「対テロ戦争」関連年表 2022年1月

アフガニスタン戦争，イラク戦争を含む「対テロ戦争」がなぜ「終わらない」性格をもつのか，またブッシュ政権が国際社会の反対の中でなぜイラク攻撃を強行したのかについてのわたしの見解は，

『対テロ戦争の政治経済学― 終わらない戦争は何をもたらしたのか』(明石書店，2018年3月)をお読みください。

本書の理論的基礎およびアメリカ経済のより詳しい現状分析について，下記の2冊が参考となります。

2008年秋以降の世界的金融・経済危機の構造を国際政治や軍事面を含めて論じた『薄氷の帝国 アメリカ― 戦後資本主義世界体制とその危機の構造』(御茶の水書房，2012年2月，本書の構成と序論)，

現在の世界経済の危機的状況と90年代以降の日本経済の構造変化を基礎理論から現状分析まで展開し，平易に説明した『21世紀のマルクス経済学』(慶應義塾大学出版会，2015年7月，本書の目次)

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主な出来事

1. ［イラク情勢］
   「暴力事件」などによる1月のイラク人の死者63人(31日まで)。
   ・バスラ西部ズバイル地区で地雷の爆発により7人死亡，4人負傷(1日)。
   ・国民議会総選挙から約3カ月で新議員による議会が開催されスンニ派のハルボウシ議員を議長に選出，今後30日以内に新大統領を選出予定(9日)。
   ・ドイツ政府がイラク駐留同国軍の任務を11月まで延長すると発表(12日)。
   ・クルド自治区のバルザーニ首相と有志連合国軍のハリス参謀本部副議長が会談，副議長はペシュメルガのISとの戦いを支援すると確約(18日)。
   ・ディヤラ州のイラク軍基地へのISの攻撃によりイラク兵11人死亡(21日)。
2. [パレスチナ情勢]
   イスラエル軍や警察の発砲などによる1月のパレスチナ人の死者0人，パレスチナ人の襲撃などによるイスラエル人の死者0人。
   ・ガザ地区からパレスチナ武装組織が発射した2発のロケット弾がイスラエル西部テルアビブの海岸に着弾，イスラエル軍がガザ地区のハマスの拠点や訓練基地を報復空爆，死傷者なし(1日)。
   ・ヨルダン川西岸地区ジルジルヤでイスラエル軍に拘束された後に解放された80歳のパレスチナ系アメリカ人1人の死体発見(12日)。
   ・イタリア・スペイン・ドイツ・フランスの外相が東エルサレムにおけるイスラエルの3500戸の入植者住宅の建設計画に対して，パレスチナ問題の2国家併存の解決策に反するとして停止するよう強く要求(19日)。
   ・アラブ首長国連邦政府がイスラエルのヘルツォグ大統領の訪問を標的にしたと思われるイエメンのフーシ派が発射した弾道ミサイルを撃墜したと発表(30日)。
3. ［アフガニスタン情勢］
   ・カブールでタリバンが大学講師で政治評論家のジャラル氏を逮捕(8日)，ムジャヒド報道官がジャラル氏の逮捕容疑はタリバンに対する反感を助長する発言のためと発表(9日)，タリバンがジャラル氏を解放(11日)。
   ・中国外務省報道官がアメリカ政府に対してアフガニスタンの外貨準備の銀行口座の凍結解除とアフガニスタンに対する制裁の解除を要求(11日)。
   ・グテーレス国連事務総長がアフガニスタン中央銀行の外貨資産95億ドルの銀行口座の凍結解除をアメリカ政府などに要請するとともに，タリバン政権に対して女性の権利と学習・就労を認めるよう要請(13日)。
   ・西部ヘラート州カゼミ地域のタリバン検問所でタリバン・メンバーが民間車に発砲し運転手1人と医師1人死亡(18日)。
   ・タリバン政権のアクフンド首相代行が国際社会に向けてタリバン政権をアフガニスタンの正式政府と承認するよう要請(19日)。
   ・タリバン政権の外務省報道官がEUがカブールの外交部を再開したと発表(21日)。
   ・西部ヘラート州ヘラートでIED攻撃により女性4人含む民間人6人死亡，女性5人と子ども4人負傷，ISが実行声明(22日)。
   ・タリバン政権の外交団がノルウェー・オスロに到着，ノルウェー政府に対してタリバンとの交渉に反対する抗議行動，政府は交渉はタリバン政権の承認を意味せず，人道支援が中心と発表(23日)。
   ・タリバン政権の外交団がノルウェー・オスロでアメリカ・イギリス・ノルウェー・イタリア・ドイツ・フランス・カタール・EUの代表団とアフガニスタンの経済・人道援助・治安・中央銀行の活性化などについて会談(24日)。
   ・タリバン政権の外交団がノルウェー・オスロで非タリバン派と解散しアフガニスタンの状況改善のために協力することで合意(24日)。
   [パキスタン情勢]
   ・南西部バルチスタン州南西部のグワダル港北方地域でバロチ分離派武装組織の攻撃によりパキスタン軍兵士10人死亡(28日)。
4. ［各国情勢］
   ・イラン南東部で革命防衛隊と武装集団の交戦，革命防衛隊と帯同する民兵3人死亡，武装集団6人死亡(1日)。
   ・核兵器保有国のアメリカ，イギリス，中国，フランス，ロシアの5カ国が核兵器の拡散防止と核戦争の回避を誓う共同声明を発表(3日)。
   ・イエメン西部サヌアをサウジアラビア主導の有志連合国軍が空爆，前日にフーシ派が無人機でサウジアラビアを攻撃したことへの報復(4日)。
   ・北朝鮮の国営朝鮮中央通信が極超音速ミサイルの発射実験を実施し，700�q先の標的に命中したと報道(5日)。
   ・ブリンケン国務長官が極超音速ミサイルや宇宙からの新しい脅威に対処するために日本政府との間で国防技術研究開発の新しい協定と米軍の日本駐留のための5年間の協定に近く締結すると発表(6日)。
   ・サウジアラビア主導の有志連合国軍がイエメンのフーシ派が西部ホデイダとサリフの港を要塞として使用しているため攻撃対象とすると発表(8日)。
   ・エチオピア北部ティグレイ州北西部の避難民キャンプでエチオピア軍の空爆により56人死亡，30人負傷，援助団体メンバーの証言(8日)。
   ・ナイジェリア北西部ザムファラ州の8つの村を武装集団が襲撃し200人以上死亡，ナイジェリア軍の空爆により武装集団100人以上死亡，軍当局発表(8日)。
   ・スイス・ジュネーブのアメリカ政府代表部でシャーマン国務副長官とロシアのリャブコフ外務次官がウクライナ情勢について7時間以上にわたる会談，ロシア側はウクライナに侵攻する計画はないと明言し，米ロ両国は自体が全面的な対立にエスカレートするのを防ぐための努力を強化することで合意，AP通信はアメリカ側はロシアのウクライナ侵攻の意思がないとの発言の信頼性に疑問とコメント(10日)。
   ・イエメン南部の油田地帯を有するシャブワ州でアラブ首長国支援下でイエメン軍がフーシ派を攻撃し同州をフーシ派から奪還(10日)。
   ・エチオピア北部ティグレイ州でエチオピア軍の空爆により女性含む17人死亡，数十人負傷(11日)。
   ・北朝鮮の朝鮮中央通信が11日に金正恩総書記の立ち会い下で極超音速ミサイルの発射実験に成功したと報道。(12日)。
   ・国連がエチオピア北部ティグレ州で年初来の政府軍の空爆により民間人少なくとも108人死亡と発表(14日)。
   ・北朝鮮の朝鮮中央通信が14日に鉄道を使用した発射台から戦術誘導ミサイル2基を発射したと報道(15日)。
   ・ナイジェリア北西部地域の村を武装集団が襲撃し住民50人以上死亡(16日)。
   ・アラブ首長国連邦アブダビで無人機攻撃により燃料タンク3基が爆発，国営石油会社の従業員のインド人2人とパキスタン人1人死亡，イエメンのフーシ派が実行声明(17日)。
   ・北朝鮮の朝鮮中央通信が17日に戦術誘導ミサイル2基を発射し標的の日本海上の島を精密に打撃したと発表(18日)。
   ・サウジアラビア主導の有志連合国軍がイエメンのフーシ派が支配するサヌアを空爆し民間人含む少なくとも20人死亡，前日にアラブ首長国連邦のアブダビがフーシ派の無人機によって攻撃されたことへの報復(18日)。
   ・ソマリア・モガディシオのソマリア軍基地近くの喫茶店での自爆攻撃により少なくとも兵士と民間人4人死亡，10人負傷(18日)。
   ・北朝鮮の朝鮮共産党中央委員会政治局会議で金正恩総書記がアメリカとの「長期的な対決」に備えるために核実験やICBMの開発の再開の検討を指示，朝鮮中央通信が発表(20日)。
   ・イエメン北部のフーシ派拠点のサーダの刑務所へのサウジアラビア主導の有志連合国軍が空爆し少なくとも82人死亡，同連合国軍の西部ホデイダの通信施設への空爆により子ども3人死亡(21日)。
   ・アラビア海北部オマーン湾でイラン・ロシア・中国の海軍が合同軍事演習を実施(21日)。
   ・インド洋北部1万7000平方キロ海域でイラン海軍とイラン革命防衛隊海軍・ロシア・中国が合同軍事演習を3日間の予定で実施(21日)。
   ・サウジアラビア南西部地域にフーシ派がの発射した弾道ミサイルが着弾し外国人2人負傷，サウジアラビア主導の有志連合国軍発表(23日)。
   ・NATOがウクライナ情勢の緊迫化に対応するために東欧の防衛強化目的で戦闘機や艦隊を増派すると発表(24日)。
   ・アラブ首長国連邦の米軍駐留基地標的にイエメンのフーシ派が弾道ミサイルを発射，米軍のミサイル防衛システムのパトリオットにより迎撃(24日)。
   ・アフリカ西部ブルキナファソで大統領のイスラム過激派対策に不満を持つ兵士たちが反乱を起こし政権を掌握したと発表(24日)。
   ・アフリカ中部コンゴ東部の村をイスラム武装組織が襲撃し民間人12人死亡(25日)。
   ・北朝鮮の朝鮮中央通信が25日に長距離巡航ミサイル2基，27日に戦術誘導ミサイル2基の発射実験を実施し標的を破壊したと報道(27日)。
   ・イエメン西部マリブの軍事施設標的のフーシ派が発射したミサイルが市内に着弾し少なくとも5人死亡，34人負傷(27日)。
   [シリア情勢]
   ・北西部イドリブ近郊の水道施設をロシア軍戦闘機が空爆(2日)。
   ・ゴラン高原のイスラエル占領地域からシリア支配地域に向けてイスラエル軍戦車が警告砲撃，死傷者等の詳細未発表(5日)。
   ・北部地域でトルコ軍の作戦行動によりクルド労働者党(PKK)戦闘員8人死亡，トルコ国防省発表(7日)。
   ・東部デリゾール州の米軍基地標的に複数のミサイル攻撃物的損害のみ，一部が住宅地に着弾し火災発生(16日)。
   ・北東部ハサカ州のクルド人が管理するグワラン刑務所をISが自動車爆弾などで襲撃し収容者のメンバーを解放，シリア民主軍が米軍の空爆支援下でISを撃退しIS戦闘員23人死亡，逃走した収容者を逮捕(20日)。
   ・北部アレッポ州アフリンでミサイル攻撃により7人死亡，25人負傷(20日)。
   ・北東部ハサカ州のグワラン刑務所をIS襲撃後のシリア民主軍との戦闘が継続，ISに解放されたISメンバーのうち数百人を逮捕，数十人が逃走中，これまでにクルド治安部隊員少なくとも28人と民間人5人死亡，ISメンバー56人死亡，シリア人権監視団発表(22日)。
   ・シリア民主軍が北東部ハサカ州グワラン刑務所へのISの襲撃事件についてIS戦闘員少なくとも300人が降伏したと発表，これまでに収容者とIS戦闘員180人，治安部隊員27人死亡(24日)。
   ・シリア民主軍(SDF)が北東部ハサカ州グワラン刑務所を襲撃し立てこもっていたIS戦闘員と収容者のISメンバー約1000人が投降し同収容所を6日ぶりに奪還したと発表，これまでの戦闘でIS戦闘員124人とSDF戦闘員50人，民間人7人の計181人死亡(26日)。
   ・シリア民主軍が北東部ハサカ州のグワラン収容所内のISメンバーを一掃し同収容所を完全に掌握したと発表，これまでの戦闘で373人死亡(30日)。
5. ［世界経済］
   ［アメリカ経済］
   ・労働省発表の21年12月の雇用統計で失業率(季調済，軍人を除く)が3.9％(前月比0.3ポイント低下)，非農業部門の雇用者数が前月比19.9万人増(7日)。
6. ［トランプ政権関連］年表(2020年大統領選挙，バイデン政権によるトランプ政権の政策変更含む)

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#印：軍による「誤射」・「誤爆」または過剰防衛によると見られる事件

上記年表およびIraq Body Count(IBC)のData Base(Recent Events)より作成。 イラク戦争開始以降の統計とIBCのDataの問題点については こちらをご覧ください。

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