第6章 盲学校に在籍している弱視生徒に対するアンケート方式による拡大補助具等に関する実態調査(2010年度実施)

花井 利徳・中野 泰志・吉野 中・澤海 崇文・新井 哲也・大島 研介・草野 勉・山本 亮


6.1 目的

 本研究の目的は、高等学校段階における弱視生徒用拡大教科書の在り方を明らかにするための基礎データを収集することである。小学校、中学校段階における拡大教科書に関しては、香川(2001)、国立特殊教育総合研究所(2005)等の研究成果に基づき、標準規格が作成されている。しかし、弱視の高校生(以下、弱視生徒)に関しては、1)視機能等、特に読書能力に関する基礎データが十分でない、2)卒業後の進路等を考慮した教育目標を設定しなければならないという発達課題がある、3)義務教育ではないため経費等の社会的な要因を考慮しなければならない等の課題がある。本研究では、最も教育的配慮を必要としている盲学校高等部に在籍している弱視生徒に対象を絞り、視機能や拡大教科書に関するニーズ等のアンケート調査を実施した。


6.2 方法

 視覚特別支援学校(盲学校)の高等部に在籍している生徒を対象にアンケート方式の実態調査を実施した。アンケートでは、a)眼疾患や視機能等のプロフィール、b)中学校段階での拡大教科書の利用状況、c)高等学校段階での拡大教科書や補助具の利用状況、d)理想的な教科書のあり方に関する要望等を調査した(調査用紙は巻末に掲載)。調査用紙は盲学校に送付し、各盲学校に在籍している弱視生徒に配布していただいた。調査用紙は、高等部があり、弱視の生徒が在籍している盲学校57校に2010年7月4日に送付した。なお、本研究は「慶應義塾総合研究推進機構研究倫理委員会」で承認を受けた上で実施した。


6.3 結果

6.3.1 回収率

 高等部があり、弱視生徒が在籍している57校の盲学校すべてから338件の有効回答が得られた。


6.3.2 対象者の属性

 普通科の生徒が232人、保健理療科の生徒が99人、その他の学科が7人で、学年はほぼ均等に分布していた(図6.1)。男女の割合も、保健理療科において男性の割合が多かったものの、ほぼ均等に分布していた(図6.2)。

図6.1 調査対象者の学年
普通科の1年が79人、2年が78人、3年が75人。保理科が、それぞれ38、27、34人。その他が、それぞれ4人、1人、2人。

図6.1 調査対象者の学年

図6.2 調査対象者の性別
普通科の男が125人、女が107人。保理科が、それぞれ79人、20人。その他が、それぞれ5人、2人。

図6.2 調査対象者の性別


6.3.3 視力と眼疾患、読書の際に主に使っている眼

 調査対象の生徒が持つ眼疾患は、白内障が最も多く、網膜色素変性症、緑内障が続いていた(図6.3)。0.1〜0.3の視力の生徒が94人と最も多く、続いて0.3以上の視力の生徒が69人であった。割合としては、比較的視力の高い生徒が多いことがわかる(図6.4)。また、視距離を固定せず、生徒が識別できる最小の視力標と、その時の視認距離から求めることができる最大視認力を以下の図6.5に示す。

 また、調査対象者が読書の際に主として使っている眼は、左右ともにほぼ同数の人数であり、このことから主として使っている眼の左右の間で明確な差がないことが明らかとなった(図6.6)。

図6.3 眼疾患の分布
網膜色素変性症が、普通科は25人、保理科は30人、その他は1人。網膜剥離が、それぞれ22人、13人、2人。緑内障が25人、19人、1人。無虹彩症が11人、0人、0人。白子眼が6人、0人、0人。白内障が37人、17人、3人。白内障手術後無水晶体が9人、7人、0人。未熟児網膜症が27人、5人、1人。小眼球が8人、1人、0人。視神経萎縮が30人、12人、0人。レーベル病が7人、3人、0人。黄斑変性症が13人、2人、0人。糖尿病性網膜症が0人、12人、1人。網膜芽細胞腫が4人、0人、0人、眼球振盪症が20人、4人、0人、その他が80人、24人、1人。

図6.3 眼疾患の分布

図6.4 視力(矯正)の分布
0.02未満が、普通科は8人、保理科は9人、その他は0人。0.02から0.04は、それぞれ21人、15人、2人。0.04から0.07は26人、11人、0人。0.07から0.1は37人、11人、1人。0.1から0.3は71人、20人、3人。0.3以上は43人、25人、1人。未回答が26人、8人、0人。

図6.4 視力(矯正)の分布

図6.5 最大視認力の分布
横軸に視認距離、縦軸に最小可読指標(小数視力)をとった、散布図。

図6.5 最大視認力の分布

図6.6 読書の際に主として使っている眼
普通科は、右目85、左目84、両方45、分からない15、未回答3人。保理科は、右目31、左目33、両方31、分からない4、未回答0人。その他は、右目5。左目2、両方0、分からない0、未回答0人。

図6.6 読書の際に主として使っている眼


6.3.4 視野障害の有無、視力、視野障害で日常的に困難に感じていること

 視野に障害がない生徒は112人、障害のある生徒は235人で、半数以上の弱視生徒が視野障害を有していることがわかった。視野障害の内容としては、視野狭窄が164人と多く、中心暗点がある生徒は48人であった(図6.7)。先行研究では、ルーペよりも拡大教科書の恩恵を最も受けることができるのは、中心暗点があるケースとされている。そのため、中心暗点があると報告した48人は、拡大教科書の必要を最も感じている可能性が高いことが示唆される。

 また、視力、視野以外で日常的に困難に感じていることで一番多く回答を得たのが「まぶしい」で、179人であった。次いで「白黒反転の方が見やすい」が111人、「夜盲がある」が108人であった(図6.8)。

図6.7 視野障害の有無と種類
普通科は、無し95、狭窄視野92、中心暗転31、その他17人。保理科は、無し15、視野狭窄68、中心暗転17、その他5人。その他は、無し2、視野狭窄4、中心暗転0、その他1人。

図6.7 視野障害の有無と種類

図6.8 視力、視野以外で日常的に困難に感じていること(複数回答)
無しが、普通科は59、保理科が10、その他が3人。まぶしいが、普通科は107、保理科は58、その他は4人。白黒反転の方が見やすいが、普通科は65、保理科は14、その他は2人。夜盲があるが、普通科は52、保理科は53、その他は3人。斜に見えるが、普通科は24、保理科は15、その他は0人。眼球が揺れるが、普通科は62、保理科は14、その他は0人。その他が、普通科は15人、保理科は8、その他は0人。

図6.8 視力、視野以外で日常的に困難に感じていること(複数回答)


6.3.5 視覚以外の障害の有無

 視覚以外の障害はないと答えた人は278名で、聴覚障害が16人、肢体不自由が7人、その他が32人であった(図6.9)。

図6.9 視覚以外の障害の有無(複数回答)
無しが、普通科は193、保理科が80、その他が5人。聴覚障害が、普通科は7、保理科は9、その他は0人。肢体不自由が、普通科は5、保理科は1、その他は1人。その他が、普通科は23、保理科は8、その他は1人。未回答が、普通科は5人、保理科は2、その他は0人。

図6.9 視覚以外の障害の有無(複数回答)


6.3.6 学校や家庭などで勉強や読書などの読み書きに使用する補助具

 現在、学校や家庭などで勉強や読書などの読み書きに使用している補助具について、使用の有無、補助具の種類、および使用頻度を調査した。普通科、保健理療科ともに6割以上の生徒が補助具を利用しており(図6.10)、ルーペが最も多く使用され、ついでCCTVが使用されている(図6.11)。また、補助具は常に使用するより、必要に応じて使用することが多いことが明らかとなった(表6.1)。

 また、生徒が補助具を使用し始めた年齢として最も多いのは13歳から15歳の間で、次いで7歳から9歳の間で多いことがわかった(図6.12)。

図6.10 補助具の利用有無
普通科は、使用しているが154、使用していないが76、不明・未回答が2人。保理科は、使用しているが64、使用していないが34、不明・未回答が1人。その他は、使用しているが6、使用していないが1、不明・未回答が0人。

図6.10 補助具の利用有無

図6.11 利用している補助具の種類
普通科は、レンズが117、CCTVが60、遮光眼鏡が15、机上灯が14、傾斜机が17、書見台が34、タイポスコープが2、その他が17人。保理科は、レンズが37、CCTVが38、遮光眼鏡が5、机上灯が5、傾斜机が6、書見台が7、タイポスコープが0、その他が3人。その他は、レンズが6、CCTVが2、遮光眼鏡が1、机上灯が0、傾斜机が0、書見台が1、タイポスコープが0、その他が0人。

図6.11 利用している補助具の種類

表6.1 補助具の使用状況

 
いつも
必要に応じて
困ったとき
使わない
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
レンズ n=160
48
30%
135
84%
21
13%
6
4%
CCTV n=100
41
41%
61
61%
14
14%
4
4%
遮光眼鏡 n=21
6
29%
15
71%
0
0%
0
0%
机上灯 n=19
6
32%
11
58%
1
5%
1
5%
傾斜机 n=23
13
57%
10
43%
1
4%
1
4%
書見台 n=42
15
36%
25
60%
1
2%
1
2%
タイポスコープ n=2
0
0%
0
0%
2
100%
0
0%
その他 n=20
6
30%
14
70%
3
15%
2
10%

図6.12 補助具の使用開始年齢
0〜6歳が12、7〜9歳が41、10〜12歳が28、13〜15歳が53、16〜18歳が27、19〜22歳が5、23〜26歳が0、27〜30歳が3、31〜35歳が4、36〜42歳が7、42〜48歳が5、49歳以上が10人。

図6.12 補助具の使用開始年齢


6.3.7 見え方や見えにくさなどに関して相談・指導を受けた経験

 視覚障害に関する相談や指導の経験に関して、経験の有無、相談や指導を受けた場所、担当した者、受けた検査、指導の内容を調査した。

 指導を定期的に、あるいは必要なときに受けている生徒は半数ほどで、指導をまったく受けたことがない生徒も2割弱ほどいることが明らかになった(図6.13)。指導は主に盲学校か病院にて受けており(図6.14)、対応して指導の担当者は先生が最も多く、ついで眼科医が担当していることが多かった(図6.15)。相談・指導の際に受ける検査としては、視力検査と視野検査が多く行われ、次いで読書に関する検査も行われていることが明らかになった(図6.16)。相談・指導の内容は、全体の集計としては、学校での学習に関するものが最も多く、次いで補助具の選定に関するものが多いという結果となった(図6.17)(重複回答者1人あり)。

図6.13 相談・指導を受けた経験
普通科は、定期的にが23、必要なときにが53、かつてが65、全くないが13、その他が0、未回答が人1。保理科は、定期的にが13、必要なときにが15、かつてが20、全くないが15、その他が1、未回答が0人。その他は、定期的に0が、必要なときに5が、かつてが0、全くないが1、その他が0、未回答が0人。

図6.13 相談・指導を受けた経験

図6.14 相談・指導を受けた場所
普通科は、盲学校が95、弱視学級が19、教育相談施設が6、リハビリセンターが9、病院が81、眼鏡店が11、その他が4人。保理科は、盲学校が31、弱視学級が19、教育相談施設が6、リハビリセンターが9、病院が81、眼鏡店が11、その他が4人。その他が5、盲学校が0、弱視学級が0、教育相談施設が0、リハビリセンターが2、病院が2、眼鏡店が0、その他が0人。

図6.14 相談・指導を受けた場所(複数回答)

図6.15 相談・指導を担当してくれた人(複数回答)
普通科は、先生が106、相談員が4、眼科医が80、視能訓練士が26、その他が2人。保理科は、先生が32、相談員が4、眼科医が30、視能訓練士が11、その他が2人。その他は、先生が5、相談員が0、眼科医が2、視能訓練士が0、その他が0人。

図6.15 相談・指導を担当してくれた人(複数回答)

図6.16 相談・指導の際に受けた検査(複数回答)
普通科は、視力検査が127、視野検査が96、屈折検査が14、色覚検査が33、まぶしさに関する検査が25、読書に関する検査が46、その他が8人。保理科は、視力検査が43、視野検査が38、屈折検査が15、色覚検査が21、まぶしさに関する検査が12、読書に関する検査が19、その他が1人。その他は、視力検査が5、視野検査が1、屈折検査が0、色覚検査が1、まぶしさに関する検査が0、読書に関する検査が0、その他が0人。

図6.16 相談・指導の際に受けた検査(複数回答)

図6.17 相談・指導の際に受けた内容(複数回答)
普通科は、進路が62、学習(学校)が101、学習(家庭)が35、補助具選定が85、教科書選定が52、その他が13人。保理科は、進路が22、学習(学校)が29、学習(家庭)が12、補助具選定が31、教科書選定が16、その他が3人。その他は、進路が3、学習(学校)が2、学習(家庭)が2、補助具選定が3、教科書選定が1、その他が0人。

図6.17 相談・指導の際に受けた内容(複数回答)

   


6.3.8 教科書の使用状況

 現在使用している教科書の種類、および教科ごとの補助具の併用実態を調査した。

 倫理、物理、美術、家庭科は拡大教科書の使用比率が少なく、英語や地理、理科総合はレイアウト拡大を使用している比率が多いことが明らかとなった(表6.2)。
 補助具としては、教科にかかわらず手持ちルーペやCCTVが多く使用されていることが明らかとなった(表6.3)。また、使用している教科書が拡大か否かに関わらず、補助具が併用されていることが明らかとなった(表6.4)。

表6.2 教科書の種類(通常・単純拡大・レイアウト拡大)×教科

 
回答者数
比率(横%)
通常
単純拡大
レイアウト拡大
通常
単純拡大
レイアウト拡大
国語
133
118
24
48%
43%
9%
古典
55
33
7
58%
35%
7%
数学
142
106
21
53%
39%
8%
英語
149
96
31
54%
35%
11%
地理
57
30
10
59%
31%
10%
日本史
46
35
1
56%
43%
1%
世界史
66
54
8
52%
42%
6%
倫理
14
3
1
78%
17%
6%
現代社会
81
62
5
55%
42%
3%
政治経済
25
10
3
66%
26%
8%
理科総合
84
75
35
43%
39%
18%
物理
17
4
1
77%
18%
5%
生物
68
34
5
64%
32%
5%
化学
37
19
1
65%
33%
2%
情報
82
59
2
57%
41%
1%
保健体育
109
72
7
58%
38%
4%
美術
80
7
1
91%
8%
1%
家庭科
166
11
5
91%
6%
3%
音楽
89
53
9
59%
35%
6%
その他
19
8
12
66%
26%
8%

表6.3 教科書と併用している補助具×教科

 
回答者数
比率(横%)
卓上ルーペ
手持ちルーペ
弱視眼鏡
CCTV
卓上ルーペ
手持ちルーペ
弱視眼鏡
CCTV
国語
9
58
24
45
7%
43%
18%
33%
古典
2
23
10
15
4%
46%
20%
30%
数学
9
62
27
36
7%
46%
20%
27%
英語
7
65
26
42
5%
46%
19%
30%
地理
2
27
6
19
4%
50%
11%
35%
日本史
3
18
9
17
6%
38%
19%
36%
世界史
6
27
13
24
9%
39%
19%
34%
倫理
1
6
2
4
8%
46%
15%
31%
現代社会
3
33
17
32
4%
39%
20%
38%
政治経済
1
13
5
5
4%
54%
21%
21%
理科総合
5
42
17
33
5%
43%
18%
34%
物理
1
6
1
4
8%
50%
8%
33%
生物
4
27
11
20
6%
44%
18%
32%
化学
1
15
4
12
3%
47%
13%
38%
情報
3
35
11
20
4%
51%
16%
29%
保健体育
2
44
16
25
2%
51%
18%
29%
美術
2
21
3
6
6%
66%
9%
19%
家庭科
5
40
16
26
6%
46%
18%
30%
音楽
4
38
10
13
6%
58%
15%
20%
その他
1
8
1
11
5%
38%
5%
52%

表6.4 教科書の種類(通常・単純拡大・レイアウト拡大)×補助具

 
回答者数
比率(横%)
卓上ルーペ
手持ちルーペ
弱視眼鏡
CCTV
卓上ルーペ
手持ちルーペ
弱視眼鏡
CCTV
通常
9
75
26
56
6%
45%
18%
31%
単純拡大
10
68
23
47
5%
47%
21%
27%
レイアウト拡大
4
16
2
16
7%
37%
16%
40%

表6.5 拡大教科書の使用の有無

 
普通科 n=232
保健理療科 n=99
その他 n=7
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
拡大教科書を
使用している
168
72%
57
58%
6
86%
単純拡大
124
53%
33
33%
4
57%
レイアウト拡大
14
6%
5
5%
2
29%
両方
30
13%
19
19%
0
0%
拡大教科書を使用していない
64
28%
42
42%
1
14%

   


6.3.9 拡大教科書の必要性

 拡大教科書の必要性について調査を行った。普通科は「どちらかというと必要」と回答した生徒が最も多く、保健理療科は「必要不可欠」が最も多かった(図6.18)(重複回答者1人あり)。

図6.18 拡大教科書の必要性
普通科は、必要不可欠が43、どちらかというと必要が93、あまり必要ないが60、全く必要ないが34、未回答が3人。保理科は、必要不可欠が35、どちらかというと必要が30、あまり必要ないが15、全く必要ないが16、未回答が3人。その他は、必要不可欠が1、どちらかというと必要が3、あまり必要ないが2、全く必要ないが1、未回答が0人。

図6.18 拡大教科書の必要性


6.3.10 拡大教科書を使用しない理由

 現在、拡大教科書を使用していない生徒に関して、使用していない理由を調査した。

 拡大教科書を使用していない理由としては、「必要なかった」が最も多く、次いで「通常教科書に補助具を併用している」ため、拡大教科書を必要としない場合が多いことが明らかとなった(図6.19)。

図6.19 拡大教科書を使用しない理由
普通科は、必要なかったが37、必要だったが入手できなかったが3、入手方法が分からなかったが0、存在を知らなかったが0、使いたいものが無かったが3、通常×補助具を使用しているが20、価格が高かったが2、その他が10人。保理科は、必要なかったが14、必要だったが入手できなかったが3、入手方法が分からなかったが0、存在を知らなかったが4、使いたいものが無かったが0、通常×補助具を使用しているが14、価格が高かったが0、その他が7人。その他は、必要なかったが0、必要だったが入手できなかったが0、入手方法が分からなかったが0、存在を知らなかったが0、使いたいものが無かったが0、通常×補助具を使用しているが1、価格が高かったが0、その他が0人。

図6.19 拡大教科書を使用しない理由


6.3.11 拡大教科書を使用し始めたきっかけ

 拡大教科書を使用している生徒に対して、使用し始めたきっかけを調査した。

 拡大教科書を使用し始めたきっかけとしては、「先生の薦め」が最も多く、次いで「自分の希望」が多いことが明らかとなった(図6.20)。また、普通科に関しては、友人・知人に薦められて使用し始める場合もあった。

図6.20 拡大教科書を使用し始めたきっかけ
普通科は、自分の希望が54、家族の薦めが23、友人・知人の薦めが4、先生の薦めが117、眼科医・機能訓練士の薦めが10、その他が16、不明・未回答が3人。保理科は、自分の希望が19、家族の薦めが0、友人・知人の薦めが2、先生の薦めが29、眼科医・機能訓練士の薦めが2、その他が12、不明・未回答が1人。その他は、自分の希望が2、家族の薦めが2、友人・知人の薦めが0、先生の薦めが0、眼科医・機能訓練士の薦めが0、その他が1、不明・未回答が1人。

図6.20 拡大教科書を使用し始めたきっかけ


6.3.12 拡大教科書の選択方法

 使用している拡大教科書はどのように選定したかを調査した。

 選定をせずに薦められたものを使用している場合や、他に選択肢がないこともあり、検査や評価を行ったうえで選定をする場合は非常に少ないことが明らかとなった(図6.21)。

図6.21 拡大教科書の選択方法
普通科は、学校や病院で検査・評価が25、サンプルを見て自分でが40、使用した拡大教科書を参考に自分でが14、他の選択肢が無かったが45、薦められたのでが77、その他が9、不明・未回答が3人。保理科は、学校や病院で検査・評価が11、サンプルを見て自分でが18、使用した拡大教科書を参考に自分でが1、他の選択肢が無かったが13、薦められたのでが25、その他が4、不明・未回答が2人。その他は、学校や病院で検査・評価が0、サンプルを見て自分でが1、使用した拡大教科書を参考に自分でが0、他の選択肢が無かったが1、薦められたのでが3、その他が0、不明・未回答が1人。

図6.21 拡大教科書の選択方法


6.3.13 単純拡大教科書の使いやすさ

 単純拡大教科書を使用している生徒に対して、使いやすさを調査し、使いやすい理由と使いにくい理由を調査した。

 単純拡大教科書の使いやすさは、ほぼ半数に意見が分かれた(図6.22)(重複回答者3人あり)。文字の大きさが合っていれば使いやすいと感じる(図6.23、図6.24)。
 そのほか、使いやすい理由として「図.表が見やすい」「通常教科書とレイアウトが同じ」という点が挙げられ、使いにくい理由として「教科書が大きすぎる」ことが大きな問題となっている。

図6.22 単純拡大教科書の使いやすさ
普通科は、非常に使いやすいが4、使いやすいが67、使いにくいが61、非常に使いにくいが16、不明・未回答が9人。保理科は、非常に使いやすいが5、使いやすいが21、使いにくいが17、非常に使いにくいが6、不明・未回答が3人。その他は、非常に使いやすいが0、使いやすいが2、使いにくいが1、非常に使いにくいが0、不明・未回答が1人。

図6.22 単純拡大教科書の使いやすさ

図6.23 単純拡大教科書の使いやすい理由
普通科は、文字の大きさが適切が53、行間や文字間隔が適切が23、書体が適切が18、教科書の大きさが適切が9、図表が見やすいが25、補助具併用しなくて良いが19、通常教科書とレイアウトが同じが22、疲れにくいが16、その他が4人。保理科は、文字の大きさが適切が21、行間や文字間隔が適切が15、書体が適切が13、教科書の大きさが適切が5、図表が見やすいが10、補助具併用しなくて良いが9、通常教科書とレイアウトが同じが6、疲れにくいが14、その他が0人。その他は、文字の大きさが適切が2、行間や文字間隔が適切が2、書体が適切が1、教科書の大きさが適切が1、図表が見やすいが0、補助具併用しなくて良いが1、通常教科書とレイアウトが同じが0、疲れにくいが1、その他が0人。

図6.23 単純拡大教科書の使いやすい理由

図6.24 単純拡大教科書の使いにくい理由
普通科は、文字の大きさが不適切が52、行間や文字間隔が不適切が14、書体が不適切が19、光の反射が強くて見にくいが8、教科書が大きすぎるが56、補助具を併用しなければならないからが30、疲れやすいからが24、その他が12人。保理科は、文字の大きさが不適切が18、行間や文字間隔が不適切が9、書体が不適切が13、光の反射が強くて見にくいが3、教科書が大きすぎるが10、補助具を併用しなければならないからが13、疲れやすいからが10、その他が2人。その他は、文字の大きさが不適切が0、行間や文字間隔が不適切が0、書体が不適切が0、光の反射が強くて見にくいが1、教科書が大きすぎるが1、補助具を併用しなければならないからが0、疲れやすいからが0、その他が0人。

図6.24 単純拡大教科書の使いにくい理由


6.3.14 単純拡大教科書の改善点

 単純拡大教科書を使用している生徒に対して、より使いやすい教科書にするためにはどのような改善が必要かを調査した。

 生徒が考える改善点の、普通科と保健理療科との違いとしては、普通科は文字サイズを犠牲にしても教科書を小さくしてほしいという要望があるのに対し、保健理療科からの同様の要望はほとんど無いことが挙げられる(図6.25)。

図6.25 単純拡大教科書の改善点
普通科は、書体をかえてほしいが37、文字が小さくても良いので教科書を小さくが33、教科書が大きくても良いので文字を大きくが37、紙の質を変えてほしいが28、白黒反転で作成してほしいが25、その他が46人。保理科は、書体をかえてほしいが21、文字が小さくても良いので教科書を小さくが1、教科書が大きくても良いので文字を大きくが20、紙の質を変えてほしいが14、白黒反転で作成してほしいが14、その他が9人。その他は、書体をかえてほしいが0、文字が小さくても良いので教科書を小さくが0、教科書が大きくても良いので文字を大きくが1、紙の質を変えてほしいが0、白黒反転で作成してほしいが1、その他が1人。

図6.25 単純拡大教科書の改善点


6.3.15 昨年度と比べた今年度の単純拡大教科書の使いやすさ

 今年度も昨年度も高等学校の単純拡大教科書を使用している生徒に対し、使いやすさが変わったと感じたか否かを調査した。使いやすくなった、もしくは使いにくくなったと回答した場合はその理由を調査した。

 ほとんどの生徒が、今年度の単純拡大教科書は昨年度と使いやすさが変わらないと回答した(図6.26)。

図6.26 昨年度の単純拡大教科書との比較
普通科は、使いやすくなったが9、変わらないが69、使いにくくなったが1、不明・未回答が20人。保理科は、使いやすくなったが0、変わらないが15、使いにくくなったが0、不明・未回答が11人。その他は、使いやすくなったが0、変わらないが1、使いにくくなったが0、不明・未回答が1人。

図6.26 昨年度の単純拡大教科書との比較

 使いやすくなったと回答した生徒の回答理由としては、「文字の大きさが適切」や「図表が見やすい」が挙げている(図6.27)。使いにくいと回答した生徒の理由としては「疲れやすい」ことが挙げられる。

図6.27 昨年度より使いやすくなった理由
普通科に関しては、文字の大きさが適切が9、行間や文字間隔が適切が6、書体が適切が3、教科書の大きさが適切が3、図表が見やすいが7、補助具併用しなくてよいが1、疲れにくいが0、その他が1人。

図6.27 昨年度より使いやすくなった理由


6.3.16 レイアウト拡大教科書の使用状況

 現在、レイアウト拡大教科書を使用している生徒に対して、ボランティア、教科書会社のどちらの教科書を使用しているかを調査した。

 普通科、保健理療科ともに教科書会社のレイアウト拡大を最も使用していることが明らかとなった(図6.28)。また、A4の判サイズでは22ポイントの文字サイズが多く、他の判サイズの場合、文字サイズの選択の数に差はないことが明らかとなった(図6.29)。

図6.28 レイアウト拡大教科書の種類
普通科は、ボランティアが12、教科書会社が20、その他が3、未回答が12人。保理科は、ボランティアが0、教科書会社が17、その他が0、未回答が7人。その他は、ボランティアが2、教科書会社が0、その他が0、未回答が0人。

図6.28 レイアウト拡大教科書の種類(複数回答)

図6.29 レイアウト拡大教科書の判サイズと文字サイズ
14pt(A4)が1、16pt(A4)が3、17pt(A4)が3、18pt(A4)が1、20pt(A4)が3、22pt(A4)が17、24pt(A4)が1、25pt(A4)が2、26pt(A4)が3、34pt(A4)が1、48pt(A4)が7、14pt(B5)が16、16pt(B5)が12、18pt(B5)が19、18pt(B4)が1、22pt(B4)が3人。

図6.29 レイアウト拡大教科書の判サイズと文字サイズ


6.3.17 教科書を読む際の拡大補助具の使用有無

 教科書使用時の、補助具の併用実態について調査した。ほぼ半数の生徒が教科書使用時に補助具を併用していることが明らかとなった(図6.30)。

図6.30 教科書を読む際の補助具利用
普通科は、いつも使用が70、ときどき使用が60、ほとんど使用しないが21、全く使用しないが73、不明・未回答が8人。保理科は、いつも使用が34、ときどき使用が20、ほとんど使用しないが6、全く使用しないが31、不明・未回答が8人。その他は、いつも使用が2、ときどき使用が4、ほとんど使用しないが0、全く使用しないが1、不明・未回答が0人。

図6.30 教科書を読む際の補助具利用


6.3.18 教科書と拡大補助具の組み合わせ

 教科書と補助具の併用時に、生徒が最も疲れないと感じている組み合わせを調査した。

 普通科の生徒は「通常教科書と補助具」、「拡大教科書のみ」の使用において最も疲れにくく、保健理療科の生徒は「拡大教科書と補助具」の組み合わせが最も疲れにくいと感じていることが明らかとなった(図6.31)(重複回答者6人あり)。また、最も疲れる組み合わせとしては、普通科・保健理療科ともに「通常教科書のみ」の場合であった(図6.32)(重複回答者43人あり)。

図6.31 教科書を読む際の最も疲れない組み合わせ
普通科は、通常教科書のみが9、通常教科書と補助具が53、拡大教科書のみが51、拡大教科書と補助具が28、どれも疲れないが10人。保理科は、通常教科書のみが3、通常教科書と補助具が10、拡大教科書のみが11、拡大教科書と補助具が35、どれも疲れないが2人。その他は、通常教科書のみが0、通常教科書と補助具が1、拡大教科書のみが4、拡大教科書と補助具が2、どれも疲れないが1人。

図6.31 教科書を読む際の最も疲れない組み合わせ

図6.32 教科書を読む際の最も疲れる組み合わせ
普通科は、通常教科書のみが100、通常教科書と補助具が18、拡大教科書のみが8、拡大教科書と補助具が41人。保理科は、通常教科書のみが46、通常教科書と補助具が9、拡大教科書のみが3、拡大教科書と補助具が4人。その他は、通常教科書のみが6、通常教科書と補助具が0、拡大教科書のみが0、拡大教科書と補助具が1人。

図6.32 教科書を読む際の最も疲れる組み合わせ


6.3.19 拡大補助具の選定や使い方の指導

 生徒が現在までに受けた補助具の選定や使い方の指導に関して、選定や指導の頻度、時期、場所、および指導者を調査した。

 補助具の選定や指導は、普通科で「かつて受けたことがある」、保健理療科で「まったく受けていない」が最も多くなるなど、ほとんどが恒常的な指導を受けていないことが明らかとなった(図6.33)。指導を受けた時期は「2年以内」が最も多く、それ以上に「受けていない」が多かったなど、現在指導を受けている生徒が少ないことが明らかになった(図6.34)。指導を受けた場所としては、「盲学校」で受けた生徒が圧倒的に多く、その指導に当たった人はその学校の「先生」であることがほとんどであった(図6.35、図6.36)。

図6.33 拡大補助具の選定や使い方の指導
普通科は、定期的に受けているが5、必要なときだけが38、かつて受けたことがあるが73、全く受けていないが37人。保理科は、定期的に受けているが4、必要なときだけが10、かつて受けたことがあるが20、全く受けていないが25人。その他は、定期的に受けているが0、必要なときだけが4、かつて受けたことがあるが0、全く受けていないが2人。

図6.33 拡大補助具の選定や使い方の指導

図6.34 最近拡大補助具の指導を受けた時期
普通科は、1ヶ月以内が8、3ヶ月以内が12、半年以内が11、1年以内が14、2年以内が24、受けていないが18、その他が29人。保理科は、1ヶ月以内が2、3ヶ月以内が8、半年以内が2、1年以内が5、2年以内が7、受けていないが5、その他が5人。その他は、1ヶ月以内が0、3ヶ月以内が1、半年以内が0、1年以内が1、2年以内が2、受けていないが0、その他が0人。

図6.34 最近拡大補助具の指導を受けた時期

図6.35 最近拡大補助具の指導を受けた場所
普通科は、盲学校が86、弱視学級が6、教育相談施設が2、リハビリセンターが7、病院が18、眼鏡店が7、その他が3人。保理科は、盲学校が30、弱視学級が1、教育相談施設が0、リハビリセンターが0、病院が3、眼鏡店が2、その他が0人。その他は、盲学校が3、弱視学級が0、教育相談施設が0、リハビリセンターが0、病院が0、眼鏡店が0、その他が0人。

図6.35 最近拡大補助具の指導を受けた場所

図6.36 拡大補助具を指導してくれた人
普通科は、先生が91、相談員が2、眼科医が17、師能訓練士が15、その他が4人。保理科は、先生が30、相談員が2、眼科医が6、師能訓練士が2、その他が1人。その他は、先生が3、相談員が0、眼科医が0、師能訓練士が0、その他が0人。

図6.36 拡大補助具を指導してくれた人


6.3.20 教科書を読む際に最も頻繁に使用している拡大補助具

 生徒が教科書を使用する際に、もっとも頻繁に併用する補助具について、補助具の種類、使用箇所、入手場所、指導の必要性を感じているか否か、その補助具の使いやすさを調査した。

 その結果、普通科の生徒においては「手持ちルーペ」が、保健理療科の生徒においては「拡大読書器」が最も頻繁に使用されている拡大補助具である事が明らかとなった(図6.37)(重複回答者6人あり)。また、その拡大補助具を用いて、教科書のどこを読むかに関しては、本文やルビ、図など、どこを読むのにも同じように使用していることが明らかとなった(図6.38)。
 また、その拡大補助具をどこで選んだかについては、「盲学校」でという回答が大半で、次いで眼鏡店という回答が多かった(図6.39)。補助具に関する指導の必要性を感じている生徒は全体の半数を超えており(図6.40)、その理由としては「上手な使い方の指導」や「見え方にあっているかの指導」を受けたいからという回答が多かった(図6.41)。

図6.37 最も頻繁に利用する拡大補助具
普通科は、卓上ルーペは5、手持ちルーペは85、弱視眼鏡は15、拡大読書器は46人。保理科は、卓上ルーペは3、手持ちルーペは22、弱視眼鏡は5、拡大読書器は32人。その他は、卓上ルーペは0、手持ちルーペは3、弱視眼鏡は1、拡大読書器は2人。

図6.37 最も頻繁に利用する拡大補助具

図6.38 最も頻繁に利用する拡大補助具を用いて教科書のどこを読むか
普通科は、本文が117、脚注が99、ルビが100、図が94、表が97、その他が23人。保理科は、本文が52、脚注が38、ルビが42、図が38、表が42、その他が5人。その他は、本文が6、脚注が2、ルビが2、図が1、表が1、その他が5人。

図6.38 最も頻繁に利用する拡大補助具を用いて教科書のどこを読むか

図6.39 最も頻繁に利用する拡大補助具をどこで選んだか
普通科は、盲学校が79、弱視学級が5、教育相談施設が1、リハビリセンターが5、病院が18、眼鏡店が38、その他が22人。保理科は、盲学校が34、弱視学級が0、教育相談施設が0、リハビリセンターが0、病院が7、眼鏡店が19、その他が11人。その他は、盲学校が3、弱視学級が0、教育相談施設が0、リハビリセンターが0、病院が0、眼鏡店が4、その他が0人。

図6.39 最も頻繁に利用する拡大補助具をどこで選んだか

図6.40 補助具に関する指導の必要性
普通科は、必要が80、不要が69、不明が2人。保理科は、必要が36、不要が23、不明が1人。その他は、必要が3、不要が3、不明が0人。

図6.40 補助具に関する指導の必要性

図6.41 拡大補助具に関する指導が必要である理由
普通科は、見え方にあっているかの指導が52、上手な使い方の指導が55、進学や就職を想定した指導が34、より速く読むための指導が36、様々な補助具を使い分ける指導が34、その他が1人。保理科は、見え方にあっているかの指導が24、上手な使い方の指導が31、進学や就職を想定した指導が11、より速く読むための指導が16、様々な補助具を使い分ける指導が20、その他が3人。その他は、見え方にあっているかの指導が0、上手な使い方の指導が3、進学や就職を想定した指導が0、より速く読むための指導が0、様々な補助具を使い分ける指導が0、その他が0人。

図6.41 拡大補助具に関する指導が必要である理由

 拡大補助具の使いやすさに関しては、「使いやすい」と感じている生徒が大半であり、拡大補助具に対する満足度も「満足」している生徒が大半であることが明らかとなった(図6.42、図6.43)。拡大補助具の良い点に関しては、普通科の生徒においては「持ち運びに便利」や「見たいものがすぐに見られる」などの点が多いのに対し、保健理療科の生徒においては、項目の間で大きな差がみられず、これは普通科と保健理療科で最も多く用いられている拡大補助具の違いによるものであると考えられる(図6.44)。
 また、拡大補助具を使いたくないと思うときの有無については、半数以上の生徒が「ある」と答えており(図6.45)、その理由として普通科においては「人目が気になる」が最も多く、次いで「疲れる」が多いのに対して、保健理療科においては「疲れる」が最も多く、「人目が気になる」はさほど多くなかった。これも、前述した通り普通科と保健理療科において、最も頻繁に用いられる拡大補助具が異なるために生じたと考えられる(図6.46)。

図6.42 拡大補助具の使いやすさ
普通科は、非常に使いやすいが24、使いやすいが108、使いにくいが12、非常に使いにくいが1、不明・未回答が6人。保理科は、非常に使いやすいが6、使いやすいが38、使いにくいが11、非常に使いにくいが3、不明・未回答が2人。その他は、非常に使いやすいが1、使いやすいが5、使いにくいが0、非常に使いにくいが0、不明・未回答が0人。

図6.42 拡大補助具の使いやすさ

図6.43 拡大補助具に対する満足度
普通科は、非常に満足が23、満足が107、不満が13、非常に不満が1、不明・未回答が7人。保理科は、非常に満足が4、満足が、不満が33、非常に不満が20、不明・未回答が1人。その他は、非常に満足が1、満足が5、不満が0、非常に不満が0、不明・未回答が0人。

図6.43 拡大補助具に対する満足度

図6.44 拡大補助具の良い点
普通科は、持ち運びに便利が96、両手が自由に使えるが30、字を書きやすいが35、疲れにくいが38、見たいものがすぐ見られるが84、デザインが良いが16、その他が5人。保理科は、持ち運びに便利が28、両手が自由に使えるが16、字を書きやすいが17、疲れにくいが17、見たいものがすぐ見られるが31、デザインが良いが2、その他が3人。その他は、持ち運びに便利が4、両手が自由に使えるが1、字を書きやすいが1、疲れにくいが3、見たいものがすぐ見られるが0、デザインが良いが0、その他が0人。

図6.44 拡大補助具の良い点

図6.45 拡大補助具を使いたくないと思うときの有無
普通科は、あるが78、ないが67、不明・未回答が6人。保理科は、あるが35、ないが24、不明・未回答が1人。その他は、あるが4、ないが2、不明・未回答が0人。

図6.45 拡大補助具を使いたくないと思うときの有無

図6.46 拡大補助具を使いたくないと思うときがある理由
普通科は、持ち運びが不便が20、手がふさがるが28、字を書きにくいが23、本のとじ目が見えないが16、疲れる40、人目が気になるが47、疲れやすいが8、その他が9人。保理科は、持ち運びが不便が12、手がふさがるが19、字を書きにくいが14、本のとじ目が見えないが9、疲れる25、人目が気になるが12、疲れやすいが9、その他が2人。その他は、持ち運びが不便が2、手がふさがるが2、字を書きにくいが0、本のとじ目が見えないが0、疲れる0、人目が気になるが0、疲れやすいが0、その他が0人。

図6.46 拡大補助具を使いたくないと思うときがある理由

 拡大補助具を使用する際に困っていることや改善したいことについては、「読みたい箇所を探すのに時間がかかる」、「読書に時間がかかる」などの時間に関する項目が多く選択されており、次いで「文字を書くときに使いにくい」という書写の際の不便さを感じるという回答が多かった(図6.47)。

図6.47 拡大補助具を使用する際に困っていることや改善したいこと
普通科は、読書に時間がかかるが69、文字を書くときに使いにくいが52、ピンと合わせに時間がかかるが30、読みたい箇所を探すのに時間がかかるが73、自分の見え方に合ってないように思うが9、使い方をもっと習熟したいが21、その他が14人。保理科は、読書に時間がかかるが39、文字を書くときに使いにくいが28、ピンと合わせに時間がかかるが16、読みたい箇所を探すのに時間がかかるが37、自分の見え方に合ってないように思うが11、使い方をもっと習熟したいが15、その他5が人。その他は、読書に時間がかかるが1、文字を書くときに使いにくいが0、ピンと合わせに時間がかかるが0、読みたい箇所を探すのに時間がかかるが5、自分の見え方に合ってないように思うが0、使い方をもっと習熟したいが0、その他が0人。

図6.47 拡大補助具を使用する際に困っていることや改善したいこと


6.3.21 学校、家や寄宿舎などでのパソコンの使用状況

 生徒のパーソナルコンピュータ(以下PCと略記)の使用に関して、使用場所ごとの使用状況を調査した。

 その結果、学校ではPCを使用する生徒が多いが(図6.48)、家や寄宿舎ではPCの使用状況に大きな差は見られなかった(図6.49)。
 家や寄宿舎で自由に使用可能なPCの有無に関して、ほとんどの生徒がPCを持っているが、自分専用のPCを持っている生徒は少なく、大抵の場合、家族と共有しているということが明らかになった(図6.50)。

図6.48 学校でのPC使用状況
普通科は、よく使用が53、ときどき使用が119、あまり使用しないが32、全く使用しないが24、不明・未回答が4人。保理科は、よく使用が10、ときどき使用が35、あまり使用しないが27、全く使用しないが24、不明・未回答が3人。その他は、よく使用が3、ときどき使用が2、あまり使用しないが0、全く使用しないが2、不明・未回答が0人。

図6.48 学校でのPC使用状況

図6.49 家や寄宿舎でのPC使用状況
普通科は、よく使用が48、ときどき使用が74、あまり使用しないが35、全く使用しないが71、不明・未回答が4人。保理科は、よく使用が21、ときどき使用が19、あまり使用しないが15、全く使用しないが41、不明・未回答が3人。その他は、よく使用が2、ときどき使用が1、あまり使用しないが1、全く使用しないが3、不明・未回答が0人。

図6.49 家や寄宿舎でのPC使用状況

図6.50 家や寄宿舎で自由に使用可能なPCの有無
普通科は、自分専用が44、家族と共有・好きなときに使えるが102、家族と共有・必要なときだけが19、自由に使用できるPCは無いが59、その他が10人。保理科は、自分専用が34、家族と共有・好きなときに使えるが16、家族と共有・必要なときだけが1、自由に使用できるPCは無いが32、その他が10人。その他は、自分専用が2、家族と共有・好きなときに使えるが2、家族と共有・必要なときだけが0、自由に使用できるPCは無いが4、その他が0人。

図6.50 家や寄宿舎で自由に使用可能なPCの有無


6.3.22 拡大ソフトや音声化ソフトの使用状況

 PC使用時に拡大ソフトや音声化ソフトなどの補助ソフトの使用状況を調査した。

 その結果、「拡大ソフトも音声化ソフトも使用している」という生徒が多かった(図6.51、表6.6)(重複回答者1人あり)。

図6.51 「画面拡大ソフト」や「音声化ソフト」の使用状況
普通科は、拡大ソフトも音声ソフトも使用しないが119、拡大ソフトのみ使用が25、音声化ソフトのみ使用が27、拡大ソフトと音声化ソフトの併用が33、その他が14、不明・未回答が15人。保理科は、拡大ソフトも音声ソフトも使用しないが44、拡大ソフトのみ使用が7、音声化ソフトのみ使用が16、拡大ソフトと音声化ソフトの併用が19、その他が5、不明・未回答が8人。その他は、拡大ソフトも音声ソフトも使用しないが5、拡大ソフトのみ使用が1、音声化ソフトのみ使用が0、拡大ソフトと音声化ソフトの併用が0、その他が0、不明・未回答が1人。

図6.51 「画面拡大ソフト」や「音声化ソフト」の使用状況

表6.6 使用している「画面拡大ソフト」「音声化ソフト」順位

 
ソフト名
回答者数
1位
PCトーカー
66
2位
ZoomText
17
3位
xp Reader
8

   


6.3.23 デジタル教科書を使ってみたいか

 文字の拡大や音声読み上げが可能で、操作や持ち運びが楽な「デジタル教科書」を使ってみたいと思うかどうかを調査した。

 その結果、「非常に思う」、「少し思う」という、使ってみたいと思う生徒が過半数を占めていることが明らかとなった(図6.52)。

図6.52 デジタル教科書を使用について
普通科は、非常に思うが54、少し思うが80、あまり思わないが34、全く思わないが58人。保理科は、非常に思うが27、少し思うが41、あまり思わないが11、全く思わないが15人。その他は、非常に思うが2、少し思うが3、あまり思わないが2、全く思わないが0人。

図6.52 デジタル教科書を使用について


6.3.24 デジタル教科書が普及して欲しいか

 文字の拡大や音声読み上げが可能で、操作や持ち運びが楽な「デジタル教科書」が普及して欲しいと思うかどうかを調査した。

 その結果、普通科の生徒においては、「普及して欲しい」という項目が「必要ない」という項目より多く選択されたが、それよりも多く「わからない」という項目も選択されていた。それに対し、保健理療科の生徒においては、「普及して欲しい」という項目が、最も多く選択されていた(図6.53)。

図6.53 デジタル教科書の普及について
普通科は、普及してほしいが93、分からないが102、必要ないが33、不明・未回答が4人。保理科は、普及してほしいが51、分からないが33、必要ないが11、不明・未回答が4人。その他は、普及してほしいが2、分からないが5、必要ないが0、不明・未回答が0人。

図6.53 デジタル教科書の普及について


6.3.25 「デジタル教科書」か「印刷された紙の教科書」のどちらを選択するか

 「デジタル教科書」と「印刷された紙の教科書」のどちらかしか選択できないとしたら、どちらを選択するかを調査した。

 その結果、紙を希望するケースの方が少し多かったが、二つの選択肢の間に大きな差は見られないことが明らかになった(図6.54)(重複回答者1人あり)。

図6.54 デジタル教科書の提示媒体
普通科は、デジタルが98、紙が128、不明・未回答が7人。保理科は、デジタルが49、紙が46、不明・未回答が5人。その他は、デジタルが3、紙が4、不明・未回答が0人。

図6.54 デジタル教科書の提示媒体


6.3.26 学校で勉強するのに適していると思う教科書と理由

 学校で勉強する際に適していると思われる教科書に関して、生徒に選択させる調査を行った。

 その結果、保健理療科では「デジタル」教科書が適していると考えている生徒が最も多く、普通科では「通常」の教科書、「単純」拡大の拡大教科書、「レイアウト」拡大の拡大教科書、「デジタル」教科書の順に適していると生徒に考えられていることがわかった(図6.55)(重複回答者13人あり)。
 また、適しているとした理由の自由記述をまとめたところ、携帯性を重視し、補助具との併用を考えた場合「通常」の教科書、大きさや携帯性よりも見やすさを重視した場合「単純」拡大ないし「レイアウト」拡大の教科書、携帯性や自分でカスタマイズ出来る応用性を重視した場合「デジタル」教科書が適していると考えられることがわかった(表6.7)。

図6.55 学校で勉強するのに適している教科書は何か
普通科は、通常が75、単純拡大が64、レイアウト拡大が52、デジタルが44、不明・未回答が6人。保理科は、通常が18、単純拡大が26、レイアウト拡大が14、デジタルが42、不明・未回答が3人。その他は、通常が1、単純拡大が2、レイアウト拡大が0、デジタルが3、不明・未回答が1人。

図6.55 学校で勉強するのに適している教科書は何か

表6.7 学校で勉強するのに適している理由

 (数値は、項目にあてはまる自由記述の数)
通常
単純拡大
レイアウト拡大
デジタル
見やすい
8
26
30
6
疲れにくい
1
2
1
2
補助具利用
6
1
0
0
持ち運びに便利
10
0
3
17
軽い
3
0
0
0
カスタマイズが出来る
0
0
2
22
検索が楽
0
1
2
0
使い慣れている
3
3
0
0
使いやすい
12
5
5
7
字が大きい
2
10
2
0
比較対象無し
0
1
0
0
社会に出た後を考えて
2
0
0
0
かさばらない
4
1
0
3
周囲との調和
0
0
0
2
音声で読み上げてくれる
0
0
0
4
書き込める
1
1
0
0
その他
18
14
8
13

   


6.3.27 家や寄宿舎で使用するのに適していると思う教科書と理由

 家や寄宿舎で勉強する際に適していると思われる教科書に関して、生徒に選択させる調査を行った。

 その結果、保健理療科では「デジタル」教科書が適していると考えている生徒が最も多く、普通科では「通常」の教科書が適していると生徒に考えられていることがわかった(図6.56)(重複回答者8人あり)。
 また、適しているとした理由の自由記述をまとめたところ、携帯性を重視し、補助具との併用を考えた場合「通常」の教科書、大きさや携帯性よりも見やすさを重視した場合「単純」拡大ないし「レイアウト」拡大の教科書、携帯性や自分でカスタマイズ出来る応用性を重視した場合「デジタル」教科書が適していると考えられることがわかった(表6.8)。

図6.56 家や寄宿舎で勉強するのに適している教科書は何か
普通科は、通常が87、単純拡大が48、レイアウト拡大が45、デジタルが54、不明・未回答が6人。保理科は、通常が21、単純拡大が24、レイアウト拡大が10、デジタルが40、不明・未回答が5人。その他は、通常が1、単純拡大が2、レイアウト拡大が0、デジタルが3、不明・未回答が1人。

図6.56 家や寄宿舎で勉強するのに適している教科書は何か

表6.8 家や寄宿舎で勉強するのに適している理由

 (数値は、項目にあてはまる自由記述の数)
通常
単純拡大
レイアウト拡大
デジタル
見やすい
16
23
19
3
疲れにくい
1
1
2
2
補助具利用
10
1
0
1
持ち運びに便利
19
1
2
23
軽い
1
0
0
1
カスタマイズが出来る
2
0
0
13
使い慣れている
2
0
2
0
使いやすい
6
7
5
3
字が大きい
1
9
1
0
比較対象無し
0
2
0
0
かさばらない
8
0
1
9
音声で読み上げてくれる
0
0
0
9
書き込める
0
0
1
0
多くの選択肢
1
1
0
1
その他
14
8
6
9

   


6.3.28 今年度における教科書の種類の変更有無

 今年度、教科書の種類を変更したか否か、変更した場合はその理由を調査した。

 その結果、今年度において教科書の種類を変更した生徒はほとんどいなかった(図6.57)。しかし、その中でも、教科書を変更した場合の理由としては、「文字の大きさが不適切であった」というのが最も多く、それらはすべて、「自分の意思で変えたわけではない」ことが明らかとなった(図6.58)。

図6.57 今年度になってから教科書の種類を変更したか
変更していないが、普通科は118、保理科は48、その他は2人。通常から単純拡大へが、普通科は26、保理科は6、その他は0人。通常からレイアウト拡大へが、普通科は4、保理科は0、その他は0人。単純拡大から通常へが、普通科は6、保理科は1、その他は1人。単純拡大からレイアウト拡大へが、普通科は1、保理科は0、その他は0人。レイアウト拡大から通常へが、普通科は0、保理科は0、その他は0人。レイアウト拡大単純拡大へが、普通科は1、保理科は1、その他は0人。不明・未回答が、普通科は2、保理科は2、その他は0人。

図6.57 今年度になってから教科書の種類を変更したか

図6.58 今年度になってから教科書の種類を変更した理由
自分の見え方や見えにくさが変わったからが、普通科は8、保理科は0、その他は0人。文字の大きさが不適切だったが、普通科は14、保理科は1、その他は0人。教科書の大きさが不適切だったが、普通科は6、保理科は0、その他は1人。行間や文字間隔が不適切だったが、普通科は5、保理科は1、その他は0人。本の厚さや分冊数が不適切だったが、普通科は2、保理科は0、その他は0人。使っていて疲れることが多かったが、普通科は11、保理科は1、その他は0人。貧しさへの対策が必要だったが、普通科は1、保理科は0、その他は0人。書体が不適切だったが、普通科は3、保理科は0、その他は0人。図表が利用しにくかったが、普通科は6、保理科は1、その他は0人。ページ番号の付け方が不適切だったが、普通科は2、保理科は0、その他は0人。レイアウトが通常の教科書と同じ方が良かったからが、普通科は1、保理科は0、その他は0人。補助具を使いたくなったからが、普通科は1、保理科は2、その他は0人。補助具を使った方が良かったからが、普通科は1、保理科は1、その他は0人。自分の意志で変えたわけではないが、普通科は12、保理科は4、その他は0人。その他が、普通科は4、保理科は0、その他は0人。

図6.58 今年度になってから教科書の種類を変更した理由


6.3.29 書体(フォント)について

 生徒に書体の見本を参考に、教科書の本文に適していると思う書体を順位付けさせた。その結果、UDゴシックB、UD丸ゴシックB、学参UD丸ゴシックBが教科書の本文の書体として相応しいということが明らかになった(表6.9)。

表6.9 教科書の本文に使うのに良いと思う書体(フォント)

ゴシックstd
普通科 n=232
保健理療科 n=99
その他 n=7
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
1位
39
17%
13
13%
1
14%
2位
41
18%
4
4%
1
14%
3位
12
5%
9
9%
0
0%
4位
85
37%
45
45%
1
14%
5位
49
21%
21
21%
4
57%
UDゴシックB
普通科 n=232
保健理療科 n=99
その他 n=7
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
1位
68
29%
31
31%
0
0%
2位
36
16%
12
12%
1
14%
3位
68
29%
30
30%
6
86%
4位
27
12%
12
12%
0
0%
5位
23
10%
6
6%
0
0%
丸ゴシックstd
普通科 n=232
保健理療科 n=99
その他 n=7
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
1位
40
17%
9
9%
1
14%
2位
27
12%
9
9%
1
14%
3位
22
9%
5
5%
0
0%
4位
35
15%
17
17%
4
57%
5位
98
42%
51
52%
1
14%
UD丸ゴシックB
普通科 n=232
保健理療科 n=99
その他 n=7
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
1位
44
19%
17
17%
3
43%
2位
74
32%
47
47%
2
29%
3位
46
20%
17
17%
0
0%
4位
44
19%
13
13%
1
14%
5位
14
6%
0
0%
1
14%
学参UD丸ゴシックB
普通科 n=232
保健理療科 n=99
その他 n=7
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
1位
39
17%
25
25%
2
29%
2位
46
20%
19
19%
2
29%
3位
70
30%
30
30%
1
14%
4位
31
13%
4
4%
1
14%
5位
37
16%
13
13%
1
14%

   


6.3.30 中学校時代に学んでいた学校(学級)

 1学年の生徒に対して、中学のときに学んでいた学級を調査した。

 その結果、普通科では「通常学級」で学んでいた生徒が最も多く、次いで「盲学校」で学んでいた生徒が多かったのに対し、保健理療科では「通常学級」で学んでいた生徒がほとんどであった(図6.59)。

図6.59 中学時代に学んでいた学級
普通科は、盲学校が33、弱視学級が12、通常学級が39、その他が4、未回答が4人。保理科は、盲学校が3、弱視学級が0、通常学級が33、その他が0、未回答が2人。その他は、盲学校が1、弱視学級が0、通常学級が3、その他が0、未回答が0人。

図6.59 中学時代に学んでいた学級


6.3.31 中学校時代の拡大教科書の使用有無

 1学年の生徒に対して、中学時代に拡大教科書を使用していたか否かを調査した。

 その結果、普通科では「使っていた」生徒がほとんどであったのに対し、保健理療科では「使ったことはない」生徒がほとんどであった(図6.60)。

図6.60 中学時代の拡大教科書利用状況
普通科は、使っていたが56、使ったことはないが19、覚えていないが1、未回答が3人。保理科は、使っていたが3、使ったことはないが32、覚えていないが1、未回答が2人。その他は、使っていたが0、使ったことはないが2、覚えていないが2、未回答が0人。

図6.60 中学時代の拡大教科書利用状況


6.3.32 中学校時代に拡大教科書を使っていた時期・科目・使用開始時期

 中学時代に拡大教科書を使用していた1学年の生徒に対して、使用時期および使用開始時期を調査した。

 その結果、中学時代を通して、学年に関係なく拡大教科書を使用していたことが明らかになった(図6.61)。
 また、拡大教科書の使用開始時期に関しては、普通科では「中1」で使用し始める生徒が最も多く、次いで「小3」と「小5」が多かった。それに対して、保健理療科ではそもそも、使用していなかったことがわかった(図6.62)。

図6.61 中学時代の拡大教科書利用時期
普通科は、中1が49、中2が51、中3が52人。保理科は、中1が2、中2が2、中3が2人。

図6.61 中学時代の拡大教科書利用時期

図6.62 拡大教科書使用開始時期
小1が、普通科は7、保理科は0人。小2が、普通科は5、保理科は0人。小3が、普通科は9、保理科は0人。小4が、普通科は6、保理科は1人。小5が、普通科は8、保理科は1人。小6が、普通科は7、保理科は0人。中1が、普通科は15、保理科は0人。中2が、普通科は7、保理科は0人。中3が、普通科は5、保理科は1人。不明が、普通科は3、保理科は0人。

図6.62 拡大教科書使用開始時期


6.3.33 中学校時代に盲学校で学んだ経験がない人が、盲学校に進学した理由

 中学時代に盲学校で学んだ経験の無い1学年の生徒に対し、盲学校に進学した理由を調査した。

 その結果、普通科では「見えにくさに配慮した学校環境があるから」や「見えにくさに配慮した指導が受けられるから」といった「見えにくさへの配慮」を理由としてあげる生徒が多く、保健理療科では「自分に適した指導が受けられるから」という理由が最も多く、次いで「眼疾患が進行し、見えにくくなったから」という理由が多いことがわかった(図6.63)。

図6.63 盲学校への進学理由
見えにくさに配慮した指導が受けられるからが、普通科は32、保理科は13、その他は1人。自分に適した指導が受けられるからが、普通科は25、保理科は25、その他は2人。個別対応が充実しているからが、普通科は15、保理科は7、その他は1人。補助具等の指導を受けられるからが、普通科は5、保理科は6、その他は0人。各痔亜教科書を使用できるからが、普通科は9、保理科は4、その他は0人。見えにくさに配慮した学校環境があるからが、普通科は29、保理科は11、その他は2人。眼疾患が進行し、見えにくくなったからが、普通科は1、保理科は16、その他は2人。その他が、普通科は4、保理科は5、その他は1人。

図6.63 盲学校への進学理由


6.3.34 中学校時代の拡大教科書と比べた現在の単純拡大教科書の使いやすさ

 中学時代に拡大教科書を使用していた1学年の生徒に対し、現在の単純拡大教科書が使いやすいか否かを比較してもらい、使いやすい、使いにくい理由を調査した。

 その結果、使いやすさに関しては、「使いにくい」ないし「変わらない」という生徒が多く(図6.64)、使いやすい理由に関してはどの項目も大きな差は見られなかった(図6.65)に対して、使いにくい理由に関しては「使用中に疲れやすくなった」が最も多く、次いで「文字サイズが不適切だった」、「判サイズが不適切だった」、「図表が見えにくくなった」などの理由を選ぶ生徒が多かった(図6.66)。

図6.64 中学と比較した場合、現在の単純拡大教科書は使いやすいか
普通科は、使いやすいが8、変わらないが13、使いにくいが17、未回答が4人。保理科は、使いやすいが2、変わらないが0、使いにくいが0、未回答が人0。

図6.64 中学と比較した場合、現在の単純拡大教科書は使いやすいか

図6.65 中学と比較した場合、現在の単純拡大教科書が使いやすい理由
文字の大きさが適切になったが、普通科は5、保理科は2人。行間や文字間隔が適切になったが普通科は5、保理科は1人。判サイズが適切になったが、普通科は4、保理科は1人。教科書が軽くなったが、普通科は4、保理科は1人。教科書の冊数が減ったが、普通科は5、保理科は1人。通常教科書と同じレイアウトだからが、普通科は3、保理科は2人。ページや段落などを探すことが楽になったからが、普通科は4、保理科は1人。その他が、普通科は0、保理科は0人。

図6.65 中学と比較した場合、現在の単純拡大教科書が使いやすい理由

図6.66 中学と比較した場合、現在の単純拡大教科書が使いにくい理由
普通科に関して、文字の大きさが不適切になったが、6人。行間や文字間隔が不適切になったが4人。書体が不適切になったが、3人。判サイズが不適切になったが、6人。図表が見えにくくなったが、5人。補助具を併用しなければならなくなったが、3人。使用中に疲れやすくなったが、9人。その他が、1人。

図6.66 中学と比較した場合、現在の単純拡大教科書が使いにくい理由(複数回答)


6.3.35 拡大教科書や補助具に対する意見や要望

 拡大教科書や補助具に対する意見や要望を、自由記述で調査した。

 教科書の改善(見にくさ、重さ、個別)、教科書のデジタル化等に関する意見・要望が挙げられた(表6.10)。

表6.10 拡大教科書や補助具に対する意見や要望

 
代表例
回答者数
1)
教科書の改善
(見にくさ)
文字や図を大きくして欲しい、文字が小さい、ふりがなが小さい、図が細かすぎて見にくい、文字を太字にして欲しい
15
2)
教科書の改善
(重さ)
拡大教科書をもう少し小さくして欲しい、重い、かさばる、持ち運びが大変
15
3)
教科書の改善
(統一)
ページ番号の印刷位置を統一して欲しい、教科ごとに文字サイズや書式などを統一して欲しい、字体をすべてゴシック体にして欲しい
7
4)
教科書の改善
(個別)
行番号を挿入して欲しい、写真や図をひとまとめにして欲しい、丈夫な教科書にして欲しい、表紙が薄い、不良品を無くして欲しい、字の白黒をはっきりして欲しい、行間を広くして欲しい
12
5)
教科書の
デジタル化
iPadのようなデジタル教科書が欲しい、QRコードがあれば使いやすそう、教科書をデジタル化したらそれぞれの見え方に合わせて文字の書体や大きさや色を変えられる、デジタルと音声を併用したい
15
6)
教科書のオーダーメイド制・個別化・多様化
文字サイズやフォントや行間などをオーダーメイドできるようになって欲しい、その人に合ったものにして欲しい、一人一人に合わせて選択できるとありがたい、拡大教科書の種類を増やして欲しい
5
7)
拡大教科書間
の比較
単純拡大ではなくレイアウト拡大の方が良い
3
8)
拡大教科書の
選択の機会
通常教科書と拡大教科書の使いやすい方を選べた方が良い、色々なパターンの教科書を見たり試したりできると良い、必要な人には使ってもらい必要ない人は使用しなくても良い
4
9)
レンズの改善
持ち運びしやすいものが良い、もっとおしゃれな補助具があれば楽しい、デザイン性を高めて欲しい、電車等でルーペを使うには人目が気になり抵抗がある、手持ちルーペを丈夫にして欲しい
5
10)
拡大読書器の
改善
手動でピントを合わせるのが良い、周りから差し込む光を遮る工夫が欲しい、使いやすいのに入れ替えて欲しい、近すぎて見えにくい
4
11)
その他の補助具の改善・作成
音声ソフトをもっと充実させて欲しい、ズーム可能な望遠鏡が欲しい、中心暗点の人に対する便利グッズが欲しい
3
12)
リテラシー・
トレーニング
学校にいるうちから補助具を使う練習をしなければいけない、どのようなものを使用して良いのかわからない
2
13)
その他
単純拡大がもっと普及して欲しい、きりが無い、現場の担当者の声が反映されないのが残念、早く拡大教科書が来るのを願っている
4

   


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