公共選択論 2004年度秋学期試験問題

担当:土居丈朗

 ※ 試験時間:60分、指定テキスト、配付プリント、自筆ノートのみ持込可

1.この講義で取り上げた次の専門用語について、それぞれの内容(定義)を答案用紙2行以内で説明せよ。
  1. 業績投票
  2. 合意の計算
  3. 中位投票者定理
  4. ノードハウスの(狭義の)政治的景気循環
  5. 時間的不整合性(time inconsistency)
  6. 無党派層の呪い(swing voter's curse)
  7. 政府債務の持続可能性


2.次の@〜Bに挙げる制度・機関は、近年改革が行われたり、目下改革が行われようとしていたりするものである。これらについて、公共選択論の立場から(あるいは経済学的に見て)、現状をどのように評価できるか。それぞれの評価について、答案用紙3行以内で述べよ。

  1. 日本銀行
  2. 財政投融資制度
  3. 特殊法人、または独立行政法人


3.日本の地方分権改革について、次の@〜Cに答えよ。
@現行の地方税の制度には、どのような点に問題があり、それをどのように改革する必要があると考えるか、あなたの見解を述べよ。
A現行の地方交付税の制度には、どのような点に問題があり、それをどのように改革する必要があると考えるか、あなたの見解を述べよ。
B現行の国庫補助負担金(国庫支出金)の制度には、どのような点に問題があり、それをどのように改革する必要があると考えるか、あなたの見解を述べよ。
C現行の地方債の制度には、どのような点に問題があり、それをどのように改革する必要があると考えるか、あなたの見解を述べよ。

上記の@〜Cに答えるにあたり、以下の点に注意すること。

◇@〜Cに与えられる得点は、答案の内容が講義担当者の見解と一致しているか否かとは全く関係がなく、唯一絶対の正解が用意されているわけではない。
◇@〜Cは、あなたの考えの首尾一貫性が問われる。したがって、@〜Cに与えられる得点は、それぞれの答案の内容がいかに整合的であるかによって決まる。
◇@〜Cの解答では字数を制限しない。ただし、多く書けば高い得点が与えられるというわけではない。短くても要領を得た内容であれば、高い得点が与えられる。


4.日本の政治の現状を鑑み、今すぐに取り組むべき最も必要な政治制度の改革は何か、この講義で学んだことを踏まえて、あなたの考えを次の条件を満たすように述べよ。
@最初に、「今すぐに取り組むべきだとあなたが考える最も必要な改革」を1つだけ書きなさい。例えば、比例代表制の改革、国政選挙の定数是正、公務員の給与体系の改革、参議院の改革、などのように示すだけでよい(もちろん、これら以外も可である)。それは、あなたが後に書くその内容と理由とに合致したものでなければならない。
A次に、@の内容について、具体的に詳しく書き、なぜ改革しなければならないかについての理由や現状認識を書きなさい。

ただし、下記の点に注意すること。

◇財政制度や経済制度などに関する改革(例えば、公的年金改革、税制改革、郵政事業改革)のような、政治に直接的には関係がない改革は、本問の対象外とする。
◇政治家のモラルの向上、官僚の意識改革、などのように、それ自体が法律・制度の改正や政策の変更とは直接関係のないものは不可とする。
◇あなたの考えを述べる際、この講義で学んだことを踏まえて、経済学・公共選択の理論の考え方を生かして書きなさい。この講義は経済学部の講義であるから、法学、政治学、社会学などの考え方で、経済学・公共選択の理論の考え方と相容れないものは認められない。
◇多く書けば高い得点が与えられるというわけではない。短くても要領を得た内容であれば、高い得点が与えられる。

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