点字読み書きの効率性を高め、普通の文字や音声などとの相互変換を可能にするためには、コンピュータなどを活用した点字情報処理の技術が、開発・発展されることが重要である。また、点字で大量の文字情報を即座に検索して活用したり、点字の入・出力を用いて通信できるようになることも重要である。一般に情報化社会とよばれ、マルチメディアやインターネットなど、GUIが急速に普及するなかで、テキストデータを選びだして、点字や音声で操作することは点字情報処理にとって極めて重要である。
そこで、本章ではまず1.点字とコンピュータをとりあげ、パソコンが普及しはじめた頃の点字情報処理の問題点を振り返ってみることとした。
2.盲学校点字情報ネットワークシステムの現状と将来展望では、「てんやく広場(現在のナイーブネット)」と相互協力しながら、文部省が心身障害児教育財団に委託している点字データベース事業(「盲学校点字情報ネットワーク」)の紹介と課題をとりあげている。
3.視覚障害情報処理技術年報は、1985年〜1987年当時の情報処理技術者として携わる視覚障害者や、販売されている機器類やソフトの状況、および視覚障害情報処理関係の研究動向などを紹介するために引用した。
4.視覚障害情報処理技術では、視覚障害が点字や音声の入・出力などを用いてアクセスできる機器やソフトの開発の状況や、歩行・移動に関する機器や装置あるいは設備などの開発状況、およびそれらの裏付けとなる発想や概念あるいは社会的条件などについて、1988年〜1998年までの11年間毎年の特徴と翌年の課題をとりあげた論述をまとめて紹介している。
なお、前述した通り、サイズ可変点字印字システムについては、開発者の中野泰志(慶應義塾大学)のホームページ(http://www.hc.keio.ac.jp/~nakanoy/BR/)を参照いただきたい。