「対テロ戦争」における民間人誤射・誤爆・過剰防衛事件(2014年)

2013年末以降のイラク政府によるアルカイダ系武装勢力に対する“対テロ戦争”にともなう民間人死傷者については,こちらをご覧ください
「誤射・誤爆」事件においては,死傷者が民間人(非戦闘員)であるか反政府・反外国軍武装勢力であるか,外国軍当局と現地政府や地域住民の主張が異なることが多い。下記では「誤射・誤爆」の可能性が高いと思われる事件を集計した。また,これらはウェブ上の主要メディアの報道や国際機関等の発表を集計したに過ぎないため,現実には,この種の事件はさらに多数発生していると思われる。
下記の表が示すように,“対テロ戦争”において,「誤射・誤爆・過剰防衛」やコラテラル・ダメージ(軍事行動に付随する犠牲)によって,多数の民間人死者が発生している。この問題については,08年末からのイスラエルのガザ地区攻撃にともなう多数の民間人死者発生の問題とあわせて,私が論じたCollateral Damage ― “対テロ戦争 War on Terror”の非人間性をお読みください。
イラクにおける2013年末からのアルカイダ系武装勢力(イラクとレバントのイスラム国ISIL,2014年6月から「イスラム国」)に対するイラク政府の「対テロ戦争」における民間人の犠牲者については,イラク軍の無差別砲撃・爆撃による民間人犠牲者発生事件(2014年)をご覧ください。
“対テロ戦争”の原点とも言うべきパレスチナ問題の起源と経過については,「イラク戦争前史― パレスチナ問題」をご覧ください。
また,「対テロ戦争」の最前線を知るために:アフガニスタン戦争・イラク戦争という「対テロ戦争」の最前線の状況と日本の関与をどう考えるかについて,映画を素材としたエッセイ集,「アメリカはなぜ戦争をし続けるのか」(ドキュメンタリー映画「アメリカばんざい-crazy as usual」),「無知は免罪符とならない」(映画「リダクテッド 真実の価値」)もご参照ください。
国・地域 イラク アフガニスタン パキスタン パレスチナ
種別* 検問等 誤射・誤爆 検問等 誤射・誤爆 検問等 誤射・誤爆 検問等 誤射・誤爆
民間人死者数** 7 51 17 1492以上
* 「検問等」:検問所における検問や軍部隊・車列に接近した民間人に対して,軍の指示や停止命令に従わなかったとして,兵士が自爆攻撃等を誤認して民間人に発砲した事件等。
「誤射・誤爆」:武装勢力掃討作戦や武装勢力の攻撃に対する応戦等において,民間人が死傷した事件。イスラエル軍のガザ地区攻撃においては意図的と思われる民間人殺傷事件を含む。
** 現地治安部隊員や警官の死者を含む。

日付は現地時間

月日 イラク アフガニスタン パキスタン パレスチナ
1月9日 南部ヘルマンド州ゲレシュク地区でNATO軍兵士の発砲により子供1人死亡。(K)
1月15日 北部パルワン州ゴルバンド地区でNATO軍の武装勢力標的の空爆により女性3人と子供5人含む民間人14人死亡。(K)
4月15日 東部クナール州ナデル・シャーコット地区で米軍の空爆により女性1人と子ども2人死亡,州知事報道官発表。(AP)(K)
7月8日 イスラエル軍がガザ地区に対する「境界防衛作戦Operation Protective Edge」を開始,13日までの空爆により少なくとも民間人130人(子ども35人,女性26人)含む172人死亡,1230人以上負傷,パレスチナ人権センター発表。(AP)(AFP)
7月18日 パキスタン北西部北ワジリスタン地域でのパキスタン軍の空爆により女性9人と子ども6人含む民間人17人死亡。(R)
7月21日 ガザ地区へのイスラエル軍の空爆と地上作戦による7月8日から21日までのパレスチナ民間人死者は389人。(AP)(R)(AFP)
8月5日 西部ヘラート州シンダンド地区でタリバン武装勢力が空港標的にミサイル攻撃,応戦のNATO軍ヘリの空爆により女性と子ども含む民間人4人死亡。(AP) ガザ地区で午前8時から72時間の停戦開始,7月8日から8月4日までのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ民間人死者は少なくとも1492人。(AP)(R)(AFP)
8月15日 東部パルワン州ゴールバンド地区でNATO軍の空爆によりアフガン地方警察官(ALP)3人死亡,1人負傷。(K)
9月2日 モスル北方20kmのティルカイフ地区で米軍の空爆により民間人家族7人死亡。(NINA)
9月10日 東部クナール州ナラング地区でNATO軍の空爆により民間人14人死亡,13人負傷。(R)(K)
10月13日 東部パクティア州ガルデズ郊外でNATO軍の空爆により民間人7人死亡,1人負傷。(AP)(R)
12月26日 東部ロガール州バラキバラク地区の民家へのNATO軍の空爆により民間人5人死亡,5人負傷。(K)(AP)

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慶應義塾大学 経済学部 延近 充が所有します。無断で複製または転載することを禁じます。

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