第4章 盲学校に在籍している弱視生徒に対するアンケート方式による拡大教科書等に関する実態調査(2009年度実施)

中野 泰志・勝野 有美・草野 勉・山本 亮・新井 哲也・大島 研介・木村 理恵


4.1 目的

 本研究の目的は、高等学校段階における弱視生徒用拡大教科書の在り方を明らかにするための基礎データを収集することである。小学校、中学校段階における拡大教科書に関しては、国立特別支援教育総合研究所等の研究成果に基づき、標準規格が作成されている。しかし、弱視の高校生(以下、弱視生徒)に関しては、1)視機能等、特に読書能力に関する基礎データが十分でない、2)卒業後の進路等を考慮した教育目標を設定しなければならないという発達課題がある、3)義務教育ではないため経費等の社会的な要因を考慮しなければならない等の課題がある。本研究では、最も教育的配慮を必要としている盲学校に在籍している弱視生徒に対象を絞り、視機能や拡大教科書に関するニーズ等のアンケート調査を実施した。


4.2 方法

 視覚特別支援学校(盲学校)の高等部に在籍している生徒を対象にアンケート方式の実態調査を実施した。アンケートでは、a)眼疾患や視機能等のプロフィール、b)小・中学校段階での拡大教科書や補助具の利用状況、c)高等学校段階での拡大教科書や補助具の利用状況、d)理想的な教科書のあり方に関する要望等を調査した(調査用紙は巻末に掲載)。調査用紙は盲学校に送付し、各盲学校に在籍している弱視生徒に配布していただいた。調査用紙は、高等部があり、弱視の生徒が在籍している盲学校51校に2009年11月2日に送付した。なお、本研究は「慶應義塾総合研究推進機構研究倫理委員会」で承認を受けた上で実施した。


4.3 結果

4.3.1 回収率

 高等部があり、弱視生徒が在籍している51校の盲学校すべて(回収率:100%)から272件の回答が得られた。


4.3.2 対象者の属性

 図4.1、図4.2に対象者の学年と性別を示した。普通科の生徒が224人、本科保健理療科の生徒が48人で、学年はほぼ均等に分布していた。男女の割合もほぼ均等であった。

図4.1 調査対象者の学年
調査対象者の学年分布を示した棒グラフ。
視覚特別支援学校(盲学校)の高等部の一年生で普通科に在籍する生徒が78名、保健理療科に在籍する生徒が15名、二年生で普通科に在籍する生徒が71名、保健理療科に在籍する生徒が25名、三年生で普通科に在籍する生徒が75名、保健理療科に在籍する生徒が6名、無回答が2名、総数は272名であった。

図4.1 調査対象者の学年

図4.2 調査対象者の性別
調査対象者の性別を示した棒グラフ。
視覚特別支援学校(盲学校)の高等部の男子生徒で普通科に在籍する生徒が113名、保健理療科に在籍する生徒が34名、女子生徒で普通科に在籍する生徒が111名、保健理療科に在籍する生徒が14名、総数は272名であった。

図4.2 調査対象者の性別


4.3.3 視力と眼疾患、読書の際に主に使っている眼

 図4.3に視力(矯正)の分布を示した。図より、0.1〜0.3の視力の生徒が95人と最も多く、続いて0.3以上が55人であった。割合としては、比較的視力の高い生徒が多いことがわかる。
 眼疾患は、網膜色素変性症が42人、白内障が41人、緑内障が32人、未熟児網膜症が24人、視神経萎縮が22人、網膜剥離が17人、眼球振盪が17人、レーベル病が10人で、網膜色素変性症が最も多く、白内障、緑内障が続いていた。

 図4.4に読書の際に主として使っている眼を示した。主として使用する眼に左右による明確な差は認められなかった。

図4.3 視力(矯正)の分布
調査対象者の矯正視力を示した棒グラフ。
少数視力0.02未満で普通科に在籍している生徒が6名、保健理療科に在籍している生徒が4名、0.02から0.04の間で普通科に在籍している生徒が19名、保健理療科に在籍している生徒が10名、0.04から0.07の間で普通科に在籍している生徒が34名、保健理療科に在籍している生徒が5名、0.07から0.10の間で普通科に在籍している生徒が28名、保健理療科に在籍している生徒が9名、0.10から0.30の間で普通科に在籍している生徒が87名、保健理療科に在籍している生徒が8名、0.30以上で普通科に在籍している生徒が45名、保健理療科に在籍している生徒が10名、無回答で普通科に在籍している生徒が5名、保健理療科に在籍している生徒が2名、総数は272名であった。

図4.3 視力(矯正)の分布

図4.4 読書の際に主として使っている眼
調査対象者の読書の際に主として使用している目を示した棒グラフ。
主に左目を使用していて、普通科に在籍している生徒が84名、保健理療科に在籍している生徒が15名、主に右目を使用していて、普通科に在籍している生徒が78名、保健理療科に在籍している生徒が14名、主に両目を使用していて、普通科に在籍している生徒が54名、保健理療科に在籍している生徒が16名、わからないと回答した生徒の中で、普通科に在籍しているのが7名、保健理療科に在籍しているのが4名、総数は272名だった。

図4.4 読書の際に主として使っている眼


4.3.4 視野障害の有無、視力、視野障害で日常的に困難に感じていること

 図4.5に視野障害の有無と種類を示した。視野に障害がない生徒は94人、障害のある生徒は145人で、半数以上の弱視生徒が視野障害を有していることがわかった。視野障害の内容としては、視野狭窄が114人と多く、中心暗点がある生徒は31人であった。先行研究では、ルーペよりも拡大教科書の恩恵を最も受けることができるのは、中心暗点があるケースとされている。そのため、中心暗点があると報告した31人は、拡大教科書の必要を最も感じている可能性が高いことが示唆される。

 図4.6に視力、視野障害で日常的に困難に感じていることを示した。日常的に困難に感じていることで一番多く回答を得たのが「まぶしい」で、143人であった。次いで夜盲があるが91人、白黒反転の方が見やすいが81人であった。

図4.5 視野障害の有無と種類
調査対象者の視野障害の有無を示した棒グラフ。
視野障害がなく、普通科に在籍している生徒が87名、保健理療科に在籍している生徒が7名、視野狭窄があり、普通科に在籍している生徒が82名、保健理療科に在籍している生徒が32名、中心暗点があり、普通科に在籍している生徒が23名、保健理療科に在籍している生徒が8名、視野障害の有無が不明で、普通科に在籍している生徒が37名、保健理療科に在籍している生徒が5名、回答者総数は272名であったが、本項目は複数回答を認めている。

図4.5 視野障害の有無と種類

図4.6 視力、視野以外で日常的に困難に感じていること(複数回答)
調査対象者の視力、視野以外で日常的に困難に感じていることを示した棒グラフ。
まぶしいと感じている普通科に在籍している生徒が111名、保健理療科に在籍している生徒が32名、白黒反転の方が見やすいと感じている普通科に在籍している生徒が63名、保健理療科に在籍している生徒が18名、夜盲がある普通科に在籍している生徒が59名、保健理療科に在籍している生徒が32名、斜に見る普通科に在籍している生徒が31名、保健理療科に在籍している生徒が7名、眼球が揺れる普通科に在籍している生徒が59名、保健理療科に在籍している生徒が5名、その他で普通科に在籍している生徒が16名、保健理療科に在籍している生徒が5名、回答者総数は272名であったが、本項目は複数回答を認めている。

図4.6 視力、視野以外で日常的に困難に感じていること(複数回答)


4.3.5 視覚以外の障害の有無

 図4.7に視覚以外の障害の有無について示した。視覚以外の障害はないと答えた人は230名で、聴覚障害が7人、肢体不自由が4人、その他が27人であった。

図4.7 視覚以外の障害の有無(複数回答)
調査対象者の視覚以外の障害の有無を示した棒グラフ。
特にないという普通科に在籍している生徒が196名、保健理療科に在籍している生徒が34名、聴覚障害を持つ普通科に在籍している生徒が3名、保健理療科に在籍している生徒が4名、肢体不自由を持つ普通科に在籍している生徒が4名、保健理療科に在籍している生徒は0名、その他の項目を選択した普通科に在籍している生徒が20名、保健理療科に在籍している生徒が7名、回答者総数は272名であったが、本項目は複数回答を認めている。

図4.7 視覚以外の障害の有無(複数回答)


4.3.6 小中学校時代で学んでいた学校、拡大教科書の使用経験

 図4.8に小中学校で学んでいた学校の分布を示した。通常学級が210人と最も多く、次に盲学校が119人、弱視学級が41人であった。

 図4.9には小中学校時代の拡大教科書の使用経験を示した。使用経験者は164人(60%)で、半数以上の生徒が小中学校時代から拡大教科書を利用していたことがわかった。

図4.8 小学校で学んでいた学校(学級)(複数回答)
調査対象者の小中学時代に学んでいた学校の分布を示す棒グラフ。
盲学校で学んでいた現在普通科に在籍している生徒が110名、現在保健理療科に在籍している生徒が9名、弱視学級で学んでいた現在普通科に在籍している生徒が40名、現在保健理療科に在籍している生徒が1名、通常学級で学んでいた現在普通科に在籍している生徒が171名、現在保健理療科に在籍している生徒が39名、その他を選択した普通科に在籍している生徒が10名、保健理療科に在籍している生徒が3名、回答者総数は272名であったが、本項目は複数回答を認めている。

図4.8 小中学校で学んでいた学校(学級)(複数回答)

図4.9 小中学校時代の拡大教科書の使用経験
調査対象者が小中学校時代に拡大教科書を使用していたかどうかを示す棒グラフ。
使っていたと答えた普通科に在籍する生徒が155名、保健理療科に在籍していた生徒が9名、使ったことはないと答えた普通科に在籍する生徒が66名、保健理療科に在籍する生徒が39名、覚えてないと答えた普通科に在籍する生徒が3名、保健理療科に在籍する生徒が0名、総数は272名だった。

図4.9 小中学校時代の拡大教科書の使用経験


4.3.7 小中学校時代に使っていた拡大教科書の科目や種類

 図4.10に、拡大教科書を使っていた科目の分布を示した。主要5科目の間での差はあまり見られなかった。

 図4.11に、どのように作成された拡大教科書を使用していたかを示した。教科書会社等の出版物を使用していた人が89人と最も多く、ボランティアが個別に作成してくれたものを使用していた人が70人、拡大コピーを使用していた人が28人であった。

図4.10 小中学校時代に拡大教科書を使っていた科目
調査対象者が小中学校時代に拡大教科書を使用していた科目を示す棒グラフ。
国語と答えた普通科に在籍する生徒が142名、保健理療科に在籍する生徒が8名、数学(算数)と答えた普通科に在籍している生徒が136名、保健理療科に在籍している生徒が8名、社会と答えた普通科に在籍している生徒が125名、保健理療科に在籍している生徒が4名、理科と答えた普通科に在籍している生徒が125名、保健理療科に在籍している生徒が4名、英語と答えた普通科に在籍している生徒が123名、保健理療科に在籍している生徒が5名、その他と答えた普通科に在籍している生徒が16名、保健理療科に在籍している生徒が1名、回答者総数は小中学校時代に拡大教科書を使用していた164名であったが、本項目は複数回答を認めている。

図4.10 小中学校時代に拡大教科書を使っていた科目

図4.11 小中学校で利用していた拡大教科書はどのようにして作成されたものか
調査対象者が小中学校時代に使用していた拡大教科書がどのようにして作成されたものかを示す棒グラフ。
ボランティアが個別に作成してくれたものだと答えた普通科に在籍している生徒が69名、保健理療科に在籍している生徒が1名、教科書会社等の出版物だと答えた普通科に在籍している生徒が83名、保健理療科に在籍している生徒が6名、拡大コピーと答えた普通科に在籍している生徒が26名、保健理療科に在籍している生徒が2名、不明と答えた普通科に在籍している生徒が14名、保健理療科に在籍している生徒が1名、その他と答えた普通科に在籍している生徒が1名、保健理療科に在籍している生徒が0名、回答者総数は小中学校時代に拡大教科書を使用していた164名であったが、本項目は複数回答を認めている。

図4.11 小中学校で利用していた拡大教科書はどのようにして作成されたものか


4.3.8 小中学校時代に使用していた拡大教科書の文字サイズ

 図4.12に小中学校時代に利用していた拡大教科書の文字サイズの分布を示した。図より、22〜25ポイントが62人と最も多く、18〜21ポイントが35人、26〜29ポイントが20人と続いていた。小中学校の標準規格で推奨されている文字サイズと一致していることがわかった。

図4.12 小中学校時代に利用していた拡大教科書の文字サイズの分布
調査対象者が小中学校時代に利用していた拡大教科書の文字サイズの分布を示した棒グラフ。
10pt未満を選択した普通科に在籍している生徒が0名、保健理療科に在籍している生徒が0名、10ptから13ptを選択した普通科に在籍している生徒が1名、保健理療科に在籍している生徒が0名、14ptから17ptを選択した普通科に在籍している生徒が2名、保健理療科に在籍している生徒が2名、18ptから21ptを選択した普通科に在籍している生徒が34名、保健理療科に在籍している生徒が1名、22ptから25ptを選択した普通科に在籍している生徒が58名、保健理療科に在籍している生徒が4名、26ptから29ptを選択した普通科に在籍している生徒が20名、保健理療科に在籍している生徒が0名、30ptから39ptを選択した普通科に在籍している生徒が0名、保健理療科に在籍している生徒が0名、40pt以上を選択した普通科に在籍している生徒が3名、保健理療科に在籍している生徒が0名、総数は小中学校時代に拡大教科書を使用していた164名であった。

図4.12 小中学校時代に利用していた拡大教科書の文字サイズの分布


4.3.9 小中学校時代における拡大教科書と補助具の併用

 図4.13に、小中学校時代に拡大教科書を利用する際、補助具を併用していたか否かを示した。補助具を併用していたケースは120人(73%)であった。

 図4.14には小中学校時代に拡大教科書と併用していた補助具の種類を示した。最も併用されていた補助具は弱視レンズで93人であった。続いて、拡大コピーが56人、拡大読書器が49人であった。

 この内、本文を読むために併用が必要だったケースが85人、図を見るためが77人、表を見るためが75人、脚注を見るためが75人であった。(図4.15)

図4.13 小中学校時代の拡大教科書利用時の補助具併用の有無
調査対象者が小中学校時代に拡大教科書を使用する際補助具を利用したかどうかを示す棒グラフ。
併用していたと答えていた普通科に在籍している生徒が111名、保健理療科に在籍していた生徒が9名、併用していなかったと答えた普通科に在籍している生徒が44名、保健理療科に在籍している生徒が1名、総数は小中学校時代に拡大教科書を使用していた164名であった。

図4.13 小中学校時代の拡大教科書利用時の補助具併用の有無

図4.14 小中学校時代に拡大教科書と併用していた補助具の種類
調査対象者が小中学校時代に拡大教科書と併用していた補助具の種類を示す棒グラフ。
弱視レンズと答えた普通科に在籍している生徒が88名、保健理療科に在籍している生徒が5名、拡大読書機と答えた普通科に在籍している生徒が45名、保健理療科に在籍している生徒が4名、拡大コピーと答えた普通科に在籍している生徒が51名、保健理療科に在籍している生徒が5名、遮光眼鏡と答えた普通科に在籍している生徒が9名、保健理療科に在籍している生徒が0名、机上灯と答えた普通科に在籍している生徒が11名、保健理療科に在籍している生徒が1名、傾斜机と答えた普通科に在籍している生徒が27名、保健理療科に在籍している生徒が0名、書見台と答えた普通科に在籍している生徒が30名、保健理療科に在籍している生徒が4名、その他と答えた普通科に在籍している生徒が8名、保健理療科に在籍している生徒が0名であった。総数は小中学校時代に拡大教科書を使用していた164名であった。(総数は小中学校時代に拡大教科書を使用していた164名の内、補助具を使用していた120名であった。)

図4.14 小中学校時代に拡大教科書と併用していた補助具の種類

図4.15 補助具を使用した箇所(拡大教科書)
調査対象者が小中学校時代に拡大教科書を読む際、補助具を教科書のどの部分を読むのに使用していたかを示す棒グラフ。
本文と答えた普通科に在籍している生徒が80名、保健理療科に在籍している生徒が5名、脚注と答えた普通科に在籍している生徒が71名、保健理療科に在籍している生徒が4名、図と答えた普通科に在籍している生徒が72名、保健理療科に在籍している生徒が5名、表と答えた普通科に在籍している生徒が70名、保健理療科に在籍している生徒が5名、その他と答えた普通科に在籍している生徒が12名、保健理療科に在籍している生徒が0名、総数は小中学校時代に拡大教科書を使用していた164名であった。(総数は小中学校時代に拡大教科書を使用していた164名の内、補助具を使用していた120名であった。)

図4.15 補助具を使用した箇所(拡大教科書)


4.3.10 小中学校時代の教科書以外の資料への補助具併用の有無

 図4.16に、教科書以外の資料を読む時に補助具を併用していたか否かを示した。補助具を併用していたケースは100人(61%)であった。

図4.16 教科書以外の資料を読む際に補助具を使っていましたか?
調査対象者が小中学校時代に拡大教科書以外の資料を読む際にも補助具を使用していたかどうかを示す棒グラフ。
使っていたと答えた普通科に在籍している生徒は96名、保健理療科に在籍している生徒は4名、使っていないと答えた普通科に在籍している生徒は49名、保健理療科に在籍している生徒は4名、総数は小中学校時代に拡大教科書を使用していた164名であった。

図4.16 教科書以外の資料を読む際に補助具を使っていましたか?


4.3.11 小中学校時代に拡大教科書を使わなかった理由

 拡大教科書を使っていなかった生徒105人に、理由を尋ねたところ(図4.17)、「必要なかった」という回答が75人(71%)と最も多く、「存在を知らなかった」が39人(37%)、「入手方法が分からなかった」が9人と続いた。

図4.17 拡大教科書を使わなかった理由
調査対象者が小中学校時代に拡大教科書を使わなかった理由を示す棒グラフ。
必要なかったと答えた普通科に在籍している生徒が41名、保健理療科に在籍している生徒が34名、必要だったが入手できなかったと答えた普通科に在籍している生徒が2名、保健理療科に在籍している生徒が0名、入手方法が分からなかったと答えた普通科に在籍している生徒が9名、保健理療科に在籍している生徒が0名、存在を知らなかったと答えた普通科に在籍している生徒が31名、保健理療科に在籍している生徒が8名、使いたいものがなかったと答えた普通科に在籍している生徒が6名、保健理療科に在籍している生徒が0名、価格が高かったと答えた普通科に在籍している生徒が1名、保健理療科に在籍している生徒が0名、その他と答えた普通科に在籍している生徒が4名、保健理療科に在籍している生徒が1名、総数は小中学校時代に拡大教科書を使っていなかった105名であった。

図4.17 拡大教科書を使わなかった理由


4.3.12 小中学校時代の教科書と補助具の併用

 図4.18に、小・中学校時代に拡大教科書を使っていなかった人について、教科書と補助具を併用していたか否かを示した。補助具を併用していたケースは27人(26%)であった。

 図4.19には小中学校時代に教科書と併用していた補助具の種類を示した。最も併用されていた補助具は弱視レンズで18人であった。続いて、拡大コピーが7人、拡大読書器、傾斜机、その他が4人であった。

 この内、本文を読むため、図を見るため、表を見るために併用が必要だったケースがそれぞれ15人、脚注を見るためが14人であった。(図4.20)

図4.18 教科書と補助具を併用していましたか?
小中学校時代に拡大教科書を使用していなかった調査対象者が通常の教科書を読む際に補助具と併用していたかどうかを示す棒グラフ。
併用していたと答えた普通科に在籍している生徒が22名、保健理療科に在籍している生徒が5名、併用していなかったと答えた普通科に在籍している生徒が49名、保健理療科に在籍している生徒が32名、総数は小中学校時代に拡大教科書を使っていなかった105名であった。

図4.18 教科書と補助具を併用していましたか?

図4.19 教科書と併用していた補助具の種類
小中学校時代に拡大教科書を使用していなかった調査対象者が通常の教科書を読む際に使用していた補助具の種類を示した棒グラフ。
弱視レンズと答えた普通科に在籍している生徒は15名、保健理療科に在籍している生徒は3名、拡大読書機と答えた普通科に在籍している生徒は4名、保健理療科に在籍している生徒は0名、拡大コピーと答えた普通科に在籍している生徒は5名、保健理療科に在籍している生徒が2名、遮光眼鏡と答えた普通科に在籍している生徒が2名、保健理療科に在籍している生徒が1名、机上灯と答えた普通科に在籍している生徒が1名、保健理療科に在籍している生徒が1名、傾斜机と答えた普通科に在籍している生徒が4名、保健理療科に在籍している生徒が0名、書見台と答えた普通科に在籍している生徒が4名、保健理療科0名、総数は小中学校時代に拡大教科書を使っていなかった105名であった。(総数は小中学校時代に拡大教科書を使用していた105名の内、補助具を使用していた27名であった。)

図4.19 教科書と併用していた補助具の種類

図4.20 図4.20 補助具を使用した箇所(教科書)(複数回答)
小中学校時代に拡大教科書を使用していなかった調査対象者が通常の教科書を読む際に補助具を使用してどの部分を読んでいたかを示す棒グラフ。
本文と答えた普通科に在籍する生徒が11名、保健理療科に在籍する生徒が4名、脚注と答えた普通科に在籍する生徒が11名、穂k年利良貨に在籍する生徒が3名、図と答えた普通科に在籍する生徒が12名、保健理療科に在籍する生徒が3名、表と答えた普通科に在籍する生徒が12名、保健理療科に在籍する生徒が3名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が4名、保健理療科に在籍する生徒が1名、総数は小中学校時代に拡大教科書を使っていなかった105名であった。(総数は小中学校時代に拡大教科書を使用していた105名の内、補助具を使用していた27名であった。)

図4.20 補助具を使用した箇所(教科書)(複数回答)


4.3.13 現在学んでいる学校・学部について

 図4.21に、現在学んでいる学校・学部について示した。盲学校高等部の普通科が224人、保健理療科が48人であった。

図4.21 現在学んでいる学校について
調査対象者の現在学んでいる学校についてを示した棒グラフ。
盲学校高等部と答えた普通科に在籍する生徒が224名、保健理療科に在籍する生徒が48名、通常の高校と答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、総数は272名であった。

図4.21 現在学んでいる学校について


4.3.14 高校段階で保有している教科書の種類

 現在、保有している教科書の内訳を図4.22に示す。通常の教科書を持っている生徒が一番多く、249人であった。拡大教科書を持っている生徒は216人で、その中で171人が文部科学省から配布(給与)された単純拡大教科書を持っていることがわかった(図4.23)。その他、29人が単純拡大コピー、16人がボランティアによるプライベートサービスの拡大教科書を利用していることがわかった。

図4.22 高校で保有している教科書の種類
調査対象者が高校で保有している教科書の種類を示す棒グラフ。
文部科学省かた配布された拡大教科書と答えた普通科に在籍する生徒が136名、保健理療科に在籍する生徒が35名、ボランティアが作成した教科書と答えた普通科に在籍する生徒が14名、保健理療科に在籍する生徒が2名、コピーで作成した教科書と答えた普通科に在籍する生徒が23名、保健理療科に在籍する生徒が6名、通常の教科書と答えた普通科に在籍する生徒が214名、保健理療科に在籍する生徒が35名、点字教科書と答えた普通科に在籍する生徒が6名、保健理療科に在籍する生徒が0名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が5名、回答者総数は272名であったが、本項目は複数回答を認めている。

図4.22 高校で保有している教科書の種類

 持っている拡大教科書の科目は図4.24の通り、国語が最も多く167人で、主要科目と、他の科目(情報、保健体育、音楽)には差がみられた。

図4.23 単純拡大教科書を保有している生徒の割合
調査対象者の中で拡大教科書を保有している生徒の内、文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している生徒の割合を示した円グラフ。
持っていると答えた生徒が61%、もっていないと答えた生徒が39%である。

図4.23 単純拡大教科書を保有している生徒の割合

図4.24 持っている拡大教科書の教科(複数回答)
調査対象者の内、文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している生徒が持っている単純拡大教科書の種類を示す棒グラフ。
英語と答えた普通科に在籍する生徒が117名、保健理療科に在籍する生徒が19名、数学と答えた普通科に在籍する生徒が119名、保健理療科に在籍する生徒が12名、国語と答えた普通科に在籍する生徒が146名、保健理療科に在籍する生徒が21名、理科と答えた普通科に在籍する生徒が112名、保健理療科に在籍する生徒が35名、社会と答えた普通科に在籍する生徒が103名、保健理療科に在籍する生徒が30名、情報と答えた普通科に在籍する生徒が33名、保健理療科に在籍する生徒が4名、保体と答えた普通科に在籍する生徒が57名、保健理療科に在籍する生徒が5名、音楽と答えた普通科に在籍する生徒が50名、保健理療科に在籍する生徒が11名、総数は単純拡大教科書を保有する171名であった。

図4.24 持っている拡大教科書の教科(複数回答)


4.3.15 高校段階で保有している拡大教科書について

 図4.25、4.26に、単純拡大教科書を使っている場所(学校もしくは家)を普通科、保健理療科に分けて示した。

図4.25 拡大教科書を使っている場所(普通科)
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している普通科に在籍する生徒が、拡大教科書を持っている場所を示した棒グラフ。
英語について学校と答えた生徒が103名、家と答えた生徒が23名、数学について学校と答えた生徒が106名、家と答えた生徒が30名、国語について学校と答えた生徒が121名、家と答えた生徒が30名、理科について学校と答えた生徒が97名、家と答えた生徒が25名、社会について学校と答えた生徒が93名、家と答えた生徒が14名、情報について学校と答えた生徒が30名、家と答えた生徒が3名、保体について学校と答えた生徒が51名、家と答えた生徒が9名、音楽について学校と答えた生徒が44名、家と答えた生徒が4名、回答者の総数は136名であった。

図4.25 拡大教科書を使っている場所(普通科)

図4.26 拡大教科書を使っている場所(保理科)
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している保健理療科に在籍する生徒が、拡大教科書を持っている場所を示した棒グラフ。
英語について学校と答えた生徒が17名、家と答えた生徒が3名、数学について学校と答えた生徒が11名、家と答えた生徒が3名、国語について学校と答えた生徒が18名、家と答えた生徒が3名、理科について学校と答えた生徒が31名、家と答えた生徒が3名、社会について学校と答えた生徒が28名、家と答えた生徒が5名、情報について学校と答えた生徒が3名、家と答えた生徒が0名、保体について学校と答えた生徒が4名、家と答えた生徒が2名、音楽について学校と答えた生徒が9名、家と答えた生徒が1名、回答者の総数は35名であった。

図4.26 拡大教科書を使っている場所(保理科)


4.3.16 高校段階での拡大教科書と補助具の併用

 図4.27に、拡大教科書と補助具を併用する必要があるか否かを示した。必要があると答えた生徒は97人(57%)であった。

 図2.28には拡大教科書と併用する必要がある補助具について示した。最も必要との回答が多かった補助具は弱視レンズで68人であった。続いて、拡大読書器が41人、拡大コピーが13人であった。

図4.27 補助具の併用する必要の有無
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の内、補助具を併用する必要があるかどうかを示す棒グラフ。
必要はあると答えた普通科に在籍する生徒が74名、保健理療科に在籍する生徒が23名、必要はないと答えた普通科に在籍する生徒が61名、保健理療科に在籍する生徒が12名、回答者の総数は171名であった。

図4.27 補助具を併用する必要の有無

図4.28 併用する必要がある補助具の種類
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の内、補助具の併用を必要だとする生徒が必要とする補助具の種類を示す棒グラフ。
弱視レンズと答えた普通科に在籍する生徒が59名、保健理療科に在籍する生徒が9名、拡大読書機と答えた普通科に在籍する生徒が28名、保健理療科に在籍する生徒が13名、拡大コピーと答えた普通科に在籍する生徒が10名、保健理療科に在籍する生徒が3名、遮光眼鏡と答えた普通科に在籍する生徒が4名、保健理療科に在籍する生徒が0名、机上灯と答えた普通科に在籍する生徒が3名、保健理療科に在籍する生徒が2名、傾斜机と答えた普通科に在籍する生徒が8名、保健理療科に在籍する生徒が1名、書見台と答えた普通科に在籍する生徒が10名、保健理療科に在籍する生徒が1名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が1名、保健理療科に在籍する生徒が0名、総数は97名であった。

図4.28 併用する必要がある補助具の種類


4.3.17 高校段階で保有している拡大教科書の評価

 通常の教科書を弱視レンズ等で拡大して読むのに比べると単純拡大教科書は「使いやすい」と答える人が85人(50%)、「変わらない」が42人(25%)、「使いにくい」が41人(25%)であった。(図4.29)

図4.29 通常の教科書を弱視レンズ等で拡大して読むのに比べて単純拡大教科書は使いやすいか?
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の通常の教科書を補助具を用いて読むのに対しての使いやすさに関する棒グラフ。
使いやすいと答えた普通科に在籍する生徒が63名、保健理療科に在籍する生徒が22名、変わらないと答えた普通科に在籍する生徒が39名、保健理療科に在籍する生徒が3名、使いにくいと答えた普通科に在籍する生徒が32名、保健理療科に在籍する生徒が9名、総数は171名であった。

図4.29 通常の教科書を弱視レンズ等で拡大して読むのに比べて単純拡大教科書は使いやすいか?

 ページのわかりやすさについては「ふつう」と答える人が92人(54%)と過半数を超えた。(図4.30)

図4.30 単純拡大教科書のページの評価
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の拡大教科書のページの分かりやすさに関する評価を示す棒グラフ。
わかりやすいと答えた普通科に在籍する生徒が45名、保健理療科に在籍する生徒が8名、ふつうと答えた普通科に在籍する生徒が73名、保健理療科に在籍する生徒が19名、わかりにくいと答えた普通科に在籍する生徒が16名、保健理療科に在籍する生徒が8名、総数は171名であった。

図4.30 単純拡大教科書のページの評価

 文字サイズ、書体、行の間隔、文字間隔はいずれも「ちょうどよい」と答える人が過半数を超えた。(図4.31、4.32、4.33、4.34)

図4.31 単純拡大教科書の文字サイズの評価
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の拡大教科書の文字のサイズに関する大きさの評価を示す棒グラフ。
小さすぎと答えた普通科に在籍する生徒が40名、保健理療科に在籍する生徒が11名、ちょうどよいと答えた普通科に在籍する生徒が80名、保健理療科に在籍する生徒が19名、大きすぎと答えた普通科に在籍する生徒が14名、保健理療科に在籍する生徒が4名、総数は171名であった。

図4.31 単純拡大教科書の文字サイズの評価

図4.32 単純拡大教科書の書体の評価
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の拡大教科書内の書体の太さに関する評価を示す棒グラフ。
細すぎると答えた普通科に在籍する生徒が49名、保健理療科に在籍する生徒が17名、ちょうどよいと答えた普通科に在籍する生徒が79名、保健理療科に在籍する生徒が16名、太すぎると答えた普通科に在籍する生徒が5名、保健理療科に在籍する生徒が1名、総数は171名であった。

図4.32 単純拡大教科書の書体の評価

図4.33 単純拡大教科書の行間隔の評価
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の拡大教科書の行間隔に関する評価を示す棒グラフ。
狭いと答えた普通科に在籍する生徒が21名、保健理療科に在籍する生徒が9名、ちょうどよいと答えた普通科に在籍する生徒が102名、保健理療科に在籍する生徒が22名、広いと答えた普通科に在籍する生徒が10名、保健理療科に在籍する生徒が2名、総数が171名であった。

図4.33 単純拡大教科書の行間隔の評価

図4.34 単純拡大教科書の文字間隔の評価
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の拡大教科書の文字間隔に関する評価を示す棒グラフ。
狭いと答えた普通科に在籍する生徒が21名、保健理療科に在籍する生徒が9名、ちょうどよいと答えた普通科に在籍する生徒が106名、保健理療科に在籍する生徒が24名、広いと答えた普通科に在籍する生徒が6名、保健理療科に在籍する生徒が1名、総数は171名であった。

図4.34 単純拡大教科書の文字間隔の評価

 教科書の大きさについては「大きい」と答える人が139人(81%)と多かった。(図4.35)

 本の厚さについては「ちょうどよい」と答える人が95人(56%)過半数を超え(図4.36)、本の重さについては、「重い」と答える人が116人(68%)であった(図4.37)。

 紙面のまぶしさについては、「普通」が81人(47%)、「気にならない」が61人(36%)、「まぶしい」は27人(16%)であった(図4.38)。

図4.35 単純拡大教科書の判サイズの評価
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の拡大教科書の大きさに関する評価を示す棒グラフ。
大きいと答えた普通科に在籍する生徒が119名、保健理療科に在籍する生徒が20名、ちょうどよいと答えた普通科に在籍する生徒が13名、保健理療科に在籍する生徒が12名、小さいと答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が1名、総数は171名であった。

図4.35 単純拡大教科書の判サイズの評価

図4.36 単純拡大教科書の本の厚さの評価
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の拡大教科書の厚さに関する評価を示す棒グラフ。
厚いと答えた普通科に在籍する生徒が53名、保健理療科に在籍する生徒が9名、ちょうどいよいと答えた普通科に在籍する生徒が72名、保健理療科に在籍する生徒が23名、薄いと答えた普通科に在籍する生徒が8名、保健理療科に在籍するせいとが1名、総数は171名であった。

図4.36 単純拡大教科書の本の厚さの評価

図4.37 単純拡大教科書の本の重さの評価
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の拡大教科書の重さに関する評価を示す棒グラフ。
重いと答えた普通科に在籍する生徒が96名、保健理療科に在籍する生徒が20名、ちょうどよいと答えた普通科に在籍する生徒が36名、保健理療科に在籍する生徒が13名、軽いと答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が1名、総数は171名であった。

図4.37 単純拡大教科書の本の重さの評価

図4.38 単純拡大教科書の紙面のまぶしさの評価
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の拡大教科書の紙面のまぶしさに関しての評価を示す棒グラフ。
気にならないと答えた普通科に在籍する生徒が51名、保健理療科に在籍する生徒が10名、ふつうと答えた普通科に在籍する生徒が65名、保健理療科に在籍する生徒が16名、まぶしいと答えた普通科に在籍する生徒が18名、保健理療科に在籍する生徒が9名、総数は171名であった。

図4.38 単純拡大教科書の紙面のまぶしさの評価


4.3.18 高校段階で給与された単純拡大教科書の使用状況

 図4.39に文部科学省から給与された単純拡大教科書の使用状況を示した。図より、必ずもしくはよく使用している生徒は171人中93人(54%)いることがわかった。この結果から、単純拡大であっても有効な生徒がいることがわかった(調査対象全体から見た割合は34.2%)。

 拡大教科書を使用していない生徒78人に、理由を尋ねたところ(図4.40)「本が大きすぎる」という回答が52人(71%)と最も多く、「文字の大きさが不適切」が24人(31%)、「書体が不適切」が16人(21%)、「補助具を併用しなければならない」が18人(23%)であった。

図4.39 給与された単純拡大教科書の使用状況
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者の拡大教科書の使用状況を示す棒グラフ。
かならず使用していると答えた普通科に在籍する生徒が27名、保健理療科に在籍する生徒が13名、よく使用していると答えた普通科に在籍する生徒が45名、保健理療科に在籍する生徒が8名、ほとんど使用していないと答えた普通科に在籍する生徒が40名、保健理療科に在籍する生徒が8名、まったく使用していないと答えた普通科に在籍する生徒が23名、保健理療科に在籍する生徒が5名、総数は171名であった。

図4.39 給与された単純拡大教科書の使用状況

図4.40 単純拡大教科書を使用していない理由(複数回答)
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を保有している調査対象者のうち拡大教科書を使用していない生徒の使用していない理由を示す棒グラフ。
文字の大きさが不適切だからと答えた普通科に在籍する生徒が18名、保健理療科に在籍する生徒が6名、書体が不適切だからと答えた普通科に在籍する生徒が13名、保健理療科に在籍する生徒が3名、本が大きすぎるからと答えた普通科に在籍する生徒が45名、保健理療科に在籍する生徒が7名、補助具を併用しなければならないからと答えた普通科に在籍する生徒が12名、保健理療科に在籍する生徒が6名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が20名、保健理療科に在籍する生徒が3名、総数は171名であった。

図4.40 単純拡大教科書を使用していない理由(複数回答)


4.3.19 単純拡大教科書の満足度(高校段階)

 単純拡大教科書を使用している93人に対して、満足度を調べた結果を図4.41に示す。「非常に満足している」と「満足している」を合わせると52人(56%)で、半数を超えていることがわかった。ただし、41人(44%)は満足していないと回答していた。

 単純拡大教科書に満足していない生徒41人に、理由を尋ねたところ(図4.42)、「教科書が大きすぎる」という回答が31人(76%)と最も多く、「文字の大きさが不適切」が22人(54%)、「補助具を併用しなければならないから」が16人(39%)、「書体が不適切」が13人(32%)であった。

図4.41 単純拡大教科書の満足度
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を使用している調査対象者の単純拡大教科書の満足度を示す棒グラフ。
非常に満足していると答えた普通科に在籍する生徒が5名、保健理療科に在籍する生徒が0名、満足していると答えた普通科に在籍する生徒が34名、保健理療科に在籍する生徒が13名、あまり満足していないと答えた普通科に在籍する生徒が26名、保健理療科に在籍する生徒が7名、まったく満足してないと答えた普通科に在籍する生徒が7名、保健理療科に在籍する生徒が1名、総数は93名であった。

図4.41 単純拡大教科書の満足度

図4.42 単純教科書に満足していない理由
文部科学省から配布されている単純拡大教科書の満足度の調査において「あまり満足していない」ないし「まったく満足していない」を選択した調査対象者の満足していない理由を示す棒グラフ。
文字の大きさが不適切だからと答えた普通科に在籍する生徒が19名、保健理療科に在籍する生徒が3名、書体が不適切だからと答えた普通科に在籍する生徒が10名、保健理療科に在籍する生徒が3名、教科書が大きすぎるからと答えた普通科に在籍する生徒が26名、保健理療科に在籍する生徒が5名、補助具を併用しなければならないからと答えた普通科に在籍する生徒が13名、保健理療科に在籍する生徒が3名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が7名、保健理療科に在籍する生徒が1名、総数は93名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.42 単純拡大教科書に満足していない理由


4.3.20 高校段階での単純拡大教科書と補助具の併用の有無

 図4.43に、単純拡大教科書を使用している93人の補助具併用の有無を示した。52人(56%)と半数以上が補助具を併用していることがわかった。

 図4.44に拡大教科書と併用している補助具の種類を示した。最も併用されている補助具は弱視レンズで35人、続いて拡大読書器が21人であった。小中学校時代と比較すると拡大読書器の割合が多くなっている。

 利用している場面(図4.45)は、本文が38人(73%)、脚注が31人(60%)、図が37人(71%)、表が33人(63%)であった。

図4.43 単純拡大教科書と補助具の併用の有無
文部科学省から配布されている単純拡大教科書を使用している調査対象者の補助具の併用の有無を示す棒グラフ。
併用していると答えた普通科に在籍する生徒が38名、保健理療科に在籍する生徒が14名、書体が不適切だからと答えた普通科に在籍する生徒が33名、保健理療科に在籍する生徒が7名、総数は93名であった。

図4.43 単純拡大教科書と補助具の併用の有無

図4.44 単純拡大教科書と併用していた補助具の種類
文部科学省から配布されている単純拡大教科書と補助具の併用の有無の調査において併用しているを選択した調査対象者の使用している補助具の種類を示す棒グラフ。
弱視レンズと答えた普通科に在籍する生徒が28名、保健理療科に在籍する生徒が7名、拡大読書機と答えた普通科に在籍する生徒が15名、保健理療科に在籍する生徒が6名、拡大コピーと答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が1名、遮光眼鏡と答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が1名、机上灯と答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が0名、傾斜机と答えた普通科に在籍する生徒が5名、保健理療科に在籍する生徒が0名、書見台と答えた普通科に在籍する生徒が6名、保健理療科に在籍する生徒が2名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が1名、保健理療科に在籍する生徒が0名、総数は52名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.44 単純拡大教科書と併用していた補助具の種類

図4.45 拡大補助具はどこを読む際に利用しているか(複数回答可)
文部科学省から配布されている単純拡大教科書と補助具の併用の有無の調査において併用しているを選択した調査対象者の補助具を使用する教科書での該当箇所を示す棒グラフ。
本文と答えた普通科に在籍する生徒が31名、保健理療科に在籍する生徒が7名、脚注と答えた普通科に在籍する生徒が25名、保健理療科に在籍する生徒が6名、図と答えた普通科に在籍する生徒が30名、保健理療科に在籍する生徒が7名、表と答えた普通科に在籍する生徒が27名、保健理療科に在籍する生徒が6名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が1名、総数は52名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.45 拡大補助具はどこを読む際に利用しているか(複数回答)


4.3.21 高校段階で利用しているボランティアが個別に作成した拡大教科書

 表4.1、図4.46、図4.47はボランティアが個別に作成した拡大教科書がどのようなものか聞いている。普通科はパソコンで作成された拡大教科書が最も多い。また国語の拡大教科書の作成が多く、その次に数学となっている。保理科は手書きが僅かに多く、教科の種類は差がなかった。

表4.1 ボランティアが作成した拡大教科書の作成方法

 
普通科
保理科
手書き
パソコン
拡大コピー
その他
手書き
パソコン
拡大コピー
その他
国語
2
8
2
0
1
0
0
0
数学
2
5
2
0
1
0
0
0
英語
2
2
1
1
1
0
0
0
地理
0
2
1
0
1
0
0
0
日本史
1
1
0
0
0
1
0
0
世界史
2
2
0
0
0
1
0
0
現代社会
2
1
0
0
0
1
0
0
倫理
1
0
0
0
0
0
0
0
政治社会
1
1
0
0
1
0
0
0
理科基礎
0
1
0
0
0
1
0
0
理科総合
0
1
1
0
0
1
0
0
生物
2
1
0
0
1
0
0
0
物理
0
1
0
0
0
0
0
0
化学
1
2
0
0
0
0
0
0
情報
0
0
0
0
0
1
0
0
音楽
0
0
1
0
1
0
0
0
その他
1
2
2
0
0
0
0
0

図4.46 ボランティアが作成した拡大教科書の作成方法(普通科)
上記表4.1 ボランティアが作成した拡大教科書を普通科に在籍する生徒のみでまとめて棒グラフにしたもの。

図4.46 ボランティアが作成した拡大教科書の作成方法(普通科)

図4.47 ボランティアが作成した拡大教科書の作成方法(保理科)
上記表4.1 ボランティアが作成した拡大教科書を保健理療科に在籍する生徒のみでまとめて棒グラフにしたもの。

図4.47 ボランティアが作成した拡大教科書の作成方法(保理科)

 図4.48よりボランティア作成拡大教科書を使っていた時の文字サイズは普通科、保理科では、22-25ptが一番多く、次に18-21pt、40ptの順である。

図4.48 ボランティア作成拡大教科書を使っていた時の文字サイズ
ボランティア作成拡大教科書を使用していた際の教科書の文字サイズを示した棒グラフ。
10pt未満と答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、10ptから13ptと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、14ptから17ptと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、18ptから21ptと答えた普通科に在籍する生徒が4名、保健理療科に在籍する生徒が0名、22ptから25ptと答えた普通科に在籍する生徒が4名、保健理療科に在籍する生徒が1名、26ptから29ptと答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が0名、30ptから39ptと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、40pt以上と答えた普通科に在籍する生徒が3名、保健理療科に在籍する生徒が0名、未回答であった普通科に在籍する生徒が1名、保健理療科に在籍する生徒が0名、総数は16名であった。

図4.48 ボランティア作成拡大教科書を使っていた時の文字サイズ

 図4.49よりボランティア作成の教科書を普通科の生徒は必ず使用していると回答が多く、保理科では使用しているものが少なかった。使用していない理由は、文字の大きさが不適切であると好みと一致していなかったようである。(図4.50)

図4.49 ボランティア作成の教科書をどの程度使用しますか?
ボランティア作成の拡大教科書を保有する調査対象者の拡大教科書の使用頻度に関する棒グラフ。
かならず使用していると答えた普通科に在籍する生徒が8名、保健理療科に在籍する生徒が0名、よく使用していると答えた普通科に在籍する生徒が4名、保健理療科に在籍すする生徒が0名、ほとんど使用していないと答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が1名、まったく使用していないと答えた普通科に在籍する生徒が1名、保健理療科に在籍する生徒が0名、総数は16名であった。

図4.49 ボランティア作成の教科書をどの程度使用しますか?

図4.50 持っているボランティア作成の拡大教科書を使用していない理由
ボランティア作成の拡大教科書を使用していない調査対象者の拡大教科書の使用しない理由を示す棒グラフ。
文字の大きさが不適切だからと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が1名、書体が不適切だからと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が1名、教科書が大きすぎるからと答えた普通科に在籍する生徒が1名、保健理療科に在籍する生徒が1名、補助具を併用しなければならないからと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が1名、通常の教科書とページが対応していないからと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が0名、総数は16名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.50 持っているボランティア作成の拡大教科書を使用していない理由

 図4.51よりボランティア作成の教科書を使っている理由は自分の見え方に合わせてくれているからという理由が圧倒的に多く、個々にオーダーメイドされている点が好まれていることがわかる。しかし、他に適切な教科書がないからと言う理由もあげられていた。

図4.51 ボランティア作成の教科書を使っている理由
ボランティア作成の拡大教科書を使用している調査対象者の拡大教科書の使用している理由を示す棒グラフ。
自分の見え方に合わせてくれるからと答えた普通科に在籍する生徒が10名、保健理療科に在籍する生徒が0名、他に適切な教科書がないからと答えた普通科に在籍する生徒が5名、保健理療科に在籍する生徒が1名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が0名、総数は16名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.51 ボランティア作成の教科書を使っている理由

 図4.52よりボランティア作成の教科書の満足度で「非常に満足している」と「満足している」を合わせると11人と半数以上の生徒が満足をしていることがわかる。一方、プライベートサービスだと考えられるボランティア作成の拡大教科書に満足していないと回答した生徒もあった。図4.53より、満足していない6名は教科書が大きすぎる、書体が不適切などの理由をあげている。プライベートサービスであるにもかかわらず、満足が得られてないのは、見え方が変化した結果なのか、それとも個々のニーズが十分に反映できなかったのかは不明であり、今後の調査が必要である。

 ボランティア作成の拡大教科書を使用する際、補助具を併用しているかどうかに関する質問に対して、16人中12人が併用をしていないと回答している(図4.54)。併用しているのは僅か、4人で、併用している補助具はばらつきがあるが書見台が多かった(図4.55)。また、補助具は、本文、図等を読む際に使用していることがわかる(図4.56)。

図4.52 ボランティア作成の教科書の満足度
ボランティア作成の拡大教科書を保有している調査対象者のボランティア作成の教科書に対する満足度を示す棒グラフ。
非常に満足していると答えた普通科に在籍する生徒が6名、保健理療科に在籍する生徒が0名、満足していると答えた普通科に在籍する生徒が5名、保健理療科に在籍する生徒が0名、あまり満足していないと答えた普通科に在籍する生徒が4名、保健理療科に在籍する生徒が1名、まったく満足していないと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、総数は16名であった。

図4.52 ボランティア作成の教科書の満足度

図4.53 ボランティア作成の教科書に満足していない理由(複数回答)
ボランティア作成の拡大教科書に満足していない調査対象者の拡大教科書の満足していない理由を示す棒グラフ。
文字の大きさが不適切だからと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、書体が不適切だからと答えた普通科に在籍する生徒が1名、保健理療科に在籍する生徒が0名、教科書が大きすぎるからと答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が0名、補助具を併用しなければならないからと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が1名、通常の教科書とページが対応していないからと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が0名、総数は16名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.53 ボランティア作成の教科書に満足していない理由(複数回答)

図4.54 ボランティア作成の教科書を読む時の補助具の併用状況
ボランティア作成の拡大教科書を保有している調査対象者の拡大教科書を読む際の補助具の使用状況を示す棒グラフ。
併用していると答えた普通科に在籍する生徒が4名、保健理療科に在籍する生徒が0名、併用していないと答えた普通科に在籍する生徒が11名、保健理療科に在籍する生徒が1名、総数は16名であった。

図4.54 ボランティア作成の教科書を読む時の補助具の併用状況

図4.55 併用している補助具の種類(複数回答)
ボランティア作成の拡大教科書を使用する際に補助具を併用する調査対象者が併用する補助具の種類を示す棒グラフ。
弱視レンズと答えた普通科に在籍する生徒が1名、保健理療科に在籍する生徒が0名、拡大読書機と答えた普通科に在籍する生徒が1名、保健理療科に在籍する生徒が0名、拡大コピーと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、遮光眼鏡と答えた普通科に在籍する生徒が1名、保健理療科に在籍する生徒が0名、机上灯と答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、傾斜机と答えた普通科に在籍する生徒が1名、保健理療科に在籍する生徒が0名、書見台と答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が0名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、総数4名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.55 併用している補助具の種類(複数回答)

図4.56 拡大補助具はどこを読む際に利用しているか?(複数回答)
ボランティア作成の拡大教科書と拡大補助具を併用する調査対象者が補助具をどこを読むのに利用しているかを示す棒グラフ。
本文と答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が0名、脚注と答えた普通科に在籍する生徒が1名、保健理療科に在籍する生徒が0名、図と答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が0名、表と答えた普通科に在籍する生徒が	1名、保健理療科に在籍する生徒が0名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、総数は4名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.56 拡大補助具はどこを読む際に利用しているか?(複数回答)


4.3.22 高校段階での通常の教科書の利用状況

 通常の教科書を利用している生徒は249名いることがわかった。図4.57より通常の教科書の使用状況は、国語、数学、英語と主要3教科が多いことがわかる。

図4.57 使用中の通常教科書の教科
高等学校段階で通常教科書を使用している調査対象者が現在使用している通常の教科書の種類を示す棒グラフ。
国語と答えた普通科に在籍する生徒が152名、保健理療科に在籍する生徒が10名、数学と答えた普通科に在籍する生徒が147名、保健理療科に在籍する生徒が8名、英語と答えた普通科に在籍する生徒が151名、保健理療科に在籍する生徒が10名、地理と答えた普通科に在籍する生徒が62名、保健理療科に在籍する生徒が3名、日本史と答えた普通科に在籍する生徒が53名、保健理療科に在籍する生徒が8名、世界史と答えた普通科に在籍する生徒が64名、保健理療科に在籍する生徒が9名、現代社会と答えた普通科に在籍する生徒が95名、保健理療科に在籍する生徒が7名、物理と答えた普通科に在籍する生徒が34名、保健理療科に在籍する生徒が1名、生物と答えた普通科に在籍する生徒が95名、保健理療科に在籍する生徒が5名、化学と答えた普通科に在籍する生徒が52名、保健理療科に在籍する生徒が3名、情報と答えた普通科に在籍する生徒が104名、保健理療科に在籍する生徒が6名、音楽と答えた普通科に在籍する生徒が104名、保健理療科に在籍する生徒が14名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が78名、保健理療科に在籍する生徒が27名、回答者総数は249名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.57 使用中の通常教科書の教科

 通常の教科書を利用する際、補助具を併用している生徒は249人中161人いる一方、補助具なしで通常の教科書を利用している生徒が88人いることがわかった(図4.58)。

 併用している補助具は161人中125人が弱視レンズを使用している(図4.59)。拡大補助具は、本文、脚注、図、表を読む際に利用しているようである。(図4.60)通常の教科書の良いと思う点は、249人中、227人が持ち運びやすさと回答し圧倒的に多かった。(図4.61)通常の教科書を使う際に困る点にたいして、あまり困らない93人と、困っている91人と分かれた回答となった。(図4.62)困っている理由もほぼ大差がないようである。(図4.63)拡大教科書をまったく使わない理由は85人が通常の教科書で十分だからという回答が多かった。(図4.64)

図4.58 通常の教科書使用時の補助具の併用状況
高等学校段階で通常教科書を使用している調査対象者が教科書を読む際に補助具を併用するかを示す棒グラフ。
併用していると答えた普通科に在籍する生徒が136名、保健理療科に在籍する生徒が25名、併用していないと答えた普通科に在籍する生徒が77名、保健理療科に在籍する生徒が11名、総数は249名であった。

図4.58 通常の教科書使用時の補助具の併用状況

図4.59 併用している補助具の種類
高等学校段階で通常教科書を読む際に補助具を使用する調査対象者が併用している補助具の種類を示す棒グラフ。
弱視レンズと答えた普通科に在籍する生徒が110名、保健理療科に在籍する生徒が15名、拡大読書機と答えた普通科に在籍する生徒が50名、保健理療科に在籍する生徒が10名、拡大コピーと答えた普通科に在籍する生徒が26名、保健理療科に在籍する生徒が4名、遮光眼鏡と答えた普通科に在籍する生徒が6名、保健理療科に在籍する生徒が1名、机上灯と答えた普通科に在籍する生徒が5名、保健理療科に在籍する生徒が1名、傾斜机と答えた普通科に在籍する生徒が16名、保健理療科に在籍する生徒が1名、書見台と答えた普通科に在籍する生徒が21名、保健理療科に在籍する生徒が2名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が2名、保健理療科に在籍する生徒が1名、総数161名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.59 併用している補助具の種類

図4.60 拡大補助具はどこを読む際に利用しているか?(複数回答)
高等学校段階で通常教科書を読む際に補助具を使用する調査対象者が補助具をどこを読む際に利用するかを示す棒グラフ。
本文と答えた普通科に在籍する生徒が113名、保健理療科に在籍する生徒が19名、脚注と答えた普通科に在籍する生徒が99名、保健理療科に在籍する生徒が17名、図と答えた普通科に在籍する生徒が107名、保健理療科に在籍する生徒が21名、表と答えた普通科に在籍する生徒が101名、保健理療科に在籍する生徒が18名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が8名、保健理療科に在籍する生徒が1名、総数は161名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.60 拡大補助具はどこを読む際に利用しているか?(複数回答)

図4.61 通常の教科書の良いと思う点(複数回答)
高等学校段階で通常教科書を使用している調査対象者が通常の教科書良いと思う点を示す棒グラフ。
視覚障害のない生徒と同じ教科書を使うと答えた普通科に在籍する生徒が65名、保健理療科に在籍する生徒が8名、手に入りやすいと答えた普通科に在籍する生徒が53名、保健理療科に在籍する生徒が7名、持ち運びやすいと答えた普通科の生徒が196名、保健理療科に在籍する生徒が29名、補助具と併用しやすいと答えた普通科に在籍する生徒が63名、保健理療科に在籍する生徒が7名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が10名、保健理療科に在籍する生徒が2名、総数は249名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.61 通常の教科書の良いと思う点(複数回答)

図4.62 通常の教科書を使う際に困る点
高等学校段階で通常教科書を使用している調査対象者が通常の教科書使う際に困ることがあるかどうかを示す棒グラフ。
まったく困らないと答えた普通科に在籍する生徒が29名、保健理療科に在籍する生徒が5名、あまり困らないと答えた普通科に在籍する生徒が86名、保健理療科に在籍する生徒が7名、困っていると答えた普通科に在籍する生徒が76名、保健理療科に在籍する生徒が15名、とても困っていると答えた普通科に在籍する生徒が20名、保健理療科に在籍する生徒が8名、総数が249名であった。

図4.62 通常の教科書を使う際に困る点

図4.63 通常教科書を使う際に困っている理由(複数回答)
高等学校段階で通常教科書を使用している調査対象者が通常の教科書使う際に困る理由を示す棒グラフ。
本文が見にくいと答えた普通科に在籍する生徒が72名、保健理療科に在籍する生徒が19名、脚注が見にくいと答えた普通科に在籍する生徒が71名、保健理療科に在籍する生徒が15名、図表が見にくいと答えた普通科に在籍する生徒が73名、保健理療科に在籍する生徒が18名、補助具と併用しなければならないと答えた普通科に在籍する生徒が56名、保健理療科に在籍する生徒が14名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が14名、保健理療科に在籍する生徒が3名、総数は119名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.63 通常教科書を使う際に困っている理由(複数回答)

図4.64 拡大教科書をまったく使わない理由(複数回答)
高等学校段階で通常教科書を使用している調査対象者が通常の教科書をまったく使わない理由を示す棒グラフ。
通常の教科書で十分だからと答えた普通科に在籍する生徒が76名、保健理療科に在籍する9名、必要だったが入手できなかったと答えた普通科に在籍する生徒が11名、保健理療科に在籍する生徒が0名、入手法が分からなかったと答えた普通科に在籍する生徒が5名、保健理療科に在籍する生徒が1名、存在を知らなかったと答えた普通科に在籍する生徒が4名、保健理療科に在籍する生徒が4名、使い方が分からなかったと答えた普通科に在籍する生徒が11名、保健理療科に在籍する生徒が2名、価格が高かったと答えた普通科に在籍する生徒が3名、保健理療科に在籍する生徒が0名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が23名、保健理療科に在籍する生徒が4名、総数は101名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.64 拡大教科書をまったく使わない理由(複数回答)


4.3.23 拡大教科書の必要性

 理想的には拡大教科書がどの程度、必要かについて質問した結果を図4.65に示した。「必要不可欠」が22%、「どちらかと言うと必要」が38%で、必要だと回答した生徒は半数を超えていた。ただし、「まったく必要ない」が14%、「あまり必要ない」が26%おり、弱視生徒のニーズが多様であることがわかる。

図4.65 拡大教科書の必要性
調査対象者の拡大教科書がどの程度必要かどうかを示す棒グラフ。
必要不可欠と答えた普通科に在籍する生徒が47名、保健理療科に在籍する生徒が11名、どちらかというと必要と答えた普通科に在籍する生徒が85名、保健理療科に在籍する生徒が18名、あまり必要ではないと答えた普通科に在籍する生徒が60名、保健理療科に在籍する生徒が8名、まったく必要ではないと答えた普通科に在籍する生徒が31名、保健理療科に在籍する生徒が7名、総数は272名であった。

図4.65 拡大教科書の必要性


4.3.24 拡大教科書と補助具についての意見

 理想的には拡大教科書がどの程度、必要かについて質問した結果を図4.66に示した。「拡大教科書があれば補助具は必要ない」が29%、「補助具と拡大教科書の両方が必要」が28%「補助具があれば拡大教科書は必要ない」が24%で、ニーズが多様であることがわかった。(図4.67、4.68)

図4.66 拡大教科書と補助具の必要性に関する意見
調査対象者の拡大教科書と補助具の必要性に関する意見を示す棒グラフ。
両方必要ないと答えた普通科に在籍する生徒が41名、保健理療科に在籍する生徒が7名、拡大教科書があれば補助具は必要ないと答えた普通科に在籍する生徒が56名、保健理療科に在籍する生徒が10名、補助具と拡大教科書が両方必要と答えた普通科に在籍する生徒が58名、保健理療科に在籍する生徒が16名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が5名、保健理療科に在籍する生徒が1名、総数は272名であった。

図4.66 拡大教科書と補助具の必要性に関する意見

図4.67 どういう拡大教科書が必要ですか?
調査対象者が考えるどのような拡大教科書が必要かどうかの意見を示す棒グラフ。
拡大コピーした教科書と答えた普通科に在籍する生徒が19名、保健理療科に在籍する生徒が9名、教科書会社等が出版している拡大教科書と答えた普通科に在籍する生徒が69名、保健理療科に在籍する生徒が17名、ボランティアが個別に作成してくれる拡大許可書と答えた普通科に在籍する生徒が42名、保健理療科に在籍する生徒が6名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が11名、保健理療科に在籍する生徒が2名、総数は161名であった。

図4.67 どういう拡大教科書が必要ですか?

図4.68 拡大教科書と補助具が両方あっても学習時に困ることがありますか
拡大教科書と補助具の必要性に関して拡大教科書も補助具も両方必要だと回答した調査対象者が拡大教科書と補助具が両方あっても困ることに関する棒グラフ。
困ったことがあると答えた普通科に在籍する生徒が15名、保健理療科に在籍する生徒が7名、困ることがないと答えた普通科に在籍する生徒が43名、保健理療科に在籍する生徒が9名、総数は74名だった。

図4.68 拡大教科書と補助具が両方あっても学習時に困ることがありますか


4.3.25 理想の文字サイズ

 理想的な文字サイズの分布を図4.69に示した。図より、18〜21ポイントが74人と最も多く、22〜25ポイントが61人、14〜17ポイントが41人と続いていた。文字サイズに対するニーズが、小中学校時代よりも小さな文字にシフトしていることがわかる。

図4.69 理想の文字サイズの分布
調査対象者の理想の文字サイズの分布を示す棒グラフ。
10pt未満と答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、10ptから13ptと答えた普通科に在籍する生徒が15名、保健理療科に在籍する生徒が2名、14ptから17ptと答えた普通科に在籍する生徒が34名、保健理療科に在籍する生徒が7名、18ptから21ptと答えた普通科に在籍する生徒が66名、保健理療科に在籍する生徒が8名、22ptから25ptと答えた普通科に在籍する生徒が49名、保健理療科に在籍する生徒が12名、26ptから29ptと答えた普通科に在籍する生徒が28名、保健理療科に在籍する生徒が5名、30ptから39ptと答えた普通科に在籍する生徒が0名、保健理療科に在籍する生徒が0名、40pt以上と答えた普通科に在籍する生徒が15名、保健理療科に在籍する生徒が4名、総数は272名であった。

図4.69 理想の文字サイズの分布


4.3.26 好みの書体(フォント)

 教科書体、明朝体、ゴシック体、丸ゴシック体の4書体に関して、好む順位を調査した。最も好むと選択された書体を表4.2及び図4.70に示した。図より、この4書体の中では、丸ゴシック体が最も好まれていることがわかった。

表4.2 好みの書体

 
教科書体
明朝体
ゴシック体
丸ゴシック体
1位
2位
3位
4位
1位
2位
3位
4位
1位
2位
3位
4位
1位
2位
3位
4位
普通科
25
13
36
148
21
32
135
34
71
123
24
4
107
54
24
37
保理科
3
1
6
32
5
3
30
4
7
29
6
0
27
9
1
5
28
14
42
180
26
35
165
38
78
152
30
4
134
63
25
42

図4.70 好みの書体
上記表4.2 好みの書体を横棒グラフにまとめたもの。
数値などは上記表4.2を参照。

図4.70 好みの書体

 拡大教科書の理想的な行間隔、文字間隔等について設問した結果を表4.3及び図4.71に示した。図表より、各項目「どちらでもよい」が多くなっているが、通常の教科書とのページ対応のみ「同じがよい」という選択が多いことがわかった。

表4.3 理想の拡大教科書の行間隔、文字間隔等

 
行間隔
文字間隔
通常の教科書とのページ対応
文章の方向
補助具の併用
広い方がよい
狭い方がよい
どちらでも
広い方がよい
狭い方がよい
どちらでも
同じがよい
分割されていてもよい
どちらでも
縦書き
横書き
どちらでもよい
してもよい
したくない
どちらでもよい
普通科
80
35
108
46
48
128
129
45
49
11
94
118
71
70
83
保理科
23
5
16
15
8
21
18
9
16
3
28
14
19
16
9
103
40
124
61
56
149
147
54
65
14
122
132
90
86
92

図4.71 理想の拡大教科書の行間隔、文字間隔等
上記表4.3 理想の拡大教科書の行間隔、文字間隔等を横棒グラフにまとめたもの。
数値などは上記表4.3を参照。

図4.71 理想の拡大教科書の行間隔、文字間隔等

 拡大教科書を選ぶ際、読みやすさと持ち運びやすさのどちらを優先するかという設問の結果を図4.72に示した。読みやすさと持ち運びやすさが拮抗していることがわかった。また、分冊の可否について設問した結果を図4.73に示した。分冊数が増えても薄い方がよいという回答が多かったが、厚くても1冊がよいという意見も少なくなかった。

図4.72 教科書を選ぶ際の読みやすさと持ち運びやすさの優先度
調査対象者にとって教科書の読みやすさと持ち運びやすさの優先度を示した棒グラフ。
教科書の厚さ・重さ・大きさが増しても、文字等が読みやすい方がよいと答えた普通科に在籍する生徒は83名、保健理療科に在籍する生徒は25名、文字等が多少読みにくくても、教科書の厚さ・重さ・大きさは抑えめな方がよいと答えた普通科に在籍する生徒が98名、保健理療科に在籍する生徒が12名、どちらでもよいと答えた普通科に在籍する生徒が42名、保健理療科に在籍する生徒が7名、総数は272名であった。

図4.72 教科書を選ぶ際の読みやすさと持ちはこびやすさの優先度

図4.73 分冊の可否
調査対象者の教科書の分冊に関する意見を示す棒グラフ。
分冊数が増えても1冊の厚さが薄い方がよいと答えた普通科に在籍する生徒が93名、保健理療科に在籍する生徒が21名、1冊の厚さが増しても分冊数が少ない方がよいと答えた普通科に在籍する生徒が76名、保健理療科に在籍する生徒が14名、どちらでもないと答えた普通科に在籍する生徒が54名、保健理療科に在籍する生徒が9名、総数は272名であった。

図4.73 分冊の可否


4.3.27 拡大教科書の選択において重視する要素

 拡大教科書を選択する際に重視する要素を調査した。文字サイズ、書体、行間、文字間、教科書の大きさ、厚さ、重さ、分冊数、ページ対応、紙の色、縦書き・横書き、価格の12要素について順位付けを求めた。1位から3位に選択された要素の頻度を図4.74、表4.4に示した。図表より、文字サイズ、書体、教科書の大きさが重要な要素であることがわかった。

図4.74 使いたい教科書を選ぶ際に重視する要素(上位3位)
下記表4.4 使いたい教科書を選ぶ際に重視する要素(上位3位)を横棒グラフにまとめたもの。
数値などは表4.4を参照。

図4.74 使いたい教科書を選ぶ際に重視する要素(上位3位)

表4.4 使いたい教科書を選ぶ際に重視する要素(上位3位)

 
文字の大きさ
書体
行の間隔
文字の間隔
教科書の大きさ
教科書の厚さ
1位
2位
3位
1位
2位
3位
1位
2位
3位
1位
2位
3位
1位
2位
3位
1位
2位
3位
普通科
122
34
16
22
71
26
4
13
34
4
5
29
25
27
29
6
21
24
保理科
30
5
1
3
16
4
0
4
7
0
1
6
5
7
2
0
3
8
152
39
17
25
87
30
4
17
41
4
6
35
30
34
31
6
24
32
 
教科書の重さ
分冊数
通常の教科書とのページ対応
紙の色
文章の方向
(縦書きか横書き)
価格
1位
2位
3位
1位
2位
3位
1位
2位
3位
1位
2位
3位
1位
2位
3位
1位
2位
3位
普通科
15
20
25
3
9
10
4
6
16
5
7
11
2
7
8
15
7
6
保理科
2
2
3
0
0
0
0
1
2
2
0
5
0
2
5
2
3
0
17
22
28
3
9
10
4
7
18
7
7
16
2
9
13
17
10
6

4.3.28 電子データの活用

 学校の授業以外で文字を読む際、パソコンで文字を拡大したり、スクリーンリーダーを使ったりすることがあるかという設問への回答を図4.75に示した。図より、授業以外でパソコンを使わない生徒の方が多いことがわかった。また、電子データが提供された場合に活用したいかという設問に対する回答を図4.76に示した。電子化を望む意見の方が少し多かったが、電子化を望まないという意見も少なくなかった。これらの結果から考えると、電子データを利用するリテラシィがまだ十分に育っていないことが推測される。

図4.75 授業以外での画面拡大ソフトやスクリーンリーダーの利用状況
調査対象者の学校の授業以外で文字を読む際に、パソコンで文字を拡大したり読み上げソフトを使っているかどうかを示した棒グラフ。
あると答えた普通科に在籍する生徒が86名、保健理療科に在籍する生徒が16名、ないと答えた普通科に在籍する生徒が137名、保健理療科に在籍する生徒が28名、総数は272名であった。

図4.75 授業以外での画面拡大ソフトやスクリーンリーダーの利用状況

図4.76 教科書が電子データで提供された場合活用したいか?
調査対象者が教科書の電子データを提供された場合に、自分のパソコンなどで活用したいかどうかを示す棒グラフ。
まったく思わないと答えた普通科に在籍する生徒が44名、保健理療科に在籍する生徒が6名、あまり思わないと答えた普通科に在籍する生徒が53名、保健理療科に在籍する生徒が10名、少し思うと答えた普通科に在籍する生徒が82名、保健理療科に在籍する生徒が13名、非常に思うと答えた普通科に在籍する生徒が43名、保健理療科に在籍する生徒が15名、総数は272名であった。

図4.76 教科書が電子データで提供された場合活用したいか?


4.3.29 拡大教科書や電子化に対する将来の期待

 拡大教科書や電子書籍に対する期待を設問した結果を図4.77に示す。図より、拡大教科書や電子化に対する希望ばかりではないことがわかった。この結果から、弱視生徒のすべてが拡大教科書や電子化を望んでいるわけではなく、ニーズが多様であることがわかる。

図4.77 教科書や書籍の将来への希望
調査対象者の教科書や書籍に対する将来への希望や要望を示した棒グラフ。
特に困っていないので、要望はないと答えた普通科に在籍する生徒が69名、保健理療科に在籍する生徒が8名、弱視レンズ等の拡大補助具を自由に使いこなす力を身につけたいと答えた普通科に在籍する生徒が73名、保健理療科に在籍する生徒が8名、全ての本が拡大文字で入手できるようになって欲しいと答えた普通科に在籍する生徒が92名、保健理療科に在籍する生徒が20名、全ての本が電子化され、パソコンなどを拡大や音声で自由に利用できるようになって欲しいと答えた普通科に在籍する生徒が76名、保健理療科に在籍する生徒が20名、その他と答えた普通科に在籍する生徒が8名、保健理療科に在籍する生徒が5名、総数は272名であったが、本項目は複数回答を認めていた。

図4.77 教科書や書籍の将来への希望


4.4 まとめ

 高等学校では好みも効率も小中学校段階よりも小さな文字サイズにシフト(小中学校段階で利用していた文字サイズは22、18、26、14ポイントの順だったのに対して、高等学校では18、22、14、26ポイントの順であった)していることがわかった。レイアウト拡大が必要でボランティアに依頼している生徒数は16名で、ほとんどが18から26ポイントを使用していることがわかった。なお、レイアウト拡大が必要な生徒が存在することは明らかであるが、その実態は不明確であり、どのような方法で拡大教科書を製作すべきかを含めてさらなる調査が必要であることがわかった。

 272名中63%の生徒が試作版単純拡大教科書の給与を受けているが、日常的に利用しているのはその半数強(54%)であった。給与された単純拡大教科書を使っていない理由としては、判が大きすぎる、文字が小さすぎる、補助具を併用しなければならないのが不便、フォントが見えにくい等が挙がっており、これらに配慮すれば単純拡大方式の教科書を活用できる生徒の数はさらに増えることが示唆された。また、すべての弱視生徒が拡大教科書を求めているわけではなく、拡大補助具があれば拡大教科書は必要ないという生徒もおり、その実態を明らかにする必要があることが示唆された。

 教科書の電子化推進という観点では、電子化を望む声は半数強で、弱視生徒のリテラシィに関する調査が必要なことが示唆された。


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