自由研究セミナー
「町並みの美学−西と東の文化の差違−」


伊藤 行雄

 建築家の芦原義信氏は著書『隠れた秩序』において、日本とヨーロッパの伝統的な建築の相違を、構造的な観点から次のように述べている。日本の建築では、「室内と室外との間には空間の流動性があり、どこから外であるかがはっきりとしていないような空間の浸透性」がある。いいかえれば、建築の境界線がその浸透性のために、ヨーロッパの石造りの建築ほどはっきりしていない点を強調している。この輪郭線の曖昧さが、我が国のきわめて独自の精神構造から都市景観にまで影響を与えている。
 「床」と「屋根」が空間の要素として重視する我が国の建築と「壁」面が都市の表情として視線を引きつけるヨーロッパとは、空間意識において大きな差違がみられる。
 本研究会では建築における空間意識や「内」と「外」の問題を中心にヨーロッパ人と日本人の文化の相違について建築と都市、町並みなどに焦点を合わせ、さまざまなテキストを検討しながら、フィールドワークをも行っていく予定である。
 研究会は参加者のレポート発表と討論によって進められる。また、発表やレジメの作成などの基礎的なトレーニングも行う。テキストは第1回目の授業で決める。

使用テキスト(予定)
1. 芦原義信『隠れた秩序』(中公文庫)
2. ブルーノ・タウト『日本美の再発見』(岩波新書)
3. 和辻哲郎『風土』(岩波文庫)
4. 『荷風随筆集』(岩波文庫)その他


講義一覧へ