今回はÖの音を練習しましょう。この音については第1号の「アルファベート」のところでもお話ししましたが,Oの唇の丸みとE(もしくはI)の舌の高さを併せ持った音です。大昔にはOIとつづられてそのように発音されたようですが,時とともに一つの音として発音されるようになりました。つまりOの発音のときにすでにIの高さに舌が用意されるようになって今の音になったのです。この方が経済的なのですね。後にこのIがEと書かれるようになってOEというつづりになり,そのEの筆記体であるがOの上に乗り,今の字体ができました。ちょうど嶋に対する嶌の字のようなものです。(Üについても事情はまったく同じです。)この字は詩人のGoetheのように分けて書く場合もあります。さて,こう考えると「油」という単語がこの音の成立しなかった英語の場合oilで,ドイツ語ではÖlになるのも頷けますね。
それはさておき,まずこの音を長く伸ばして発音してみましょう。
うまくいかないときは,Eを長く伸ばして発音しながら唇を丸めていってみてください。
うまくいきましたか。この音のポイントは,唇が必ずOの丸唇になっていることです。絶対に日本語の「う」のような平たい唇ではいけません。これを確認するのは鏡を見るのが一番ですから,どうぞ練習のときには鏡を目の前に置いてください。それでは,Oの丸唇がキープできているかどうか試すために,OとÖを交互に発音しましょう。
ÖÖÖÖÖÖÖÖÖÖÖ
eeeeeee → ÖÖÖÖÖÖÖÖÖ
oÖ oÖ oÖ oÖ
うまくできましたか。それでは今度はこの音の含まれる語句や文で練習してみましょう。
語頭:
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öffnen, Ölbaum, Österreich,
Ökonomie, Öffentlichkeit
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語中:
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möchte, lösen,
französisch, Söhne, |
Größe, Röntgen,
Königsberg,Töne, |
in der Französischen
Revolution, |
Ich möchte das Problem
lösen. |
Der König zögert
mit der Antwort. |
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どうですか。教室で教えていると,単音ではうまく発音できるのに,単語や文の中に入ったとたん,このÖがうまく発音できない人がでてきます。どんなに速く発音しても,必ず唇を丸めることを忘れないようにしてください。
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