第5章 点字の歴史と展望


 国際化・情報化といわれて久しいが、21世紀を目前にしてインターネットをはじめとする情報のグローバル化が急速に進展している。一方、ノーマライゼイションという言葉が飛び交っているが、「ノーマルな社会」というのは、乳幼児、青少年、壮年、高齢者、男女、障害がある人々、国籍や人種などの異なった様々な人々が、主体的に自立と相互支援を行う社会である。決して少数者が多数者に吸収・同化される意味と解されてはならない。

 さらに、個人のレベルでいえば、生涯学習社会を生き抜いていくためには、乳幼児期から学校教育が終了するまで、自ら課題をみつけ、自ら学び考えて、主体的に問題を解決していく資質と能力を身に付けておくことが必要であり、このたびの教育改革の中で、「生きる力」といわれているものの中核でもある。又、自ら多くの必要な情報を収集する方法を身につけておくことも不可欠である。

 その場合、点字や音声による情報の収集や発信が主体的に選択できることが必要である。又、普通の文字との相互変換も、情報処理技術や専門家あるいはボランティアの協力によって実現されることが重要となってくる。

 そこで、本章では、点字や音声による情報の収集や発信の歴史を振り返るとともに、今後の展望をも試みた論述を引用することとする。

1.の目の不自由な人の読書の歴史と展望では、点字図書や録音図書の貸出・供給の歴史をふまえ、その後の技術革新の中での今後の展望を概観している。

2.点字のあゆみでは、点字制定100周年にあたって、点字表記の小史を述べている。

3.点字の将来でも、点字制定100周年に当たって、将来展望を概観している。

4.情報化時代の点字・朗読では、情報処理技術の進展を前提として、点字と朗読の歴史と現状およびその現代的意義と将来展望を論述している。


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