「対テロ戦争」関連年表 2022年4月

アフガニスタン戦争，イラク戦争を含む「対テロ戦争」がなぜ「終わらない」性格をもつのか，またブッシュ政権が国際社会の反対の中でなぜイラク攻撃を強行したのかについてのわたしの見解は，

『対テロ戦争の政治経済学― 終わらない戦争は何をもたらしたのか』(明石書店，2018年3月)をお読みください。

本書の理論的基礎およびアメリカ経済のより詳しい現状分析について，下記の2冊が参考となります。

2008年秋以降の世界的金融・経済危機の構造を国際政治や軍事面を含めて論じた『薄氷の帝国 アメリカ― 戦後資本主義世界体制とその危機の構造』(御茶の水書房，2012年2月，本書の構成と序論)，

現在の世界経済の危機的状況と90年代以降の日本経済の構造変化を基礎理論から現状分析まで展開し，平易に説明した『21世紀のマルクス経済学』(慶應義塾大学出版会，2015年7月，本書の目次)

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主な出来事

1. ［イラク情勢］
   「暴力事件」などによる4月のイラク人の死者32人(30日まで)。
2. ［パレスチナ情勢］
   イスラエル軍や警察の発砲などによる4月のパレスチナ人の死者20人，パレスチナ人の襲撃などによるイスラエル人の死者3人。
   ・ヨルダン川西岸地区で警察とパレスチナ人武装集団の銃撃戦によりパレスチナ人3人死亡，同地区南西部ヘブロンでイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人1人死亡，軍当局はパレスチナ人が火炎瓶を投げたための自衛措置と説明(1日)。
   ・ヨルダン川西岸地区でイスラエル治安部隊とパレスチナ武装勢力イスラム聖戦の交戦によりパレスチナ人3人死亡，イスラエル治安部隊員4人負傷(2日)。
   ・イスラエル西部テルアビブのバーでイスラエル在住のアラブ人の銃撃により2人死亡，数人負傷(7日)。
   ・イスラエル西部テルアビブ南郊ジャッファでイスラエル治安部隊が7日に銃撃によりイスラエル人2人を殺害した犯人の捜索活動で容疑者1人を発見し銃撃戦により容疑者のパレスチナ人1人死亡(8日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ジェニンでパレスチナ武装勢力掃討作戦中のイスラエル軍部隊とパレスチナ人の銃撃戦によりパレスチナ人1人死亡，13人負傷，パレスチナのイスラム聖戦が死者はメンバーと確認(9日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ベスレヘム近郊でイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人男性1人死亡，軍当局はパレスチナ人がイスラエル人の車両に火炎瓶を投げようとしたための発砲と説明，同市内でイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人女性1人死亡，軍当局は兵士の停止命令を無視して接近してきたための発砲と説明，同地区南西部ヘブロンでパレスチナ人女性が警官をナイフで襲撃し警官1人負傷，警官の発砲により女性1人死亡(10日)。
   ・レバノン南部シドン近郊のシーア派活動団体の職業紹介センターで爆弾攻撃により少なくとも1人死亡，7人負傷(12日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ベスレヘム近郊でイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人少年1人死亡，軍当局は少年がイスラエル兵に火炎瓶を投げようとしたための自衛措置と説明，同地区ナブルスでイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人弁護士1人死亡，軍当局は武装したパレスチナ人を発見し発砲したと説明，同地区ラマラ近郊でイスラエル軍部隊が武装勢力の逮捕作戦実行中にパレスチナ人の抗議行動に発砲しパレスチナ人1人死亡，軍当局の説明なし(13日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ジェニン地域で「対テロ活動中」のイスラエル軍部隊の発砲によりパレスチナ人2人死亡，4人負傷，軍当局はパレスチナ人の集団が銃撃とIEDで攻撃してきたための自衛措置と説明(14日)。
   ・エルサレム旧市街アルアクサ・モスク周辺でパレスチナ人のデモ隊とイスラエル警察が衝突しパレスチナ人152人負傷，イスラエル警官3人負傷(15日)。
   ・イスラエルのベネット首相がレーザーによるミサイル防衛システムの実験に成功したと発表(15日)。
   ・エルサレム旧市街でイスラエル人が乗るバスへのパレスチナ人の投石により数人負傷(17日)。
   ・ガザ地区からイスラエルに向けて発射されたロケット弾1発をイスラエルの防空システム「アイアンドーム」が撃墜(18日)。
   ・ヨルダンのアブドゥラ国王がグテーレス国連事務総長に対してイスラエルのアルアクサ政策がパレスチナ和平プロセスの障害になっているとの認識を表明(18日)。
   ・ガザ地区からイスラエル南部に向けてロケット弾1発発射，死傷者なし，イスラエル軍がガザ地区中部のハマスの拠点を報復空爆(20日)。
   ・エルサレム旧市街アルアクサ・モスク周辺で数百人規模のパレスチナ人の抗議行動へのイスラエル警察の鎮圧行動によりパレスチナ人少なくとも57人負傷，警察はパレスチナ人が投石や火炎瓶を投げたための措置と説明(22日)。
   ・ヨルダン川西岸地区東部エリコでイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人1人死亡，3人負傷，イスラエル軍は難民キャンプでの捜査活動に対する投石や火炎瓶による抗議行動の鎮圧のためと説明(26日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ジェニンでイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人1人死亡，イスラエル軍は対テロ作戦の一環として犯罪容疑者の逮捕活動中にパレスチナ人が投石や爆発物で部隊を攻撃したための自衛措置と説明(27日)。
   ・ヨルダン川西岸地区アリエルのユダヤ人入植地でパレスチナ人の発砲によりイスラエル人警備員1人死亡(29日)。
   ・エルサレム旧市街アルアクサ・モスクでパレスチナ人礼拝者がイスラエル警官隊に投石や火炎瓶で抗議行動，警官のゴム弾による鎮圧行動でパレスチナ人少なくとも42人負傷(29日)。
   ・ヨルダン川西岸地区北部の村でイスラエル兵の発砲によりパレスチナ人1人死亡，イスラエル軍はパレスチナ人が火炎瓶を投げたための自衛措置と説明(30日)。
3. ［アフガニスタン情勢］
   ・西部ヘラート州ヘラートで2発のIED攻撃により民間人5人死亡，22人負傷(2日)。
   ・南部ヘルマンド州マルジャ地区で不発弾の爆発により子ども5人死亡，2人負傷(2日)。
   ・カブール中心部で手榴弾攻撃により1人死亡，59人負傷(3日)。
   ・タリバン政権がケシの栽培，使用，販売，輸出入，麻薬の生産の禁止を命令(3日)。
   ・タリバン政権の高等教育省がすべての公立・私立大学に対して男性教授の会議に女性教授の参加を認めないよう要求する文書を送付(5日)。
   ・カブール中心部のモスク近くで手榴弾攻撃により礼拝者6人負傷(6日)。
   ・アメリカのアミリ・アフガニスタン特使がタリバンは女子学校の再開が彼らの政治的存在とアフガニスタンの国益にとっての重要性を認識しているが，一部メンバーはイスラム法の厳格な理解に固執しており，再開がタリバン内の軋轢を生む可能性があるとの認識を示す(6日)。
   ・アフガニスタンの宗教学者協会がタリバンの女子中等学校の閉鎖措置に対して，シャリア(イスラム法)の原理にも続けば，イスラム教徒の女性は男性と同じく宗教教育と近代的教育を受け，社会の発展に貢献する権利を持っているとして，タリバンに対して少女たちのための学校の再開を要求する声明を発表(11日)。
   ・南東部パクティカ州の宗教学者たちが女性も男性と同様に教育を受ける権利を持っているとしてタリバン政権に女子中等教育の再開を要求(13日)。
   ・タリバン政権のムジャヒド報道官が米国務省がタリバン政権を人権侵害と批判していることに対して，米軍のアフガニスタン占領期間中に民家への空爆などにより1日200人が殺害されていたことなどを例示して的外れの批判と主張(15日)。
   ・東部コースト州スペラ地区でパキスタン軍の空爆により民間人33人死亡，東部クナール州シャルタン地区でパキスタン軍の空爆により子ども5人と女性1人死亡，パキスタンのメディアがパキスタン・タリバン標的の空爆と報道(16日)。
   ・カブール西部ダシュテ・バラチ地区のハザラ人居住地のシーア派男子学校近くでの3回のIED攻撃により少なくとも6人死亡，11人負傷(19日)。
   ・北部バルク州マザレシャリフのシーア派モスクでの遠隔操作爆弾攻撃により礼拝者12人死亡，58人負傷，ISが実行声明(21日)。
   ・北部クンヅズ州で空港職員の乗るバス標的の二輪車爆弾攻撃により少なくとも4人死亡，18人負傷，ISが実行声明(21日)。
   ・東部ナンガルハル州コギャニ地区でIED攻撃によりタリバン・メンバー4人死亡(21日)。
   ・北部クンヅズ州クンヅズのイスラム教スーフィー派の集まるスンニ派モスクでの爆弾攻撃により子ども含む礼拝者33人死亡，43人負傷(22日)。
   ・タリバン政権の高等教育省がカブール大学とカブール工芸大学の授業を週の3日間は男子のみ，3日間は女子のみに分割すると発表(24日)。
   ・北部サマンガン州ダラエ・ソフ地区で武装集団の銃撃によりハザラ人炭鉱労働者5人死亡(27日)。
   ・タリバン政権の内務省がアフガニスタンのIS勢力の98％は駆逐され現在は深刻な脅威ではないとの認識を公表(27日)。
   ・カブール西部のスンニ派モスク内で自爆攻撃により礼拝者68人死亡，78人負傷(29日)。
   ・カブールで乗り合いミニバス内での爆弾攻撃により女性1人死亡，3人負傷，ISが実行声明(30日)。
   [パキスタン情勢]
   ・北西部北ワジリスタン地域のパキスタン軍駐屯地をアフガニスタンの武装勢力が重火器で攻撃し兵士3人死亡(23日)。
   ・南部カラチの中国文化教育機関近くでバルチスタン解放軍の女性戦闘員の自爆攻撃により中国人3人含む4人死亡(26日)。
4. ［各国情勢］
   ・イエメンで暫定政権支援のサウジアラビア主導の有志連合国軍とイラン支援の武装勢力フーシ派との間で2カ月間の停戦合意が発効(2日)。
   ・イエメンのハディ暫定大統領が新設される「大統領指導評議会」に権限を移譲すると発表(7日)。
   ・ソマリア・モガディシオの警察や国会議員の利用する海岸沿いのレストランでイスラム過激派の自爆攻撃により治安部隊員含む少なくとも6人死亡，7人負傷(23日)。
   ・アフリカ西部マリの同国軍事基地3カ所を武装勢力が攻撃し兵士6人死亡(24日)。
   ・エチオピア北部アムハラ州ゴンダルのモスクとキリスト教会が隣接する地域でイスラム教徒の長老の葬儀会場を武装集団が襲撃し20人以上死亡，同州のイスラム教団体が重武装した「過激派キリスト教徒による虐殺」と発表(26日)。
   
   [ウクライナ情勢]
   ・ウクライナ政府の国防次官がキーウ(キエフ)州全域をロシア軍から奪還したと発表(2日)。
   ・中国外務省の欧州局長が欧米による対ロシア制裁措置を故意に回避する試みは一切行なっていないと発表(2日)。
   ・ウクライナのゼレンスキー大統領がキーウ北西郊ブチャでロシア軍が占領中に民間人約300人ののジェノサイド(大量虐殺)を行なったと非難(3日)。
   ・ロシア国防省が同国軍はブチャで民間人を殺害していないとゼレンスキー大統領の発言を否定，多数の遺体の写真や映像は「西側メディア向けの制作物」と主張(3日)。
   ・ドイツの国防相がEUはロシアからの天然ガスの輸入禁止措置について議論すべきだと発言(3日)。
   ・ゼレンスキー大統領がウクライナ・キーウ近郊ブチャを訪れて「これらは戦争犯罪であり，世界はジェノサイドと認識するだろう」と発言，ウクライナ政府が戦争犯罪の証拠の調査を開始(4日)。
   ・ロシアの国連副大使がブチャでの多数の民間人殺害について「ウクライナの過激派による凶悪な挑発行動」として国連安保理の開催を要請したと発表(4日)。
   ・ウクライナ南東部マリウポリの市長がロシア軍の包囲開始以降，どうしの90％が破壊されたと発表(4日)。
   ・バイデン大統領がブチャでロシア軍が民間人多数を殺害したとの情報に基づき，戦争犯罪裁判の実施を呼びかけ(4日)。
   ・EU諸国が4〜5日に計200人近くのロシア外交官の国外追放を発表(5日)。
   ・ゼレンスキー大統領が国連安保理でビデオ演説，ウクライナ・キーウ近郊でのロシア軍による民間人の大量虐殺の証拠映像を放映し，ロシアを安保理から排除し「自らの侵略や戦争に関する安保理の決定を阻止できないようにする」べきだと主張(5日)。
   ・ウクライナのクレバ外相が中国の王毅外相と電話会談，王外相はウクライナ問題で和平交渉を促進するという基本的立場を説明，クレバ外相は中国外相が市民の犠牲に対して連帯を示したと発表(5日)。
   ・EUのフォンデアライエン欧州委員長がロシア産石炭のEUへの輸入・ロシア船舶のEU入港の禁止などの追加制裁案を発表(5日)。
   ・米財務省報道官が4日に米銀行のロシア資金口座について国債関連の支払いを禁止したと発表，ロシアのデフォルトの可能性が高まる(5日)。・中国外務省報道官が記者会見でウクライナのブチャでの民間人殺害について「報道や映像は深く憂慮させるものだ」としつつ，「調査結果が公表されるまでは，すべての当事者は自制し、根拠のない非難を慎むべきだ」と述べる(6日)。
   ・プーチン大統領がハンガリーのオルバン首相との電話会談でウクライナ・ブチャで多数の民間人の遺体が見つかった件について「粗野で冷淡な挑発行為」と非難，オルバン首相は見解を共有すると述べ，ロシア産天然ガスの対価をルーブルで支払う用意があると表明(6日)。
   ・ロシア財務省がドル建て国債の支払いを4日にルーブルで行なったと発表，債権保有者が受け取ったかどうかには言及せず(6日)。
   ・アメリカ政府がロシアのプーチン大統領の2人の娘，ラブロフ外相の妻と娘，メドベージェフ前首相とミシュスチン首相ら安全保障会議のメンバーの海外資産の凍結，国営ズベルバンクと民間のアルファ銀行の米国内資産の凍結や取引禁止，ロシアへの新たな投資の全面禁止などの制裁を発表(6日)。
   ・国連総会でロシアのウクライナ侵攻を深刻な人権侵害としてロシアの国連人権理事会での理事国資格を停止する決議案を賛成93カ国，反対24カ国(ロシア，中国，イラン，キューバ，ベラルーシ，シリアなど)，棄権58カ国(ブラジル，メキシコ，インドなど)で採択(7日)。
   ・G7各国が「エネルギー分野を含むロシア経済の主要分野への新規投資」の禁止で合意(7日)。
   ・ウクライナ東部クラマトルスクの鉄道駅にロシア軍のトーチカUミサイル2発が着弾し少なくとも子ども5人含む民間人52人死亡，98人負傷，ロシア側はウクライナ政府の民間人を「人間の盾」とするための攻撃と主張(8日)。
   ・ウクライナ北東部スムイ州知事が同州全域を露アイア軍から奪還したと発表(8日)。
   ・ゼレンスキー大統領がキーウ近郊ボロジャンカを視察しロシアによる戦争犯罪はブチャをはるかに上回ると発言(8日)。
   ・EUがロシアのプーチン大統領の娘2人を含む200人以上に資産押収やEU内への渡航禁止の追加制裁を課したと発表(8日)。
   ・日本政府がロシアによるウクライナでの多数の民間人殺害を「戦争犯罪」としてロシアからの石炭や機械類などの製品の輸入禁止とロシア外交官8人に国外退去を要請(8日)。
   ・スタンダード＆プアーズ(S&P)がロシアの外貨建て国債の格付けを「選択的デフォルト」に引き下げ，ロシアが4日に支払期限のドル建て国債の利払いと元本返済をルーブルで送金したとの発表を契約違反と判断(8日)。
   ・EUのフォンデアライエン欧州委員長とイギリスのジョンソン首相が相次いでウクライナ・ブチャを視察(9日)。
   ・スロバキアのヘゲル首相が高性能地対空ミサイルシステム「S300」1基をウクライナに供与すると発表(9日)。
   ・ロシア法務省がヒューマン・ライツ・ウォッチやアムネスティ・インターナショナルなど計15団体の登録を抹消し現地事務所を閉鎖すると発表(9日)。
   ・ウクライナの検事総長がキーウ州でこれまでに1222人の遺体が発見されたと発表，検察当局はロシアによる戦争犯罪疑惑5600件についてプーチン大統領を含む政治家や軍人計500人を容疑者として捜査を開始し，8日のクラマトルスク駅へのミサイル攻撃についてもロシア軍が関与した「完全な証拠」があると発表(10日)。
   ・ウクライナ政府が同国北部チョルノービリ(チェルノブイリ)原発を占領していたロシア兵が研究所から放射性物質133個を盗み出したと発表(10日)。
   ・ゼレンスキー大統領が韓国国会でビデオ演説，マリウポリで数万人がロシア軍によって殺害されたとし，戦闘機や戦車などの軍備の提供を韓国に要請(11日)。
   ・ロシア・モスクワでオーストリアのネハンマー首相がプーチン大統領と会談後の記者会見で，プーチン氏は「戦争の論理にすっかり入り込んでいる」と指摘し，外交努力の見通しについて「どちらかと言えば悲観的」と述べる(11日)。
   ・フランスの内務省や法務省は「戦争犯罪に当たる行為での処罰逃れを防ぐ」ために専門家班を派遣したと発表(11日)。
   ・ロシア東部ボストーチヌイ宇宙基地でプーチン大統領がベラルーシのルカシェンコ大統領と会談後の記者会見で，ウクライナでの軍事作戦について「我々の仕事は，損失を最小限に抑えながら設定されたすべての目標を達成すること」として計画通りに「冷静に」進める意思を表明，キーウなど主要都市からの撤退はドンバス地方での能動的作戦のためと主張，ブチャでの多数の民間人殺害については「偽情報だ」と否定(12日)。
   ・ウクライナの治安当局がプーチン大統領と関係の深い同国の政党「野党プラットフォーム―生活党」のメドベチュク党首を国家反逆罪容疑で逮捕したと発表(12日)。
   ・バイデン大統領がアイオワ州での演説でガソリン価格の高騰の原因はロシアのウクライナ侵攻とジェノサイドにあると主張(12日)。
   ・国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官がウクライナ・キーウ近郊ブチャを視察しICCの法医学専門班が「真実と虚構を明確に区別」できるよう活動に当たると発言(13日)。
   ・バイデン米大統領が12日にロシア軍はウクライナでジェノサイドを行なっていると発言したことに対して，をロシアのぺスコフ大統領報道官が「容認できない」と非難(13日)。
   ・カナダのトルドー首相がロシアのウクライナ攻撃をジェノサイドと表現することは正しいと明言(13日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ南東部マリウポリでウクライナ軍兵士1026人が武器を捨てて投降したと発表(13日)。
   ・ロシア外務省がウクライナ侵攻に対するアメリカの対ロシア制裁措置への報復として上下両院の議員398人に入国禁止などの制裁を科したと発表，カナダの上院議員87人に対しても制裁を科したと発表(13日)。
   ・バイデン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談後に8億ドル相当の追加軍備支援を行なうと発表，カービー国防総省報道官が155ミリ榴弾砲18門，Mi17ヘリ11機，自爆型無人機「スイッチブレード」300基，対戦車ミサイル「ジャベリン」500基などの支援リストを公表(13日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ南方黒海で軍事作戦行動中のロシア軍黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「モスクワ」が火災と弾薬の爆発により沈没したと発表，ウクライナ軍報道官は国産巡航ミサイル「ネプチューン」で攻撃し損傷させたと発表(14日)。
   ・ロシアのメドベージェフ前大統領がフィンランドとスウェーデンがNATOへの加盟を検討中との発表を受けて，両国がNATOに加盟すればバルト3国やスカンディナビア半島方面の国境付近に核兵器を配備することになるとの見解を示す(14日)。
   ・プーチン大統領がエネルギー輸出先の多角化のために対アジア輸出を拡大すべきだと主張(14日)。
   ・ロシア連邦捜査委員会がウクライナ国境近くのブリャンスク州南部の町がウクライナ軍ヘリによる空爆を受け幼児含む7人が負傷したと発表(14日)。
   ・ロシア国防省が潜水艦「ペトロパブロスク・カムチャツキーと「ウォルホフ」の2隻が日本海で巡航ミサイル「カリブル」の発射実験を実施したと発表(14日)。
   ・米CIAのバーンズ長官がロシアがウクライナでの軍事作戦で苦戦していることにより「プーチン大統領とロシア指導部が自暴自棄になる可能性，さらにこれまでの戦局の停滞を踏まえると，戦術核もしくは低出力核兵器を使用する恐れがあることを軽視できない」との認識を示す(14日)。
   ・ロシア国防省がキーウ近郊のウクライナの巡航ミサイル製造工場を海上発射型巡航ミサイル「カリブル」で攻撃したと発表(14日)。
   ウクライナ警察がキーウ地域で民間人900人以上の射殺体が発見されたと発表(15日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ国境近くの町がウクライナ軍に攻撃されたことに対する報復としてキーウ地域への攻撃を強化すると発表(15日)。
   ・国防総省高官がロシア黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「モスクワ」はウクライナ軍による2発のミサイル攻撃によって撃沈されたとの見解を示し，ロシアにとって「大きな痛手」との認識を表明(15日)。
   ・ロシア政府がNATOに対してウクライナへの高度な軍事支援の供与は「予測できない結果」を招く可能性があるとの主旨の外交文書を送付(16日)。
   ・ロシア軍がウクライナ南東部マリウポリの市街地を制圧したと発表(16日)。
   ・ウクライナ・キーウの軍事工場をロシア軍がミサイル攻撃(16日)。
   ・ウクライナ西部リビウをロシア軍戦闘機が巡航ミサイルで空爆，ウクライナ軍は防空システムによりミサイル4機を撃墜と発表(16日)。
   ・ゼレンスキー大統領がウクライナ南東部マリウポリの同国軍兵士が「全滅させられればいかなる交渉にも終止符が打たれるだろう。我々は領土と国民について取引しない」と言明(17日)。
   ・ロシア外務省がイギリスの対ロ制裁への対抗措置としてジョンソン首相や主要閣僚のロシア入国を禁止すると発表(17日)。
   ・ゼレンスキー大統領が東部ドンバス地方でロシア軍による大規模な攻勢が始まったと発表(18日)。
   ・ウクライナ西部リビウをロシア軍がミサイル5基で攻撃し少なくとも子ども1人含む6人死亡，8人負傷，ロシア軍は欧米から供与された軍備が多数保管されている施設を空爆し破壊したと発表(18日)。
   ・プーチン大統領がウクライナのブチャで戦争犯罪や大量虐殺を行なったとして非難されている第64自動車化狙撃旅団に対して「親衛隊」の名誉称号を授与(18日)。
   ・ロシア国防省が18日夜から19日にかけてウクライナ東部ドンバス地方のウクライナ側の拠点13カ所を精密誘導ミサイルで攻撃，東部前線の軍事関連施設60カ所を空爆したと発表，ラブロフ外相がウクライナでの特別軍事作戦は新たな段階が始まったと発言(19日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所に立てこもるウクライナ軍は「壊滅的な状況」に直面しているとして，即時投降を呼びかける2度目の最後通牒を発表(19日)。
   ・プーチン大統領がロシア軍が新型ICBM「サルマト」の発射実験に成功したと発表，ロシア国防省は威力・射程ともに世界一のミサイルで「わが国の戦略的核戦力の戦闘力を大幅に向上させる」と説明(20日)。
   ・国防総省のカービー報道官がロシアの新型ICBM「サルマト」について，「合衆国および同盟国に対する脅威とはみなしていない」と論評(20日)。
   ・ウクライナ政府が南東部マリウポリからの避難ルート「人道回廊」の設置でロシア軍と暫定合意したと発表(20日)。
   ・ウクライナ東部の新ロシア派がマリウポリから市民140人以上とウクライナ兵5人が逮捕したと発表(20日)。
   ・ウクライナ政府がマリウポリから「人道回廊」を通じて市民を非難させる試みがロシア軍の砲撃により失敗したと発表，ロシア軍が現地の部隊を統率できずに避難のための一時停戦を遵守しなかったと非難(20日)。
   ・プーチン大統領がロシアの鉄鋼製品などに対する欧米の制裁措置は政治的動機に基づくもので世界貿易機関(WTO)の規則に違反していると主張(20日)。
   ・バイデン大統領がウクライナに対して榴弾砲と弾薬，戦術無人機など8億ドルの追加軍事支援とウクライナ政府の給与や年金支払い，公共サービス提供支援のための5億ドルの拠出を行なうと発表(21日)。
   ・ロシア外務省が欧米の対ロ制裁への報復として，アメリカのハリス副大統領，カービー国防総省報道官などの政府高官，メタのザッカーバーグCEOなどの企業幹部，著名ジャーナリストなど29人，カナダの政府高官や軍幹部など61人の入国を無期限で禁止すると発表，制裁対象の米国務省のプライス報道官は「光栄」だとコメント(21日)。
   ・ロシア軍高官がウクライナでの特別軍事作戦の第2段階の任務の一つはドンバス地方と南部地域の完全制圧を達成することで，これによりクリミア半島まで陸続きの回廊ができると発言，ロシア・メディア報道(22日)。
   ・ゼレンスキー大統領がロシア軍が占領した南部へルソンとザポリージャ州で独立の是非を問う偽の住民投票を計画しているとロシアを非難(22日)。
   ・ロシア軍がウクライナ南東部マリウポリの製鉄所への攻撃を強化，南部オデーサへのミサイル攻撃により少なくとも8人死亡，東部ハルキウへの砲撃により3人死亡，7人負傷(23日)。
   [ロシア経済の現状]
   ロシアのウクライナ侵攻から2カ月，西側諸国によるロシアの外貨資産の凍結，多国籍企業のロシアからの撤退や事業停止，工業製品や部品の対ロ輸出禁止などの対ロ制裁措置のロシア経済への影響は，プーチン政権が否定しているにもかかわらず深刻化しているとAPの報道(23日)。
   ・消費者物価上昇率：今年3月に17.3％。
   ・自動車メーカーが部品不足のために生産停止。
   ・モスクワで20万人が失業の予測。
   ・外貨建て国債のデフォルトの危機に直面。デフォルトが現実化すれば資金調達が困難となり生産や企業活動が停止し失業率をさらに高める。
   ・ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問が南東部マリウポリのアゾフストーリ製鉄所近くでの協議開催をロシア側に提案したと発表(24日)。
   ・ウクライナ・キーウをブリンケン国務長官とオースティン国防長官が訪問しゼレンスキー大統領と会談(24日)。
   ・フィンランド南西部トゥルク港にNATOの軍艦3隻が4月28日から2日間のフィンランド軍との合同軍事演習のために到着(25日)。
   ・ウクライナ中部ビンニツァ州の5つの鉄道駅をロシア軍が攻撃し少なくとも5人死亡，18人負傷(25日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所周辺での停戦を発表，民間人避難目的と説明，製鉄所に白旗を掲げ非難の意思表示を条件(25日)。
   ・ロシアの駐米大使がアメリカのウクライナへの軍事援助は紛争を激化させ事態をさらに悪化させると警告(25日)。
   ・オースティン米国防長官がウクライナでのゼレンスキー大統領との会談後の記者会見で，「ウクライナに適切な装備と支援があれば勝利できる」との認識を表明し，「我々は、ウクライナ侵攻のようなことを繰り返せない程度にロシアを弱体化させたい」と主張(25日)。
   ・ロシア政府がドイツ政府によるロシア外交官追放への対抗措置としてドイツの在ロシア外交機関職員40人を追放すると発表(25日)。
   ・プーチン大統領がモスクワでグテーレス国連事務総長と会談し，ウクライナ・ブチャでの民間人虐殺疑惑について「ブチャの村で挑発行為があったが，ロシア軍はまったく関係ない」と言明，ウクライナ情勢悪化の理由は2014年に親ロ派のヤヌコビッチ元大統領が失脚した「反国家クーデター」にあると主張しつつ「軍事作戦が進行中だが，我々は外交路線で合意に達することを望んでいる。われわれは交渉中であり協議を拒否はしない」と発言，グテーレス氏はロシアとウクライナが国連と協力してウクライナの民間人退避と支援物資輸送のための回廊を設けるよう呼び掛け(26日)。
   ・ロシアのエネルギー会社ガスプロムがポーランドとブルガリアに対して天然ガスの供給を27日から停止すると発表(26日)。
   ・ドイツ政府高官がウクライナへの戦車の供与を承認する方針を発表(26日)。
   ・ロシア国防省がウクライナ南東部ザポリージャのアルミニウム工場内の格納庫に保管されていた西側諸国供与の多数の兵器を海上発射の長距離ミサイル「カリブル」で破壊したと発表(27日)。
   ・ロシアの国営エネルギー会社ガスプロムがポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を全面的に停止したと発表，両国がルーブル建ての代金支払いを拒否したためと説明(27日)。
   ・EUの欧州委員会のフォンデアライエン委員長がガスプロムの発表はガスで我々を脅迫しようとするロシアの新たな試み」だが，「このシナリオへの備えはできている。欧州の人々は我々が影響を受けた加盟国と団結し連帯していると信頼できるだろう」との声明を発表(27日)。
   ・ウクライナ国防省が北東部ハルキウ州とドネツク州の計4つの村がロシア軍の攻撃で陥落したと発表(27日)。
   ・ドイツ政府がウクライナに自走式対空砲「ゲバルト」を供与すると発表(27日)。
   ・国連のグテーレス事務総長がウクライナを訪問しキーウ近郊のロシア軍による民間人殺害疑惑のある地域を視察，ロシアの侵攻中の戦争犯罪疑惑について国際刑事裁判所(ICC)による捜査への協力をロシアに要請する意思を表明，ゼレンスキー大統領と会談(28日)。
   ・ウクライナのベネディクトワ検事総長がロシア軍による民間人殺害，民間施設への爆撃，拷問，性犯罪などの戦争犯罪8600件を特定したと発表(28日)。
   ・キーウ中心部へのロシア軍のミサイル攻撃により10人負傷(28日)。
   ・バイデン大統領がウクライナへの支援のために330億ドルの追加予算(軍事・安全保障に200億ドル，経済支援に85億ドル，人道支援と世界的な食糧価格高騰対策に30億ドル)を連邦議会に要請(28日)。
   ・政府がロシアへの経済制裁強化の法案の一環として同国のオリガルヒ(新興財閥)から差し押さえた資産をウクライナ支援に充当することを提案(28日)。
   ・NATOのストルテンバーグ事務総長がフィンランドが加盟申請した場合，手続き中はロシアの介入から守ると表明(29日)。
   ・ロシア国防省がグテーレス国連事務総長が訪問中のウクライナ・キーウへの空爆を認め「高精度長距離兵器によりミサイル・航空宇宙企業アルチョームの建物を破壊した」と発表，キーウ市長は破壊されたのは集合住宅で民間人1人死亡，10人負傷と発表(29日)。
   ・米国防総省高官がロシア軍によるウクライナ東部ドンバス地方制圧作戦はウクライナ軍の抵抗とキーウ制圧失敗の影響で予定より少なくとも数日は遅れているとの認識を表明(30日)。
   ・ロシアのラブロフ外相が中国新華社通信のインタビューでNATOに対してウクライナへの武器供与を停止するよう要求(30日)。
   ・ロシア財務省が2022年満期と2024年満期の外貨建て国債の元利計6億5000万ドルをドルで支払ったと発表(30日)。
   ・ウクライナ南東部マリウポリのの製鉄所から子ども7人含む民間人少なくとも20人が退避，アゾフ連隊発表(30日)。
   
   [シリア情勢]
   ・東部ハサカ州でトルコ軍無人機の空爆によりシリア民主軍(SDF)メンバー7人死亡，同州南西部でRPG攻撃によりSDF戦闘員3人死亡(2日)。
   ・北部地域でトルコ軍の作戦行動によりクルド労働者党(PKK)戦闘員5人死亡(10日)。
   ・南部ダマスカス西郊をイスラエル軍がミサイル攻撃，物的損害のみ，シリア政府軍は防空システムによりミサイル数基を撃墜と発表(14日)。
5. ［世界経済］
   ［アメリカ経済］
   ・労働省発表の3月の雇用統計で失業率(季調済，軍人を除く)が3.6％(前月比0.2ポイント低下)，非農業部門の雇用者数が前月比43.1万人増(1日)。
6. ［トランプ政権関連］年表(2020年大統領選挙，バイデン政権によるトランプ政権の政策変更含む)

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#印：軍による「誤射」・「誤爆」または過剰防衛によると見られる事件

上記年表およびIraq Body Count(IBC)のData Base(Recent Events)より作成。 イラク戦争開始以降の統計とIBCのDataの問題点については こちらをご覧ください。

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