「対テロ戦争」関連年表 2022年5月

アフガニスタン戦争，イラク戦争を含む「対テロ戦争」がなぜ「終わらない」性格をもつのか，またブッシュ政権が国際社会の反対の中でなぜイラク攻撃を強行したのかについてのわたしの見解は，

『対テロ戦争の政治経済学― 終わらない戦争は何をもたらしたのか』(明石書店，2018年3月)をお読みください。

本書の理論的基礎およびアメリカ経済のより詳しい現状分析について，下記の2冊が参考となります。

2008年秋以降の世界的金融・経済危機の構造を国際政治や軍事面を含めて論じた『薄氷の帝国 アメリカ― 戦後資本主義世界体制とその危機の構造』(御茶の水書房，2012年2月，本書の構成と序論)，

現在の世界経済の危機的状況と90年代以降の日本経済の構造変化を基礎理論から現状分析まで展開し，平易に説明した『21世紀のマルクス経済学』(慶應義塾大学出版会，2015年7月，本書の目次)

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主な出来事

1. ［イラク情勢］
   「暴力事件」などによる5月のイラク人の死者51人(31日まで)。
2. ［パレスチナ情勢］
   イスラエル軍や警察の発砲などによる5月のパレスチナ人の死者5人，パレスチナ人の襲撃などによるイスラエル人の死者4人。
   ・イスラエル西部テルアビブ近郊エラドでパレスチナ人2人のナイフによる襲撃でイスラエル人3人死亡，4人負傷，襲撃者は逃走(5日)。
   ・ヨルダン川西岸地区トゥルカルムのイスラエルとの境界の防護壁近くでイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人1人死亡(8日)。
   ・ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地テコワにナイフを持って侵入しようとしたパレスチナ人青年1人がイスラエル人の発砲により死亡(8日)。
   ・エルサレム旧市街外側でパレスチナ人がイスラエル警官をナイフで襲撃し警官1人負傷，警官の発砲により襲撃者1人負傷(8日)。
   ・イスラエル西部テルアビブ近郊エラドで5日にイスラエル人3人をナイフで刺殺した事件パレスチナ人容疑者2人をイスラエル警察が逮捕(8日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ジェニンの難民キャンプでイスラエル軍の強制捜査を取材中のアルジャジーラTVのパレスチナ系アメリカ人の女性記者1人がイスラエル兵の発砲により死亡，パレスチナ人記者1人も負傷，イスラエルのベネット首相は発砲は死亡した記者を標的としたものではなく武装パレスチナ人の無差別な発砲によるとの推測を発表(11日)。
   ・エルサレム旧市街で行なわれた11日にヨルダン川西岸地区ジェニンでイスラエル兵の発砲により死亡したアルジャジーラTVの記者の葬列に対して警棒を持ったイスラエル警官隊が突進しパレスチナの旗を暴力的に没収，参列者33人負傷(13日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ジェニンでパレスチナ武装勢力とイスラエル軍部隊との交戦によりイスラエル兵1人死亡，ファタハのアルアクサ殉教者旅団のズベイディ前司令官の兄弟1人負傷(15日に死亡)(13日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ジェニンでイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人青年1人死亡，イスラエル軍はパレスチナ人グループが小火器や火炎瓶で攻撃してきたための自衛措置と説明，イスラム聖戦は死亡した青年が同組織のメンバーと認める(21日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ナブルスでイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人青年1人死亡，イスラエル軍は数百人のパレスチナ人がイスラエル軍部隊に投石や火炎瓶を投げたための自衛措置と説明(25日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ジェニンのパレスチナ難民キャンプで5月11日にイスラエル兵の発砲によりアルジャジーラの女性記者が殺害された事件について，パレスチナ自治政府の検事総長がイスラエル兵の「意図的な殺人」との捜査結果を発表(26日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ベスレヘム近郊でイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人青年1人死亡，イスラエル軍はパレスチナ人のグループが投石や火炎瓶を投げたための自衛措置と説明，ヨルダン川西岸地区ナブルス近郊フワラでパレスチナ国旗を掲揚したパレスチナ人グループの抗議行動に対するイスラエル軍とユダヤ人入植者の暴力的鎮圧により90人以上負傷(27日)。 ・エルサレム旧市街で約7万人のユダヤ人民族主義者1967年の第3次中東戦争でイスラエルが東エルサレムを占領した記念日のデモ行進，パレスチナ人との衝突でパレスチナ人79人負傷，ベネット首相が警察に取り締まりを命令，ラビド外相が「イスラエルの恥」と非難，警察がデモ参加者約60人を逮捕(29日)。
3. [アフガニスタン情勢]
   ・米連邦議会上院軍事委員会公聴会でミリー統合参謀本部議長がアフガニスタン情勢について，ISなどのテロリストグループが再結成の動きを強めており，現時点でアメリカ本土への脅威とはならないが，彼らの活動を注視していく必要があると証言(6日)。
   ・カブールで女性グループがタリバンによるヒジャブ着用の強制を「女性蔑視」とし，正義と自由を要求する抗議行動(9日)。
   ・北東部パンジシール州で反タリバン派組織の「民族抵抗戦線」がタリバンとの戦闘によりタリバン戦闘員22人死亡と発表，同州のタリバンは3人が負傷しただけと反論(9日)。
   ・カブールの内務省近くでで女性活動家グループがタリバンによるヒジャブ着用の強制に反対する2日目の抗議行動，武装したタリバン・メンバーが強制的に散会させ，取材していたジャーナリスト複数人を拘束(10日)。
   ・北東部パンジシール渓谷で反タリバン派武装勢力「民族抵抗戦線」がタリバンへの攻勢を開始(14日)。
   ・東部ナンガルハル州クズ・カナール地区で車に仕掛けられた爆弾により1人死亡，5人負傷(16日)。
   ・北部クンヅズ州のタジキスタン国境地域でタリバンとタジキスタン国境警備隊が交戦(16日)。
   ・タリバン政権が国連アフガニスタン支援団(UNAMA)の女性職員に対してヒジャブの着用を命令，ヒューマン・ライツ・ウォッチの女性の権利担当局のバー副局長がUNAMAに対して女性職員の安全と自由を守るための行動をとるよう要請(17日)。
   ・北部バルク州マザレシャリフでタリバン軍の人員輸送車列標的のIED攻撃により3人負傷，反タリバン派の「アフガニスタン自由運動」が10人死亡，12人負傷と実行声明(19日)。
   ・タリバン政権がTV局の女性キャスターは出演時に顔を覆うマスクの着用を命令(19日)。
   ・北部パルワン州でタリバン治安部隊と武装集団の交戦により武装集団メンバー3人死亡(23日)。
   ・TV局の男性キャスターがタリバンによる女性キャスターのマスク着用義務付けへの抗議目的で黒いマスクを着けて出演(23日)。
   ・北部バルク州マザレシャリフでシーア派住民の乗る車両への3発のIED攻撃により少なくとも15人死亡，10人負傷，ISが実行声明(25日)。
   ・カブールのモスクで爆弾攻撃により14人死亡，26人負傷(25日)。
   ・国境なき記者団がタリバン政権の女性TVキャスターへのヒジャブ着用の強制に対して人権と報道の自由に対する明白な侵害と強く非難する声明を発表(26日)。
   ・カブールの高校前での女性グループがタリバン政権の女子中等教育の禁止政策に対する抗議行動，タリバン治安部隊が威嚇射撃を含む鎮圧行動(26日)。
   ・タリバン政権の外務省が国連安保理によるアフガニスタン女性の人権と自由を阻害する政策の転換要求に対して，人権侵害の事実はなく，ヒジャブの着用はイスラム教徒の宗教的・文化的な習慣に沿ったものであるとして安保理の要求を拒否(27日)。
   ・国連がアルカイダのザワヒリ最高指導者がアフガニスタン・タリバンのアクンザダ最高指導者に対して，アフガニスタンにおけるタリバンの勝利後にアルカイダの活動のより大きな自由を求めて「忠誠」を誓ったとする報告書を公開(29日)。
   ・カブールの高校前で自転車に仕掛けられたIED攻撃により2人負傷(29日)。
   ・北東部バダクシャン州タガブ地区でタリバン戦闘員の作戦行動により反タリバン派の「民族抵抗戦線」メンバー4人死亡，タリバン治安当局発表(31日)。
   ・タリバン政権の外務省がアルカイダのザワヒリ最高指導者がタリバンへの忠誠を誓いアフガニスタンでの活動の自由を獲得したとする国連安保理報告書に対して，アフガニスタン国内にはアルカイダもパキスタン・タリバンも存在していないと否定(31日)。
4. ［各国情勢］
   ・エジプト北東部シナイ半島の検問所への武装集団の自動車爆弾と重火器による攻撃によりエジプト軍将校1人と兵士10人死亡，5人負傷，ISが実行声明(7日)。
   ・エジプト北東部シナイ半島北東部のガザ地区との境界近くの治安部隊駐屯地を武装集団が攻撃しエジプト軍兵士5人死亡，4人負傷，14日にISが実行声明(11日)。
   ・バイデン大統領が日本を訪問し岸田首相と会談，会談後の記者会見で中国が台湾に侵攻した場合に軍事的に関与するかを問われ，「イエス」と回答，中国外務省報道官が中国は台湾に対する国益を守ると強く非難，オースティン国防長官が台湾問題に関する「1つの中国」政策に変更はないと釈明(23日)。
   ・岸田首相がバイデン大統領との首脳会談で，敵基地攻撃能力の保有を含めて「あらゆる選択肢を検討」し防衛費の「相当な増額を確保する」意思を表明，バイデン氏は「強く支持する」と答え，尖閣諸島への日米安保条約第5条の適用を含む対日防衛義務を確認，両者は国連安保理改革の必要性を認めバイデン氏は日本の常任理事国入りに賛意を示す(23日)。
   ・イエメン南部アデンの魚市場でIED攻撃により少なくとも4人死亡，30人以上負傷(26日)。
   
   [ウクライナ情勢]
   ・ロシア国防省がウクライナ南部オデーサ近くの空港への空爆により欧米諸国が供与した兵器と滑走路を破壊したと発表(1日)。
   ・ペロシ米連邦議会下院議長がウクライナ・キーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談，ウクライナへの支援を確約(1日)。
   ・ロシアのラブロフ外相がイタリアメディアのインタビューで，ロシアがウクライナ侵攻を同地域の「非ナチ化」を大義名分と主張していることに対して，ゼレンスキー大統領が自分がユダヤ人である以上「どんなナチズムを持てるというのか」との反論に言及し，「ヒトラーにもユダヤ人の血が流れていた」と述べる(1日)。
   ・ゼレンスキー大統領がウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所地域での2日間の停戦成立により国連と赤十字国際委員会の支援の下で同製鉄所から女性や子ども中心に100人以上が非難したと発表(2日)。
   ・ロシアのラブロフ外相が5月9日の対独戦勝記念日までにウクライナでの「特別軍事作戦」が完了するよう調整することはないと発表(2日)。
   ・ウクライナ国防省が黒海のズミイヌイ島付近でトルコ製の軍用無人機「バイラクタル」を使用してロシアの巡視船2隻を撃沈したと発表(2日)。
   ・イスラエルのラピド外相がロシアのラブロフ外相が1日に「ヒトラーにもユダヤ人の血が流れていた」と発言したことに対して，駐イスラエルのロシア大使を呼び出し「ラブロフ外相の発言は許し難く言語道断の主張であると同時に甚大な歴史誤認だ」と非難(2日)。
   ・ドイツのショルツ首相がEUのロシア産石油の即時輸入禁止措置を支持する意思を表明(2日)。
   ・ロシア軍がウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所への攻撃を再開(3日)。
   ・イギリスのジョンソン首相がウクライナ議会でビデオ演説し電子線装置や対砲兵レーダー，GPS妨害装置など3億ポンドの追加軍事支援を提供すると表明(3日)。
   ・プーチン大統領がフランスのマクロン大統領との電話会談で，ウクライナ軍が戦争犯罪を行なっていることを理由に西側諸国によるウクライナへの武器供与の停止を要求(3日)。
   ・EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長がロシア産石油輸入の段階的禁止案(原油は6カ月以内，石油製品は年末までを猶予期間，ロシア産石油の依存度が高いハンガリーとスロバキアは来年末まで猶予)とロシア銀行最大手のズベルスバンクの国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済網からの排除などの対ロシア追加制裁案を発表(4日)。
   ・ハンガリーのビクトル政権がEUのロシア産原油の禁輸措置について現在の形では支持できないと発表(4日)。
   ・ウクライナのクレバ外相がEUのロシア産石油の禁輸措置案を歓迎し禁輸措置を妨害する加盟国はロシアの犯罪の共犯になると警告(4日)。
   ・EU欧州理事会のミシェル常任議長がウクライナ南西モルドバで同国への軍事支援を大幅に強化すると発表(4日)。
   ・ウクライナ南東部マリウポリの市長がアゾフスターリ製鉄所内のウクライナ軍とロシア軍の激しい戦闘があり同国軍部隊との連絡が途切れたと発表(4日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で民間人避難のための人道回廊を設置し3日間停戦すると発表(4日)。
   ・ロシア外務省がラブロフ外相の「ヒトラーにユダヤ人の血が流れていた」との発言をイスラエル外相が非難したことに対して，「ユダヤ人とナチスの協力という悲惨な歴史的前例がある」と反論(4日)。
   ・イスラエルのベネット首相がロシアのプーチン大統領との電話会談でラブロフ外相の「ヒトラーにユダヤ人の血が流れていた」との発言についてプーチン氏が謝罪したと発表(5日)。
   ・ウクライナ軍アゾフ連隊の副司令官が南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所でロシア軍が停戦に違反し激しい攻撃を受けていると発表(5日)。
   ・ポーランドとバルト3国がポーランドとリトアニアを結ぶ新たな天然ガス・パイプラインの開通式を実施(5日)。
   ・EUのミシェル大統領が対ロシア制裁で凍結した資産を没収・売却しウクライナの復興資金に充てるべきだとの考えを表明(5日)。
   ・ロシア大統領府のぺスコフ報道官がアメリカやNATOのウクライナへの情報提供や武器の供与は「特別軍事作戦」の「迅速な遂行」の障害となっているが「完遂」を妨げることはできないと主張(6日)。
   ・ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所から民間人50人が避難したとベレシチューク副首相が発表(6日)。
   ・バイデン大統領がウクライナに対し弾薬やレーダーなど1億5000万ドル規模の新たな軍事支援を発表(6日)。
   ・ウクライナのベレシチューク副首相が南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所から民間人の女性や子ども，高齢者全員が非難したと発表(7日)。
   ・イギリスのジョンソン首相がウクライナに対して13億ポンド(16億ドル)の軍事援助を追加すると発表(7日)。
   ・ウクライナ東部ルガンスク州のビロホリウカ村で住民が避難していた学校を7日にロシア軍が空爆し約60人が死亡したとゼレンスキー大統領が発表(8日)。
   ・南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所のアゾフ連隊幹部がロシア軍への投降の意思はなく最後まで戦い続けると言明(8日)。
   ・バイデン米大統領の妻ジル氏がウクライナを訪問しゼレンスキー大統領の妻オレナ氏と面会，訪問の目的を母の日に訪れ「ウクライナの人々に対して，この戦争を終わらせなければいけないこと，この戦争がむごたらしいものであること，そして米国民はウクライナ国民と共にあるということを示すことが重要だと思った」と説明(8日)。
   ・カナダのトルドー首相がウクライナ・キーウ近郊のイルピンを訪問しマルクシン市長と会談，市長はトルドー首相が「ロシアの占領軍が我々の街に対し行なった恐ろしいことをその目で見るためにイルピンに来た」と語ったと説明(8日)。
   ・ロシアのプーチン大統領が対独戦勝記念日の式典で演説，ウクライナでの「特別軍事作戦」はNATOがウクライナのネオナチ勢力を軍事支援しロシアの安全保障を脅かしているためのやむを得ない予防的軍事作戦と正当化，「勝利宣言」や「戦争宣言」はなく，愛国心を扇動する国内向けのプロパガンダに終始(9日)。
   ・ウクライナのゼレンスキー大統領が対独戦の勝利をロシアが専有するのは許さない，マリウポリ，へルソン，クリミアでナチスを撃退したのはウクライナ人であり，今回も勝利すると宣言(9日)。
   ・EUのミシェル大統領がウクライナ南部オデーサを訪問しウクライナ支援を確約，シュミハリ首相との会談中にミサイル攻撃，避難所に移動し会談を継続(9日)。
   ・ウクライナ南部オデーサでロシア軍の夜間のミサイル攻撃により複数の建物が破壊され少なくとも1人死亡(9日)。
   ・バイデン米大統領がウクライナへの兵器の貸与を推進するための武器貸与法案に署名し法律が成立(10日)。
   ・ゼレンスキー大統領がアメリカで武器貸与法が成立したことについて「歴史的な一歩だ。我々は共に再び勝利すると確信している。77年前(の対独戦勝利)と同じようにウクライナおよび欧州で民主主義を守り抜くつもりだ」と歓迎のメッセージ(10日)。
   ・ドイツのベーアボック外相がウクライナ・ブチャを訪問し地元住民と面会(10日)。
   ・ゼレンスキー大統領が北東部ハルキウ州の4つの村をロシア軍から奪還したと発表(10日)。
   ・ウクライナ南部へルソン州のロシア側当局者が同州をロシアに併合するようプーチン大統領に要請する方針を発表(11日)。
   ・ウクライナのヴェネディクトワ検事総長が北部地域で非武装の民間人を殺害した容疑で訴追したと発表(12日)。
   ・フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相がNATOへの加盟申請の意思を表明(12日)。
   ・ロシア外務省がフィンランドのNATO加盟への動きに対して「軍事技術的な」対抗措置を講じざるを得ないと警告，大統領府のぺスコフ報道官は「すべてはこの拡大プロセスが今後どのように行われるのか，(NATOの)軍事インフラがどれだけ移動し，我が国の国境に近づいてくるのかにかかっている」とコメント(12日)。
   ・国連人権理事会がウクライナ情勢をめぐる特別会合でロシアによる深刻な人権侵害についての調査を開始する決議案を圧倒て賛成多数で採択(12日)。
   ・黒海のスネーク島近くでウクライナ海軍の攻撃によりロシア海軍の補給艦1隻が炎上，オデーサのウクライナ軍報道官発表(12日)。
   ・ウクライナ東部ドンバス地域でウクライナ軍が渡河行動中のロシア軍武装車両隊列を攻撃し装甲車数十台を破壊(13日)。
   ・オースティン米国防長官がロシアのショイグ国防相と電話会談，オースティン長官はウクライナでの即時停戦を要請し両国間の連絡継続の重要性を強調，ロシア側も電話会談の必要性を承認(13日)。
   ・ドイツ北部バイセンハウスで開催のG7外相会議でフランスのルドリアン外相がG7はウクライナが勝利するまで支援を継続すると表明，イギリスのトラス外相はウクライナへの兵器の提供とロシアへの制裁を強化することでプーチン大統領への圧力を維持することが重要と主張，EUのボレル外相は5億ユーロ相当の軍事支援の追加を表明(13日)。
   ・プーチン大統領がドイツのショルツ首相との電話会談でウクライナで「ナチスのイデオロギー」と戦っていると主張(13日)。
   ・ロシア国営電力会社インテルRAOがフィンランドへの送電を14日から停止すると発表，フィンランドの送配電事業会社フィングリッドは電力消費量のうちロシア産が占める割合は10％弱でロシアからの電力供給がなくても問題ないと発表(13日)。
   ・ウクライナ東部のロシア軍が制圧したイジウムに対してウクライナ軍が反転攻勢を開始(14日)。
   ・米共和党のマッコネル院内総務含む上院議員4人がウクライナ・キーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談(14日)。
   ・ウクライナ東部ドンバス地方とイジウムでウクライナ軍とロシア軍の戦闘が激化(15日)。
   ・フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相がNATOへの加盟を申請したと発表，スウェーデンの与党の社会民主労働党がNATOへの加盟を支持すると表明(15日)。
   ・NATOのストルテンバーグ事務総長がウクライナがロシアとの戦争で勝利するとの見通しを表明するとともに加盟国にウクライナへの軍事支援の強化とフィンランドとスウェーデンのNATO加盟の早期承認を要請(15日)。
   ・イギリス国防省がウクライナに侵攻したロシア軍兵力の約1/3が失われたとの評価を発表(15日)。
   ・ウクライナ国防省が東部ハルキウ州のロシアとの国境地帯を奪還したと発表(16日)。
   ・ウクライナ国防省が南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所からウクライナ軍兵士260人が救出されたと発表(16日)。
   ・スウェーデンのアンデション首相がNATOへの加盟を申請すると発表(16日)。
   ・ロシア主導の集団安全保障条約機構(CSTO)の首脳会議でプーチン大統領がNATOのスウェーデンとフィンランドへの拡大はロシアにとって「直接の脅威ではない」としつつ両国の領土に軍事インフラが拡大配備されれば「確実に対応」すると警告(16日)。
   ・トルコのエルドアン大統領がフィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請について，両国がクルド人過激派のテロに対する明確な姿勢が示さずトルコに制裁を科していることを理由に加盟に反対すると言明(16日)。
   ・ドイツ・ベルリンでのNATO外相会合でウクライナへの無制限の軍事支援を確約(16日)。
   ・フランスのルノー社が同社のロシア事業をロシア政府に売却したと発表(16日)。
   ・アメリカのマクドナルド社がロシア事業を売却しロシア市場から撤退すると発表(16日)。
   ・ウクライナのマリャル国防次官が南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所からウクライナ兵264人が退避したと発表，うち53人の重傷者はノボアゾフスク近郊の医療施設に搬送，211人は人道回廊経由でオレニフカに移送，いずれもロシア軍と親ロシア派武装勢力の支配地域(17日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所のウクライナ兵265人が投降したと発表(17日)。
   ・イギリス国防省がベラルーシのウクライナ国境地域に同国軍軍特殊部隊が展開していると発表，ウクライナ軍を分断しドンバス地方でのロシア軍の軍事作戦支援目的と指摘(17日)。
   ・国際刑事裁判所(ICC)がロシア軍のウクライナ侵攻にともなう戦争犯罪の調査のために42人で構成の調査団を派遣，ICC創設以来最大の調査団(17日)。
   ・ウクライナのゼレンスキー大統領がフランスのカンヌ国際映画祭でビデオ演説，チャップリンの映画「独裁者」に言及し「最後には憎しみは消え独裁者たちは死ぬ」と言明し「私たちには今，映画業界は黙っていないという姿勢を示す新たなチャップリンが必要だ」と述べる(17日)。
   ・フィンランドとスウェーデンがNATOへの加盟を正式申請(18日)。
   ・プーチン大統領がヨーロッパ諸国が対ロ制裁措置としてロシア産石油の禁輸を検討していることについて，制裁の発動はエネルギー価格の高騰とインフレを招く「経済的自殺行為」と主張(18日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所からウクライナ兵694人が新たに投降し16日以降に投降したウクライナ兵は959人と発表(18日)。
   ・ウクライナ・キーウでロシア軍による戦争犯罪の裁判で被告のロシア兵が2月28日に北東部スムイ州で上官の命令により民間人1人を射殺したと罪を認める(18日)。
   ・国務省がウクライナ・キーウのアメリカ大使館を再開したと発表(18日)。
   ・グーグル社がロシア事業から撤退すると発表(18日)。
   ・G7がウクライナに対して総額184億ドルの援助を供与することで合意(19日)。
   ・グテーレス国連事務総長がロシアに対してウクライナの港に貯蔵されている穀物の「安全・確実な輸出」を認めるよう呼びかけ(19日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所から5月16日以降に投降したウクライナ兵は1730人，うち負傷者は80人と発表(19日)。
   ・バイデン米大統領がホワイトハウスでフィンランドのニーニスト大統領とスウェーデンのアンデション首相と会談し両国のNATO加盟への全面的支持を約束，ニーニスト大統領はトルコが加盟反対の理由とする北欧2カ国がクルド労働者党(PKK)メンバーをかくまっているとする「懸念」に対応する意思を表明(19日)。
   ・米連邦議会上院本会議でウクライナに対する400億ドル相当の追加支援案を賛成86，反対11で承認(19日)。
   ・ミリー米統合参謀本部議長がロシアのゲラシモフ参謀総長と電話会談，両者の対話の継続で合意(19日)。
   ・ゼレンスキー大統領が東部ドンバス地方へのロシア軍の爆撃により現地は地獄の様相を呈していると非難(20日)。
   ・ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所に立てこもっているウクライナ軍兵士に対して軍当局がいのちを守るために戦闘停止を命令したとアゾフ連隊司令官が公表(20日)。
   ・ロシア国防省報道官がマリウポリのアゾフスターリ製鉄所に立てこもっていた最後のウクライナ兵531人が投降し，同製鉄所はロシア軍により「完全に解放された」と発表(20日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州知事が同州に対するロシア軍の「集中的破壊行為」が開始され，セベロドネツクの住民避難所の病院への爆撃により住民少なくとも12人が死亡したと発表(20日)。
   ・ロシアのショイグ国防相がフィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請を受けて，NATOの拡大への対応としてロシア西部軍管区に新たな軍事基地を構築すると発表(20日)。
   ・フィンランドの国営ガス会社ガスムがロシアの天然ガス供給が21日から停止されると発表，ロシアの国営天然ガス会社ガスプロムによる代金のルーブルでの支払い要求を拒否したことへの対抗措置，供給停止への対応措置により大きな混乱は生じないとコメント(20日)。
   ・ウクライナのゼレンスキー大統領が東部ドンバス地方でのロシア軍の集中的な攻勢は続いているがウクライナ軍がロシア軍の前進を阻んでいると述べる(21日)。
   ・ゼレンスキー大統領がウクライナのTV番組のインタビューでロシアとの紛争は最終的には「外交」を通じてしか解決できないと述べる(21日)。
   ・ウクライナのイェルマーク大統領首席補佐官がロシアとの戦争はウクライナの領土と主権の完全な回復によって終結されなければならないと主張(22日)。
   ・ポーランドのデューダ大統領がウクライナ議会での演説で，国際社会はロシア軍の完全な撤退を要求するべきであり，ウクライナ領土の部分的な犠牲であっても西側全体の重い打撃となると主張(22日)。
   ・ゼレンスキー大統領がポーランドの大統領との共同記者会見で東部地域での戦闘で毎日50〜100人のウクライナ人が殺害されていると述べる(22日)。
   ・ウクライナのポドリヤク大統領顧問がロイター社のインタビューで，ロシアとの停戦交渉において，ロシア軍の駐留継続を意味する領土におけるいかなる譲歩も即時停戦もウクライナ政府は受容しないと強調(22日)。
   ・ゼレンスキー大統領がスイス・ダボスで開催の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)でオンライン演説，ウクライナが求める武器の追加供与と対ロ制裁の最大限の強化を要請(23日)。
   ・キーウの裁判所がロシアによる戦争犯罪の裁判で被告のロシア兵に終身刑の判決(23日)。
   ・スターバックスがロシア国内の130店舗を閉鎖しロシア事業から撤退すると発表(23日)。
   ・ロシア国連代表部のボンダレフ参事官がウクライナ侵攻に抗議し辞任(23日)。
   ・ロシアのショイグ国防相がウクライナに対する「全目標が達成されるまで特別軍事作戦を継続する」と述べる(24日)。
   ・ウクライナ東部ドンバス地方でロシア軍がウクライナ軍を包囲するための全面的な軍事行動を開始，ウクライナ国防省報道官が東部地域は非常に困難な状況と述べる(24日)。
   ・オースティン国防長官がウクライナへの軍事支援を協議する関係国のオンライン会合で20カ国が追加支援(デンマークが対艦巡航ミサイル「ハープ―ン」，チェコが攻撃ヘリや戦車，ロケットシステムなど)を表明したと発表(24日)。
   ・ウクライナのゼレンスキー大統領がダボス会議のパネルディスカッションにオンラインで参加し，アメリカの軍事支援に感謝の意を表す一方で，ハンガリーがロシア産石油の禁輸に反対していること，フィンランドとスウェーデンのNATO加盟にトルコが反対していることを例示して欧州各国の団結に疑義を表明，クレバ外相もウクライナ侵攻に対してNATO諸国は「何もしていない」と非難(25日)。
   ・プーチン大統領がウクライナ南部のへルソン州とザポリージャ州の住民を対象にロシア国籍の取得手続きを簡素化する大統領令に署名(25日)。
   ・ウクライナ東部ドンバス地方のセベロドネツクとリシチャンスクをロシア軍が集中的攻撃，ルハンスク州知事がリシチャンスクで土に埋められた約150人の死体が発見されたと発表(25日)。
   ・ロシア議会上下両院が軍の志願兵の年齢上限を撤廃する法案を可決(25日)。
   ・ロシア政府がウクライナ南東部マリウポリの港の再開を発表(25日)。
   ・ロシア南部カバルジノ・バルカル共和国の軍事裁判所がウクライナ侵攻作戦への参加を拒否し除隊処分となった国家親衛軍の兵士115人の異議申し立てを棄却(26日)。
   ・ドイツのショルツ首相がダボス会議でロシアのプーチン大統領は「すべての戦略目標の達成に失敗」しており，プーチン氏が「勝てない」戦争でウクライナに講和を強要するのを許してはならないと主張(26日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州のセベロドネツクとリシチャンスクへのロシア軍の激しい攻撃が継続(27日)。
   ・ウクライナ東部の親ロ勢力「ドネツク人民共和国」が東部リマンを制圧したと発表(27日)。
   ・ロシア極東・沿海地方の議会で共産党議員2人がプーチン大統領に対してウクライナへの侵攻を停止するよう要求する声明を発表，他の議員や知事は「裏切者」と非難(27日)。
   ・ロシア財務相がウクライナでの軍事作戦には8兆ルーブル(1200億ドル)が必要になるとの予測を発表(27日)。
   ・プーチン大統領がフランスのマクロン大統領，ドイツのショルツ首相との3者電話会談で，欧米のウクライナへの武器供与について「状況をさらに不安定化させる」と批判，ウクライナ侵攻にともなう世界的食糧危機について「黒海の港からウクライナの穀物を含め穀物輸出が妨げられないよう協力する用意がある」とし「ロシアの農作物も貢献できる」と発言，そのためには「制裁解除が必要」と強調(28日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州のセベロドネツクとリシチャンスクへのロシア軍の激しい攻撃が継続(28日)。
   ・ウクライナの副国防相が東部リマンでの戦闘は継続中と発表(28日)。
   ・ウクライナのポドリヤク大統領顧問が東部のロシア軍を攻撃するため射程70�q以上の米国製長距離多連装ロケットランチャーの供与を要請(28日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ東部リマンをロシア軍と親ロシア派武装勢力が「完全に解放した」と発表(29日)。
   ・ウクライナ国防省がデンマークから対艦ミサイル「ハープ―ン」を，アメリカから自走榴弾砲の供与が開始されたと発表(29日)。
   ・バイデン大統領がウクライナに対してロシア領土への攻撃可能な調射程の多連装ロケットシステムなどを提供する意思はないと発表(30日)。
   ・NATOのジョアナ事務次長がロシアのウクライナ侵攻により1997年にNATOとロシアが締結し基本文書の「条項は一切無効になった」として，東欧にNATO軍部隊を配備しないという従来方針にはもはや拘束されないとの見解を表明(30日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州のハイダイ知事が同州のセベロドネツクの中心部にロシア軍が侵攻を開始し市街戦で少なくとも2人死亡，5人負傷と発表(30日)。
   ・プーチン大統領がトルコのエルドアン大統領と電話会談し，ウクライナ南方の黒海とアゾフ海の自由な海上輸送の再開に協力する用意があると述べる(30日)。
   ・オランダのガス企業ガステラがロシアのガスプロムから天然ガス供給を31日から停止するとの通知を受けたと発表(30日)。
   ・EUのミシェル大統領が加盟国のロシア石油輸入停止に賛成する意思を表明(30日)。
   ・ベルギー・ブリュッセルでのEUの首脳会議でロシア産石油の禁輸問題について，パイプライン経由の輸入を禁輸対象から除外することで合意，ロシア産石油の依存度が高いハンガリーの主張に妥協，この合意によりロシア産石油の2/3以上が禁輸対象，欧州委員会のフォンデアライエン委員長は年末までにEU全体でロシア産石油の輸入の約90％が停止される見通しを公表，その他の対ロ制裁措置として，ロシアの最大手銀行ズベルバンクのSWIFT決済網からの排除なども承認(31日)。
   ・デンマークのエネルギー企業オーステッドがロシアの天然ガス輸出企業ガスプロム・エクスポルトからのガス供給が6月1日付で停止されると発表，オーステッドがガス代金のルーブル建てを拒否したことへの対抗措置(31日)。
   ・ロシアのラブロフ外相が世界的食糧危機を解決できるかどうかは西側諸国とウクライナの行動しだいだと主張(31日)。
   ・ウクライナ東部ルハンスク州のハイダイ知事が同州のセベロドネツクの大半がロシア軍に制圧されたと発表(31日)。
   ・政府当局者がウクライナに高機動ロケット砲システム「ハイマース(HIMARS，射程80�q)」を供与する方針を明らかにする(31日)。
   
   [シリア情勢]
   ・西部ハマ州マスヤフ地域にイスラエルの発射したミサイル1基が着弾し民間人5人死亡，7人負傷(13日)。
   ・北西部アレッポ州西部アンジャラ地域で政府軍の人員輸送車へのロケット弾攻撃により兵士10人死亡，9人負傷，反政府勢力による攻撃の可能性大(13日)。
   ・ダマスカス南部にイスラエルがゴラン高原から発射したミサイルが着弾し3人死亡，ダマスカス近郊でシリア軍の防空システムが複数のミサイルを撃墜，シリア国防省発表(20日)。
5. ［世界経済］
   ［アメリカ経済］
   ・連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)がフェデラル・ファンドの金利の誘導目標を0.5％引き上げて0.75〜1.00％にすることを決定(4日)。
   ・労働省発表の4月の雇用統計で失業率(季調済，軍人を除く)が3.6％(前月と同じ)，非農業部門の雇用者数が前月比42.8万人増(6日)。
6. ［トランプ政権関連］年表(2020年大統領選挙，バイデン政権によるトランプ政権の政策変更含む)

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#印：軍による「誤射」・「誤爆」または過剰防衛によると見られる事件

上記年表およびIraq Body Count(IBC)のData Base(Recent Events)より作成。 イラク戦争開始以降の統計とIBCのDataの問題点については こちらをご覧ください。

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