4.3 ボランティア団体の拡大教科書製作実態調査

中野 泰志・新井 哲也・大島 研介


4.3.1 目的

 弱視児童生徒の障害の状態は多様であり、標準規格に対応した拡大教科書でも対応することが困難なケースが出てくるのは当然である。このような実態があるため、拡大教科書は、個別のニーズに対応するプライベートサービス方式からスタートしたのである。プライベートサービス方式が必要な弱視児童生徒は、拡大教科書をとても必要としており、その効果も大きいと考えられる。これらプライベートサービス方式の拡大教科書の製作を長年、担当してきたのが拡大写本グループと呼ばれているボランティア団体である。

 大多数の弱視児童生徒のニーズを集約した標準規格による拡大教科書は、現在では、多くの教科書発行者が対応できるようになってきた。これに対して、プライベートサービス方式の拡大教科書は、教科書発行者が担当することは困難である。そのため、より多くの弱視児童生徒のニーズに対応するためには、教科書発行者とボランティア団体が協力したり、役割分担を行ったりする必要がある。

 そこで、本調査では、長年、拡大写本を担当してきたボランティア団体に蓄積されたノウハウを可能な限り集約し、教科書発行者とどのような役割分担や協力が可能かを模索するために、ボランティア団体の拡大教科書製作実態を調査した。


4.3.2 方法

4.3.2.1 ボランティア団体に対するアンケート調査

(1)調査形式

 郵送によるアンケート方式の調査を実施した。

(2)調査対象

 「全国拡大教材製作協議会」に加入のボランティア団体、および、21年度に富士ゼロックスが文部科学省より受託・実施した「教科書デジタルデータ提供の在り方」調査研究事業への協力が得られたその他のボランティア団体、計80団体に送付した。

(3)調査期間

 平成23年1月21日〜2月14日に実施した。


4.3.2.2 ボランティア団体に対するヒアリング調査

(1)調査形式

 電話によるヒアリング調査を実施した。

(2)調査対象

 6つのボランティア団体(活動地域:東京都2団体、神奈川県1団体、兵庫県1団体、愛知県1団体、千葉県1団体)に調査を依頼した。

(3)調査期間

 平成23年3月1日〜3月3日に実施した。


4.3.3 結果

4.3.3.1 アンケート調査の結果

 アンケート調査では、調査票を発送したボランティア団体全80団体のうち、72団体(回収率:90%)の回答が得られた。以下、主な結果を示す。

 <活動状況>

 1)活動拠点と提供範囲(地域)

 回答のあった団体のうち8割が「全国拡大教材製作協議会」に加入して活動している団体であった(図4.3.1)。また、地域的には2割強が神奈川県を活動拠点としている団体であった(図4.3.2)。

 全国拡大教材製作協議会に加入している団体が多いため、活動拠点とは関係なく、全国を対象に拡大写本を提供している団体が5割を占め、条件付きで他の地域にも提供している団体を含めると8割が地域に関係なく活動していることがわかった(図4.3.3)。

図4.3.1 全国拡大教材製作協議会への加入状況:総数は71団体、59団体が加入しており、12団体が加入していない。

図4.3.1 全国拡大教材製作協議会への加入状況

図4.3.2 活動拠点:総数は72団体、活動拠点が神奈川県は17団体、東京都は8団体、大阪府、埼玉県は7団体、千葉県は4団体、福岡県、山口県、愛知県は3団体、北海道、兵庫県、鳥取県、京都府、岡山県は2団体、福島県、奈良県、静岡県、新潟県、滋賀県、山梨県、三重県、熊本県、岐阜県、沖縄県は1団体であった。

図4.3.2 ボランティアの活動拠点

図4.3.3 拡大写本の提供範囲(地域)[複数回答]:総数は70団体、複数回答であった。活動拠点内に提供が11件、条件付きで活動拠点以外の地域にも提供が22件、全国を対象として提供が37件であった。

図4.3.3 拡大写本の提供範囲(地域)[複数回答]

 2)団体の活動年月と規模(活動人数)

 最大活動年数は39年、最少活動年数は3年であった。10年以上のキャリアを持つ団体が8割弱を占めており、また、平成16年の法改正(拡大教科書が無償給与の対象になる)以前から、活動している団体が9割以上であった(図4.3.4、図4.3.5)。

図4.3.4 活動年数:総数は70団体、0-5年が4団体、6-10年が10団体、11-15年が14団体、16-20年が15団体、21-25年が6団体、26-30年が12団体、31-35年が8団体、36-40年が1団体であった。

図4.3.4 ボランティア団体の活動年数

図4.3.5 活動人数:総数は72団体、1-10人が16団体、11-20人が29団体、21-30人が15団体、31-40人が5団体、41-50人が4団体、51-60人が1団体、61-70人が1団体、71-80人が1団体であった。

図4.3.5 各ボランティア団体で活動している人数

 3)製作している拡大写本の種類

 72団体のうち68件(94%)は拡大教科書を製作しており、拡大教科書以外にも、補助教材や絵本、拡大写本などの製作を行っている団体も多くあることが示された(図4.3.6)。拡大教科書以外に拡大写本も行っている団体は61団体(85%)であった。現時点で拡大教科書だけを製作している団体は19件であった。

図4.3.6 拡大写本の製作種類[複数回答]:総数は72団体、複数回答であった。拡大教科書が68件、補助教材が22件、絵本が18件、その他が36件であった。

図4.3.6 製作している拡大写本の種類[複数回答]

 <平成23年度拡大教科書の製作状況>

 平成23年度は小学校教科書の大改訂にあたり、この改訂版教科書から全ての検定教科書について、教科書発行者が標準規格に基づく拡大教科書(以下、標準拡大教科書)を製作し発行することになった。これに対して、実際に23年度のボランティア団体での製作状況にどのように変化があったのかについて調査を行った。

 4)製作予定の拡大教科書タイトル数と総冊数(質問7)

【質問内容】

 貴団体で平成22年度中(平成22年4月〜平成23年3月)に製作予定の拡大教科書についてタイトル数と総冊数を教えて下さい。(注:同じタイトル本でも、提供する児童生徒が異なる場合、文字サイズが異なる場合は、それぞれを1カウントとした)

【回答数】 72件

【結果概要】

 全団体(72団体)の製作予定タイトル数の合計は、小学校が1,131タイトル、中学校が597タイトル、高等学校が52タイトルであった。また、製作予定総冊数の合計は、小学校が6,027冊、中学校が5,863冊、高等学校が458冊であった(表4.3.1)。

 また、対象別の製作予定数でみると、小学校の製作を行っている団体は、62団体であり、全体の53%を占めていた(図4.3.7)。

 活動人数が多いボランティア団体ほど、製作予定タイトル数・製作予定総冊数が多いことが示された(図4.3.8)。

表4.3.1 製作予定の拡大教科書タイトル数と総冊数

小学校
【タイトル数】
小学校
【総冊数】
中学校
【タイトル数】
中学校
【総冊数】
高等学校
【タイトル数】
高等学校
【総冊数】

【タイトル数】

【総冊数】
合計
1,131
6,027
597
5,863
52
458
1,758
12,236
中央値(1団体あたり)
10.0
44.0
5.0
41.5
4.0
39.0
11.5
84.5
最大数
88
640
85
836
14
176
169
1,301
最少数
1
3
1
2
1
5
1
5
図4.3.7 対象別の拡大教科書製作予定数(延べ団体数):総数は72団体、複数回答であった。小学校が62件、中学校が46件、高等学校が9件であった。

図4.3.7 対象別の拡大教科書製作予定数(延べ団体数)

図4.3.8 活動人数と製作予定タイトル数・総冊数との関係:活動人数を横軸に、拡大教科書制作予定数(タイトル数と総冊数の2種類)を縦軸にとった図である。多くの団体が、20人以下の団体で200タイトル数以下の制作を予定していることがしめされている。

図4.3.8 活動人数と製作予定タイトル数・総冊数との関係

 5)標準拡大教科書の発行有無の認識(質問8)

【質問内容】

 平成23年度の小中学校教科書の依頼を受けた際に、教科書発行者が製作する標準拡大教科書の有無を確認しましたか。

【回答数】 64件(無回答8件)

【結果概要】

 回答を得られた団体(64団体)のうち、依頼を受けた際に、「文部科学省の資料等で有無を確認した」の回答が54団体(84%)、「有無の確認はしていない」の回答が10団体(16%)であった(図4.3.9)。ほとんどの団体が教科書発行者が製作した標準拡大教科書の確認を行っていることがわかった。

図4.3.9 標準拡大教科書の発行有無の確認状況:総数は64団体、54団体が文部科学省の資料等で有無を確認した、10団体が有無の確認はしていないと回答。

図4.3.9 標準拡大教科書の発行有無の確認状況

 6)標準規格(文字サイズ)での製作依頼の受付状況(質問9−1)

【質問内容】

 教科書発行者が発行を予定している標準拡大教科書の中に同じポイントサイズの教科書が有る場合、貴団体では製作の依頼を受け付けていますか。受け付けている場合には、どのような場合に受け付けているかを選択してください。どのような場合に受け付けていますか。

【回答数】 64件(無回答8件)

【結果概要】

 回答が得られた全団体(64団体)のうち、教科書発行者が発行を予定している標準拡大教科書の中に同じポイントサイズの教科書が有る場合に製作の依頼を「受け付けている」の回答が54団体(84%)、「受け付けていない」の回答が10団体(16%)であった(図4.3.10)。

図4.3.10 標準規格(文字サイズ)での製作依頼の受付状況:総数は64団体、10団体が受け付けていない、54団体が受け付けていると回答、8団体は無回答。

図4.3.10 標準規格(文字サイズ)での製作依頼の受付状況

 質問8で、標準拡大教科書発行の有無を確認すると回答した団体は54団体であった(図4.3.9)。質問8と質問9の回答をクロス集計したところ、標準拡大教科書の中に同じポイントサイズで発行されている教科書がある場合、この54団体のうち、45団体は「受け付けている」と回答し、「受け付けていない」と回答したのは8団体であり、残り1件は無回答であった。標準拡大教科書発行の有無は確認していないが、「標準規格に該当するものは受け付けていない」という団体が2団体あり、合計して10団体が「標準規格に該当するものは受け付けていない」こととなることがわかった(図4.3.11)。

図4.3.11 標準拡大教科書の発行の有無の確認と製作依頼の受付状況:質問8「仕様検討の際、参考とした弱視教育の専門家等の意見」と質問9「印刷・製本の分冊化の検討基準について」の回答をクロス集計の結果を示している。質問8に文部科学省の資料等で有無を確認したと回答した団体のうち、8件が受け付けていない、45件が受け付けていると回答し、1件が無回答。質問8に有無を確認していないと回答した団体のうち、2件が受け付けていない、8件が受け付けていると回答した。質問8に対して無回答の8団体のうち、質問9に対して受け付けていないが1件、7件が無回答であった。

図4.3.11 標準拡大教科書の発行の有無の確認と製作依頼の受付状況

 7)標準規格での製作依頼の受付ケース(質問9−2)

【質問内容】

 どのような場合に受け付けていますか。

【回答数】 77件(複数選択)

【結果概要】

 製作依頼を受け付けている団体数は54団体であった。受け付けている団体(54団体)のうち、「既に依頼実績がある児童生徒からの継続した依頼の場合には受け付けている」と回答した36団体(47%)が最多であった。一方、「依頼があった場合には、特に確認は行わないで受け付けている」は、6団体(8%)であった(図4.3.12)。

図4.3.12 標準規格での製作依頼の受付ケース[複数回答]:総数54団体、複数回答であった。依頼があった場合には、特に確認は行わないで受け付けているが6件、教育委員会等に確認した上で、プライベートサービスが必要だと判断された場合にのみが21件、既に依頼実績がある児童・生徒からの継続した依頼の場合には受け付けているが36件、その他が14件であった。

図4.3.12 標準規格での製作依頼の受付ケース[複数回答]

 8)拡大教科書の製作上重視しているポイント(質問10)

【質問内容】

 拡大教科書の製作にあたって、特に重視しているポイントは何ですか。(1つだけ選択)

【回答数】 67件(無回答5件)

【結果概要】

 拡大教科書の製作にあたって、特に重視しているポイントは、回答が得られた全団体(67団体)のうち、「児童生徒からの意見や要望」が48団体(72%)と最も多かった(図4.3.13)。

図4.3.13 製作上重視しているポイント:総数67団体、児童・生徒からの意見や要望が48団体、団体内で長年蓄積されたノウハウが13団体、専門家からのアドバイスが2団体、その他が4団体であった。

図4.3.13 製作上重視しているポイント

 9)標準拡大教科書発行による活動状況の変化(質問11)

【質問内容】

 平成23年度より小学校の全教科書について、標準拡大教科書が教科書発行者より提供されることとなりましたが、これによって貴団体の活動には変化が生じていますか。変化がある場合には、その内容についてお教え下さい。

【回答数】 60件(無回答12件)

【結果概要】

 全体の傾向としては、標準拡大教科書の発行により、ボランティア団体の活動に変化があるという回答をしたのは、49件(82%)であった。(図4.3.14)。また、「変化があった」と回答した中で、「依頼数が減少した」と記述した団体が40件(67%)あったが、教科書発行者が発行する標準拡大教科書のポイントサイズに対する依頼が減少しているという回答が多かった。また、標準拡大教科書の発行により、大きな文字サイズへの対応が中心となったという記述が4件、副読本等、他の拡大写本への対応に移行という記述が3件であった(図4.3.15)。

図4.3.14 活動状況の変化:総数60団体、変化ありが49団体、変化なしが9団体、その他が2団体であった。

図4.3.14 活動状況の変化

図4.3.15 標準拡大教科書発行による依頼数の変化状況:総数49団体、依頼が減少が40団体、大きな文字への対応が中心が4件、他の拡大本へ移行が3団体、その他が2団体であった。

図4.3.15 標準拡大教科書発行による依頼数の変化状況

 <利用者(弱視児童生徒)とのコミュニケーションについて>

 ボランティア団体が、拡大教科書を製作する際には、弱視児童生徒の眼疾患や状況に合わせたプライベートサービスが基本だと考えられる。しかし、近年、個人情報保護の観点から、児童生徒とのコミュニケーションが十分にとれなくなり、製作上困っているという声がボランティアから届けられることが多くなってきた。そこで、拡大教科書の製作にあたり、依頼者となる教育委員会との情報交換の方法や、または利用者である児童生徒等とコミュニケーションの必要性や、コンタクトの有無に関する実態を調査した。

 10)依頼書の様式の有無(質問12)

【質問内容】

 一般にボランティア団体では教育委員会等からの依頼書の内容に基づき製作を行っておられると思いますが、貴団体内で依頼書の様式を決めていますか。

【回答数】 68件(無回答4件)

【結果概要】

 回答を得られた全団体(68団体)のうち、「依頼書の様式を決めている」が36団体(53%)、「依頼書の様式を決めていない」が32団体(47%)であった(図4.3.16、表4.3.2)。

図4.3.16 依頼書の様式の有無:総数68団体、依頼書の様式を決めているが36団体、依頼書の様式を決めていないが32団体であった。

図4.3.16 依頼書の様式の有無

  

表4.3.2 依頼書の様式の有無と拡大写本の提供範囲との関係

活動拠点内に提供
条件付で活動拠点外にも提供
全国に提供
決めている
3
30.0%
9
45.0%
22
61.1%
決めていない
7
70.0%
11
55.0%
14
38.9%

 11)依頼書の指示内容(質問13)

【質問内容】

 質問12で「1」(決めている)と回答した団体にお伺いします。依頼書にはどのような指示が記載されていますか。具体的な指示内容を教えて下さい。

【回答数】  36件

【結果概要】

 依頼書の形式が決まっていると回答した36団体のうち、依頼書指示157項目を分類すると、7項目に細分化された。7項目のうち、依頼書に「製作条件」を記載するという記述が111件(71%)あった(図4.3.17)。さらに、「製作条件」をさらに細分化すると、「文字サイズ」が34件(31%)、「行間」が15件(14%)、「書体」「色」が11件(10%)であった(図4.3.18)。

図4.3.17 依頼書の指示内容[複数回答]:総数36団体、複数回答であった。属性情報が8件、視覚情報が12件、教科書情報が6件、製作上の仕様が111件、要望・注意点が14件、納入先が3件、その他が3件であった。

図4.3.17 依頼書の指示内容[複数回答]

図4.3.18 依頼書の指示内容「製作条件」の細分化[複数回答]:総数36団体、複数回答であった。文字サイズが34件、文字の太さが4件、書体が11件、文字間隔が10件、行間が15件、ルビが3件、色が11件、用紙は0件、図表・絵・脚注が5件、判サイズが9件、綴じ方が2件、分冊が1件、レイアウトが2件、手段(手書 PC)が2件、その他が2件であった。

図4.3.18 依頼書の指示内容「製作条件」の細分化[複数回答]

 12)依頼書情報の過不足(質問14)

【質問内容】

 質問12で「1」(決めている)と回答した団体にお伺いします。依頼書の情報だけで十分に拡大教科書を製作できていますか。依頼書だけでは不十分な場合には、その理由をお教え下さい。

【回答数】 35件(無回答1件)

【結果概要】

 図4.3.16より、依頼書の様式を決めている団体数は36団体であった。そのうち、回答を得られた35団体において、「依頼書の情報だけでは不十分な場合がある」という回答が25団体(71%)から得られた(図4.3.19)。依頼書情報だけでは不十分な理由を回答した団体(25団体)のうち、「依頼書だけでは情報を網羅できない」と回答する団体が17団体(68%)、「依頼書の記載に不備がある」が6団体(24%)であった(図4.3.20)。また、依頼書だけでは網羅できない条件として、「文字」8件、「色」5件、「利用者の見え方」7件という回答が得られた(図4.3.21)。

 依頼書だけでは不十分な結果、「依頼書の情報だけでは不十分な場合がある」と回答した25団体のうち、サンプルの送付・電話等の連絡を行うという記述が7団体から得られた。

図4.3.19 依頼書情報の過不足:総数36団体、依頼書の情報だけで十分であるが10団体、依頼書だけでは不十分な場合があるが25団体、無回答が1団体であった。

図4.3.19 依頼書情報の過不足

図4.3.20 依頼書だけでは不十分な理由:総数36団体、依頼書だけでは情報を網羅できないが17団体、依頼書の記載に不備があるが6団体、その他が2団体であった。

図4.3.20 依頼書だけでは不十分な理由

図4.3.21 依頼書だけでは不十分な項目[複数回答]:総数36団体、複数回答であった。文字が8件、図表・絵・脚注が3件、行間・字間が3件、ルビが3件、色が5件、レイアウトが2件、利用者の見え方が7件、その他が2件であった。

図4.3.21 依頼書だけでは不十分な項目[複数回答]

 13)仕様検討における情報収集手段と内容(質問15)

【質問内容】

 質問12で「2」(決めていない)と回答した団体にお伺いします。拡大教科書を製作するにあたって、仕様を検討する情報をどのように集めていますか。また、集めている情報の内容を教えて下さい。

【回答数】 29件(無回答3件)

【結果概要】

 回答が得られた29件のうち、情報収集手段を細分化すると、6項目43件[複数回答]に分類された。そのうち、「電話」が16団体(37%)、「面談」が8団体(19%)、「サンプル送付」が7団体(16%)であった。「メール」や「ファクス」「サンプル送付」といった書面による手段を行っている団体(15団体)のうち、口頭手段(電話、直接)を併用している団体が6件あることから、口頭による情報収集手段が多かった(図4.3.22)。

 情報収集先で分類すると、「行政」と回答した10団体のなかでは、6団体が「電話」を使用していた。「利用者」と回答した8団体のなかでは、5団体が「面談」で情報を収集していた(図4.3.23)。

 また、どのような情報を収集しているかを分類すると、71件[複数回答]のうち、「製作条件」に関する項目が55件(78%)であった。「属性情報」、「視覚情報」は、「製作条件」と併せて、収集している団体がほとんどであった(図4.3.24)。

 「製作条件」に関する項目(55件)を更に、細分化すると15項目に分類でき、「文字」が34件(62%)、「色」が8件(15%)、「判サイズ」が5件(9%)であった(図4.3.25)。

図4.3.22 仕様検討における情報収集手段[複数回答]:総数29団体、複数回答であった。電話が16団体、面談が8団体、サンプル送付が7団体、メールが2団体、ファクスが6団体、該当無しが4団体であった。

図4.3.22 仕様検討における情報収集手段[複数回答]

図4.3.23 仕様検討における情報収集手段と情報収集先[複数回答]:総数29団体、複数回答であった。情報収集手段の情報収集先ごとの回答数を示した図である。情報収集手段が電話と回答した16団体のうち、行政が6団体、不明が8団体、利用者が1団体、利用者と行政が1団体であった。情報収集手段が面談と回答した8団体のうち、不明が1団体、利用者が5団体、利用者と行政が2団体であった。情報収集手段がサンプル送付と回答した7団体のうち、行政が1団体、不明が4団体、利用者が1団体、利用者と行政が1団体であった。情報収集手段がメールと回答した2団体のうち、不明が8団体、利用者が1団体であった。情報収集手段がファクスと回答した6団体のうち、不明が5団体、利用者と行政が1団体であった。情報収集手段が該当無しと回答した4団体のうち、該当無しが1団体、行政が3団体であった。

図4.3.23 仕様検討における情報収集手段と情報収集先[複数回答]

図4.3.24 仕様検討における情報収集内容の分類[複数回答]:総数29団体、複数回答であった。属性情報が3件、視覚情報が10件、教科書情報が2件、製作上の仕様が23件、要望・注意点、納入先、その他は0件であった。

図4.3.24 仕様検討における情報収集内容の分類[複数回答]

図4.3.25 仕様検討における情報収集内容「製作条件」の内訳[複数回答]:総数29団体、複数回答であった。文字サイズが21件、文字の太さが3件、書体が4件、文字間隔が1件、行間が9件、ルビが2件、色が12件、用紙は0件、図表・絵・脚注が1件、判サイズが5件、綴じ方が0件、分冊が1件、レイアウトが2件、手段(手書 PC)が2件、その他が0件であった。

図4.3.25 仕様検討における情報収集内容「製作条件」の内訳[複数回答]

 14)教科書製作における関係者とのやり取り(質問16)

【質問内容】

 個々の弱視児童生徒に拡大教科書を製作する際、文字の大きさ、太さ、行間、色使い等を決めるにあたり、どのような方々とやり取りを行っていますか。[複数回答]

【回答数】 194件[複数回答]

【結果概要】

 回答を得られた全団体(67団体)のうち、「学校の先生」が56団体(29%)、「児童生徒」が40団体(21%)、「児童生徒の保護者」が39団体(20%)であった(図4.3.26)。

図4.3.26 教科書製作における関係者とのやり取り[複数回答]:総数67団体、複数回答であった。児童・生徒が40件、児童・生徒の保護者が39件、学校の先生が56件、教育委員会が37件、視覚障害特別支援学校等専門機関が8件、眼科医が1件、その他が11件、個別に状況を確認したり、サンプル等をやり取りすることはないが2件であった。

図4.3.26 教科書製作における関係者とのやり取り[複数回答]

 15)製作した教科書の意見、感想聴取状況(質問17)

【質問内容】

 貴団体が製作した平成21年度版または平成22年度版の拡大教科書を使用している児童生徒から、何らかの方法で、その教科書の使用感などの意見、感想を聞いたことがありますか。ある場合には、その聴取方法と、意見、感想を次の製作活動にどのように活用したいかをお教え下さい。

【回答数】 67件(無回答5件)

【結果概要】

 回答を得られた団体(67団体)のうち、「意見、感想をきいたことがある」と57団体(85%)が回答していた(図4.3.27)。うち、聴取方法について回答がえられたのが55団体、活用方法について回答が得られたのが44団体であった。聴取方法に関する記述を手段で細分化してみると、7項目72件[複数回答]あり、そのうち「面談」が22団体(55団体を母数とすると40%)、「アンケート・質問票等」が21団体(38%)、「電話」が8団体(14.5%)、学校や教育委員会等を介して聞くという回答が8団体(14.5%)であった(図4.3.28)。

 活用方法に関する記述を分類すると、教科書の使用感などの意見、感想を聞いて「次回の製作に活かす」と回答した団体が36団体(65.5%)であった。(図4.3.29)

図4.3.27 製作した教科書に対する意見、感想聴取状況:総数67団体、意見・感想を聞いたことはないが10団体、意見・感想を聞いたことがあるが57団体であった。

図4.3.27 製作した教科書に対する意見、感想聴取状況

図4.3.28 製作した教科書に対する意見、感想の聴取手段[複数回答]:総数55団体、複数回答であった。電話が8件、面談が22件、アンケート等が21件、礼状が6件、メールが1件、集いが6件、学校教育委員会経由が8件であった。

図4.3.28 製作した教科書に対する意見、感想の聴取手段[複数回答]

図4.3.29 製作した教科書に対する意見、感想内容の活用方法に対する回答:総数44団体、次回の製作に活かすが36団体、メンバーに展開が3団体、参考意見はなかったが5団体であった。

図4.3.29 製作した教科書に対する意見、感想内容の活用方法に対する回答

 16)製作した教科書の意見、感想聴取要望(質問18)

【質問内容】

 貴団体が製作した拡大教科書を利用している児童生徒から、その使用感等について意見、感想を聞きたいと思いますか。聞きたいと思う場合には、意見、感想を聞くことの目的をどのように考えているかお教え下さい。

【回答数】 64件(無回答8件)

【結果概要】

 回答を得られた団体(64団体)のうち、64団体(100%)が、拡大教科書を利用している児童生徒から、その使用感等について意見、感想を「聞きたいと思う」と回答した(図4.3.30)。意見、感想を聞くことの目的に関して、61件の記述が得られた。

図4.3.30 製作した教科書に対する意見、感想の聴取要望:総数64団体、聞きたいと思うが64団体、聞きたいと思わないが0団体であった。

図4.3.30 製作した教科書に対する意見、感想の聴取要望

 <ボランティアが蓄積してきたノウハウや今後の役割>

 17)ノウハウや配慮事項・実績(質問19)

【質問内容】

 弱視児童生徒とのやり取り等を通じて蓄積したノウハウで、特に配慮しているものや、弱視児童生徒に有効であった実績のあるものを項目ごとにお教え下さい。

【回答数】 372件[複数回答]

【結果概要】

 本調査は、アンケート形式であったため、すべてを網羅できているわけではないと思われるが、68団体から372件の回答が得られた。極めて多くのきめ細かい工夫が蓄積されてきたことがわかった。図4.3.31はにノウハウや配慮事項・実績の項目ごとの回答数を、表4.3.3にはノウハウや配慮事項・実績の項目ごとの主な回答内容を示した。紙面の都合ですべてのノウハウを掲載することはできないが、整理した内容を表4.3.4から表4.3.11に示した。

図4.3.31 ノウハウや配慮事項・実績[複数回答]:総数68団体、複数回答であった。文字(サイズ・書体・間隔)が59件、判サイズが37件、色づかいが47件、綴じ方が36件、分冊が45件、ページ番号のふり方が38件、図表や写真の見やすさが51件、図表・写真・注等の配置が47件、その他が12件であった。

図4.3.31 ノウハウや配慮事項・実績[複数回答]

表4.3.3 ノウハウや配慮事項・実績(質問19)に関する項目別の主な回答(文字(サイズ・書体・間隔)に関して)

文字(サイズ・書体・間隔)に関して
書体:縦書き(国語、書写)イワタ書体、横書き(算数、社会、理科、家庭科、保健体育など)MSゴシック体、教科書に出ている書体はそれぞれのパソコンにある似たものを使っています。
字間:1 or 0
行間:70〜75%を基本にしていますが、吹き出しのように文字数が少ない場合は50〜60%に狭めたり、ルビなどの大きさや量に応じて写本者が加減します。今回、三省堂の国語(学びを広げる)5年(親文字30P,ルビ13P)を作製しましたが、漢字すべてにルビが付いていましたのでほとんどの場合、行間100でつくりました。
MSゴシック。
国語…FC教科書体、その他…FCゴシック体。
行間は多めに文字間はあけすぎ様にルビもできるだけ大きく。
・なるべく原本どおりの書体で書くが明朝体の横は太くする。現在はゴシック体でも多種なのでとても書きにくい。
・行間の空は文字サイズの半分以上が読みやすいと思うが、フォントが大きい場合はとても悩む。
主に教科書体。
私達のグループは手書きで書いているのでまず字を間違わないようにあやふやなものは辞書を見て教科書体でわかりやすく書く。数人で分けて各のでなるべく皆の字の統一がとれているように等木を付けている。
あくまで利用者サイドの意向がある為、相互相談で決めるためノウハウよりは話合いで配慮すべきかと思います。
ワードで作っていますが等間隔になるように行間を決めています。
10mm以上の文字のもの。国語は教科書体で書くことを原則としている。
書体・間隔。
・見本は必ず送る(新しい依頼者は特に)。
・来年度依頼によりパソコンで製作の場合はフォントも選んでもらう(教科書体、ゴシック体、学参ゴシック3種)。
一行を長くしない。
ルビは本文の1/2強。但し要求のある場合は文字の横に【】で表示する。例 拡大【かくだい】
低学年国語の手書きは教科書体を研修している。
間隔はレイアウトに応じる。
依頼を受けた時に出来るだけ学校へ伺い、文字のサイズ書体間隔などを聞き、希望に沿うようにします、あまり書体・間隔など、今までの24・28サイズの場合大きく変更があるような事はありませんでした。ルビの打ち方など上が良いとの意見が多かったので、()の後ろ付けはやめて上にするようになりました。
ゴシック体で本人に選んでもらう。
文字数、行間の多い文章は段落ごと(あるいは数行ごと)に、行間隔を広く開けている。(生徒と先生に聞きとり聴取の結果)また、単独で出てきた数字1、−、は、他の字に間違われないようにフォントを変えている。
文字(フォント、サイズ)は題目、本文、添え書き、ルビなど教科書のイメージにできるだけ添うようにも心がけ、本人の見やすい大きさ・書体・太さ・間隔を第一に考えています。
下敷きにより確認。
本人の希望。


表4.3.4 ノウハウや配慮事項・実績(質問19)に関する項目別の主な回答(判サイズに関して)

判サイズに関して
依頼書に添っています。
B5,A4,A5。
B5(B4)特に要望があればA4(A3)。
サイズは教科書と同じサイズ。
・利用者の希望によるが「赤いくつ」ではA4版が多い。
・特にフォントが大きい場合はB版では内容が1ページに入りきれない場合が多くある。
Bサイズ。
ランドセルにも入りやすいよう、すべてB5判で作っています。
依頼者の希望に沿って。
教科書と同じ判を原則としていた(隣の子と同じ大きさの教科書)がAB判が出て、A4サイズでも製作。(原本と違う大きさも可とした)
元の教科書の大きさと同じものにするようにしています。(違うサイズは何か言われる原因になると聞いたことがあるので)
ポイントに応じてB5,A4版にし、横開きを主にし、縦開きも採用。
基本A判で作製し(36P&15mm)希望があれば、それをB判に縮小する。
文字サイズによる。
小学校低学年…30P以上はA4版、28P以下はB5版。
小学校高学年…26P以上はA4版、24P以下はB5版。小学校のA4版はランドセル対応のため210×285mm。
中学校…26P以上はA4版、24P以下はB5版。
変形あり。
24ポイントとはB5,28ポイントはA4としています。18ポイントの子供さんの場合A5になる旨了解を得ています。中学校の場合その辺は、人と違っても大丈夫なようでしたが、小学校の子供さんの場合気を使います。
A3,B4か、タテ置きか横置きか。
教科書原本と同じページ割になるように判サイズを考えた。
実物サイズに越したことはないが、どうしてもA4版にならざるを得ない教科もある。(特に理科)
小学生はランドセル、机上で扱いやすいB4判(中にはA4判)、中学生はA4判を基本としています。
学年、体格に合わせる。


表4.3.5 ノウハウや配慮事項・実績(質問19)に関する項目別の主な回答(色づかいに関して)

色づかいに関して
とにかくはっきり分かるように注意しています。
(1) スキャナで取り込んだ時にコントラストをかけたり色の調整をしています。
(2) プリントアウトした時色が薄い場合、図がはっきりしない場合などは縁取りや線を入れる等の処理をしています。
原色を使う。
色はなるべくはっきりとした色、網掛けはしない。
・文字の邪魔になる色は使わない。
・パステルカラー(淡い色)はなるべく避ける。
・黄、赤文字はなるべく避け、どうしてもの場合は黒文字にしてラインを引く。
利用者に確認している。
あくまで利用者サイドの意向がある為、相互相談で決めるためノウハウよりは話合いで配慮すべきかと思います。
元の教科書と同系色のなるべく濃いはっきりした色を使います。
本人の希望に応じ見えない色は使わない。背景色も。
赤緑色盲のケースが多いので、赤字は使用しても緑字は使わない。
原本どおりのカラーにより白黒の方が読みやすい子もいる。
パステルカラーは原則使わない。濃色の背景に文字がある場合は背景の色の枠にする。
赤がダメな方に他の色で。
例えば、黄色四角い箱の中に文字が入っている場合、箱の中は無色で線だけ黄色にして、太さを少々太くしますなど、ベタ塗りの所は出来るだけ背景色を無地にするようにしています。
濃い目にする等。
(1) 製作前、製作途中に生徒と先生に実物を見せ面接聴取して、見えにくい色(青)、見えやすい色(緑)等を図形やグラフ線に反映させている。(2) 写真の調整には苦労するが、極力クリアに見えるよう調整。
教科書の色、そのままでは淡い色の判断が難しかったり、見えにくい色であったりするときは、色別しやすいように基本は守りながら修正をしていっています。色の上に文字があって読みづらい場合等も配慮しています。
本人の見え方を確認する。


表4.3.6 ノウハウや配慮事項・実績(質問19)に関する項目別の主な回答(綴じ方に関して)

綴じ方に関して
A3を半分に折り、折り目側(輪になった側)が背に鳴るように接着剤で接着、寒冷紗、障子紙、背表紙を貼っています。
真ん中に文字、図、写真があってもきっちりと開いて見えやすい無線綴じ。
全開き製本、表紙を付けてブッカーをかけている。
全開き。
本を広げた時に戻ってしまわないように、1枚ずつのりづけして(谷折りの背の部分を)寒冷紗を貼り、繰り返し使用に耐える様丈夫に作ります。
見開いた時に真ん中がちゃんと見えるように製本しています。
簡易製本。完全に開くようにのり付け・折りに注意している。製本はブッカーをかけて一年間の使用に耐えられるように。
180°フラットになるよう製本している。
しおり紐をつけている。
・A3を折ってA4にし、製本機で綴じる。
・もしくはA4両面印刷で作製し、製本機で綴じる。
のりづけをしっかりとしてはがれないように、表紙にカバーコーティングをしていたみにくくする。
原本と同じく長辺綴じ。
全開き製本。
糸とじ。(書写)
製本は今までは、オーソドックスなやり方で袋になるように閉じています。最近は出来るだけ両面印刷になるようにしています。(国語・数学・英語など)
福祉助成財団の寄附により製作機を購入。下巻から薄い教科書ができそうです。
生徒はリング製本を望むので使用途中でリングが外れないようにボンド付けなど工夫し製作している。
大切なこととして毎日の使用に耐えるしっかりとした製本であること。(背ラベルも途中ではがれやすいので気をつけています。)
背の部分がはがれないよう工夫した。


表4.3.7 ノウハウや配慮事項・実績(質問19)に関する項目別の主な回答(分冊に関して)

分冊に関して
1章ごとなど区切りの良い所や60頁程度の厚さになったところ等で。
単元の切れ目優先、小学校30枚、中学校50枚。
1分冊が50枚を超えないようにする。
1分冊をあまり厚くしない。
60ページ前後にするようにしているが内容によって厚くなってしまう場合がある。
低学年の場合厚くならない様に。
一冊があまり厚いと読みにくく、また、綴じにくいので適当な厚みになるよう、分冊しています。
あくまで利用者サイドの意向がある為、相互相談で決めるためノウハウよりは話合いで配慮すべきかと思います。
なるべく単元毎にするようにしています。
1分冊は40〜60枚とする。低学年はあまり厚すぎないようにする。巻末の1年間のまとめについては必要に応じてすべての分冊に入れたり、別冊として渡したり、学習に支障がないようにする。
冊が厚くならないように。
小学生は1分冊あたり30枚以下、中学生は40枚以下で分冊に分ける。
持ち運びがしやすいように、特に小学生は薄くする。
小学校低学年は体力がないので厚くならないように配慮。
中学生は分冊が増えるのを好まないので1?強の厚さまで作成。
かばんに入れて持てる。
1冊の分け方は出来るだけ、章等の単元に分けていきます。最近は両面印刷にするので1冊が重くなりがちですが、子供さんの意見では厚くしないで欲しいと言うことがあったので、気をつけます。学校によってはロッカーに置いておくことが出来ない学校もあるようなので…。
なるべく多くならない様に配慮(苦慮)している。
1冊が厚すぎるのも扱いにくく、重さが通学の負担になりますが細かく分冊されすぎているのも学習していく流れの中で使いにくくなるので配慮しています。(巻末、教材、答えなども分冊される教科書範囲に納めるようにしています)
本人の許容できる厚さを配慮。


表4.3.8 ノウハウや配慮事項・実績(質問19)に関する項目別の主な回答(ページ番号に関して)

ページ番号のふり方に関して
6-1などと枝番をつけている。
両ページ下端に1-1、ページがまたがる場合は1-1/1-2。
なるべく原本と同じ位置に入れるが3-1,3-2のように表示し、希望により(3)-1、□でおおって等表示する場合もある。
3頁の場合⇒3-1.3-2.3-3。
あくまで利用者サイドの意向がある為、相互相談で決めるためノウハウよりは話合いで配慮すべきかと思います。ただし、枝番号記入、先頭にあたるページの表示のみ色を変更するなどの方法もありこちらで提案する時もあります。
児童生徒の要望に応じて上欄、下欄、反転を別けている。
枝番をつけ、小学生は赤枠、中学生は黒枠で囲む。
通し番号と教科書ページを区別する。(視覚特別支援学校の場合は教科書ページは不要)
100-1(□で囲む)と見開きページの左下と右下に表記。
必ず右ページの下に来るようにルールを決めて作ってます。両面印刷の場合変更も有りますが、右下には必ずつけるようにします。以前子供さんからページをめくった時に必ず同じ位置にあって欲しいとの意見があったのでそうなってます。
本人の希望で右下と左下にふる等。
実物を紙に記載。
元本教科書のページと拡大教科書での振り分けが分かるようにしています。
本文と紛らわしくならないようにする。


表4.3.9 ノウハウや配慮事項・実績(質問19)に関する項目別の主な回答(図表や写真の見やすさに関して)

図表や写真の見やすさに関して
大きくすればよいのではなく適度な大きさにする。
スキャナして見えずらい場合は手書きで加えたり写真を□で囲む。
・文字の大きさからするととても大きく拡大しないと見えないのではとおもうが本文の内容に見合う場所に貼りつける条件から大きさを判断する。
・図表や写真の説明の文字は本文より少し小さくする場合も多い。
図表は拡大している。
写真などの周りに空白を入れたりする。(→重なっている場合)
ある程度拡大しコントラストを上げて見やすいようにはしていますが。
ルーペ等も使うと思うので原則そのまま使用しますが、大事だと思う時、あまりに見えにくそうな時は拡大コピー、拡大手書きします。
説明文の位置に工夫。
写真の乱反射をおさえるため、印刷の際に注意している。
破線を補強してはっきりと書く。矢印の先も補強して大きめにする。
原本教科書より大きくし、写真の前、上に説明を書く。
キャプションは上につける。
イラスト等の導線は太く補強する。
縮尺の指定がある場合は拡大しない。
行がえとレイアウトに十分に時間をかけている。
図/表は大きく、写真は少しだけ拡大。
写真は大きくしてもやはり無理なぐらい細かい事があるので、特別大きくはしないです。図表は中の文字も読めるように、文字や数字を打ち直して、表に入れてます。
図の中の文字を大きくする。
算数・理科の図表はソフト「花子」を使い、線と文字を太く、濃くしている。イラスト・写真も必要に応じて拡大している。
(1) 製作前、製作途中に生徒と先生に実物を見せ面接聴取して、見えにくい色(青)、見えやすい色(緑)等を図形やグラフ線に反映させている。?写真の調整には苦労するが、極力クリアに見えるよう調整。
何を把握するために必要な図表、写真であるかということまで考え、そのために必要な修正を加えたり、拡大率を考えたりしています。
色の濃さを配慮。


表4.3.10 ノウハウや配慮事項・実績(質問19)に関する項目別の主な回答(図表、写真、注等の配置に関して)

図表・写真・注等の配置に関して
それらに関係する記述がでてくるところにできる限り配する。
原本に準じて。
本文とはなれすぎない様にする。
国語の漢字(新しく出た)や注意書きは各ページの同じ場所に来るように配置した。
・原本に近いレイアウトで作製努力するが難しい場合も多い。
・現在はとても多色でキャラクターなどが多いので難しい。
写真はそのまま利用している。
注などで他ページを参考する表示がある場合、分冊の終わりにコピーを再度付ける。分解したがつながりをわかりやすくしたい物に関しては原本ページを他に1枚入れて全体イメージを伝えるなどする時もあります。
ケースbyケースで担当者に任せている。
社会科は図や地図が多く、製作者によって苦労や工夫が多い。原寸の地図・図と拡大したものを両方のせているものもある。(本文との関係で)
原則教科書と同じレイアウトにするようにしますが、文章と離れてわかりにくいような時は説明の文章のそばに移動させることもあります。
ルビのふりかたに工夫、文字間が大きくあいた場合点線でつなぐ。
図表の注の引き出し線をはっきりとある程度太くする。
・必要ならば見開きにする。
・本文が切れないように配置する。
解説と図表・写真などが一致したページに入るように留意する。
原本を読み込み、本文と図表や写真の配置に配慮。(特に理科や社会)
行がえとレイアウトに十分に時間をかけている。
家庭科 読む方向工夫。(目を動かしやすい)
どうしても1ページが何ページにもわたります。できるだけ図表・写真・注等が離れないように注意しています。仕方が無い場合は同じマークを付けてページが離れても分かりやすいように配慮して作っています。子供さんが一番困るのはその辺で、探している間に、そこの部分が終わってしまう事も多々あるようです。出来るだけ先生に補助してあげてほしいと、学校に行った時はお願いしてきます。
関連する本文の近くに置く。
教科書に忠実な配置を基本としながら、元本1ページを何ページかに分けてレイアウトする上で教科書の学習内容を分かりやすくするように考えてレイアウトする。(ページが分かれてもそのページにも図表などがある方が理解しやすい場合などは再度入れるなど)
標準教科書とできるだけ同じにすること。


表4.3.11 ノウハウや配慮事項・実績(質問19)に関する項目別の主な回答(その他の記述)

その他の記述
別紙当団の「書き方」検討中資料を同封。
健常者と同じく、原本に忠実であること。
国語の漢字表や中学地理の索引は別冊として探しやすいようにした。一番心がけたことは原本教科書に添って作ること。図表の説文は必ず図表の近くにできない時はそのページに紙を貼り増やして工夫しました。ルビが見えずらい低学年では漢字の後ろに()書きで入れました。
できるだけ原本に近いレイアウトで作製する努力をする。
白い用紙が光で反射し見えにくい生徒さんにうすく色づいた用紙を使用した。
どんな小さな意見や感想も漏らさず聞くよう努めている。
手書きが中心。教科書ページと同じように拡大・文字の大きさには限界があるが文字のサイズが合う生徒さんには使い易い。
細かな配慮に関することの説明は難しい。標準規格があることからその範囲で製作することに提供できるノウハウはないと思います。
教科書にメモを直接書き込めるようゆったり編集を心がけている。
・表紙に分冊数とページ範囲を入れる。
・索引などは必ず分冊にする。
・文章が見開きになってしまう場合、見開きマーク(独自のもの)を入れる。(1分冊でマークの説明を入れている)
・他、原本教科書とどうしてもちがってしまう場合は必ず、その旨を書き加える。(縮尺など)
1-8の項目は全て配慮して製作しています。
・教科によるが、縦・横書きを複雑にしない。(音楽は全て横書きにするなど)
・文頭は揃えた方が見やすい子供あり。
・注釈の位置を揃える。(全て左下隅にする等)
両面印刷。(手書きを除く)
学校に行くと、色々な意見が聞けます。紙の色を白しないで欲しいという事もあり、その子供さんだけ薄い黄色の色にしました。紐のしおりを必要だという意見があったので、ずっとつけていたのですが、最近はしおりの使い方を学校で教えないのか、使っていないという事が多かったので、今はつけなくなりました。
国語小6では行番号をつけた。
判サイズ、文字サイズによってなかなかそうはゆかないが、出来うる限り標準教科書と同じレイアウトを心がける。

 18)ボランティア団体の今後の役割(質問20)

【質問内容】

 今後、ほとんどの教科書発行者が、小中学校用教科書に対応する標準拡大教科書を発行すると思われますが、ボランティア団体の今後の役割として、どのような活動に比重をおくことが、お互いの負担の軽減となり、弱視児童生徒へのよりよい支援につながると思いますか。

【回答数】 127件[複数回答]

【結果概要】

 回答が得られた団体(68団体)のうち、「標準拡大教科書が合わない児童生徒用の教科書への対応」が59団体(46%)、「教科書以外の拡大写本ニーズへの対応」が42団体(33%)、「義務教育以外(高等学校等)の生徒が使用する教科書への対応」が18件(14%)であった(図4.3.32)。

図4.3.32 ボランティア団体の今後の役割[複数回答]:総数68団体、複数回答であった。標準拡大教科書が合わない児童・生徒用の教科書への対応が59件、義務教育以外(高等学校等)の生徒が使用する教科書への対応が18件、教科書以外の拡大写本ニーズへの対応が42件、その他が8件であった。

図4.3.32 ボランティア団体の今後の役割[複数回答]

 19)製作効率向上のための仕組み(質問21)

【質問内容】

 ボランティア団体(全体)の製作効率を向上させる仕組みとして必要と思われることがあればお教え下さい。

【回答数】 48件(無回答24件)

【結果概要】

 記述の内容を細分化すると、75件に細分化された。そのうち、「デジタルデータ」に関する記述が21件(28%)、「情報共有」に関するコメントが15コメント(20%)、「技術」に関する記述が12件(16%)であった(図4.3.33)。

 「デジタルデータに関すること」として、デジタルデータをもっと早く送って欲しい」という回答が多かった。その他、「会社によってPDFの仕様が違いすぎる」、「全教科目のデジタルデータが整備されていること」といった記述が挙がっていた。

 「技術に関すること」として、「パソコン及びソフト、デジタルデータの有効な扱い方」「デジタルデータを扱える人たちのボランティアへの参加を促進すること」、「全国的なパソコン製作者の拡大」といったデジタルデータを使いこなす技術をあげる団体があった。一方、「当グループのメンバーは平均10年以上在籍しており、メンバーの入替えは少なく、高レベルに達している。そのため現状でも何ら不足感は感じない。」といった、ボランティア団体のノウハウが蓄積されていることも分かった。

 「情報共有」に関する記述として、「同じものを他グループと重ならないよう連絡ネットワーク」、「製作するのに、各グループでどの教科を作っているか調節出来、だぶりがなく効率的に作製できるようになるシステム」、「製作のデータの共有」、「文科省や教科書発行者を含む連絡ネットワークの形成」といった記述があった。

図4.3.33 製作効率向上のための項目[複数回答]:総数48団体、複数回答であった。デジタルデータに関することが25件、教科書に関することが10件、技術面に関することが12件、手続きに関することが4件、講習会の開催が4件、環境の整備が5件、情報の共有が17件、その他が2件であった。

図4.3.33 製作効率向上のための項目[複数回答]

 20)自由記述欄への回答

【回答数】 48件(無回答24件

【結果概要】

 記述を細分化すると、8項目52件に分けられた(図4.3.34)。「ボランティア団体自身」に関する記述が21団体(40%)、「行政」に関する記述が11団体(21%)であった。

 「ボランティア団体」に関しては、「デジタルデータ活用による製作も広がってきていますが手書きからスタートした当グループではパソコン班もありますが技術的についていけなくなりつつあります。今後の活動を模索しているところです。」、「先生の教え方が分からず、また、1・2年とまとめての教科書の分冊が難しい」といった、製作上の技術的な要望を述べていた。

 「行政」に関しては「製本上の技術向上の為の指導をいただけるとありがたいです。」、「紙以外の媒体で提供できる方法を進めてほしい。高等教育以降はその方法の方が有効であると考えます。」といった効率的な製作に関する要望があった。

図4.3.34 自由記入内容の分類:総数48団体、データ管理機関が5団体、ボランティア団体が21団体、教科書発行者が8団体、行政が11団体、専門家が1団体、全てが1団体、不明が2団体、利用者が3団体であった。

図4.3.34 自由記入内容の分類


4.3.3.2 ボランティア団体のヒアリング調査の結果

 6つのボランティア団体に対して、高等学校用拡大教科書製作依頼の経緯、高等学校用拡大教科書製作状況、高等学校用拡大教科書製作における苦労している点、小中学校で一番多い文字サイズの4項目に関して、ヒアリング調査を実施した。

 表4.3.12から表4.3.17までにボランティア団体ごとの回答の概要を示した。

【結果概要】

 18ポイントから50ポイントの文字サイズまで、幅広い文字サイズの対応をしていることが示された。データ提供時期が遅いことによる作業の困難さを報告していた。また、デジタルデータの必要性を訴える意見が多くあった。製作上の問題点として、教科や発達段階による拡大すべき図表や内容を判断することが難しい点も報告されていた。

表4.3.12 ボランティア団体1の項目ごとの回答

質問内容
回答内容
高等学校用拡大教科書製作依頼の経緯
普通中学校で拡大教科書を使用していた生徒が、高校で盲学校に進学し、依頼を受けたことを始まりとして、その後、その盲学校から継続依頼を受け付けている。普通学校の生徒の依頼は無い。
高等学校用拡大教科書製作状況
【平成22年度】

高1 数1(50ポイント)、数A(50ポイント)、英語(50ポイント)

高3 国語(手書き13mm)、生物(手書き13mm)、地理(手書き13mm)

【平成23年度】

高2 世界史(28ポイント、10分冊、反転・普通・縮小版を製作)、古典(28ポイント、7分冊、反転・普通・縮小版を製作)

【製作種類】全てレイアウト変更版
【分冊基準】40頁前後
【製作人数】23人程度
【製作期間】10月頃依頼をもらい、10月下旬にデータ申請を行い、12月頃から製作開始。4月頃納品し、全教科書は、夏頃納品。
高等学校用拡大教科書製作における苦労点
データが提供される時期が遅いことと、内容が多いため、急いで製作するのが大変である。
小中学校で一番多い文字サイズ
28-40ポイント


表4.3.13 ボランティア団体2の項目ごとの回答

質問内容
回答内容
高等学校用拡大教科書製作依頼の経緯
教科書発行者発行の拡大教科書の値段が高いため、ボランティア団体に依頼。
高等学校用拡大教科書製作状況
【製作対象者】

県立盲学校普通科2名、修学奨励費2名の計4名分

【平成23年度製作状況(普通科)】

国語総合(26ポイント、9分冊)

国語表現1(26ポイント、5分冊)

現代地理A(26ポイント、8分冊)

情報A(26ポイント、10分冊)

新編数学1(26ポイント、5分冊)

理科総合A(26ポイント、7分冊)

English Now(26ポイント、5分冊)

【作業期間】

合格発表後の説明会後(4/10頃)、製作依頼を受け、8月末までに全て納品し、12月末までに支払いが完了。

【分冊基準】

大よそ50-60頁

【製作金額】

490,000円/人(上記教科書製作分)

高等学校用拡大教科書製作における苦労点
頁数が厚く、合格発表後の製作依頼のため、急いで製作するのが大変である。また、デジタルデータが無いことも困っている。(一方、高等学校用拡大教科書は、ルビや写真・図が少ない為、小中学校製作に比べて楽な部分もある。)
小中学校で一番多い文字サイズ
26ポイント(大きくて48ポイント、小さくて18ポイント)
その他
使用した教科書に対して、長持ちして使えたか、分冊の基準は正しかったか、勉強のスタイル等について、後日感想や意見を聞き、製作のヒントを得ている(例:図や写真は、ルーペで見るから大きくしなくて良い等)。


表4.3.14 ボランティア団体3の項目ごとの回答

質問内容
回答内容
高等学校用拡大教科書製作依頼の経緯
継続依頼のため。今後も小中学校の生徒が継続依頼してきた場合、県外はお断りする予定である。
高等学校用拡大教科書製作状況
【製作対象者】

1人、養護学校生

【平成23年度製作状況】

国語(養護学校用):32ポイント、12分冊

英語(通信用):32ポイント、6分冊

【作業期間】

10か月程度(11月〜翌年10月)

高等学校用拡大教科書製作における苦労点
通信学校用は、デジタルデータが無いため、製作が大変であるが、今回製作した教科書は冊数が少なく、内容も理解しやすい為、製作が楽である。また、以前本文のみ製作(26ポイント)したこともあったが、そういった場合は、拡大して切り貼りするのみなので本文だけの単純拡大だと楽である。
一般的に、高等学校の製作の場合、依頼する教科書の決定が遅いことが苦労する。(進学する高校や教科が決まるのが遅い為、製作したのに使用されなかったこともある。)また、選択教科は専門的な教科になるので、教科書内容も難しい。また、私費になるので、費用負担の問題もある。(拡大写本グループあいでは、ライオンズ等の寄附をもらって、そちらで支払っていただく。)
よって、専門的な教科もデジタルデータをもらえたり、先生・教育委員会・利用者等と綿密にやり取りができないと、製作を受けることが難しい。
小中学校で一番多い文字サイズ
32か36ポイント


表4.3.15 ボランティア団体4の項目ごとの回答

質問内容
回答内容
高等学校用拡大教科書製作依頼の経緯
中高私立一貫の学校に通っていた生徒が、中学までは検定本を使用していたが、高校の検定本の文字サイズが小さくなったため、両親が拡大教科書を作製しようと、ホームページから、作成方法についての問合せを受けた。やり取りを行っているうちに、両親自身の作成が難しいことから、ボランティア団体に製作を依頼した。おそらく、教科書発行者の教科書の値段が高いことから依頼に至ったと考える。
高等学校用拡大教科書製作状況
【対象者人数】1名
【平成22年度製作状況】

現代文1(2分冊)、古典1(1分冊)、世界史B(4分冊)、理科総合B(2分冊)、生物1(3分冊)、日本史(4分冊)、数1(1分冊)、数A(1分冊)

【教科書種類】単純拡大教科書
【教科書サイズ】A4サイズ
【ポイント数】12-14ポイント
【分冊基準】おおよそ100頁
【綴じ方】リング製本
【製作期間】

保護者とのやり取り及び仕様SWの練習等で1カ月を要し、その後、編集及び印刷で2日。(初めての作業のため、時間を要したが、次回は1週間ぐらいで製作可能だと思う。)

【平成23年度製作状況】

生徒の進学コースが未定の為、現在、未製作

高等学校用拡大教科書製作における苦労点
高校の教科書は、内容が難しい為、公式等をどこまで拡大すればよいか分からない点もある。よって、依頼者との製作ポイントをやり取りできることが必須条件である。
小中学校で一番多い文字サイズ
平均して28ポイント


表4.3.16 ボランティア団体5の項目ごとの回答

質問内容
回答内容
高等学校用拡大教科書製作依頼の経緯
5年まえくらいから熊本の盲学校より依頼を受けている。教科書か補助教材かどちらかを・・と依頼され、教科書は量が多く自信がなかったので、補助教材の製作を受託した。
高等学校用拡大教科書製作状況
【対象者人数】1名
【平成22年度製作状況】

英語の補助教材を1種類

【教科書種類】レイアウト変更
【ポイント数】22ポイント
高等学校用拡大教科書製作における苦労点
教科書は量が多くて、納期に間に合わせることができるかどうか心配。
中学の教科書ですら量がおおくて、一冊につき一人の作業は無理な場合もある。
小中学校で一番多い文字サイズ
基本は26ポイント
ただし、今年は初めて22ポイントを作った。22ポイントは(小さくて)慣れないのでとまどった。

今年からは文科省の意向をうけて、発行者がつくっていない隙間の部分を作っている。たまたま、啓林館の理科は22ポイントでの発行がないので、依頼を受けた。



表4.3.17 ボランティア団体6の項目ごとの回答

質問内容
回答内容
小中学校のH23年度版依頼状況
昨年度と比べて、1/5に減った。
生徒の人数でいうと、昨年度まで160人分以上の製作を行っていたが、今年は30名足らずである。これは、国から弱視児童のための教科書を供給するようになったという点で、とても望ましいことであると思っている。
ただし、これまで私達では小学校の依頼の80%が28pt以上を基本として作成したのに対し、標準規格は、文字が小さいのではないか、生徒達が実際には使えないものを供給しているのではないかと危惧している。
高等学校用拡大教科書製作について
高等学校では、授業で教科書の全部を使わないと聞いたので、現在は、高等学校の教科書は制作していない。
小中学校で一番多い文字サイズ
28ポイント(B5)を基本として製作し、A5判に縮小したり、A4判に拡大したりして、調整を行っている。
拡大したA4はサイズが大きいという生徒がいるが、100%のニーズに応えられない分、多くの生徒に提供することが重要と考えている。
中学校については、単純に拡大コピーしたものを製本している場合もある。また、生徒も多少の不便は我慢したり、努力したりすることを覚えることが大切と考えている。
その他
今年度から、検定教科書にAB版や変型の教科書が増えて、レイアウトを作る上で、慣れていないのでとても苦労している。

4.3.4 考察

(1)ボランティア活動の実態

 アンケート調査では、調査票を発送した拡大写本に関わっているボランティア団体全80団体のうち、72団体(回収率:90%)から回答が得られた。回答のあった団体のうち8割が「全国拡大教材製作協議会」加入して活動している団体であり、地域的には2割強が神奈川県を活動拠点としている団体であった。全国拡大教材製作協議会に加入している団体が多いためか、活動拠点とは関係なく、全国を対象に拡大写本を提供している団体が5割を占め、条件付きで他の地域にも提供している団体を含めると8割が活動拠点の地域に在住していない弱視児童生徒にも対応していることがわかった。最大活動年数は39年、最少活動年数は3年であった。10年以上のキャリアを持つ団体が8割弱を占めており、平成16年の法改正(拡大教科書が無償給与の対象になる)以前から、活動している団体が9割以上であった。72団体のうち68件(94%)は拡大教科書を製作しており、拡大教科書以外にも、補助教材や絵本、拡大写本などの製作を行っている団体が61団体(85%)であった。なお、現時点で拡大教科書だけを製作している団体は19件であった。全団体(72団体)の製作予定タイトル数の合計は、小学校が1,131タイトル、中学校が597タイトル、高等学校が52タイトルであった。また、製作予定総冊数の合計は、小学校が6,027冊、中学校が5,863冊、高等学校が458冊であった。対象別の製作予定数でみると、小学校の製作を行っている団体は、62団体であり、全体の53%を占めていた。

(2)ボランティアによる拡大教科書の製作のポイント

 長年、ボランティア団体が蓄積してきたノウハウを質問したところ、68団体から372件の回答が寄せられた。極めて多くのきめ細かい工夫が蓄積されてきたことがわかった。今後、一つひとつのノウハウについて精査し、ボランティア同士、もしくは、教科書発行者との間で情報共有を行うことが重要だと考えられる。

(3)教科書発行者との役割分担

 教科書発行者による標準拡大教科書が発行されるようになって、ボランティアの最も大きな役割は、標準規格で対応できないプライベートサービスを行うことだと考えられる。しかし、文字サイズに関して言えば、教科書発行者の製作している拡大教科書と同じポイントサイズの依頼がボランティア団体に来ていることがわかった。回答が得られた全団体(64団体)のうち、教科書発行者が発行を予定している標準拡大教科書の中に同じポイントサイズの教科書が有る場合に、製作の依頼を「受け付けている」の回答が54団体(84%)、「受け付けていない」の回答が10団体(16%)であった。依頼を受けた際に、「文部科学省の資料等で有無を確認した」の回答が54団体(84%)、「有無の確認はしていない」の回答が10団体(16%)であった。なお、標準拡大教科書発行の有無は確認しないが「標準規格に該当するものは受け付けていない」という団体が2団体あり、合計して12団体が「標準規格に該当するものは受け付けていない」こととなることがわかった。依頼を受け付けている理由は、「既に依頼実績がある児童・生徒からの継続した依頼の場合には受け付けている」と回答した36団体(47%)が最多で、「依頼があった場合には、特に確認は行わないで受け付けている」はが6団体(8%)であった。なお、ボランティアの中からは、標準規格に基づいた拡大教科書を選択した児童生徒が本当に適切な選択であったかどうかについて危惧する意見が出されていた。ボランティア団体へのヒアリング調査の中で、「小学校段階では28ポイント以上の大きな文字サイズの依頼が多かったのに対し依頼数が減ってしまった。標準規格では高学年の最大文字サイズが26ポイントであることから、平成23年度から標準拡大教科を手にした生徒が、実際には使えなかった(見えなかった)という事態が起きるのではないか」という懸念をもつ団体もあった。つまり、発行者とボランティア団体の役割分担を考える際、弱視児童生徒にとって、本当に適切な教科書選定ができているかを第一に考える必要がある。

(4)プライベートサービスと利用者とのコミュニケーション

 拡大教科書の製作にあたって、特に重視しているポイントを「児童生徒からの意見や要望」としているケースが48団体(72%)と最も多かった。これは、ボランティア団体が、拡大教科書を製作する際には、弱視児童生徒の眼疾患や状況に合わせたプライベートサービスが基本だと考えられるため、予想通りの結果であった。しかし、近年、個人情報保護の観点から、児童生徒とのコミュニケーションが十分にとれなくなり、製作上困っているという声がボランティアから届けられることが多くなってきた。そこで、拡大教科書の製作にあたり、依頼者となる教育委員会との情報交換の方法や、または利用者である児童・生徒等とコミュニケーションの必要性や、コンタクトの有無に関する実態を調査した。弱視児童生徒から「意見・感想を聞いたことがある」ケースは57団体(85%)であった。意見の聴取方法は「面談」が22団体(32%)、「アンケート・質問票等」が21団体(31%)、「電話」が8団体(12%)であった。意見の活用方法では、教科書の使用感などの意見・感想を聞いて「次回の製作に活かす」といった、活用に対して「肯定的」な回答をした団体が32団体(72.7%)であった。

(5)ボランティア活動の変化

 平成23年度は小学校教科書の大改訂にあたり、この改訂版教科書から全ての検定教科書について、教科書発行者が標準規格に基づく拡大教科書を製作し発行することになった。これに対して、実際に23年度のボランティア団体での製作状況にどのように変化があったのかについて調査を行った。全体の傾向としては、標準拡大教科書の発行により、ボランティア団体の活動に変化があるという回答は、51件(82%)であった。また、変化があると回答した中で、「依頼数が減少した」という記述が40件(76%)であった。減少の幅としては、平成22年度教科書と比較して半減〜1/5に及ぶ団体もあった。「依頼数が減少した」と回答した中には、教科書発行者が発行する標準拡大教科書のポイントサイズに対する依頼が減少しているという回答があった。また、標準拡大教科書の発行により、大きな文字サイズへの対応があるという記述が3件、副読本等、他の拡大写本への対応という記述が4件であった。

(6)今後、ボランティアに期待されている役割

 教科書発行者による標準規格の拡大教科書の発行実績が増えている現在、ボランティアの役割は、プライベートサービスの充実や発行実績が少ない高等学校の拡大教科書の製作へとシフトすることが期待されている。今後のボランティアの役割について調査した結果、「標準拡大教科書が合わない児童・生徒用の教科書への対応」が59団体(46%)と多く、プライベートサービスを担える可能性が高いことがわかった。しかし、高等学校等の義務教育ではない生徒の拡大教科書の作成を担えると考えているボランティアは18団体(14%)に留まっていた。


<目次へもどる>