自由研究セミナー
「ニクラス・ルーマンのシステム理論」


石井 康史

 「主体」というものの概念は西洋哲学のかなめでもあり、また問題でもあり続けてきました。ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンは、社会を――ということはコミュニケーション、芸術、法律、経済、さらにはエコロジーを――その「主体」の概念なしにシステムとして解析・理解し、そのシステムをより円滑に機能させることを目指しました。その理論は大変独自なものですが、スペンサー=ブラウンやタルコット・パーソンズの理論、そしてとりわけウンベルト・マトゥラーナとフランシスコ・バレーラによるオートポイエシス理論も重要な登場人物としてそこに現れます。ルーマンの文章は難解で知られていますが、このセミナーでは最終的に英語でその主要論文を読みたいと思います。
 春学期はまず助走のつもりでオートポイエシス理論の理解から始めますが、やがてルーマンの論文を毎週英語で読むようにするつもりです。社会科学の新しい流れ、特にシステム理論に興味をもっている二年生も、受験英語に飽きた一年生も、ともに歓迎します。予備知識は必要ありませんが、西洋哲学をおさらいする覚悟と、難解ではあってもたまらなくスリリングな英語論文に毎週取り組む覚悟、そして自分の好奇心をたえず活発にさせておく覚悟は必要かもしれません。成績評価は春学期末、秋学期末各一回のレポートと授業参加(出席を含む)で行います。

教科書:
マトゥラーナ/バレーラ(共著)『知恵の樹』(ちくま学芸文庫)
G ・スペンサー=ブラウン『形式の法則』(朝日出版社)
その他授業中に指示します


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