライナ軍が一部地域をロシア軍の支配から奪還したと発表(9日)。
   ・ロシアのプーチン大統領がピョートル大帝生誕350周年の記念展覧会視察後，皇帝在位時のスウェーデンとの北方戦争(1700〜21年)でバルト海沿岸地域を獲得した史実に言及し「彼がスウェーデンとの戦いで何かを奪ったような印象を受けるかもしれないが，何も奪っていない。奪い返しただけだ。奪い返し強くなる責務が我々にもある」と主張(9日)。
   ・ウクライナ国防省が南部へルソン州のロシア軍拠点を空爆したと発表(10日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州セベロドネツクのアゾット化学工場をロシア軍が砲撃し施設が炎上(11日)。
   ・東部ドネツク州スロビアンスク北西地域の3つの町でウクライナ軍がロシア軍を後退させたと同市当局が発表(11日)。
   ・ウクライナ政府がロシア軍がウクライナ軍の10倍の砲弾を保有しているとして西側諸国に対して重火器や弾薬の提供を要請(11日)。
   ・ウクライナ南部へルソン州でロシアが任命したサリド知事が「ロシアの日」に地元住民23人にロシアのパスポートを交付したと発表，ウクライナ政府は主権侵害と非難(12日)。
   ・東部ルハンスク州セベロドネツクとリシチャンスクを結ぶシベルスキ・ドネツ河の橋をロシア軍が破壊(12日)。
   ・ウクライナ西部チョルトキウの欧米諸国が提供した対戦車ミサイルや携行型防空システム，砲弾などの大規模保管施設をロシア軍が空爆したとロシア国防省発表(12日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州のハイダイ知事がセベロドネツクに通じる3本の橋のうち2本がロシア軍に破壊され，残る1本もロシア軍の激しい砲撃を受けていると発表(12日)。
   ・ウクライナ南東部マリウポリの沿岸部でロシア軍が機雷の撤去作業を実施(12日)。
   ・アムネスティ・インターナショナルがロシア軍がウクライナ北東部ハルキウでクラスター爆弾を使用し4〜5月の2週間で民間人数百人が殺害されたとの報告書を公表(13日)。
   ・ウクライナ軍が東部ルハンスク州セベロドネツクでのロシア軍との戦闘で中心部から撤退したと発表(13日)。
   ・セベロドネツクからの最後の避難路をロシア軍が破壊(13日)。
   ・ウクライナ東部ドネツクでウクライナ軍が市場を砲撃し少なくとも親ロシア派住民3人死亡18人負傷，親ロシア派メディア報道(13日)。
   ・ゼレンスキー大統領が東部ルハンスク州セベロドネツクでの攻防戦でウクライナ軍に「恐るべき規模」の人的損失が出ていると述べつつ，「敵は絶対的な悪だ。前進し我が領土を解放する以外に選択肢はない」と主張し西側諸国にさらなる兵器供与を要請(13日)。
   ・ウクライナ政府の農業食糧第１次官がロシアの侵攻によって東部と南部を中心に耕作地の25％が失われたが今年の作付規模は国内の食糧需要を満たすのに十分だと述べる(13日)。
   ・ウクライナ産の飼料用穀物がポーランド北西部の港からバルト海経由でスペイン北西部の港に到着(13日)。
   ・ロシア軍がウクライナ東部ルハンスク州セベロドネツクのアゾト化学工場から民間人数百人を避難させるための人道回廊を15日に設置すると発表，工場内の「民族主義者の大隊と外国人傭兵」に対して「無意味な抵抗」をやめて武装解除するよう呼びかけ(14日)。
   ・ゼレンスキー大統領が西側諸国に対してミサイル迎撃兵器の緊急供与を要請(14日)。
   ・バイデン大統領がウクライナへの追加軍事支援として10億ドル相当の武器(大砲，沿岸防衛システムなど)と弾薬を供与し，人道支援として2億2500万ドル相当の食糧，飲料水，衣料品などの必需品を提供すると発表(15日)。
   ・ウクライナのゼレンスキー大統領ががロシアによる東部ルハンスク州セベロドネツクのアゾト化学工場のウクライナ軍に15日までに降伏する要求の最後通牒を無視(15日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ東部ルハンスク州セベロドネツクのアゾト化学工場からの民間人避難の試みがウクライナ軍に妨害されたと発表(15日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ西部リビウ州ゾロチワ近郊を長距離ミサイルで攻撃しNATOがウクライナに供与した武器の貯蔵庫を破壊したと発表(15日)。
   ・ウクライナ政府の国防次官が西側諸国に供与を要請した武器について，これまで約10％しか到着していないと発表(15日)。
   ・フランスのマクロン大統領，ドイツのショルツ首相，イタリアのドラギ首相，ルーマニアのヨハニス大統領がウクライナ・キーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談，4カ国首脳はウクライナにEU加盟候補の地位を与えるべきだとの考えを示し，ゼレンスキー大統領は重火器や対ミサイル防衛システムなどのさらなる提供とロシア産ガスの禁輸を含む対ロ制裁の強化を要請(16日)。
   ・ロシアのぺスコフ大統領報道官が4カ国首脳のウクライナ訪問について，ウクライナへの武器供与は被害の拡大をもたらすだけだと警告(16日)。
   ・イギリス外務省がロシア正教会の最高指導者キリル総主教に対してプーチン大統領支持とウクライナ侵攻への賛同を理由に制裁を科したと発表(16日)。
   ・オランダの総合情報保安局(AVID)がハーグの国際刑事裁判所にロシア軍参謀本部情報総局の工作員がインターンを装って潜入するのを阻止したと発表(16日)。
   ・EUの欧州委員会がウクライナとモルドバをEU加盟候補国としての正式な地位を付与するよう勧告(17日)。
   ・ロシアのプーチン大統領がウクライナのEU加盟について，NATOのような軍事同盟でないため「全く反対していない」と表明(17日)。
   ・プーチン大統領がサンクトペテルブルク国際経済フォーラムでロシア経済は西側諸国のロシアに対する「無謀で狂気の」制裁を克服するだろうと主張，またインフレや食料問題，燃料価格の高騰はロシアの「特別軍事作戦」によるものではなく，欧米の経済政策の構造的失敗の結果だと強調(17日)。
   ・イギリス軍のラダキン国防参謀総長が，ロシアはウクライナ侵攻で兵力を著しく損耗した上にNATOの体制強化を招いたことにより「戦略的にすでに敗北している」との認識を表明(17日)。
   ・フランスの天然ガス輸送網運営会社のGRTガスがロシアからのパイプライン経由の供給が15日以降停止していると発表(17日)。
   ・ウクライナのゼレンスキー大統領が自国への入国を希望するロシア人に対して7月1日からビザの取得を求めると発表(17日)。
   ・NATOのストルテンバーグ事務総長がロシアのウクライナ戦争は数年間続く可能性があるとの認識を示し，NATO諸国はウクライナへの軍事支援のコストとエネルギー・食料価格の高騰というコストが高くても支援を継続すべきだとドイツの新聞のインタビューで主張(18日)。
   ・イギリスのジョンソン首相がウクライナ・キーウを訪問しウクライナへの軍事支援について，ウクライナは勝利することが可能で勝利するだろうが，それにはロシアが兵力を更新するよりも迅速にウクライナに兵器や装備，弾薬を供給することが必要との認識を表明(18日)。
   ・ウクライナ北西部イジウムのガス施設をロシア軍がミサイル攻撃，北東部ハルキウ近郊をロシア軍がロケット弾攻撃，物的損害のみ(18日)。
   ・ゼレンスキー大統領が黒海沿岸のミコライウとオデーサを視察(19日)。
   ・東部ルハンスク州のハイダイ知事がロシアのセベロドネツク全域を支配したとの主張に対して都市の主要部分を掌握しているにすぎず，戦闘は継続していると発表(19日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ北東部ハルキウで西側が供与したミサイル「イスカンダル」を破壊したと発表(19日)。
   ・ドイツ政府がロシア産天然ガスの供給減少への対応として石炭火力発電の利用を拡大する緊急対策を発表(19日)。
   ・中国の5月のロシアからの石油輸入量が前年同月比55％増，中国税関発表(20日)。
   ・ウクライナ東部ドネツク地域でロシア軍の砲撃により民間人3人死亡，北東部ハルキウ地域でロシア軍の砲撃により民間人3人死亡(20日)。
   ・南部オデーサ港の食糧倉庫をロシア軍がミサイル攻撃で破壊(20日)。
   ・ウクライナ南部クリミアのロシア当局が石油・天然ガス企業チョルモルネフの海上石油掘削施設がウクライナ軍の攻撃を受けたと発表(20日)。
   ・ウクライナの裁判所が親ロシア派政党「野党プラットフォーム―生活党」の活動禁止と国内資産の差し押さえを命令，差し押さえ資産は国庫に算入(20日)。
   ・オランダ政府がロシア産天然ガスの供給減少への対応として石炭火力発電の利用制限を撤廃すると発表(20日)。
   ・ゼレンスキー大統領がアフリカ連合の会合でロシアのウクライナ侵攻により食糧価格が高騰しアフリカ諸国で深刻な飢餓が拡大していることをアフリカが「人質」にとられていると非難(20日)。
   ・リトアニアがロシア西部の飛び地カリーニングラード州とロシア本土との対ロ制裁対象の貨物の通過を禁止したことに対して，ロシア安全保障会議のパトルシェフ書記が「こうした敵対行為には必ず対応」しリトアニアに深刻な結果をともなうと警告(21日)。
   ・EUが欧州問題担当相会議でウクライナに加盟候補国の地位を付与することで「全会一致」(21日)。
   ・ウクライナ国防省がドイツから供与された高性能自走砲7両の配備が完了したと発表(21日)。
   ・ドイツ政府高官がロシアのガスプロムによる欧州へのガス供給削減について「我々に対する攻撃だ」と批判(21日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州のセベロドネツク南方地域のトシキフカにロシア軍が進軍し制圧したとハイダイ知事が発表(21日)。
   ・ロシア南部ロストフ州ノボシャフチンスクの石油精製施設で火災発生，同州知事がウクライナ方面から飛来した2機の無人機による攻撃が原因の可能性と発表(22日)。
   ・トルコ国防省がウクライナの穀物輸出に関するモスクワでの協議で「建設的な」進展があり，トルコの貨物船がマリウポリ港を出港したと発表(22日)。
   ・ロシア外務省が1941年のナチス・ドイツのソ連侵攻開始から81年の声明でドイツの対ロ制裁を「反ロシア・プロパガンダ」と非難(22日)。
   ・ウクライナの親ロシア派武装勢力「ルガンスク人民共和国」が東部の要衝セベロドネツクとドネツ川対岸のリシチャンスクのウクライナ軍の部隊を間もなく包囲できると発表(22日)。
   ・ウクライナ国防省がアメリカから高機動ロケット砲システム「ハイマース」が届いたとオースティン米国防長官に謝意を表明(23日)。
   ・EUがブリュッセルでの首脳会談でウクライナとモルドバに加盟候補国としての地位を付与することで合意，ウクライナのゼレンスキー大統領が「歴史的な節目」と歓迎(23日)。
   ・アメリカのテレコム製造企業のシスコシステムズとスポーツ用品企業のナイキがロシア事業から完全に撤退すると発表(23日)。
   ・ウクライナ南部へルソン州で車に仕掛けられた爆弾によりロシアが任命した州政府幹部1人死亡(24日)。
   ・東部ルハンスク州のハイダイ知事がセベロドネツクからウクライナ軍が撤退すると発表，ロシア軍の攻撃で同市は廃墟と化し守るべきものは何もなくなったと撤退の理由を説明(24日)。
   ・ゼレンスキー大統領がイスラエルのヘブライ大学でのオンライン演説，イスラエル国民のウクライナへの人道・医療支援に謝意を示す一方でベネット政権がロシアへの制裁を拒否していると非難(24日)。
   ・米国防総省高官がウクライナ東部ルハンスク州セベロドネツクからウクライナ軍が撤退したことについて，ロシア軍は支配地域を拡大したが，その「微々たる成果のために払った代償に注目することの方が重要だ」と述べる(25日)。
   ・ロシアのプーチン大統領がサンクトペテルブルクを訪れたベラルーシのルカシェンコ大統領と会談し，西側の攻勢に対抗するために，今後数カ月のうちにベラルーシに通常弾頭と核弾頭の両方を搭載できる弾道または巡航ミサイルシステム「イスカンデル」を配備し，軍用機を核兵器搭載可能にする措置を支援する方針を発表(25日)。
   ・北東部ハルキウ中心部へのロシア軍がミサイル攻撃により市庁舎が火災(25日)。
   ・イギリスのジョンソン首相が26日のG7首脳会議を前に，「ウクライナは勝つことができるし，その通り勝利するだろう。そのためにわれわれの支援を必要としている。今はウクライナを見放す時ではない」との声明を発表し，同国向けに新たに4億2900万ポンドの信用保証枠を設定する用意があると述べる。イギリスのウクライナ向け財政・人道支援は累計18億ドル(25日)。
   ・ウクライナ・キーウ中心部の集合住宅にロシア軍のミサイル着弾，少なくとも民間人1人死亡，子ども含む6人負傷(26日)。
   ・東部ルハンスク州セベロドネツク対岸のリシチャンスクにロシア軍が進軍しウクライナ軍と市街戦が行なわれていると親ロシア派武装勢力「ルガンスク共和国」報道官が発表(26日)。
   ・ウクライナ中部クレメンチュクの商業施設へのロシア軍のミサイル攻撃により少なくとも少なくとも16人死亡，59人負傷，ロシア国防省はミサイル製造工場標的の攻撃と説明(27日)。
   ・北東部ハルキウへのロシア軍の砲撃により4人死亡，19人負傷(27日)。
   ・南部オデーサへのロシア軍のミサイル攻撃により子ども含む6人負傷(27日)。
   ・ゼレンスキー大統領がドイツ南部エルマウで開催されたG7首脳会議にオンラインで出席し対ロ制裁をさらに強化しロシアの侵攻を年内に終結させるよう最大限の努力を要請(27日)。
   ・NATOのストルテンバーグ事務総長がロシアのウクライナ侵攻を受けてNATOの防衛力強化のために即応部隊の規模を30万人超に拡大する方針を示す(27日)。
   ・ロシア大統領府が11月にインドネシアで開催されるG20首脳会議にプーチン大統領が出席する方針を発表(27日)。
   ・スペイン・マドリードでのNATO首脳会議の前にトルコのエルドアン大統領，スウェーデンのアンデション首相，フィンランドのニーニスト大統領が会談し，スウェーデンとフィンランドがトルコに科していた武器の輸出制限を解除，トルコが「テロ組織」とするクルド労働者党(PKK)への支援を停止することなどで合意し，トルコ政府が両国のNATO加盟申請を支持する覚書に署名(28日)。
   ・ウクライナのゼレンスキー大統領が中部クレメンチュクの商業施設をロシアがミサイル攻撃し少なくとも18人が死亡したとして，ロシアは「テロ支援国家」に指定されるべきだと主張(28日)。
   ・フランスのマクロン大統領がロシアは「テロ支援国家」に指定されるべきだと主張とのゼレンスキー大統領の主張について，ロシアに対する「制裁を実施するために，我々はいかなる資格も必要としない」と述べる(28日)。
   ・ロシア軍がウクライナ中部クレメンチュクにある西側供与の武器庫を攻撃したことによる誘爆で近くの商業施設に火災が起きたが，当時は営業時間外だったと説明(28日)。
   ・ロシア大統領府のぺスコフ報道官がウクライナ側が「民族主義者の部隊に武器を置くよう命令を出す」ことに加えロシアが提示する要求に応じれば攻撃を直ちに停止すると述べる(28日)。
   ・ロシアのオリガルヒ(新興財閥)のデリパスカ氏がウクライナを軍事攻撃で破壊するのは「途方もない間違い」でありロシアの利益にならないと言明(28日)。
   ・ムーディーズ・インベスターズ・サービスがロシアの外貨建て国債について，計1億ドルの利息が最終期限までに支払われなかったとしてデフォルトに相当すると確認(28日)。
   ・ロシアのプーチン大統領がスウェーデンとフィンランドにNATO軍とその施設が展開されれば相応の対応をする意思を表明(29日)。
   ・プーチン大統領がNATOは「帝国主義的な野望」を掲げておりロシアのウクライナ侵攻を利用して「覇権」を誇示しようとしていると非難(29日)。
   ・ウクライナ南部黒海沿岸のミコライウにロシア軍の発射したミサイル8基が着弾し4人死亡，5人負傷(29日)。
   ・イギリス政府がウクライナに10億ポンド(12.1億ドル)の追加軍事援助を発表，援助額の累計は23億ポンド(29日)。
   ・ウクライナ南部へルソン州へルソンの市長を親ロシア派武装勢力拘束(29日)。
   ・バイデン大統領がNATO部隊としてヨーロッパに展開する米軍の戦力増強を表明(29日)。
   ・米財務省が対ロ制裁の追加措置としてロシアの防衛産業の資産凍結や金融取引の禁止，関税引き上げ，金の輸入禁止などを発表(29日)。
   ・政府高官がトルコがスウェーデンとフィンランドのNATO加盟支持で合意したことについて，アメリカ製最新戦闘機の売却許可などを含めてトルコ側から特別な譲歩を要求されたことはないと述べる(29日)。
   ・ウォランダー国防次官がトルコがスウェーデンとフィンランドのNATO加盟を支持したことに対して，トルコが希望するF16戦闘機の新規購入と既存のF16の性能向上の改修を全面的に支援すると表明(29日)。
   ・シリア政府がウクライナ東部の親ロシア派の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認(29日)。
   ・ゼレンスキー大統領がシリア政府が親ロシア派「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したことに対してシリアと断交すると発表(29日)。
   ・ロシア国防省が黒海のウクライナ領スネーク島からロシア軍を撤退させたと発表，ウクライナが農作物を輸出できるようにするための「善意の印」と説明(30日)。
   ・ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力がウクライナ軍が西側諸国から供与されたミサイルや榴弾砲で民間人を攻撃していると非難，証拠は示されず(30日)。
   ・ロシアのラブロフ外相がウクライナをめぐる国際社会の外交的緊張について，ロシアと西側諸国の間に新たな「鉄のカーテン」が下りてきているとの認識を示す(AFPは鉄のカーテンについて，1946年に「チャーチル英首相(当時)が東西の緊張関係を指して使用したことで有名になった」と解説しているが，チャーチルは45年7月の選挙で敗れて退任しており，46年3月の鉄のカーテン演説当時の肩書としては前首相が正しい)(30日)。
   ・バイデン大統領がロシアの侵攻に対抗するウクライナが敗北しないよう「必要な限り」の支援をすると述べ，8億ドル規模の追加軍事支援を行なうと発表(30日)。
   ・ドイツのショルツ首相がプーチン大統領がNATOは「帝国主義的な野望」を掲げていると非難したことに対して，NATOは「誰も脅かしていない」として，プーチン氏こそが「帝国主義を自身の政治目標に掲げている」と反論(30日)。
   ・ウクライナのゼレンスキー大統領がEUにルーマニア経由で電力の輸出を開始したと発表，EUの欧州委員会のフォンデアライエン委員長は「EUに新たな供給源を提供するものであり，ウクライナには切望していた利益をもたらすもの」であり「両者の利益となる」とコメント(30日)。
   
   [シリア情勢]
   南部ダマスカス南方地域をイスラエル軍がミサイル攻撃，防空システムにより大半のミサイルを撃墜するも着弾したミサイルにより民間人1人負傷，国営メディア発表(10日)。
   ・北部ラッカ州で政府軍兵士の乗るバスへの武装集団の攻撃により兵士11人と民間人2人死亡，3人負傷，ISが実行声明(20日)。
   ・北西部イドリブ州で米軍の空爆によりアルカイダ系武装勢力「宗教の守護者」の指導者1人死亡，米中央軍発表(28日)。
   ・シリア政府がウクライナ東部の親ロシア派の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認。(AFP)
5. ［世界経済］
   ［アメリカ経済］
   ・労働省発表の5月の雇用統計で失業率(季調済，軍人を除く)が3.6％(前月と同じ)，非農業部門の雇用者数が前月比39万人増(3日)。
   ・連邦準備制度理事会(FRB)がFF金利の誘導目標を0.75％引き上げ1.50〜1.75％にすることを決定(15日)。
6. ［トランプ政権関連］年表(2020年大統領選挙，バイデン政権によるトランプ政権の政策変更含む)

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#印：軍による「誤射」・「誤爆」または過剰防衛によると見られる事件

上記年表およびIraq Body Count(IBC)のData Base(Recent Events)より作成。 イラク戦争開始以降の統計とIBCのDataの問題点については こちらをご覧ください。

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