経済思想の歴史I〔春学期〕(99学則)


神代 光朗

 経済思想の歴史〔春学期〕(95学則)※秋学期開講『経済思想の歴史(95学則)』と併せて通年4単位科目です。
 現在、経済学部の経済学関係の専門分野のみでも10の分野、研究会は57もの数がある。これは今日の大学における経済学の専門・細分化を顕著に示していることは言を待たない。勿論、スミスもいうように分業と専門化は学問の進歩においても不可避であった。しかし、20世紀の最後の四半世紀以降の現代資本主義の混迷と停滞、同じくペレストロイカの失敗につづくソ連型旧「社会主義」体制の崩壊、資本主義のグローバル化、再編とそれにともなう世界的経済格差の増大や民族紛争等、21世紀の私達をとりまく経済、文化、政治状況は、人類社会の未来への不安と混乱を増大しているのが現実である。その中で、過度の専門化により体系性も、現実とのトータルな接点及びヴィジョンをも喪失し、魅力を失いかけているのが経済学の危機的な現状であろう。経済学はギリシア、ローマ以来、家政学の側面と政治学ないし国家学の側面とを保持していたが、独立した学問体系として自立するのは、スミスやケネーの時代、即ち18世紀の中葉のことである。それでも1890年にマーシャルの『経済学原理』の登場する以前は、経済学はすぐれて政治経済学(political economy )と言われ、単なる純粋理論のみでなく、理論・歴史・政策を統一したすぐれて体系的な且つ実践的な学問としての特質をもっていたのである。そして、理論・歴史・政策を統一する導きの糸こそが経済思想または歴史的ヴィジョンなのである。本講義では、経済学のこの特質を考慮しつつ、主として古典派経済学とマルクス経済学の経済思想のエッセンスを講ずる。 経済学の入門的な意味をも含む。なお、「経済思想の歴史II」も合わせて履修されることをおすすめする。
 以下に掲げる文献は、あくまで参考文献であり、諸君自身が古典を読まれることが、何より肝要である。この古典の学習を通じて、危機とその克服への社会科学的知性を各人が養って欲しい。

参考文献:
岡田純一著『経済思想史』(東洋経済新報社)
山本・大西・揚・角田編『経済学史』(青木書店)
小林昇・杉原四郎編『新版経済学史』(有斐閣双書)
伊藤誠編『経済学史』(有斐閣)
馬渡尚憲著『経済学史』(有斐閣)
高橋誠一郎著『経済学史略』(慶應大学出版会)
内田義彦著『社会認識の歩み』(岩波新書)
大塚久雄著『社会科学における人間』(岩波新書)


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