日本の経済・日本経済の現状と問題 1999年度春学期試験問題

担当:土居丈朗

 ※ 配付プリント、自筆ノートのみ持込可

1.下の表は、近年の日本経済の動きを示したものである。ここには、6つの経済指標が、左の時期においてどのような動きをしていたかが、下記の凡例に従って書かれている。

実質経済成長率 公定歩合 設備投資実質増加率 公債依存度(国) 経常収支黒字 完全失業率
1986年11月 景気拡張

(ウ)


[b]



(サ)

1987年
1988年
(セ)
1989年

(エ)



1990年
(ソ)
1991年2月 景気後退
(ア)

(オ)


(キ)

(シ)
1991年
1992年




(ケ)




[c]

1993年
(イ)

1993年10月 景気拡張

1994年
(ス)
1995年
1996年

(カ)
1997年3月 景気後退

[a]


(ク)

(コ)

1997年
1998年

凡例
 :概ね上昇傾向ないしは増加傾向
 :概ね前年と同水準を維持(横ばい)
 :概ね低下傾向ないしは減少傾向
  1. 表中にある(ア)〜(ソ)に、該当する記号(、または)を下記の凡例に従って埋めなさい(凡例に従わない記号や紛らわしい記号は不正解扱いとする)。
  2. 表中[a]の時期に、わが国の名目国内総生産の額はおよそいくらになったか。百兆円単位で答えよ。
  3. 表中[b]の時期にわが国の財政運営は、赤字国債の発行に依存する状態から脱却すべく公債依存度を低下させていった。そのような財政運営を、この時期になんと称したか答えよ。
  4. 表中[c]の時期に上昇したわが国の完全失業率(季節調整済)は、1998年度末にはおよそ何%に達したか。小数第1位まで答えよ。

2.次の@〜Iの文章について、一般的にみて、正しいものに○、誤っているものに×、どちらとも言えないものに△を付けなさい。
@国内の景気が良くなると、輸入が増える。
A景気後退初期の雇用情勢は、所定外労働時間が減少傾向にある中で、常用雇用者数の 増加率を抑制する傾向になる。
B近年の日本経済において、民間消費がGDP全体に占める割合は、約60%である。
C政府支出が減少すると、GDPは増加する。
D製造業の在庫循環において、製品出荷の増加率が低下するなか、製品在庫の増加率が上昇傾向から低下傾向に転じると、景気は回復期に入ったことを意味する。
Eマネーサプライが増えるのに伴って、利子率は上昇する。
F日本において完全失業率の統計を公表しているのは、労働省である。
G政府が増税して税収が増加すると、財政赤字(公債発行)は減少する。
H近年の日本経済において、大企業に勤める就業者よりも、中小企業に勤める就業者の方が多い。
I利子率が上昇すると、民間消費は減少する。

3.卸小売業を営むある企業の損益計算書と貸借対照表が、次のようになっているとする。このとき、下記の@〜Fの問いに答えよ。ただし、損益計算書にある経常利益の額と貸借対照表にある資本の額は、表中の値から算出せよ。

損益計算書
売上高 1200
売上原価 477
販売費及び一般管理費 631
営業利益 92
営業外収益 105
うち 受取利息 38
営業外費用 137
うち 支払利息・手形割引料 125
経常利益 (?)

貸借対照表
 流動資産  流動負債
  現金・預金 164   支払手形 158
  受取手形 181   買掛金 239
  売掛金 311   短期借入金 513
  有価証券 148   その他 90
  棚卸資産 377  固定負債
  その他 19   社債 174
 固定資産   長期借入金 329
  土地 142   その他 57
  その他有形固定資産 423  資本 (?)
  投資その他の資産 139  
 繰延資産 96
資産合計 2000 負債・資本合計 2000

単位:100万円

@この企業の売上高経常利益率はいくらか。
Aこの企業の総資本経常利益率はいくらか。
Bこの企業の手元流動性はいくらか。
Cこの企業の自己資本比率はいくらか。
Dこの企業は利息支払能力に問題はないか。その理由とともに答えよ。
E現時点でこの企業の借入金利子率が8%であったとする。このとき、この企業は設備投資をしても採算が合う(利払後に利益が上がる)か。その理由とともに答えよ。
Fこの企業の流動比率は、近年の日本における卸小売業(の平均)と比べて高いか、それとも低いか。

4.わが国の高度経済成長に関する次の文章を読み、各問に答えよ。

 わが国の戦後の(A)高度経済成長は、1950年の朝鮮戦争に伴う特需景気以降、本格化した。この時期の経済政策は、(B)ストップ・アンド・ゴー政策と呼ばれ、国際収支を制約に[ T ]政策を中心に景気調整を行った。(C)1965年に起きた「[ U ]不況」は、証券不況とストップ・アンド・ゴー政策の効果などが重なって、大きな景気後退となった。その後わが国は景気回復し、高度成長期最長の好景気となった。この好景気を経て、1971年の[ V ]ショックを契機に、わが国の為替相場は(D)固定相場制から(E)変動相場制へ移行した。

@上の文章中にある空欄T〜Vに、当てはまる語句をそれぞれ答えよ。
A下線部(A)について、次に与えられた景気拡張期の名称のうち、高度成長期に起こったものを、時期が古い順番に並べて答えよ。
神武景気、いざなみ景気、オリンピック景気、岩戸景気、バブル景気、いざなぎ景気
B下線部(B)について、解答用紙3行以内でその内容を説明せよ。
C下線部(C)に関して、この年度にどのような財政政策の転換が行われたか。解答用紙2行以内でその内容を説明せよ。
D下線部(D)について、スミソニアン協定で定められた円ドルレートは、1ドルいくらであったか答えよ。
E下線部(E)に関して、変動為替レートの決定理論のうち購買力平価説について、解答用紙1行以内でその内容を説明せよ。
F下線部(E)に関して、変動為替レートの決定理論のうち金利平価説について、解答用紙1行以内でその内容を説明せよ。

試験問題の正解


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