独占資本主義論(2017年度)

Monopoly Capitalism
a.y. 2017

学習のための指針


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12月22日は休講,次回講義は1月12日です。

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講義資料 第3章 第3節 (11/17)
Introduction

 マルクス経済学の理論体系のなかで独占資本主義論の占める位置は,担当講義案内のページで述べたとおりですが,ここでは,独占資本主義論の特徴あるいはこの理論を学ぶ意味についてまず補足しておきます。また,「スタディガイド」もご覧ください。

 マルクス経済学の理論は,一般に難解な言葉を使った抽象的な理論と思われがちですが,決して抽象的でも「理論のための理論」でもありません(一般になじみの薄い,やや難解な言葉は出てきますが)。むしろ歴史的事実や今生きている現実と格闘しながら,資本主義の歴史的変化を分析しその矛盾をはらんだ問題点の根源を明らかにしようとする理論だと言えます。

 独占資本主義論ももちろんそのような理論です。資本主義経済は20世紀にはいる頃から,それまでの全面的な競争に代わって主要な産業部門において独占的市場が形成されるようになりました。1つ1つの企業が大きくなるだけでなく,競争に敗れた企業が倒産したり大きな企業に吸収されたり,あるいは大きな企業どうしが合併したりして,1つの市場の中に存在する企業の数が減少していったのです(資本の集積・集中)。このことが,個々の企業が単独であるいは協調して価格を高い水準に維持し,競争が支配した場合よりも多くの利潤を獲得することを可能にしたわけです。

 こうなると資本主義の運動法則は変化し,その矛盾の現れ方も違ったものになります。競争が全面的に支配する段階には,19世紀のイギリス経済がそうであったように,ほぼ10年周期で好況局面と不況局面とが交互に出現する規則的な景気循環が見られました。これは見方を変えると,外部から力が加わらなくても不況から自動的に景気を回復させるメカニズムが資本主義経済内部にあったことを意味します。

 独占資本主義段階になると,こうした景気の自動回復メカニズムは失われ,停滞化傾向が強く支配するようになり,外部的な条件が与えられたときにのみ経済の急激な成長が実現されるというように,景気循環の形態が変化します。20世紀前半のアメリカ経済はその好例です。第1次大戦や自動車・電機産業などの誕生と発展に支えられて,1920年代までアメリカ経済は急速な成長を実現しました。しかし1929年恐慌以降,状況は一変して1930年代を通じて鉱工業生産は恐慌前の水準を下回りつづけました。急速な経済成長が再現されたのは第2次大戦が始まってからです。

 このような資本主義の歴史的な段階変化(下図参照)―競争の全面的な支配から独占の形成・規則的な景気循環から停滞基調と間欠的な発展―のメカニズムと意味を理論的に考えるのが独占資本主義論です。もちろん19世紀末から20世紀初めの期間の問題だけではありません。
 第2次大戦後は国家が経済過程に恒常的に大規模な介入を行なう時代になっており(国家独占資本主義),国際経済が各国経済に与える影響が飛躍的に大きくなっている時代ですから,現代の問題を分析するためには国家の行なうさまざまな政策や国際関係の考察が必要です。

資本主義の歴史的段階変化

 しかし,主要な産業部門が独占部門であることに変わりはありませんし,独占資本主義の諸矛盾に対処するために国家の介入や国際経済体制の再編が必要とされたわけですから,現状分析を行なうための理論的基礎としての独占資本主義論の重要性はむしろ大きくなっているといえるでしょう。

 たとえば資本の集積・集中ということを自動車産業を例にすると,1920年代のアメリカでは,ピーク時で90社近くあったメーカーが1920年代半ばにはフォード・GMなどわずか4社に減って独占的市場支配が確立します。第2次大戦後,自動車産業は世界的に発展していきますが,その過程で,アメリカは3社,イギリス・西ドイツ・フランス・イタリアはそれぞれ1〜3社程度に企業数はしぼられます。
 日本だけは例外的に約10社の乗用車メーカーが存在しますが,下位メーカーは上位メーカーや外国企業と資本・提携関係にあります。さらに1990年代後半になって,ドイツのダイムラーベンツとアメリカのクライスラーとの合併や日産とフランス・ルノーの資本提携合意など,国際的な再編の流れが急速になってきました。

 これはほんの一例ですが,こうした現実の意味するところを考えるための理論的基礎として独占資本主義論は必要ですし,逆にこうした現実から理論の妥当性を検証し必要であれば理論を補強していくことも必要となります。

 競争段階から独占段階への移行の問題,独占段階以降の分析の方法的諸問題,独占資本主義の理論,国家独占資本主義の理論,それらの理論を基礎とした現代資本主義分析などについては,この講義の教科書の延近 充『21世紀のマルクス経済学』(慶應義塾大学出版会,2015年),参考書の延近 充『薄氷の帝国 アメリカ― 戦後資本主義世界体制とその危機の構造』(御茶の水書房,2012年)を読んでください。
なお,履修する人たちの参考として,過去の試験問題や採点結果,成績統計と講評をWhat's Oldに掲げておきます。これらは昨年度までのこのページに掲載された内容の一部です。

Information

【学習方法】

講義内容を理解するためには授業に出席することが大前提なのは言うまでもないことですが,私の講義では履修者の理解を支援するため,以下のような講義方法をとっています。この方法に沿って学習されることを強く推奨します。
(1) 講義の1週間前までに講義資料ファイルをアップしますので,履修者は講義資料ファイルをダウンロードしてください。ファイルはMS WordとPDFが選べます。
(2) 履修者は講義日までに,講義資料を参考にして上記で指定した教科書や参考書を読んで予習しておいてください。
(3) 講義では履修者が講義資料を持っていることを前提として説明します(PCの持込み可。講義を聴きながら講義資料にノートするなどして内容を理解するよう努力してください。また,講義後にも理解をより深めるためにノートを再整理されることを勧めます。
(4) 講義内容の一区切りごとに「授業内レポート」課題を出題します。「課題」は該当講義内容の重要部分をテーマとしたものですので,ノート・テキストなどを参考にして自分の力でレポートにまとめてください。
レポートの作成・提出は義務ではありませんが,その作業によって講義内容の理解がより確実なものになり,定期試験前の勉強は格段に容易になるはずです。
レポートの目的や提出等について,より詳しくは《授業内レポート》の部分を見てください。
レポートの提出と成績との相関については【What's Old】のページで過去の試験結果と講評を見てください。
(5) 「課題」の提出期限後に,論述のための重要ポイントについての解説を授業内レポートのウェブ・ページに掲載します。自分の書いたレポートと比較し不十分だった点を改良してまとめなおすことを推奨します。講義内容の正しい理解とその論述のトレーニングに役立ちます。

【履修参考資料】

以下のページは履修者にとって重要な参考資料になります。ぜひ読んでおいてください。

【講義要綱】
わたしの担当講義の講義要綱
【What's Old】
過去の試験問題と採点基準,成績統計と講評など。履修者にとって重要な参考資料となります。ぜひ読んでおいてください。
[成績評価への質問について]
経済学部では,成績評価についての質問は所定の質問用紙に記入し学事センターを通じて担当者に送付されることになっています。この方法以外での質問は受け付けられません。
質問の際には採点基準を熟読し,自分の答案と比較して自己採点したうえで,それでも疑義がある場合のみ質問用紙に疑義の内容を詳しく記入して,所定の手続きをとってください。
なお,採点は採点基準に従って答案を複数回読み直して厳密に行なっています。講義を担当するようになって以来,今までに学生からの質問によって成績評価を変更したことは1度もありません。「ダメもと」で質問しても無駄ですので,念のため
【講義資料】
 講義の際に使用する講義資料をダウンロードできます。
【Study Guide】
経済学部のマルクス経済学科目の学習ガイド。
【Q&A】
講義内容についての質問と回答など。掲示板形式です。講義に対する感想や要望なども自由に書き込んでかまいません。アクセス方法は授業で説明します。
【学生による授業評価】
わたしの担当講義に対する学生の評価の集計結果。匿名・アンケート形式による。

Lecture Note

講義の際に使用する講義資料のファイル(Microsoft Word版またはpdfファイル)です。掲載の目的は,講義でとりあげられる内容を前もって知らせ,またテキストを読むうえでの指針を提供することで,皆さんの予習の助けとするためです。該当部分の講義が終われば削除します。この資料があれば講義を聴かなくても講義内容が理解できるというものでは決してありません。くれぐれも誤解のないように!

《授業内レポート》

  1. 講義の内容の一区切りごとに課題が出されます。
  2. レポートの提出方法は授業内レポートのページを見てください。指定された方法以外による提出は無効です。
  3. レポートの提出は義務ではありません。あくまでも自発的な学習の手助けとなるものです。
    ただし,レポートの内容に応じて定期試験の点数に加算します。
  4. 課題を出題した翌週に論述のための重要ポイントを提示します。
  5. 定期試験の問題は,これらの課題を基礎として出題されます。
  6. 論述のための重要ポイントの解説によって,与えられたテーマについてどのような点に注意して論述すればよいかを理解し,自分の解答と比較して書き直すことで的確な文章化のトレーニングにもなるでしょう。
  7. 試験前の勉強においても,ヤマ賭け勉強や学生の間で出回っている低水準のあやしげな「模範解答<ノブチカ独占対策>」の丸暗記でなく,課題全般の復習によって対応できるはずです。

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