計量経済学演習
(1)春学期2単位・合同演習
(2)この計量経済学演習では,「経済発展過程における構造変化の実証理論分析」に関連した研究テーマに取り組んでいる大学院生を対象にして,各人の研究報告とそれに対する討論を行う。したがって,履修者は,どのような段階であれ自らの研究内容について報告することが義務づけられる。
上記の共通テーマに関連していえば,「経済発展」は,必ずしも発展途上国だけの問題ではない。
アメリカをはじめ西ヨーロッパ諸国や最近の日本のように,先進工業国といわれる国々においても,新たな「経済発展」の在り方とその可能性が模索されている。経済発展に関する分析の歴史を振り返ってみると,意外なことに,経済発展に関する一般理論といえるものは,ほとんど見当たらない。
このことは,一般理論の可能性を否定するものではないが,時間的にも空間的にもさまざまに異なる条件をもつ経済社会に対して普遍的な経済発展の在り方を模索するという従来の分析視点あるいは分析の姿勢について,再検討する必要性があることを示唆しているともいえる。他方,これまでの経験的分析によれば,どのような段階であれ,経済発展は現象形態として経済構造の変化を随伴すること,さらに発展過程における構造変化が経済成長と強く結び付いていることなどが,観測事実としての長期経済統計に基づいて指摘されている。 しかし,これらの経験的事実をもってしても,「経済発展は,構造変化と経済成長が結び付いた経済社会の動態現象である」という蓋然的な指摘にとどまるといわざるをえない。この演習では,およそ以上のような分析状況を脱却するためにいかなる分析視点が必要かを議論しながら,履修者各人のテーマ毎に研究指導をすすめていく。なお,この演習は,春学期と秋学期に設置されており,履修者は2学期とも連続して履修することが望ましい。
参考文献等については,各人の報告と討論の際にとりあげる。
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