自由研究セミナー
「社会保障の国際比較研究」
国立社会保障・人口問題研究所によると(2000年12月公表)1999年度の日本の社会保障給付費は75兆円で、これは対国民所得費の約2割を占め、国民一人あたりの給付は59万円であった。対前年度の社会保障給付費総額の伸び率は4%であり、国民所得の伸び率0.2%よりはるかに高くなっている。
日本に限らず、先進諸国は1970年代以降30年間にわたり、人口の高齢化、経済成長率の鈍化および財政的圧力と、増大しつづける社会保障給付費をどのように両立させるかについて試行錯誤を繰り返しているのが現状である。そうした諸外国の試行錯誤や社会保障を国際比較の視点から捉えることで、今後の日本における社会保障制度の改革の方向性について様々なアイディアを得ることができる。
当自由研究セミナーでは、最新の海外の社会保障に関する文献、とりわけ諸外国の社会保障を比較研究した文献を輪読形式で読むことを通じて、日本の社会保障を国際比較の視点でもって捉えることを目的とする。細かな制度論よりも、大局的に日本の社会保障を理解していくことに重点をおくので、社会保障に少しでも関心のある、意欲ある学生の受講を大いに歓迎する。
履修者は、(a)年に数回(履修者の人数に応じて決まる)指定された社会保障に関する論文についてレジュメを作成して輪読発表を行うこと、および(b)年に4回指定された社会保障に関するトピックスについてレポートを提出することを求められている。
教科書:
ゲスタ・エスピン・アンデルセン『福祉資本主義の三つの世界比較福祉国家の理論と動態』(岡沢憲芙訳)ミネルヴァ書房2001.06、ゲスタ・エスピン・アンデルセン『福祉国家の可能性─改革の戦略と理論的基礎』(渡辺雅男訳)桜井書房2001.11
参考書:
デポラ・ミッチェル『福祉国家の国際比較研究〜LIS10カ国の税・社会保障移転システム〜』(埋橋孝文訳)啓文社1993.10、東京大学出版会『先進諸国の社会保障』シリーズ、『季刊社会保障研究』、『海外社会保障研究』、OECD (2000)Reforms for an Ageing Society, OECD (2001)Ageing and Income, International Social Security Review
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