自由研究セミナー
「中絶から考える自己決定権」
「自分のことは自分で決める」、これは現代社会では自明のことのように考えられています。しかし、長い間、妊娠、出産という機能を持つ女性のからだは国家や家の支配・管理の対象として考えられてきました。これに対し世界の女性たちは、1970年前後の中絶の合法化運動、80年代以降の開発途上国の強制的な人口抑制政策に対抗する運動と、性と生殖に関する自己決定権(リプロダクティブ・ライツ)を求めて闘ってきました。そして、今やこのリプロダクティブ・ライツは1994年のカイロ国際人口開発会議の行動計画、95年の北京世界女性会議の行動綱領で、明記され、国際的に承認されてきています。
一方で、からだに関する自己決定権は、私的所有権の拡大解釈であり、「私のからだをどうしようと私の勝手でしょ」という論理であると、中絶、売春、脳死、代理母、出生前診断など、さまざまな場面で批判にもさらされています。
自己決定権はどのような場面で、どのように有効であり、どのように制限されるのか、春学期は『中絶論争とアメリカ社会――身体をめぐる戦争』荻野美穂著 岩波書店を輪読し、中絶という問題を通して、からだへの自己決定権の歴史と背景を考えたいと思います。それを下敷きに、秋学期はからだへの自己決定権をめぐるさまざまな問題の中から、それぞれが関心を持ったテーマに関して調べ、発表・議論したいと思います。場合によってはセミナー員以外に発信する場も持ちたいと思います。
詳細は参加者と相談しながら決めますが、発表と討論を中心にする予定なので、毎回遅刻せずに出席すること、そして積極的に参加することが条件です。
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