ファイナンス数学I〔春学期〕
この講義では、後期の「ファイナンス数学II」とあわせて、保有資産のリスク管理、新金融商品の開発、投資戦略などの場面で、近年の金融機関にとって、それなくして生き残れないほどの重要性をもつといわれる金融工学の初歩を講義する。
より具体的には、ヨーロピアン・オプションの価格付けに関する有名なブラック・ショールズのモデルを理解するための数学的基礎を、1年生の時に微分積分と線形代数を学んだ学生に対して与える。そこでは経済数学I、IIが扱わない128が今後の経済学部の学生にとって格段に重要性が増すと思われる数学を講義する。
前期では、その準備として、統計学と確率論の初歩をまず教える。その内容は統計学の演習としても機能するような授業を予定している。さらに、数理ファイナンスの入門としてポートフォリオ理論と呼ばれる分散投資のリスク最小化の手法を学ぶ。この内容を学ぶに確率論は必要とはならないが、最初に準備した統計の内容を用いる。また経済数学IAで学ぶLagrange の未定乗数法なども重複をいとわず解説するつもりである。最後に、確率論の進んだ内容として確率過程の簡単な入門を行う。これが後期でブラック・ショールズ・モデルを学ぶ準備となるのである。
確率を用いたものの見方は今後の社会でリスク管理など様々なところで必須になるだろう。ところが、大学ではそれを学ぶ機会が非常に少ない。経済学部生にとって、この講義がその少ない機会の一つで、学部2年生程度に理解できるように構成されていることに留意して欲しい。
講義の内容
(1)統計と数学の準備
(2)ポートフォリオ理論
(3)確率過程とランダム・ウォーク、ブラウン運動
予備知識
1年生のとき学ぶ「微分積分」と「線形代数」。2年で学ぶ「統計学」の内容も授業に現れるが、これに関しては予備知識を必要としない。必要な積分に関しても、丁寧に教えるつもりである。
参考書:
蓑谷「よくわかるブラック・ショールズ・モデル」東洋経済新報社
戸瀬・伊藤「経済数学」エコノミスト社
P. Wilmott et al. : The Mathematics of Financial Derivatives, A Student Introduction, Cambridge University Press.(2002年初頭、翻訳が公刊予定。)
講義一覧へ