「対テロ戦争」における民間人誤射・誤爆・過剰防衛事件(2018年)

「誤射・誤爆」事件においては,死傷者が民間人(非戦闘員)であるか反政府・反外国軍武装勢力であるか,外国軍当局と現地政府や地域住民の主張が異なることが多い。下記では「誤射・誤爆」の可能性が高いと思われる事件を集計した。また,これらはウェブ上の主要メディアの報道や国際機関等の発表を集計したに過ぎないため,現実には,この種の事件はさらに多数発生していると思われる。
下記の表が示すように,“対テロ戦争”において,「誤射・誤爆・過剰防衛」やコラテラル・ダメージ(軍事行動に付随する犠牲)によって,多数の民間人死者が発生している。この問題については,08年末からのイスラエルのガザ地区攻撃にともなう多数の民間人死者発生の問題とあわせて,私が論じたCollateral Damage ― “対テロ戦争 War on Terror”の非人間性をお読みください。
“対テロ戦争”の原点とも言うべきパレスチナ問題の起源と経過については,「イラク戦争前史― パレスチナ問題」をご覧ください。
また,「対テロ戦争」の最前線を知るために:アフガニスタン戦争・イラク戦争という「対テロ戦争」の最前線の状況と日本の関与をどう考えるかについて,映画を素材としたエッセイ,「アメリカはなぜ戦争をし続けるのか」(ドキュメンタリー映画「アメリカばんざい-crazy as usual」),「無知は免罪符とならない」(映画「リダクテッド 真実の価値」)もご参照ください。
国・地域 イラク(IS含む) アフガニスタン シリア その他
種別* 検問等 誤射・誤爆 検問等 誤射・誤爆 検問等 誤射・誤爆 検問等 誤射・誤爆
民間人死者数** 12 6 556
* 検問等:検問所における検問や軍部隊・車列に接近した民間人に対して,軍の指示や停止命令に従わなかったとして,兵士が自爆攻撃等を誤認して民間人に発砲した事件等。
誤射・誤爆:武装勢力掃討作戦や武装勢力の攻撃に対する応戦等において,民間人が死傷した事件。
** 現地治安部隊員や警官の死者を含む。

日付は現地時間

月日 イラク(IS含む) アフガニスタン シリア その他
1月4日 シリア南部ダマスカス近郊東グータの反体制派支配地域をロシア軍が空爆し民間人18人死亡,同地域へのシリア政府軍の砲撃により民間人5人死亡。(AFP)
1月6日 シリア南部ダマスカス近郊東グータの反体制派支配地域へのロシア軍とシリア政府軍の空爆により民間人17人死亡,35人負傷。(AFP)
1月9日 南部ダマスカス近郊東グータの反体制派支配地域へのロシア軍とシリア政府軍の空爆により子ども10人含む民間人24人死亡。(AFP)
1月22日 北西部アフリンをトルコ軍が空爆し民間人11人死亡。(AFP)
南部ダマスカス近郊の反体制派支配地域を政府軍が化学兵器によって攻撃し子ども含む21人が負傷。(AP)(AFP)
1月26日 中部ガズニ州ガズニでアフガン軍の空爆により子ども6人死亡,2人負傷,住民の証言とタリバンの発表,州当局はタリバンの迫撃砲攻撃が原因と発表。(R)
1月27日 アンバル州中部ヒート南方バグダディ地区でISの攻撃を受けた治安部隊の要請による有志連合国軍の空爆により治安部隊員と民間人計11人死亡,7人負傷(30日に1人が死亡)。(AP)(R)
2月5日 南部ダマスカス近郊東グータで政府軍の空爆により民間人31人死亡。(AFP)
2月6日 南部ダマスカス近郊東グータの反体制派支配地域への政府軍の空爆により子ども18人含む民間人70人死亡,100人以上負傷。(AP)(AFP)
2月7日 南部ダマスカス近郊での政府軍とロシア軍の空爆により子ども12人含む民間人34人死亡。(AP)(AFP)
2月8日 南部ダマスカス近郊東グータの反体制派支配地域への政府軍の空爆により子ども含む民間人75人死亡。(AP)(AFP)
2月19日 南部ダマスカス近郊東グータの反体制派支配地域への政府軍の空爆により子ども39人含む民間人127人死亡。(AFP)(AP)
2月20日 南部ダマスカス近郊東グータの反体制派支配地域への政府軍の空爆により子ども19人含む民間人106人死亡。(AFP)(AP)
2月21日 南部ダマスカス近郊東グータの反体制派支配地域へのロシア軍の空爆により民間人38人死亡,ロシア大統領報道官は関与を否定。(AFP)(AP)

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慶應義塾大学 経済学部 延近 充が所有します。無断で複製または転載することを禁じます。

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