「イラク戦争」関連年表 2009年 注釈

[1-1]
ガザ地区ジャバリヤ難民キャンプに対してイスラエル軍が使用した可能性が高い白リン弾について。

白リン:White Phosphorus。リンの同素体中でもっとも化学的活性が強く,湿った空気中では約30℃で自然発火する。猛毒で致死量は0.1g,皮膚に触れると筋肉から骨に至る重度の火傷を生じる。兵器としては焼夷弾や照明弾,煙幕などとして使用される。

イスラエル軍は06年夏の第2次レバノン戦争での白リン弾使用を認めている。
また,米軍が2004年11月のイラク・ファルージャ攻撃の際に白リン兵器を使用。05年11月にベナブル国防総省報道官(当時)が英BBCラジオのインタビューで,ファルージャ攻撃において照明弾や煙幕として使用したほか武装勢力を隠れ場所から引き出すために使用したことを認めている。「年表 終わらないイラク戦争 2005年11月」,注釈2005年[11-3]

特定通常兵器使用禁止制限条約:Convention on Certain Conventional Weapons。1980年10月10日,非人道的と判断される特定の通常兵器の使用の禁止または制限のため,過度に傷害を与え又は無差別に効果をおよぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止または制限に関する条約(特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)および議定書I〜IIIが採択された(1983年12月2日発効)。

議定書III(Protocol III)「焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書」では,文民および民用物を焼夷兵器による攻撃目標とすること,人口密集地域にある軍事目標を焼夷兵器によって空中から攻撃すること等を禁止している。
アメリカ,イスラエルとも条約本体は批准しているが,議定書IIIには署名していない。[国連軍縮局 http://disarmament2.un.org/ccw/index.htmlなど]
[1-2]
オサマ・ビンラーデン氏の「ガザ地区に対する侵略を阻止するジハード(聖戦)の呼びかけ」と題する声明の概略は以下のとおり。(  )内は訳注。

パレスチナの我々の兄弟たちよ,あなたたちが多くの犠牲を払っていることを見聞きし,ムスリム(イスラム教徒)たちは共感している。我々ムジャヒディン(聖戦士)も同様に共感している。
我々はあなたたちとともにあり,あなたたちを落胆させないであろう。十字軍・シオニスト(西洋諸国とイスラエル)連合との戦いにおいて,勝利または殉教するまでの戦いにおいて,我々の運命はあなたたちの運命と結びつけられている。
アルアクサ(エルサレムの聖なるモスクのある地区:訳注)とパレスチナを奪還する唯一つの強力な方法はジハードであり,それが神の示す道筋である。
ムスリムのなすべき義務は,人々をジハードに駆り立て若者をジハード部隊に入らせること,また戦いに必要な資金を寄付するジハードに参加することである。
ブッシュ米大統領の退任に米国民の75%が喜んでいるが,オバマ米次期大統領はブッシュから2つの戦争(イラクとアフガニスタンにおける戦争)と経済崩壊という重い遺産を引き継いでいる。この重い負担によってアメリカはムジャヒディンとの長い戦いを継続することはできないであろう。
アラブ諸国の指導者たちもパレスチナ解放という責任を回避している。彼らが戦う意思がないのなら,戦う意思を持った者たちに道を開けるべきである。

米国家安全保障会議(NSC)のジョンドロー報道官は,「このテープは,世界中でアルカイダのイデオロギーと布教活動,アジェンダへの疑念と異議が強まっているなかで,彼が孤立し,それでも信頼を維持しようと企てていることの表れである」とコメントしている。
[1-3]
ガザ地区のNGOのパレスチナ人権センター(Palestinian Centre for Human Rights)が21日に発表した昨年末からのイスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者1284人の内訳は,
民間人894人(うち17歳以下の子供280人,女性111人)
ハマス・メンバー390人(うち警官167人,戦士223人)。

ガザ地区の保健省の集計では,死者1324人,負傷者5400人と発表されている。
なお,ハマス,イスラム聖戦などが発表している戦士の死者は158人。

現地医療関係者が22日に発表したパレスチナ側の死傷者の内訳は,
死者1330人のうち,16歳以下の子供437人,女性110人,高齢男性123人,医療関係者14人,ジャーナリスト4人。
負傷者5450人のうち,子供1890人(うち200人が重体)。

物的な損害では,パレスチナ自治政府中央統計局発表で,家屋4100棟が全壊し1万7000棟が損壊,建物やインフラの破壊による損害額は19億ドル。
[1-4]
2008年1年間の米陸軍現役兵士の自殺者総数は128人,確認作業中で自殺によると思われる死者が15人,計143人。2007年の自殺者総数は115人。確認済みの自殺者数は11.3%増,確認中の死者を含めると24.3%増となる。過去4年間,毎年増加傾向にある。
自殺率は,兵士10万人中20.2人で,同年代の民間人の自殺率19.5人(疾病予防管理センター,CDCの2005年調査)を上回る。
確認済みの自殺者のうち,30%がイラクまたはアフガニスタンに派遣中の自殺で,35%がイラクまたはアフガニスタン派遣から帰国後の自殺。これら派遣経験者の自殺者の78%が初めての派遣中または派遣後の自殺だという。
また,帰国後の自殺者の大部分が帰国後1年以上たってからの自殺であり,兵士が帰国後に市民生活に復帰し適応することの困難性に自殺の原因があることを示唆している
米海兵隊員の自殺者も2008年は41人と2007年の33人から24.2%増加した。海兵隊員の自殺率は10万人中19人。
なお,米陸軍兵士の数は予備役を含めて現在110万人,イラクとアフガニスタンに駐留する米軍178,000人のうち陸軍兵士は127,000人である。
[2-1]
イラク・イスラム党によるアンバル州の覚醒評議会に対する非難の内容は以下のとおり。
1月31日の選挙の投票集計速報ではイラク・イスラム党がリードしているが,アンバル州覚醒評議会の指導者たちは,この結果は不正行為によるものであるとして武力行使も辞さないとの強硬姿勢を示している。
アンバル州の部族たちの選挙団体代表は2日,「イラク・イスラム党が選挙の勝利宣言をするなら,我々はアンバル州をイラク・イスラム党とその代理人たちの墓場とするだろう。我々は彼らと彼らに協力する者に対して部族戦争を開始するであろう」と述べた。
一方,イラク・イスラム党の国会議員のアブドゥル・サッタール氏は,覚醒評議会の強硬姿勢に対して,「投票者の意思に対する侮辱行為である。アンバル州や他の州で,武器の使用を含む威嚇によって集計や選挙結果を変更させようとすることは,受け入れられないし,完全に拒否されるべきである」と述べた。
[2-2]
国連は,アフガニスタンでの武力衝突による2008年の民間人死者は2100人以上と発表したが,同時に発表された2008年10月までの民間人死者1800人の原因別内訳は以下のとおり。
タリバンや地方軍閥の武力行使にともなう死者:1000人(ほとんどが自爆またはIED攻撃による死者)
外国軍またはアフガン軍の武力行使にともなう死者:700人(うち455人が空爆による死者)
残り100人は調査中。
2007年1年間の武力衝突による民間人死者は1,523人である。
[2-3]
選挙管理委員会が2月5日に発表した地方評議会選挙(1月31日投票)の暫定開票結果(開票率90%)の概要は以下のとおり。

バグダッド州:法治国家連合(マリキ首相派)38%,サドル師派9%,スンニ派9%
バスラ州:法治国家連合37%,イラク・イスラム最高評議会(SIIC)11.6%,民兵組織派諸政党5%未満
ナジャフ州:法治国家連合16.2%,SIIC14.8%,サドル師派12.2%
ニナワ州:スンニ派(元バアス党シンパ)48.4%,クルド・グループ25.5%
アンバル州:ムトラク氏派(スンニ派)17.6%,スンニ派部族連合17.1%,イラク・イスラム党(ハシミ副大統領,スンニ派)15.9%

法治国家連合は選挙が実施された14州のうちバグダッド・バスラ・ディヤラ・サラハディンなど8州で第1党となっているが,バスラをのぞく南部諸州では他政党・勢力と接戦。マリキ首相の出身地であるカルバラ州ではフセイン政権時代の州政府幹部派が第1党で,法治国家連合は第3党ということである。
アンバル州では,政府批判を強めるムトラク氏派,覚醒評議会など部族派連合,イラク・イスラム党(いずれもスンニ派)が拮抗している。
現在も治安情勢が不安定なモスルのあるニナワ州では旧バアス党シンパのスンニ派組織が人口で多数を占めるクルド人グループを押さえて第1党となっている。
[3-1]
オバマ米大統領がアフガニスタンとパキスタンにおける治安改善策について,8日付けのNYタイムズのインタビュー記事で言及したイラクにおいて採った戦略およびその限界については,【イラク情勢の「改善」をどう見るか】を参照されたい。
[3-2]
パレスチナ人権センターが12日に発表し19日に修正した昨年12月27日から1月18日までのイスラエルのガザ地区攻撃による死傷者の最終集計結果は以下のとおり。
死者総数:1,417人
 民間人:926人(うち女性116人,子供313人)
 警官:255人
 戦闘員:236人
負傷者:5,303人(うち女性828人,子供1,606人)
パレスチナ人権センター:http://www.pchrgaza.org/
[3-3]
オバマ大統領がイラン国民と指導部に呼びかけたビデオ・メッセージ:VIDEOTAPED REMARKS BY THE PRESIDENT IN CELEBRATION OF NOWRUZは,ホワイトハウスのウェブサイトに掲載されている(ビデオ英文)。
[4-1]
オバマ米大統領とメドベージェフ・ロシア大統領の共同声明の骨子は以下のとおり。
(a) 「戦略兵器の削減と保有数の制限に関する新たな包括的で法的拘束力のある合意」を今年12月までに結ぶことをめざす2国間交渉の行程に合意。
(b) 戦略兵器削減水準は,2002年のモスクワ条約(2012年までに戦略核弾頭の数を1700〜2200に削減)の水準をさらに下回ることとし,オバマ大統領が今年7月にロシアを訪問してメドベージェフ大統領と進展状況を協議する。
(c) 「米ロが冷戦の心理状態を超えて行動する」との認識で一致。
(d) アフガニスタンの安定と復興に向けた新たな協力
(e) イランに国際原子力機関(IAEA)への協力と核開発が平和目的であることの証明を要請
(f) 北朝鮮をめぐる6者協議の継続と朝鮮半島の非核化を支持しミサイル発射の自制を求めること。
}
両国関係は,ブッシュ前政権下でミサイル防衛(MD)システムの欧州配備やNATOの東方拡大など,ロシアが反対する政策が進められたことで悪化し,08年8月のロシアによるグルジア侵攻後には「新冷戦」の開始と危惧される状態となっていた。

START1は1991年7月に米ソ両国が署名し94年12月に発効。冷戦開始以来初めて核弾頭総数を各6000個に削減することで合意。2001年12月両国は全履行を発表。今年12月に有効期限切れ。
[4-2]
オバマ米大統領の「核廃絶」に向けての演説の骨子は以下のとおり。

「合衆国は,核兵器保有国として,また(広島・長崎への原爆投下という)核兵器を使用したことがある唯一の核兵器保有国として,行動する道義的責任がある。
私は核兵器のない世界の平和と安全保障を追求するという米国の約束を,明確かつ確信をもって表明する。この目標はすぐに到達できるものではない。おそらく私が生きている間にはできないだろう。忍耐とねばり強さが必要だ。しかし我々は今,世界は変わることができないと我々に語りかける声を無視しなければならない。」

「合衆国は,核兵器のない世界を目指して具体的な方策をとる。」として,
(a) 核軍縮:ロシアとの間で第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約を12月までに結ぶ目標を確認。議会の一部に反対が根強いCTBTの批准実現には「早急かつ意欲的に取り組む」と表明。核兵器の原料となる兵器級核物質の生産を停止する新条約(カットオフ条約)交渉の妥結をめざす考えを示す。
(b) 核不拡散:国際的な核査察体制の強化に加えて,北朝鮮やイランのような国への対応として,国連安保理に自動的に付託する措置など罰則強化に取り組む考えを示す。また,原子力の民生利用促進のため,核燃料供給を肩代わりする国際的枠組みも提案。
(c) 核テロ防止:4年以内に世界中の核物質防護体制の確立をめざすと表明。核の闇市場の撲滅に向けて,核管理に関する首脳級の国際会議を1年以内に主催する方針を明らかにした。 (2)
[4-3]
Iraq Body Count(IBC)の集計で,4月6日に米英軍主導によるイラク攻撃開始以来のイラク民間人死者数が10万人を超えたが,IBCの集計にはいくつかの問題点がある。IBCの集計の諸問題点については,こちらをご覧ください
[4-4]
17日に東京で開催されたパキスタン支援国会合で表明された各国の拠出金額は以下のとおり。
アメリカ:10億ドル
日本:10億ドル
サウジアラビア:7億ドル
EU:6億4000万ドル
イラン:3億ドル
総額:52億8000万ドル
[5-1]
2007年半ば以降のイラクの治安状況の改善に大きく貢献したスンニ派アラブ人の覚醒評議会(Awakening Council,アラビア語でMajalis al-Sahwa,「イラクの子孫 Sons of Iraq」,近隣警備隊とも呼ばれる)は,イラク全土で10万人規模が任務についているとされている。2006年秋にイラク駐留米軍のイニシアティブによってアンバル州で最初に結成され,米軍から月300ドルの給与支払いと武器の供与を受けた。米軍は彼らの協力によって初めて同州でのアルカイダ系武装勢力の掃討に成功したと米軍が評価している。
米軍撤退計画決定後は,イラク政府が彼らの処遇に責任を持つこととされ,09年4月2日にイラク全土の覚醒評議会は米軍からイラク政府の所管に移行した。イラク政府は米軍に代わって給与を支払い,メンバー10万人のうち20%をイラク治安部隊に編入し,残りのメンバーに対しては職業訓練を行なって民間での雇用機会や起業を推進する計画を発表しているが,原油価格下落による政府予算の削減もあって,給与の支払いは数カ月遅延している。また,テロ行為実行や支援容疑でイラク軍・警察による覚醒評議会メンバーの逮捕や殺害事件が頻発しており,シーア派主体の政府とスンニ派覚醒評議会との対立が深まりつつある。
ロイターによれば,ガザリヤ地区の覚醒評議会指揮官は,「私の配下には170人のサフワ戦士がいるが,40人はすでに任務を放棄しタクシー運転手や食糧雑貨の販売,建設労働者となっている。子供たちを養わなければならないが,政府の給与支払いが遅れているためだ」と述べている。また,キルクーク地区のサフワ・リーダーは配下の500人のメンバーのうち1/4は辞職したと述べている。
[5-2]
4日のアフガニスタン西部ファラー州での米軍の空爆による民間人殺傷事件に関する公式な死者名簿をロイターが入手し,13日に,死者数は子供94人と女性25人含む140人と報道した。

これに対して,アフガニスタン駐留米軍報道官のジュリアン大佐は,住民たちは補償金を受け取るために近親者の死者の名前をでっちあげる動機がある,「私も140人の名前を示すことができる。問題は証拠がないことだ。彼らは本当に存在したのか?出生証明書も死亡証明書も存在しないのだ」と述べて,死者数はおそらく80人を超えないとの見通しを示した。

26日に,アフガニスタン独立人権委員会が現地調査の結果として発表した内容は以下のとおり。
米軍の空爆による死者数は97人(うち女性21人,子供65人)で,現地州政府当局は死者のうち2人はタリバン戦士だったと報告しているが,死者はいずれも武装していた証拠はなく,また“人間の盾”とされていた証拠もない。
同委員会代表者は記者会見で以下のように述べた。
「この空爆による応戦は敵対勢力を破壊するための戦力の過度な使用であり,もし(空爆対象場所に)敵対勢力がいたとしても,非対称で過剰な戦力使用である」
「米国は空爆による死者の遺族や家屋を失った人々に対して補償をする必要がある。こうした死傷事件は,米国政府がアフガニスタンにおける治安と安定を促進するためにまったく役に立たないものである」。
[5-3]
アフガニスタンにおける白リン弾の使用状況についての報道は以下のとおり。
5月8日:ロイター通信の報道
・バグラム空軍基地内の米軍病院に入院中の8歳のアフガン人少女ラジアが頭と首に白リン弾によると見られる火傷を負っていること,
・米軍医療スタッフが少女の顔と首から白リンの痕跡を確認したこと,
・少女の父親が火傷は2009年3月にカブール北方カピサ州でNATO軍の発射した砲弾によると話したこと,
・アフガニスタン駐留米軍指揮官の報道官のジュリアン大佐が米軍・NATO軍がアフガニスタンで白リン弾を使用していることを確認したこと
・カピサ州で行動中のNATO軍は主としてフランス軍で米軍が支援していること
・米軍のウィリス少佐が過去にタリバンが白リン弾をNATO軍に対して使用したことがあるとして少女に火傷を負わせた白リン弾はタリバンが発射した可能性を示唆したこと
などを報道。
また,未確認の情報として,Human Right Watchがカブール北方カピサ州で3月14日にNATO軍の発射した砲弾により8歳の少女が頭と首に白リン弾によると見られる火傷を負った事件について,NATO軍の調査結果の公表を要求したと報道(翌9日に情報を確認)。

5月10日:APおよびロイター通信の報道
・4日のファラー州での米軍の空爆による非戦闘員殺傷事件に関連して,負傷者を治療したアフガン人医師団が少なくとも14人が過去に見たことのない重度の火傷を負っていたと証言
・ファラー州の事件現場を調査したアフガン独立人権委員会(Afghan Independent Human Rights Commission, AIHR)のスタッフが患者たちと面談し,白リン弾による火傷の可能性が高い奇妙な火傷を確認
・アフガン駐留米軍報道官のジュリアン大佐が,4日の戦闘では白リン弾を攻撃兵器としては使用していないが,夜間に照明弾として使用することはあると回答。また大佐は,タリバンが使用したかどうかはわからないとしながら,8日のロイターの報道以降に過去にタリバンが白リン弾を4度使用したことを強調し,「タリバンは住民を“人間の盾”ではなく,“住民の犠牲者”とすることによってアフガニスタンの「危機」を作り出そうとしている。アフガン人の怒りは(外国軍ではなく)タリバンに向けられるべきだ」と述べた。

5月11日:ロイター通信の報道
米軍が武装勢力が白リン弾を使用または保有した44件の事案を公表,米軍・NATO軍は煙幕を張るためや照明弾として,または空き家を破壊するために(白リン弾を含む)化学物質を使用する場合があるが,意図的に人間に対して使用することはないと発表。

5月12日:ロイター通信の報道
タリバン報道官が,「我々は白リン弾を保有していないし使用してもいない。アメリカ人は多くの軍事行動で白リン弾を使用しており,彼らの非道な行為の濡れ衣をタリバンに着せようとしているのだ」とロイターに対して電話で回答。また,タリバンが白リンを使用していないことを証明するためのいかなる調査にも協力する用意がある,とウェブ上で発表。

白リン弾のイラクやパレスチナにおける使用については,こちらをご覧ください
[5-4]
2006年3月12日にバビル州マフムディヤで発生した事件。以前から検問所を通る少女に目をつけていた米陸軍第101空挺師団第502歩兵連隊所属の兵士5人が共謀して夜間に少女の家に押し入り,少女を集団でレイプし,少女と妹,両親の計4人を射殺し,証拠隠滅のために放火して逃亡した。
6月23日に事件が発覚,米メディアで連日のように報道された。7月10日にイラク駐留米軍当局が容疑者の米兵5人について軍法会議のための予審手続き開始を発表。主犯格のスティーブン・グリーン被告は事件発覚前に「人格障害」を理由に除隊となったため、通常の司法手続きで強姦殺人容疑で起訴された。
2009年5月7日にケンタッキー州パデューカの連邦地裁の陪審が有罪の評決を下したが,検察の死刑求刑に対し,5月22日の量刑評決では死刑評決に必要な全員一致には至らず,仮釈放なしの終身刑となった。他の兵士4人は軍法会議で禁固2年3カ月から110年の刑を言い渡され受刑中。
少女の叔父は,ロイターのインタビューに対して,「裁判所の決定は,兵士が起こした罪以上の犯罪です。逆の立場だった場合を想像してください。もしアメリカ人以外がこのような罪を犯したとしたら,必ず死刑になるでしょう。これはダブル・スタンダード以外の何ものでもない」と答えた。
この事件は2008年10月公開の映画「リダクテッド― 真実の価値」で取り上げられている。この映画の紹介および私のコメントは「無知は免罪符とならない ― 映画『リダクテッド―真実の価値』を見て」をご覧ください。
[5-5]
総務省発表の09年1-3月期の実質GDP速報値の前期比4.0%減の内訳は,
内需2.6%減(個人消費1.1%減,設備投資10.4%減,住宅投資5.4%減),外需1.4%減。
[6-1]
14日にイスラエルのネタニヤフ首相が発表したパレスチナ国家の樹立を容認するとの和平方針の前提条件は以下のとおり。
(a) パレスチナ国家の完全な非武装化
(b) パレスチナ側によるユダヤ人国家の承認
(c) エルサレムを分割せずにイスラエルの首都とする
(d) ヨルダン川西岸地区における新たな入植地建設は停止,ただし既存入植地における人口増にともなう家屋建設は容認

現状よりもイスラエル側に有利な条件であり,和平交渉はより困難となる可能性。
アッバス・パレスチナ自治政府議長の報道官は「和平努力をマヒさせるものであり,パレスチナやアラブ,米国の立場への挑戦だ」と批判。
[7-1]
米軍の軍事行動にともなうアフガン民間人の犠牲者を減少させる目的で,7月6日に公表された交戦規則改訂版は以下のとおり。
(a) 空爆は,兵士の生命が危険にされされている場合に,自衛のために必要な範囲に限定され許可されるべきである。
(b) 部隊が民家に入るときはアフガン軍部隊と同行しなければならない。
(c) 部隊はモスクやその他の宗教施設に入ったり発砲するべきではない。これはすでにアメリカの政策である。

6月にアフガニスタン駐留米軍・NATO軍最高司令官に就任したマックリスタル米陸軍大将は,この新しいガイドラインの発表時に次のように述べている。
「私は我々の軍隊が大火力を使用することなしにアフガン民間人を保護することを最優先とすることを望む。我々米軍・NATO軍はタリバンに敗北することはありえないが,我々自らの行動がアフガン国民の離反を招き,敗北する可能性があるからである。」
「我々は,民間人の犠牲者や過剰な損害をもたらすことによって,戦術的に勝利しながら戦略的に敗北するというワナに陥ることは避けなければならない。」
[7-2]
アムネスティ・インターナショナルが7月2日に公表したイスラエルによるガザ地区攻撃に関する報告書では,軍事専門家を含む調査団の現地調査をもとに,
(a) 子供約300人と数百人の非武装の民間人を含む約1400人が殺害されたこと
(b) ガザ地区の広大な地域を瓦礫とし数千人のホームレスを生み出して,ガザ地区の経済を崩壊させたこと
を指摘し,これらの大規模な破壊行為が
(c) イスラエル軍の軍事目標と民間人およびその財産とを区別しない無差別攻撃によってもたらされた
(d) イスラエル軍の主張する「軍事的必要性」や軍事行動にともなう「付随的被害(Collateral Damage)」として正当化できないものである
と断定して,
民間人と民間人の財産への直接攻撃の禁止,無差別あるいは非対称攻撃の禁止,集団的処罰を禁じた国際人道法の諸規定に違反すると非難している。
また,
(e) イスラエル軍のハマスが民間人を「人間の盾」として利用したとの主張について,「その証拠は見つからなかった」と否定し
逆に,
(f) イスラエル軍が子どもを含む民間人を「人間の盾」として使用したと指摘
(g) イスラエル軍が住宅地で白リン弾を大量に使用したと認定している。
ハマスに対しては,イスラエルの民間人居住地域に向けての違法なロケット弾攻撃の方針を放棄し,他の武装グループにもそのような攻撃を行なわせないよう求めている。
報告書原文:http://www.amnesty.org/en/library/info/MDE15/015/2009/en
[7-3]
タリバンが5月に発行し戦士たちに配布した軍事行動規定「Taliban 2009 Rules and Regulations Booklet」の内容については,アルジャジーラ・テレビが始めて報道。アルジャジーラ報道のブックレットの骨子は以下のとおり。
(a) 軍事行動においては民間人の犠牲を避けるために最大限の努力が行なわれるべきである
(b) 拘束した奴隷政府(アフガン政府―訳注,以下同じ)の職員,兵士,契約業者,労働者を攻撃したり傷つけたりしてはいけない
(c) (アフガン人)捕虜の交換や(タリバンに敵対しないという)強い保証のもとに捕虜を解放するかどうかの決定は地域の(タリバン)指導者によって行なわれるべきである
(d) 身代金と交換に(アフガン人)捕虜を解放することは禁止する
(e) (拘束した)異教徒の軍人(米軍・NATO軍兵士)を殺害,解放あるいは交換するかどうかの決定は,ムラー・オマール(タリバン最高指揮官)または副官によって行なわれなれればならない。

NATO軍報道官はこのブックレットについて,タリバンの反政府・反外国軍活動の真の姿を反映しておらず,「(タリバンの)反政府活動が中央集権的なコントロールによって行なわれていると見せかけるためのプロパガンダであろう」と批判している。

なお,アフガニスタン駐留米軍・NATO軍のマックリスタル最高司令官は,6月下旬に米軍の軍事行動にともなう民間人の死傷者を減少させるためのガイドラインを発効させ,7月6日に機密解除部分について公表[7-1]している。
ただし,その後も米軍・NATO軍の軍事行動によるアフガン民間人犠牲者は発生している。
[8-1]
8月4日に「安全保障と防衛力に関する懇談会」が麻生首相に提出した報告書の骨子は以下のとおり。
(a) 集団的自衛権に関する憲法解釈の見直し
1.北朝鮮から米国に向かう弾道ミサイルの迎撃
2.ミサイル警戒のための米艦船の自衛隊艦船による防護
を可能とする。
(b) 武器輸出3原則の緩和
現行の3原則は,日本が国際的な技術発展から取り残され防衛力の低下を招くため,日本の防衛力の向上につながる国際的な共同開発や生産への参加は3原則の例外とする。
(c) 敵基地攻撃能力
日米共同対処を前提としつつ,米国との間で適切な役割分担を協議・具体化しながら,日本として適切な装備体系、運用方法、費用対効果を検討する必要がある。(2)(3)
[8-2]
クリントン元米大統領と金正日総書記の会談で話し合われた米国人女性記者2人の拘束の経過は以下のとおり。
2009年3月17日,北朝鮮当局が中朝国境付近で取材中の米ケーブルテレビ局カレントTV記者2人を不法入国などの容疑で拘束。
6月8日,北朝鮮中央裁判所が2人に対して朝鮮民族敵対罪と不法国境出入罪により労働教化刑(強制労働など)12年の判決。
7月10日,クリントン米国務長官が北朝鮮当局の恩赦への期待を表明。米朝間の非公式交渉が本格化。
8月4日,クリントン元米大統領が北朝鮮を訪問し,金総書記と会談。
 北朝鮮の朝鮮中央通信が,クリントン氏がオバマ米大統領の口頭のメッセージを伝え,金総書記が謝意を表明したと報道。
 ホワイトハウスのギブズ大統領補佐官はクリントン氏の訪朝を「私的訪問」として,オバマ大統領のメッセージ伝達と米政府の関与を否定。
8月5日,金総書記が2人に特別恩赦を与え釈放を命令。クリントン氏が2人とともに出国。(2)(3)(AP)(CNN)
[8-3]
南部カンダハル州ザーリ地区で現地5日夜に米軍ヘリからのミサイルと機関銃攻撃により5人が死亡した事件について,
現地の警察署長は畑から収穫したキュウリをタクシーに積み込んでいた農夫を米軍ヘリが空爆したと発表。
サイデンストリッカーNATO軍報道担当(米陸軍少佐)は当初,米軍ヘリは武装集団が小火器・弾薬をバンに積み込んでいるのを約1時間観察した後に発砲したと発表,しかし,その後,道路脇に有線の遠隔操作IEDを設置中の武装集団を発見し攻撃と訂正。
報道記者たちから2つの説明の食い違いを質問されたナランジョNATO軍報道官(米海軍将校)は,発砲したヘリから撮影されたビデオを再調査してから説明すると回答。まもなくサイデンストリッカー報道担当が,ビデオを再調査した結果,夜間の撮影であり,映像からは何が起こったかを明確には読み取れないため,ビデオは公表しないことになったと発表した。

はたして,ビデオ映像で確認できないほどの夜間に,米軍ヘリの乗員は武装集団が設置しようとしているIEDに電線が付いていることまで確認できたのだろうか?また,発砲の前に1時間観察したというが,IEDを設置中の武装集団が1時間もの間,ヘリの音に気づかなかったのだろうか?あるいはヘリの音が聞こえないくらい遠方から観察したのだとしたら,そのような遠距離から暗視装置で武装集団と確認し遠隔操作IEDを視認できるのだろうか?
ザーリ地区の警察署長は,5人の農夫は畑から収穫したキュウリをカンダハル市に運ぼうとしていた,農夫が夜間に農作業をすることは,夏の昼間の暑さを避けるためで,南部地方ではごく普通のことだ,と説明している。
[8-4]
8月17日にオバマ大統領がアリゾナ州フェニックスでの国外戦争退役軍人会に対する演説で,アフガニスタン戦争について「戦う価値のある戦争」と位置づけ,勝利のために長期にわたる堅忍不抜を力説した。その理由付けは以下の発言に現れている。

「アフガニスタンの反乱(insurgency)は一夜のうちに出現したものではなく,我々は反乱を一夜にして打破できるものでもない。」

「この戦争は選べる戦争ではなく,必要な戦争なのだ。9.11でアメリカを攻撃した者たちは再び同じことをやろうと企てている。タリバン反乱分子を抑制しないまま放置すれば,もっと多数のアメリカ人を殺害しようとたくらんでいるアルカイダにとってより大きな聖域となることを意味する。」

「したがって,これは戦う価値のある戦争であるだけでなく,我々の国民を防衛するために根本的に必要な戦争である。」

なお,CNNの最新の世論調査(8/6発表,米国成人対象)では,アフガニスタン戦争に賛成が41%に低下し,反対が54%に上昇している。
[8-5]
アルジャジーラ・テレビのインタビューに答えたアフガニスタンの有力軍閥はガルブッディン・ヘクマチャール氏で,1980年代のソ連によるアフガニスタン侵攻期においてアメリカの支援を受けて“自由の戦士”としてソ連軍と戦い,現在は外国軍との戦いにコミットしている人物だということである。彼は,「アフガン人は‘管財人’がいなくても自分の運命をきめることができる。アメリカはアフガニスタンにおける戦争では軍の増派や偽りの選挙によって勝利することはできないことを認識すべきだ」と述べて,米軍の撤退を要求した。
[8-6]
アフガニスタン駐留米軍のマックリスタル司令官が27日に公表した新しい「対武装勢力戦略」(指針)の骨子は以下のとおり。
マックリスタル司令官は兵員に対して「我々は考え方,行動および作戦を変えなければならない。・・・武装勢力はその数を減らすことによって敗北させることはできない。なぜなら戦士さらには指揮官でさえ次々と供給されて事実上無限(endless)だからである」として,次のような例を示す。

「米軍・NATO軍が10人の武装グループと戦い2人を殺害したとする。死者の親族は復讐を望みおそらく武装勢力に参加するだろう。
つまり,この場合の計算式は10-2=8ではなくて10-2=20(以上)となるのである。・・・これがこの8年間に個々の作戦行動が成功してもより多数の暴力に結果してきた理由の1つである。」
そして,兵員に対してアフガニスタンで行動する際の心構えを説く。「アフガニスタンの住民を我々の味方につけるためには,外国軍がその母国で行動するとき,すなわち自分の家族や子どもたちの中で行動するときはどのようにするかを考えて,アフガニスタンにおいてもそのように行動することが期待されるのである。」

マックリスタル司令官が米軍が殺害しているのは武装勢力だけではなく多数の非戦闘員・民間人も殺害していることに言及していないことを除いて,この認識は,私がこの「イラク戦争関連年表」を「終わらないイラク戦争」と題した認識とほぼ共通している。ただし,米軍の武装勢力掃討を目的とした空爆が誤爆によって多数の民間人の犠牲者が発生した場合,計算式は,例えば10-0=100(以上)のようになるだろう。
[9-1]
10日に発表された,International Council on Security and Development (ICOS, http://www.icosgroup.net/)の報告書では,タリバン武装勢力の攻撃が,週平均1回以上の州をPermanent presence,月に1回以上で住民がタリバンの活動が活発だと認識している州をSubstantial presence,それ以外をLight presenceとして区分けしている。
Permanent presenceの面積は
2007年11月時点:54%
2008年11月時点:72%
2009年9月時点:80%
と拡大している。
[9-2]
17日に岡田外相が調査を指示した日米間の4つの密約は以下のとおり。
1960年の日米安保改定時の
(a) 日本への核兵器の持ち込み
(b) 朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動
1972年の沖縄返還時の
(c) 有事の際の日本への核持ち込み
(d) 米軍基地跡地の原状回復費の肩代わり
[9-3]
19日にタリバン指導者オマール師が発表した声明では次のような趣旨が述べられている。
「侵略者は,4世紀にアレクサンダー大王の侵略をパシュトゥン部族が打ち破って以来の,アフガニスタンの歴史を学ぶべきである。また,我々が1839年から1919年までイギリスの侵略者と戦い,最終的にイギリスを打ち破って独立を勝ち取ったことを指摘しておこう。
それでも彼らが歴史を無視したいのであれば,この8年間に起こった事を自分の目で見ることだ。この8年間に彼らは何らかのことを達成したのか?
・・・今日の我々は強い決意をもち,訓練された兵力と効果的な武器をもっている。さらに,戦争の長期化に対する用意ができているし,地域情勢は我々に有利である。我々は侵略者の軍隊を撤退させ,独立を勝ち取るまでジハードを継続する。」
[9-4]
21日にワシントン・ポスト氏が報道したアフガニスタン駐留米軍のマックリスタル司令官の報告書に示された情勢認識と新戦略の主旨は以下のとおり。
アフガニスタン情勢は全般的に悪化しつつある。
米軍・NATO軍が主導権をとって短期間に反体制勢力の拡大傾向を逆転できなければ,「反体制勢力を打破することが不可能になる危険性がある」。
我々の目標は住民でなければならない。我々の伝統的な戦闘行為は問題の一部でしかなく,目標は住民の意思におかなければならない。
究極的にはアフガン人こそが反体制勢力を打ち破らなければならないのである。
http://media.washingtonpost.com/wp-srv/politics/documents/Assessment_Redacted_092109.pdf?hpid=topnews
[9-5]
23日の国連総会でのオバマ米大統領の演説(原文はこちら)のこのサイトの問題意識に関連する部分の骨子は以下のとおり(カッコ内は筆者の補足)。

「私が政権の座についた時,世界中の多くの人々がアメリカを懐疑的に,または信用できない国と見るようになっていた。その一部は我が国についての誤解と誤った情報によるものであった。(しかし)その一部は特定の政策に対する反感によるものであり,いくつかの決定的に重要な問題について,アメリカが他国の利益を無視して単独で行動してきたという確信によるものであった。そして,このことが非常にしばしば集団的不作為の口実とされてきたような,ほとんど反射的な反米主義を育ててきたのである。」

「今,私の責任は,皆さんすべてと同じように,我が国家と国民の利益のために行動することであって,その利益を守ることについて謝罪するつもりはない。しかし,私は,人類の歴史のいかなる時点以上に2009年においては,諸国家と諸国民の利益は共有されているのだという深い信念を抱いている。我々が心に抱く宗教的信念は我々の間の新しい絆を作り出すことができると同時に我々を引き離しうる。我々が利用する技術は平和への道を照らしうると同時に永久に暗黒にすることもありうる。我々が使用するエネルギーは我々の惑星を持続させうると同時に破壊することもできる。どこにでもいる一人の子どもの希望に起こることは我々の世界を豊かにすることができると同時に貧しくさせることもありうる。」

「この会場にいる我々はさまざまな場所から来ているのだけれど,しかし,我々は共通の未来を分かち合っている。我々の間の違いを,我々が共にしなければならない仕事を除外するための免罪符としている余裕はもはやないのである。・・・これが私が今日言いたいことなのである。なぜなら世界が新しい方向に向かって動く時が来たのであるから。我々は相互の利益と相互の尊重にもとづいて関係を結び合う新しい時代を喜んで迎えなければならないし,我々の仕事を今から始めなければならないのである。」

「我々は,未来は単なる言葉ではなく行動によってもたらされることを知っている。演説はそれだけでは問題を解決できないのであって,持続的な行動をともなう必要がある。我が国の特質と主義を問う人たちに対しては,私はこの9カ月に我々がとった具体的な行動を見てもらいたい。」

具体的行動の例として,

拷問の禁止とグアンタナモ刑務所の閉鎖の命令を示して,
「我々は明確で焦点を絞った目標を設定している。この組織(国連)のすべてのメンバーとともに,アルカイダとその過激主義的同盟者を打ち破ることである。」
この後,アフガニスタン,パキスタン,イラクの状況とアメリカの行動を例示する。

「私は核兵器のない世界という目標を追求するための広範な行動計画の概略を示した。」

「我々は,軍縮会議において,核兵器のための核分裂物質製造の停止交渉の作業計画に同意した。さらに,今週,我が国務長官が包括的核実験禁止条約(CTBT)会議においてアメリカの最初の政府高官代表として通年メンバーとなる。」

「私は,中東和平特別大使を任命して,パレスチナ問題の平和的解決のためのイスラエル人とパレスチナ人両方の権利の尊重を基礎とした努力を着実に積極的に行なわせている。」

そして気候変動問題と経済危機問題にふれた後,

「我々はまた国連に再び関与している。国連分担金も支払った。国連人権理事会にも参加している。障害者権利条約にも署名した(09/7/30)。・・・そして,我々は我々の優先順位をこの制度におくことを宣言する。例えば,私が明日議長を務める核不拡散・軍縮のための安全保障理事会を通じて,また今日ここで議論した諸問題を通じて。」
・・・
「今日,私は我々が子どもたちの未来のために根源的に重要と信じる4本の柱を提唱したい。
核不拡散と軍縮,平和と安全保障の推進,地球環境の保全,全人類の機会を前進させるようなグローバル経済である。」

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