自由研究セミナー
「現代の経済をどうみるか」


延近 充

 日本経済は10年以上にわたって出口の見えない深刻な不況に陥っている。この間、世界の中で例外的に好調な状態を保っていたアメリカ経済も陰りを見せている。アジア経済は数年前までの急速な経済成長から一転して不安定となったが、そのなかで順調な経済成長を続けた中国のWTO 加盟は世界経済に新たな変化をもたらすに違いない。
 各国・地域経済の諸問題の分析はもちろん重要であるが、それらを単独で分析するだけでは充分ではない。1980年代後半以降、冷戦という戦後世界を規定してきた要因が消滅するとともに、国境を越えて移動する巨額の資金や巨大多国籍企業の提携・合併のような世界市場の再編の動き、経済的な相互依存が深まり一国の経済政策が他国に与える影響が大きくなって、混迷を深める経済問題や地球環境問題などの解決のために各国間の協力の必要性が強まる一方、政策手段は手詰りとなり活路を見出せない状態に陥るという世界的な一大転換期にあるからである。
 こうした現代資本主義が直面している問題の根源を明らかにするためには、理論的検討と現状分析を世界史的視野から行なう必要がある。このような理論とそれを基礎とした現状分析を本格的に取り扱うのは三田に設置されている専門科目である。この自由研究セミナーでは、その入門編として現代の経済の抱える問題についてどのようにアプローチしたらよいかを、理論・現状分析の両面から受講者諸君とともに考え、討論することを第1の目的としている。
 この自由研究セミナーの第2の目的は、討論をつうじて論理的な思考力や人の意見を理解し自分の考えをまとめる力を養うこと、自分で研究テーマを設定し論文にまとめるトレーニングを行なうことである。このため、授業に毎回出席することはもちろん、夏休みには論文を書き、秋にそれについての報告を行ない、他の受講者の質疑や私のコメントに基づいて、論文を書き直し、学期末に提出することが義務づけられる。授業の進め方など詳細については最初の時間に説明するので受講希望者は必ず出席すること。


講義一覧へ