「イラク戦争」関連年表 2005年 注釈

[1-1]
新有志連合(Coalition of the Willing)リスト:Albania, Armenia, Australia, Azerbaijan, Bulgaria, Czech Republic, Denmark, El Salvador, Estonia, Georgia, Italy, Japan, Kazakhstan, South Korea, Latvia, Lithuania, Macedonia, Moldova, Mongolia, the Netherlands, Norway, Poland, Portugal, Romania, Singapore, Slovakia, Ukraine and the United Kingdom.
[1-2]
ケネディ上院議員の講演原稿には,ブッシュ政権が国民を欺いて開戦し泥沼化に導いたこと,捏造された根拠に基づいて開戦を急いだことやブッシュ政権の対イラク政策をベトナム戦争時の政策の失敗と類似させた批判はあるが,AP記事が引用符を付けた「テキサスででっち上げられた詐欺: fraud made up in Texas」,「ジョージ・ブッシュのベトナム: George Bush's Vietnam」といった表現はない。ロイターはケネディ議員が米軍撤退を提起した部分のみ報道。
ケネディ上院議員の講演原稿は,http://kennedy.senate.gov/~kennedy/statements/05/1/2005127703.html
[3-1]
イラクには欧米民間企業に高給で雇われた外国人警備員が約20,000人いて,彼らによるイラク民間人への誤射が多発していると言われている。警備会社といっても内容的には民間軍事会社:Private Military Company(PMC)で,社員の多くは米軍や英軍の特殊部隊出身者である。警備活動中は米英軍兵士と同様の武装をしており事実上の傭兵と考えられる。
[3-2]
この3人は米ノースキャロライナ州に本拠を置く警備会社(PMC)Blackwater Securityの社員で,国務省職員や施設の警備を担当していた。
2004年3月31日にファルージャでこの警備会社社員4人が殺害され,住民が遺体を損壊し橋に吊るした事件が起こっている。
その映像が米国のテレビニュースで放映され,その後数週間にわたって米軍がファルージャ包囲・攻撃作戦を取るきっかけとなった。
[4-1]
いずれも米ノースキャロライナ州に本拠を置く警備会社(PMC)Blackwater Security Consulting。撃墜されたヘリコプターはロシア製のMi-8で,バグダッドからティクリートへ向かう途中だった。死亡した社員6人は米外交官の護衛を担当していた。
2004年3月31日にファルージャでこの警備会社社員4人が殺害され,住民が遺体を損壊し橋に吊るした事件が起こっている。
その映像が米国のテレビニュースで放映され,その後数週間にわたって米軍がファルージャ包囲・攻撃作戦を取るきっかけとなった。
[4-2]
連続爆弾(自爆)攻撃:イラク軍や警官隊(あるいはシーア派住民など)を標的に道路脇の爆弾や自動車爆弾を爆発させ,救援・調査に集まった兵士・警官に対してさらに単独あるいは複数の自動車爆弾による自爆攻撃を仕掛ける。反体制武装勢力はイラク軍や警官を米軍への協力者と見なして攻撃を繰り返しているが,4月にはいってこうした連続爆弾攻撃によって多数の死傷者を出す事件が頻発している。
[5-1]
Hart Security社。1999年にイギリスで設立されキプロスに本社を置くPMC。[3-1]も参照してください。
[10-1]
遺体発見数の月別の内訳は,5月110人,6月102人,7月41人,8月124人,9月156人,10月6人。1,2人の遺体発見は報告されないため,実数はこれをかなり上回る。AP集計。
[10-2]
ザワヒリ氏からザルカウィ氏への手紙は約6000語の長文で,国防総省が一部公開した内容は以下のとおり。
  1. アルカイダはアフガニスタンで重要な指導者を多数失い,通信手段や資金源も途絶して深刻な打撃を受けている。
  2. 現在,イラクはイスラム教徒にとって最も重要な戦場である。
  3. イラクを中心として周辺諸国も含む広範なイスラム国家を樹立するためにはイラクから米軍を排除することが必要であり,攻撃対象を米軍に集中すべきである。
  4. イラクの抵抗勢力は大衆の支持を失わないために,モスクの爆破や人質の虐殺のような戦術を避けるべきだ。
などで,ザルカウィ氏に対し資金面での支援も要請している。
[10-3]
ブッシュ大統領が事前に阻止したとする重大テロ計画は以下の10件。
  1. 2002年半ばのハイジャックした航空機による米西海岸の攻撃計画。計画作成者の少なくとも1人は2001年の9.11同時多発テロの重要人物。
  2. 2003年半ばのハイジャックした航空機による米東海岸の攻撃計画。
  3. イスラム教に改宗したシカゴの元ギャングがアルカイダとともに放射性物質を含む爆弾を米国の都市で爆発させようとした計画。元ギャングはブッシュ大統領によって敵戦闘員に指定され,未告発のまま海軍刑務所に収容中。
  4. 2002年のホルムズ海峡での艦船攻撃計画。
  5. 2002年末から2003年のアラビア海での艦船攻撃計画。
  6. 2003年の米国外での観光地攻撃計画。
  7. 2003年のハイジャックした民間航空機による英ヒースロー空港攻撃計画。
  8. 2003年春のパキスタン・カラチでの西洋人攻撃計画。
  9. 2004年春の英国での大規模爆弾テロ計画。
  10. 2004年半ばの英国数カ所での爆弾計画。
[10-4]
憲法案についてのシーア派・クルド勢力との交渉にはイラク・イスラム党のみが参加した。
憲法案の一部修正についての合意点は以下のとおり。
  1. 12月15日に行なわれる国民議会議員選挙後に議会が4カ月を期限として憲法案の修正を検討する委員会を設置する。
  2. 修正が議会によって承認されれば2カ月後に国民投票を行なう。
  3. クルド地域で公用語をクルド語とアラビア語とする。
  4. バース党の元メンバーは犯罪に関与した者のみが訴追される。
[10-5]
映像を放映したオーストラリアSBSテレビによると,米兵2人がタリバン兵の死体を焼いた後に読み上げた挑発的なメッセージは,タリバンを「臆病な犬だ。おまえたちはおびえて彼らの死体を取り戻しにくることもできない」という内容。
イスラム教では死体を火葬することは禁じられ,SBSはこの行為は戦時捕虜や戦死者の取り扱いを定めたジュネーブ協定違反としている。また「犬」と同一視することはイスラム教徒にとって名誉を著しく汚すこととされる。
映像を撮影したフリー・カメラマンは米軍第173空挺旅団と行動を共にして取材中で,米兵の行為は「故意にタリバンの怒りを刺激し米兵を攻撃するように仕向けたもので,そうしないとタリバンを発見できないからだ」と語っている。
[10-6]
欧米の軍事力がめざしている電子センサーによって標的を発見し攻撃するというネットワーク志向の戦闘は,イラクやアフガニスタンでの戦争のように機敏で臨機応変の人的ネットワークにもとづく「ネットウォー」によって困難となっている,としている。
[10-7]
在日米軍再編案中間報告の主な内容は以下のとおり。
  1. 米ワシントン州の陸軍第1軍団司令部を改編してキャンプ座間(神奈川県)に移転。陸上自衛隊中央即応集団司令部との連携強化。
  2. 在日米軍司令部と第5空軍司令部のある空軍横田基地(東京都)への航空自衛隊航空総隊司令部(東京都府中市)の移転。米空軍と航空自衛隊と共同で弾道ミサイル攻撃への対処。
  3. キャンプ・コートニー(沖縄県)の第3海兵遠征軍司令部をグアム基地に移転,実戦部隊は引き続き沖縄駐留。
  4. 厚木基地(神奈川県)の空母艦載機部隊を岩国基地(山口県)に移転。夜間発着訓練(NLP)は騒音対策のため引き続き硫黄島で実施。
  5. 岩国基地の海上自衛隊画像データ収集機OP3を厚木基地に移転。
  6. キャンプ・シュワブ(沖縄県)沿岸部に普天間飛行場代替施設を設置。
  7. 普天間飛行場(沖縄県)の空中給油機を海上自衛隊の鹿屋基地(鹿児島県)に移転。
  8. 嘉手納基地(沖縄県)のF‐15戦闘機の訓練の一部を航空自衛隊の築城基地(福岡県),新田原基地(宮崎県)。
[10-8]
国防総省の報告書は武装勢力の攻撃について,全攻撃数の8割は有志連合軍を標的としているが,死傷者数の8割はイラク人によるものだと述べている。
なお,イラク・ボディカウントの推計では,イラク攻撃開始以来の1日平均のイラク人死者は38人,全死者数の37%は米軍を中心とする有志連合軍の行動に起因するものだとしている。
2004年1月から2005年9月16日までのイラク人死傷者数(米軍の行動に起因する死傷者は含まず)は約26,000人。
1日平均のイラク人死傷者数(同)は以下のとおり。
Base line 2004/1/1-3/31 26人
Pre-Sovereignty 2004/4/1-6/28 30人
Sovereignty 2004/6/29-11/26 40人
Election 2004/11/27-2005/2/11 51人
Pre-Constitution 2005/2/12-8/28 49人
Referendum 2005/8/29-9/16 64人
[11-1]
ブッシュ大統領が2002年10月の演説で「イラクがアルカイダのメンバーに爆弾製造や毒ガス使用の訓練をしていることをつかんだ」と発言し,チェイニー副大統領やパウェル国務長官などブッシュ政権高官もフセイン政権がアルカイダを支援しているとしてイラク攻撃の必要性を強調していた。
当時はその根拠は示されていなかったが,NYタイムズ報道によると,パキスタンで2001年に拘束されたアルカイダの軍事訓練指導者イブン・シェイク・リビ氏が02年2月に「化学・生物兵器を入手し訓練を受けるため,アルカイダが工作員をイラクに送った」などの供述が根拠だったとされている。
レビン議員が入手した公文書(同議員の要求により秘密解除)は,この供述についての国防情報局(DIA)の評価で,「尋問者の興味を引くような話をして意図的に欺こうとした可能性がある」などとしている。(R)(2)(6)
[11-2]
国防総省によると,イラクにおける拘束者のうち,拘束期間6カ月以上が5,569人,1年以上が3,801人,2年以上が229人。
[11-3]
白リン:White Phosphorus。リンの同素体中でもっとも化学的活性が強く,湿った空気中では約30℃で自然発火する。猛毒で致死量は0.1g,皮膚に触れると筋肉から骨に至る重度の火傷を生じる。兵器としては焼夷弾や照明弾,煙幕などとして使用される。

イタリア国営テレビが8日に放映したドキュメンタリー番組で,米軍が2004年11月のファルージャ攻撃の際に白リン兵器を使用し民間人に被害が出ていたと指摘。米軍は当初否定していたが,ベナブル国防総省報道官が16日の英BBCラジオのインタビューで,ファルージャ攻撃において照明弾や煙幕として使用したほか武装勢力を隠れ場所から引き出すために使用したことを認めた。
白リン兵器を焼夷弾としても使用したことを認めたことになるが,同報道官は「特定通常兵器使用禁止条約」で禁止されている兵器ではなく,民間人に対して使用していないと述べている。

特定通常兵器使用禁止制限条約:Convention on Certain Conventional Weapons。1980年10月10日,非人道的と判断される特定の通常兵器の使用の禁止または制限のため,過度に傷害を与え又は無差別に効果をおよぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止または制限に関する条約(特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)および議定書I〜IIIが採択された(1983年12月2日発効)。

議定書III(Protocol III)「焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書」では,文民および民用物を焼夷兵器による攻撃目標とすること,人口密集地域にある軍事目標を焼夷兵器によって空中から攻撃すること等を禁止している。
アメリカは条約本体は批准しているが,議定書IIIには署名していない。[BBC,国連軍縮局(http://disarmament2.un.org/ccw/index.html)など]
[11-4]
11月19日のハディサでの海兵隊員による民間人殺害疑惑については,【連合軍による誤射・過剰防衛事件(2005年)】および【注釈2006年】の[5-3],[6-2]を参照されたい。
[11-5]
11月21日の民間人死傷事件について,バクバ駐留米軍のワーレン報道官は不審な動きをした車への警告射撃で子供1人含む3人死亡,3人負傷と発表,その際に「これは悲劇であるが,ザルカウィ・グループが自動車爆弾を利用しているから起こる」と責任転嫁ともとれる発言をしている。【連合軍による誤射・過剰防衛事件(2005年)】も参照されたい。
なお,バクバ市の死体安置所の警察医は親戚の葬儀から帰宅途中の5人(子供3人含む)死亡と発表している。(AP)
[11-6]
16日以来,ラマディ地域で3度目の武装勢力掃討作戦。米軍は,イラク・アルカイダ機構など武装勢力の掃討によって12月の選挙の治安を確保し,住民の政治参加を確保する目的としている。これまでに武装勢力32人殺害,RPGや爆発物多数を発見したと発表。

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