独占資本主義論 定期試験情報
(2019年度)


試験問題と採点基準(春学期末, 秋学期末) 成績統計

《春学期末試験》

[問題]試験時間:50分,持込み可

以下の(1),(2)のどちらか1つを選択して答えなさい。両方の解答が書かれた答案は採点の対象外とします。

(1) 競争的市場構造が独占的市場構造に変化するメカニズムを説明しなさい。

(2) アベノミクスと呼ばれる経済政策において,消費者物価指数上昇率を2%程度に上げるという目標が重視される理由と,この政策開始から6年以上経過してもこの目標が達成されていない理由を,講義で説明された内容に基づいて説明しなさい。

[採点基準]

以下の内容がどの程度説明されているかによって採点します。絶対評価を基本としますが,相対評価を加味(全員の答案を読んだうえで採点基準・配点を変更)する可能性があります。

(1) 個別資本が最大限の価値増殖を求めて競争的に行なう資本蓄積と生産力の向上が,最低必要資本量の増大と資本の集積・集中の進展をもたらし,市場構造を変化させるメカニズム

1) 競争的市場−市場規模に比べて相対的に小規模で多数の競争者の存在
a) 生産量の調整による価格操作の可能性
b) 協定による生産調整の可能性
c) 参入可能性
個別資本は与えられた市場条件のもとで当面の自己の利潤最大化をめざす。
2) 資本蓄積の進展過程の特徴(生産力向上と資本蓄積の相互促進的進展)
a) 生産力向上による特別Mの獲得と販売量増大
b) 競争の強制による新生産方法の導入
3) 市場構造の変化
a) 最低必要資本量の増大(生産力向上にともなう生産の大規模化)
b) 資本の集積・集中(競争と信用)
4) 独占的市場構造−少数の巨大資本による協調と競争(加点要素)
a) 高い市場集中度(生産量調節による価格支配の可能性と部門内企業の利害の一致)
b) 高い参入障壁(参入抑制による長期的価格支配・利潤最大化)

(2) アベノミクスの経済理論的支柱のリフレ派の批判

1. CPI上昇率2%が重視される理由=リフレ派の主張
大規模な金融の量的緩和+インフレ・ターゲット政策
⇒物価上昇→実質金利低下という合理的期待形成
⇒投資と消費増大→景気回復
2. リフレ派の主張の理論的欠陥
(a) 貨幣数量説:貨幣の機能は流通手段だけではない⇒販売と購買の分離
(b) 合理的期待形成説は実証されていない
(c) 消費や投資の決定要因は金利だけではない
3. 統計的事実からの批判(加点要素)
(a) マネタリーベースとマネーストックとの相関
(b) 90年代以降の企業の内部留保の急増

《秋学期末試験》

[問題]試験時間:50分,持込み可

以下の設問(1)〜(3)のうち1つを選択して答えなさい。解答は選択した問題番号を冒頭に付して記入すること。複数の解答が書かれた答案は採点の対象外とします。

(1) 初期IMF=ドル体制がアメリカとアメリカ以外の加盟国にとってもつ意味と,この体制が1970年代初めに崩壊した理由を説明しなさい。
(2) アメリカの経常赤字をファイナンスする「危うい循環」とはどのようなものか。1980年代前半と後半,1990年代のファイナンス構造の変化とともに説明しなさい。
(3) 2001年以降のアメリカの対テロ戦争について,
@ドルの基軸通貨特権と対テロ戦争との関係と
A 対テロ戦争が長期化・泥沼化する理由を説明しなさい。

[採点基準]

以下の内容がどの程度説明されているかによって採点します。絶対評価を基本としますが,相対評価を加味(全員の答案を読んだうえで採点基準・配点を変更)する可能性があります。

(1) 初期IMF=ドル体制の特徴と崩壊した理由

1.アメリカ以外の加盟国にとってもつ意味:固定レート制維持[20点]
1) 外為市場への介入のためのドル準備の必要性
2) 国際収支均衡化の必要性:短期的な意味と中長期的な意味
2.アメリカにとってもつ意味:基軸通貨特権[20点]
1) 国民通貨ドル=基軸通貨→国際収支の赤字を継続できる特権
2) 金交換の制約:圧倒的な経済力と金準備が維持できる限り意味を持たない
3.崩壊の理由[60点]
1) アメリカの冷戦戦略の実行・ベトナム戦争⇒国際収支の政府部門の赤字幅拡大
2) 軍需産業以外の在来産業の国際競争力低下
(a) アメリカ経済の軍事化→非軍事在来産業の技術革新低迷
(b) アメリカ企業の多国籍化→海外投資増大および国内産業の設備投資の停滞と生産性上昇率の鈍化
(c) 景気刺激・成長持続政策とベトナム戦争への本格介入→財政支出増加→景気過熱→物価上昇
⇒国際収支の民間部門の黒字幅縮小→国際収支の赤字増大→金準備の減少⇒ドルに対する信認の低下

(2) アメリカの経常赤字をファイナンスする「危うい循環」

1.レーガン軍拡と「双子の赤字」[25点]
軍事支出の急増→財政赤字の累増→金利上昇→外国資本の流入→ドル高
→投機的利得を求めるいっそうの外国資本の流入→ドル高のスパイラル
ドル高による産業空洞化⇒構造的な貿易赤字累増体質
景気上昇→貿易赤字増大→経常収支赤字化・赤字額累増
2.プラザ合意前の経常赤字のファイナンス構造[25点]
(a) 高金利とドル高によるキャピタル・ゲインを求める投機的な外国民間対米投資
  ⇒資本流入によるファイナンス
(b) このファイナンス構造の脆弱性=「危うい循環
 高金利・ドル高の継続に依存した対米民間投資=ドル買い
 ⇔アメリカ経済の実態と乖離した異常ドル高
 民間資本のドル離れ⇒ドルのスパイラル的下落=ドル大暴落の危険性を内包した循環
 ドル大暴落⇒ドルの基軸通貨特権の喪失⇒アメリカの経常赤字の持続不可能
 ⇒アメリカ経済の「繁栄」持続が不可能
3.プラザ合意以降の経常赤字のファイナンス構造[25点]
(a) 経常赤字累増のもとで
 外国政府によるドル・冷戦体制支持金融
 ドル安傾向のもとでの対米民間直接投資
 投機的利益を求める対米民間証券投資
(b) 「危うい循環」の固定化・構造化
 外国公的機関・民間資本の対米投資累増に依存
 →投資収益の海外送金の累増→投資所得収支の黒字減少
 ⇒経常赤字改善の可能性喪失
4.1990年代の経常赤字のファイナンス構造[25点]
(a) グローバルな生産体制のもとでの貿易赤字累増体質の深化
(b) 外国資本流入によるファイナンス規模の膨大化
(c) アメリカをハブとするグローバルで大規模な資本取引循環の成立
 =投機的金融取引増大に依存した経常赤字のファイナンス構造

(3) @ ドルの基軸通貨特権と「対テロ戦争」との関係

1.アメリカ経済の「繁栄」と基軸通貨特権[20点]
(a) アメリカ経済の「繁栄」⇒経常赤字累増
(b) ドルの基軸通貨としての地位を基盤とする「危うい循環」によって経常赤字がファイナンスされる限りで「繁栄」の持続可能
(c) ドルの基軸通貨としての地位低下→「危うい循環」の崩壊→「繁栄」の瓦解の危険性
2.中東産油諸国のユーロ建て石油取引の拡大の可能性[20点]
(a) 食料のための石油計画におけるイラクの石油輸出のユーロ建てへの変更
(b) イランの石油輸出のユーロ建てへの変更計画
(c) ドルの貿易取引通貨としての地位の低下⇒ドルの基軸通貨としての地位低下
3.イラク攻撃の経済的意味[10点]
中東原油のドル建て取引の維持⇒ドルの基軸通貨特権の死守
イラク攻撃によるフセイン政権打倒⇒イラクの石油取引のドル建てへの復帰
⇒「危うい循環」崩壊の回避

A 「対テロ戦争」が長期化・泥沼化する理由

1.国家間の戦争[20点]
(a) 国家組織という地理的・国際法的に明確な存在を対象
(b) 軍事力による敵国の経済・社会に決定的な打撃または国家の中枢部の崩壊
→敵国が降伏=明確な勝利によって戦争終結
2.非国家勢力に対する国家の軍事力の限界[20点]
(a) 非国家勢力:「敵」の概念が曖昧
(b) IT化・ネットワーク化の進展⇒活動範囲のグローバルかつ柔軟な拡大が可能
(c) 非国家勢力が民間人のなかに潜伏しゲリラ的攻撃⇒国家の軍事力による攻撃
  ⇒民間人のコラテラル・ダメージの発生
(d) 犠牲者の親族・関係者の非国家武装勢力への参加
3.ブッシュ政権の対テロ戦争戦略[10点]
(a) 攻撃対象をテロの支援者・支持者・秘匿者にまで拡大
(b) 「対テロ戦争」の勝利のためには攻撃対象が無限に拡大する可能性
(c) これらの結果として戦争は終わらない⇒「対テロ戦争」の長期化・泥沼化

成績統計

採点と成績集計が終わりましたので,成績統計と講評を掲載しました。(1/28)
第1表 受験者総数に占める各評語の割合
3年 4年 合計
19年 18年 17年 19年 18年 17年 19年 18年 17年
S 5.0 6.3 4.3 0.0 0.0 2.3 4.4 4.8 4.0
A 9.7 5.3 8.6 2.6 3.1 2.3 8.8 4.8 7.5
B 29.8 30.6 33.0 17.9 15.4 16.3 28.3 26.9 30.2
C 44.2 44.2 37.3 53.8 52.3 53.5 45.5 46.1 40.1
D 11.2 13.6 16.7 25.6 29.2 25.6 13.1 17.3 18.3
受験者 258 206 209 39 65 43 297 271 252
欠席率 4.1 5.5 4.6 47.3 42.0 56.1 13.4 17.9 20.5
履修者 269 218 219 74 112 98 343 330 317

第2表 得点状況
最高点 最低点 平均点
3年 4年 3年 4年 3年 4年 全体
85 60 0 0 48.9 31.1 45.6
90 75 15 0 56.1 52.1 55.6
合計 175 135 25 10 105.1 82.6 102.1

参考表(昨年度の得点状況)
最高点 最低点 平均点
3年 4年 3年 4年 3年 4年 全体
90 75 0 4 48.2 39.7 45.8
100 80 0 0 50.0 42.8 48.3
合計 190 150 0 28 98.5 83.0 94.8
第1図 得点分布(各得点階層が受験者総数に占める割合)
第2図 秋学期得点分布
 第3図 秋学期問題別得点分布(1)
 
 第4図 秋学期問題別得点分布(2)
第5図 秋学期問題別得点分布(3)
  第3表 レポート提出率(%)
合計
3年 56.4 44.9 49.3
4年 17.6 10.3 13.0
全体 48.0 37.4 41.4
 第4表 レポート提出回数と評価別の平均点
提出回数 9-8 7-6 5-4 3-1 0
平均点 127.5 113.0 97.8 95.9 80.7
レポート評価 S A B C D
平均点 141.9 127.0 107.6 92.8 81.4
各評語の割合を昨年度に比べて見ると,3年生については,S+Aが3.1ポイント増加Dが2.4ポイント減少,4年生はDが8.9ポイント減少した。

秋学期の問題は,授業内レポートの課題7〜9と同じで,その中から1問選択で持込み可ですから,講義資料・教科書・レポートの論述ポイントを復習したうえで,持ち込んで受験すれば,ある程度以上の答案を書くことは難しくなかったはずです。

このような出題をした理由は,今年度で私の授業担当は終わりで,来年度に再履修の機会はないので,単位取得が容易になるように,という思いからでした。Dが減ったのは狙い通りといえますが,それでも3年生は11%がD4年生は4人に1人がDという結果となりました。

ほとんどの学生が講義資料や教科書,論述ポイントを持ち込んでいたにもかかわらず,優れた答案を書いた学生が増える一方,得点が伸びない学生も多かったのはなぜでしょうか?

昨年度の講評で,答案の最後に記されていた学生のコメント(感想や批判)を引用し,レポートの論述ポイントは,まさにポイントであって,これらを答案の中に論理展開もなく並べただけでは,それらは「線でつながって」いないし,「なぜそうなるのか」も説明できていないので,「総合的な理解」を表現した解答にはならないのです,と書きました。
評価の低かった答案は,まさに論述ポイントを箇条書きにしたような内容,または教科書の該当する部分と学生が考えた部分をいくつか並べて引用しただけの内容でした。

問題(1)の答案で多かったのは,これも昨年度と同じで,問題前半の初期IMF=ドル体制の特徴について,アメリカはドルが基軸通貨となったので国際収支の赤字を継続できる基軸通貨特権を獲得した,という趣旨だけ,アメリカ以外の加盟国は国際競争力の強化を義務付けられたという趣旨だけを書いたものです。

このこと自体は正しいのですが,なぜドルが基軸通貨となったのかなぜアメリカは国際収支の赤字を継続できるのかアメリカ以外の加盟国はなぜ国際競争力を強化しなければならないのかが書かれていなければ,問題の要求に答えたことにはならないのです。

さらに,問題の後半は初期IMF=ドル体制がなぜ崩壊したのかの説明を要求しているにもかかわらず,ドル危機,金プール制,金の二重価格制,金とドルとの交換停止,スミソニアン協定など,この体制が崩壊した経緯を長々と述べている答案が目立ちました。これも問題の要求に答えていません。このことは,授業でも注意し,課題7の論述ポイントでも注意喚起してあります。授業に出ていない学生でも,論述ポイントを読むという最低限の準備をしていれば,このような答案にはならなかったはずです。
特に4年生で10点以下が20%以上もいたのは,これが原因です。

問題(2)では,80年代以降のアメリカの双子の赤字,すなわち財政赤字と経常赤字が累増していった理由を説明する必要がありますが,レーガン政策についての説明が不充分な答案が少なくありませんでした。軍事支出の急増⇒ドル高については教科書の記述を利用して説明してあっても,ドル高がなぜ経常赤字を累増させなぜ産業の空洞化をもたらしたのかという因果関係の説明が不充分な答案が目立ちました。

さらに,経常赤字を「経営赤字」と書いた答案が少なくなかったのに驚きました。
試験場を見回っていた時に,講義資料や過去問の採点基準などの資料ではなく,レポートのような印刷物をそのまま写している学生が何人もいました。それらは同じような外見だったので,ひょっとしたら模範解答らしきものが出回っていたのかもしれません。そこには経常赤字を「経営赤字」と記載されていて,それを何の疑問もなく書き写したのでしょう。
だれが作った模範解答か知りませんが,驚くほどレベルの低い作成者です

「危うい循環」の説明を求める問題なのに,この言葉がない答案もありました。
昨年度に書いたことを再録しておきます。

「危うい循環」の説明についても,もっとも重要なのは,1980年代の以降のアメリカ経済が膨大な経常赤字を計上し続けていられるのはなぜなのかです。それは第一義的には,ドルが基軸通貨の地位にあるからで,実際にそのような説明をしているアメリカ経済の研究者もいます。
しかし,問題(1)で出題したように,1960年末まではドルは金との交換性を維持していたことなど,ドルが基軸通貨であるための制度的な基礎がありましたが,それらは1971年の金ドル交換停止によって基本的に失われます。
制度的な基礎が失われたとすれば,ドルが基軸通貨であり続けるための実体的で国際的な資金循環が必要となるのです。その資金循環が「危うい循環」なのです。
そうした資金循環をもたない国,つまり自国通貨が国際的な取引に使用される実体的な基礎がない国では,経常赤字を継続することはできないのです。1980年代の南米諸国,1990年代後半のアジア通貨危機の影響を受けたタイ,韓国などのアジア諸国,ロシアなどです。

これらのことの説明を求めているのが問題(2)です。しかし,経常収支と資本収支との関係が理解できていないために,教科書の叙述を断片的に引用し,それらをつなぐ接続詞がなかったり,「その結果」と表現しながら,その前後が論理的につながっていない文章など,理解不足を露呈した答案も目立ちました。

問題(3)は,論述ポイントを持ち込んでいれば,講義資料や教科書にはまとまった叙述がありますから,それらを参照して答案を書くのはそれほど難しくなかったはずです。ただし,基軸通貨特権の維持のためのイラク攻撃ということは書けていても,なぜ基軸通貨特権を維持する必要があったのか,つまり「危うい循環」についての説明がおろそかになっていた答案が少なくなかったこと,また国家の軍事力による非国家勢力との戦争の特質やコラテラル・ダメージの問題についての叙述が不充分な答案が少なくなかったことが,得点分布にばらつきが出た原因です。


この3つの試験問題が求めているいくつもの「なぜ」を解明し一つ一つはバラバラに見える事象を分析と考察によって「線につなげて」,現代の世界が抱える問題を多面的・総合的に論じたのが,私の著書『薄氷の帝国 アメリカ』と『対テロ戦争の政治経済学』であり,その内容を基礎理論から現代経済の分析まで平易に解説したのが,教科書の『21世紀のマルクス経済学』なのです。
そして,これらがこの講義でみなさんに理解してほしかったことでもあります。




授業でも話しましたが,私は今年度限りで授業担当は終了です。経済学部には,定年退職者が担当していた科目について,専任者に担当できる者がいない場合,3年を限度として退職者に授業の担当を依頼できるという内規があります。
私は今年度が2年目ですが,マルクス経済学の授業担当案を作成する大西広さんから,「2020年度のマルクス経済学と独占資本主義論は専任者で賄うことになりました」という理由で,私に担当を依頼しないとの連絡がありました。
「なりました」と何か学部内の委員会で決まったような表現ですが,理論部会のカリキュラム委員からはそのような決定はされていないという情報をもらいました。それで大西さんにどのような組織で決まったのかを問い合わせると,組織名などの回答はなく,カリキュラム委員会で退職者の授業担当は原則2年にすると決まったとの回答がありました。
これも,カリキュラム委員会でそのような決定ができるわけではないので,これが虚偽であることは明らかです。
マルクス経済学I ,II は大西さんの教え子を非常勤講師として担当させることになったようです。最初の理由と矛盾する担当案ですね。独占資本主義論は大西さんが担当されるようですが,この分野について大西さんに業績があるわけではないので,おそらく大西さんが理論部会で提案され,却下され続けている,独占資本主義論を「マルクス経済学中級」に変更する案を実現するためのフレームアップと推測するしかありません。

事情はともあれ,私は非常勤講師の身分ですから,授業担当案に異議を唱える権限がありませんので,経済学部での授業担当はなくなりました。
にもかかわらず,この講評を書いているのは,学生の皆さんに,この科目に限らず,学習に取り組む姿勢を伝えたいという思いからです。
皆さんに私の思いが伝わって,今後の学習の参考になることを願っています。
最後に,多くの学生が書いてくれたコメントを引用しておきます。かなりの数の学生が,腸閉塞による入院,大腸がんの手術のための入院をした私の身体を気遣う感想を書いてくれていました。感謝しています。ありがとう!心配かけてすみません。
多少我田引水的になりますが,私が授業で伝えたかったことが,みなさんの心に届いていたんだと実感できるコメントが多数あって,うれしくなったので。


延近先生が独占資本主義論の講義をされるのは最後と仰っていたので,新しい教科書の範囲(補章)の問題(3)を選択しました。(授業も力を入れられていた気がしたので) この授業が慶應三田から無くなってしまうのは,率直に大きな損失であると思うし,残念です。
*このコメントは私のツイッターで取り上げました。たくさんの人が「いいね!」してくれました。

前期の試験時は感想を書く時間がなかったため,今回1年分の感想を書きます。延近先生の授業で面白いと感じたことは,マスメディアを見ているだけでは分からない政治経済の本質を教えてくださったことです。例えば,前期に触れた「リフレ派」に関する授業では,経済の理論を構造的に知ることができましたし,「競争部門,独占部門」についてでは,自分が今まで分かったつもりだったことを,しっかり自分の言葉で落とし込んで理解できるようになりました。
後期では,アメリカとイラク・アフガニスタンの「対テロ戦争」がすごく興味深かったです。高校の時に世界史を選択していたのですが,そのときはなぜこんなにもアメリカが中東に介入するのか,本質的な理由が分かっていませんでした。しかし,先生の授業で「対テロ戦争」のウラには,ユーロ建てにしようとする中東を,基軸通貨特権の維持,それによる「繁栄」維持のため・・・という思惑があることを理解しました。
そして,それらの理解をより深めてくれたのがレポート課題です。レポートを書くことで授業中に頭に入ったごちゃごちゃした内容を,自分の言葉で構造的に書き,理解を定着させてくれました!

*文章もしっかりしているし,レポートを含めてしっかりと勉強されていることが伝わってきます。素敵なコメントをありがとう!

これまでマルクスと独占資本主義論ではお世話になりました。時には難しくてスピードについていけなくて(特に今期)心が折れそうにもなってましたが,課題をやることでちゃんとフォローできて,乗り切れました。授業のモチベーションとしては,ほとんど先生の雑談?お話を聞くためだったと思います。
今年が最後ということで私も後輩たちも先生の授業を受けられないのは寂しいです・・・。でもお身体を第一優先に元気に回復してください。最後になりますが,本当にありがとうございました。

*授業でも謝りましたが,授業は今年度限りということで,何としても「対テロ戦争」や「抑止力のジレンマ」の話までしたくて,秋学期はスピードアップしてしまいました。「雑談」をしなければもう少しスピードを落として授業ができたのですが,その時その時の政治や社会情勢について,どうしても話しておきたくなってしまいますし,春学期の答案でも,みなさんが「雑談・余談」を楽しみにしているとのコメントが多かったので・・・。これからも私が分析したことや考えたことは,ウェブサイトその他で発信していくつもりなので,時々は覗いてみてください。

一年間通して熱心にご講義いただき,ありがとうございました。延近先生のおかげで,競争・独占段階における企業の動きや,景気循環について理解をより一層深めることができました。また,補章で扱った「対テロ戦争」のテーマも非常に興味深く,過去から現在までの一連の流れの中で学習することができました。今年度で退任されるとのことで,非常に寂しく思っています。どうか今後ともご自愛ください。
*私も学生さんたちの前で授業をする機会がなくなることが寂しいです。4月以降,もっと寂しくなるのかなあと考えています。

秋学期の最後で習ったアメリカの対テロ戦略,イラク戦争などについてのお話がなかなかテレビやニュースで聞くことのできない真実であったため,大変勉強になりました
先生の最後の授業を受講できてよかったです。今,テロ問題がホットなので勉強になりました
*多少無理をしましたが,補章まで授業をしてよかったなと思いました。

一言でいうと,「努力の成果が如実に表れる科目」であると感じました。2年の時にマルクス経済学を取っていなかったので不安でしたが,勉強すれば全く問題なかったです。教科書やレジュメも分かりやすく,後は「己の努力」のみです。後輩や同期にも是非履修してもらいたいです。体調に気を付けてください
*残念ながら,今年度で授業担当は終わりなんです。

2年生から授業を受けさせていただいており,延近先生の授業の単元が終わるごとにレポートを出すというやり方に満足していました。というのも,授業が終わったあとにすぐレポートに取り組むことで,点として存在していた知識が線で結ばれ,体系的な理解につながるからです。そうして得た理解は脳に残り,今回のテストでも軽い復習で十分な対策ができました。2年間ためになる講義をありがとうございました。お体に気を付けて,これからも頑張ってください。
*そのような努力によって体系的な理解ができれば,この授業だけでなく,ほかの授業や,あなたのこれからの人生にも役に立つことでしょう。

帰国子女である私にとって延近先生の「独占資本主義論」というトピックの講義は,非常にチャレンジングなものでしたが,一年通して講義を受けてみて,とても興味深い内容でした。特に『対テロ戦争の政治経済学』では,アメリカで高校3年間をすごし,勉強した私でも,初めて知るような「裏のアメリカ経済」を知ったような面白い感覚でした。延近先生の授業を受講して良かったと,一年を通して感じています。少しなごり惜しいですが,一年間本当にありがとうございました!!。p.s.『対テロ戦争の政治経済学』を三田のメディアにもたくさん置いていただければ幸いです!!多くの塾生が読みたいと思うので!!
*政治,経済,軍事それぞれの専門家はたくさんいますが,それらを総合して現代の社会を分析しているのは,日本だけでなく世界でも少数だと思います。その集大成が私の3冊の著書であり,この授業だったのです。図書館の蔵書は各学部の図書委員が決めているはずなので,私の力では・・・。買って読むように勧めてね!

非常に辿りやすい論理の下で授業を進めてくださったので,とても理解しやすかったです。また,補章の内容はもっと多くの人々に知ってもらいたいと思える内容でした。来年以降の後輩たちが履修できないのが,とても残念です。1年間お世話になりました
*友達や知り合いの人に私の本を勧めてくれるとうれしいです(笑)。。

まだまだ感想はたくさんありましたが,最後に。
熱心に授業を聞いてくれたみなさん,私の経済学や余談に興味を持って聞いてくれ,私の身体を気遣ってくれた学生さんがたくさんいたこと,このことは絶対忘れませんし,これからの私の人生にとって力になると確信しています。
ほんとにありがとうございました!!。勉強がんばってね!私も研究を続け,その成果は世の中に発信していきます。

春学期

第1表 受験者総数に占める各評語*の割合
3年 4年 合計
19年 18年 17年 19年 18年 17年 19年 18年 17年
S 5.4 2.8 4.7 0.0 0.0 0.0 4.3 1.6 3.6
A 13.4 10.2 16.5 0.0 2.2 5.9 10.8 9.9 17.5
B 24.5 29.3 32.5 6.5 13.5 17.6 21.1 24.7 28.9
C 36.0 40.5 34.0 37.1 52.8 54.4 36.2 44.1 38.9
D 20.7 17.2 12.3 56.5 31.5 22.1 27.6 21.4 14.6
受験者 261 215 212 62 89 68 323 304 280
欠席率 4.0 3.2 3.2 25.3 25.2 30.6 9.0 10.9 11.7
履修者 272 222 219 83 119 98 355 341 317
* 春学期の成績のみで評価した場合。
第2表 得点状況
最高点 最低点 平均点
3年 4年 3年 4年 3年 4年 全体
(1) 85 60 0 0 40.0 27.5 37.6
(2) 85 65 10 30 50.7 47.0 50.3
昨年度 90 75 0 0 48.2 39.7 45.7
問題別の平均点は各問の満点に対する%。
 第1図 得点分布(各得点階層が受験者総数に占める割合)
 第2図 問題別得点分布(1) 
 第3図 問題別得点分布(2) 第3表 レポート提出率
R1 R2 R3 合計
3年 59.2 54.4 53.7 55.6
4年 4.8 5.5 4.4 4.9
全体 64.0 59.9 58.1 60.5

第4表 レポート提出回数と評価別の平均点
提出回数 3 2 1 0
平均点 58.7 45.7 41.7 34.0
レポート評価 A B C D
平均点 66.8 57.8 48.1 45.6
第1表の評語の割合を見て,昨年度までの成績と比べて目立つのは,D評価が3,4年生ともにかなり増加していることです。

この成績低下の主要な原因は,(1)の競争段階から独占段階への移行メカニズムを選択した人の解答にあります。問題はレポートの課題2と同じで,定期試験の問題としては2017年度にも出題されていますから,論述ポイントや採点基準をコピーして持ち込んでいれば,あとは講義資料や教科書を基にして文章化するだけです。
また,17年度はこの問題の他に基本的概念の説明問題が2つ出題されましたから,今年度は解答のための充分な時間的余裕もあったはずです。

にもかかわらず,平均点は,17年度の3年生が51.2,4年生が38.9に対して,今年度は40.0と27.5と大幅に下がっています

これは,競争的市場の独占的市場への移行のメカニズムの説明を求められているにもかかわらず,採点基準の1)の競争的市場の特徴にまったく言及していない答案が多かったためです。

教科書で市場構造の変化を説明した部分は2カ所あります。97ページと152ページです。
どちらも生産力の向上→生産の大規模化→最低必要資本量の増大→これを調達できない中小資本の生産停止or部門からの退出or大資本による吸収or中小資本の合併→資本の集中(部門内資本の数の減少and個別資本の規模拡大)という趣旨です。
両者の違いは,前者が資本蓄積と生産力向上の一般的傾向を基礎とした論理展開,後者は景気循環のメカニズムの説明によって,市場構造の変化がより豊かに展開されていることです。
春学期の授業では景気循環についてはまだ説明されていませんから,前者についての説明が問題の要求です。

ただし,97ページの説明は「生産力の向上は・・・」から始まっていて,なぜ生産力が向上するのかという説明はありません。これは,94ページの競争的市場の特徴から特別剰余価値をめざした競争的な新生産方法の導入プロセスにおいて説明されています。市場構造の変化の説明のためには,生産力の向上のプロセスの説明が不可欠なのです。
この部分の説明がなければ,この問題の解答としてはきわめて不充分です。97ページと152ページの叙述を脈絡もなくつないだ答案,つまりこの問題の要求する論理展開について理解不足を露呈した答案が多かったことが,成績低下の主な原因なのです。

これは17年度にも見られた答案の傾向なのですが,17年度には見られなかった,もう1つの原因は,授業でも教科書でも使用されていない誤った語句や表現を記した答案が少なくなかったことです。
例えば,「個別諸資本間での競争的市場が生まれる」という表現,特別剰余価値をめぐる競争の第1局面と第2局面を,「第1段階」と「第2段階」とした表現です。授業に出席していた学生,講義資料や教科書を持ち込んで,それらを基に答案を書いた学生であれば,このような表現をするはずがありません。
このような表現を含む答案が少なくなかったのは,きわめて拙劣で水準の低い「ノブチカ独占対策」?のような資料が出回っていたのかもしれません。
そうだとすれば,履修者が増えたことによって,そうした低水準の対策資料を真に受けた学生が多かったのかもしれません。昨年度の講評でも書きましたが,学生の間に出回る情報のほとんどが信用度の低いものですから,そのような情報に惑わされないことが賢明です。持込み可の試験なのですから,私が発信した情報を基に,講義資料や教科書など依拠すべき資料を勉強したうえで持ち込むのが最善の方法です。

(2)のアベノミクスの経済理論的支柱のリフレ派の主張の批判について,平均点は,17年度の3年生が40.1,4年生が29.6に対して,今年度は50.7と47.0と大幅に上がっています
これは,昨年度も出題したために,昨年度の採点基準を持ち込んでいれば的外れの答案にはなりにくいこと,さらに昨年度はこの問題の他に2つの小問が出題されましたが,今年度はこの問題だけで,解答に充分な時間的余裕があったことが原因でしょう。

いうまでもなく,CPI上昇率2%の目標が重視される理由は,採点基準にあるように,これによって実質利子率低下の期待→投資と消費増大→景気回復という,まさにリフレ派の主張を柱とするアベノミクスのシナリオの最重要部分だからです。
そしてアベノミクスの開始から5年以上たってもこの目標が達成されないのは,リフレ派の主張の欠陥そしてアベノミクスのシナリオの経済学的な誤謬に原因があるからです。

このことを理解することによって,現在,表面的には景気が回復しているように見えても,それはシナリオ外の要因によるものであって,この経済政策の成果ではないことも明らかにすることが可能となり,今後の日本経済を考えるうえでも重要なことなのです。
このことを経済学部の学生(他学部の学生でもこの授業に興味を持って履修した人たち)にはわかってほしい,という思いで出題したわけです。

平均点が3,4年生ともに上がったのは喜ばしいことですが,昨年度もコメントしたように,CPI上昇率2%の目標については,デフレからの脱却が目標だからという同語反復の答案,なぜ合理的期待形成説やクルーグマン・モデルが「非現実的」なのかといった具体的な批判なしに「非現実的」であるとだけ述べている答案や,「リフレ派の主張は,多様な経済現象のごく一部だけをとりあげ,その他のより重視すべき要因を理論の前提からすべて排除したモデルに基づいた非現実的なものである」という教科書の叙述の一部だけを引用しただけの答案も少なくありませんでした。
昨年度の講評でも書いたように,論述ポイントだけを並べても答案にはなりません。これらを論理的に展開することが必要です。そのためには授業で私の説明を聴き,講義資料や教科書で理解を深めることが,結局は早道なのです。

なお,問題文には,(1)と(2)の「両方の解答が書かれた答案は採点の対象外とします」と二重下線を引いて明記したにもかかわらず,両方の解答を書いた学生が4人いました。注意書きを無視する理由や心理はまったく理解できません。
両方書いておけば,出来の良かった方を採点してもらえるとでも考えたのでしょうか?レポート提出でも最終提出期限後に送信してきた学生がいましたが,ルールを無視しても自分だけは採点してもらえる,という考えなのでしょう。
私生活ではそのような特別扱いを受けることがあるかもしれませんが,大学や社会で合理的な理由もなく特別扱いをされることはありえません。むしろルールを平気で無視する世間知らず,甘えの抜けない子どもレベルの人間と評価されてしまいます
ルール違反ということで,0点とすることも考えましたが,今回に限り,最初に書かれた解答を採点しました。秋学期末でこのような出題形式とした場合には,躊躇なく採点の対象外とします。


秋学期の授業内容は,春学期の内容の理解を前提として,独占資本主義のよりダイナミックな運動を取り扱います。春学期末試験で手ごたえを感じた学生は引き続きの努力を!失敗したと感じた学生は,授業への出席と教科書の読み込み,授業内レポートの提出を心がけてください。就活で出席が困難だった4年生を含めて,授業内容の理解と単位取得のためには,今からでも遅くありません

(答案の書かれた感想で,「課題3と課題4が出題されなかったのは疑問である」というのがありました。なぜ疑問なのかは説明がなかったので不明ですが,(1)は秋学期の主要テーマである競争段階の景気循環のメカニズムと独占段階の景気循環の変容の理解のための基礎となる論点,(2)は秋学期後半で1990年代以降の日本経済の構造変化を,この授業の理論でどのように説明できるかという論点につながるというのが,出題の理由です。課題3と4は秋学期の前半に続く論点なので,その際にまた言及することになるので,今回は出題しませんでした。)


以上のように,私の授業では,持込み可の試験であっても授業内容や教科書の理解のための事前学習なしに解答できるものではありません。逆に設問(2)の内容について,そうした努力に基づいた理解ができれば,単に単位取得にとどまらず,卒業してからも日々変化する現代の経済に対する視点が身に付くと思います。
 第1図 得点分布(各得点階層が受験者総数に占める割合)
 第2図 問題別得点分布(1) 
 第3図 問題別得点分布(2)  第3表 レポート提出回数と評価別の平均点
提出回数 3 2 1 0
平均点 58.7 45.7 41.7 34.0
レポート評価 A B C D
平均点 66.8 57.8 48.1 45.6
なお,かなりの数の学生が,腸閉塞による入院,大腸がんの手術のための入院をした私の身体を気遣う感想を書いてくれていました。ありがとう!心配かけてすみません。
授業内容についての感想とともに書かれていたものを,いくつか紹介しておきます。⇔以下は私のリプライです。

「(日吉の)マルクスに比べるとさらに内容は少しむずかしかったですが,先生の説明はおもしろくわかりやすかったです。秋学期も楽しみにしているので,早く元気になってください!」

「延近先生の講義はとても興味深く,楽しみな授業のひとつでした。授業の途中で入ってくる先生の現政権の批判など,雑談もおもしろかったです。ひとつ改善してほしいところがあるとすれば,講義資料を後から見直したときに,用語が並んでいるだけで述語がないので,論理構造が把握しづらいところが多いと思いました。ホームページも先生の教育の熱意が伝わるような丁寧なもので,この大学の教育がまた息づいているような感じがしました。お身体を大切にして下さい。また延近先生の講義が聞けるのを楽しみにしています。」
⇔講義資料について,一言で言えば,レジュメとはそういうものです。述語等まで書けば,それは論文や書籍に近くなり,分量も膨大なものとなります。授業での私の話を聞いて,レジュメに補足のメモをするのも学生にとって必要な能力ですし,教科書を読めば論理構造も明らかになるはずです。

「1つ1つの説明が丁寧でわかりやすかったです。実際の企業の事例についての話は,学んだことが世の中で起きていることであるという実感をもて,興味深かったです。また時事問題への言及も,世の中の出来事をきちんと考えるきっかけになりました。お身体に無理のないように秋学期もよろしくお願いします。」

「先生がご病気になられてとても心配になりました。退院したという情報を聞き安心しました。後期もよろしくお願いします。課題4がとても難しかったです。政治に対する先生の意見はとても興味深いので後期もお願いします。」

「今までアベノミクスの概要も知らず,成果は出ている政策くらいにしか思っていなかったが,j業でリフレ派の主張とそれを基軸とするアベノミクスを理解することができた。最近,話題となっているMMTやリフレ派の合理的期待形成などに対する自身の批判を考える機会となり,有意義だったと感じました。病気の回復を願っています。ありがとうございました。」

紹介した以外にもいろいろな感想が書かれていました。今後の参考にさせてもらいます。

授業中に講義内容との関連で話す具体例や時事問題に対する私の「余談」をおもしろいと感じ,世の中に対する問題関心を持つきっかけとなった,もっと「余談」が聞きたいという趣旨の感想が予想以上に多かったです。この授業に限らず,世の中で起こっていることをどのように解釈するか,政治経済学的に分析するかが,これまでの,そしてこれからも私の研究のモチベーションなのです。できるだけ,私の考えを盛り込むようにしていきます

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