自由研究セミナー[99:III 系][95:V II 系]
中国の歴史物語と歴史
日本で最も親しまれた中国の歴史物語は三国志物語であろう。翻訳やリライト小説,マンガなどを通じて,さまざまな三国志像が描き出され消費されているが,ここで日本の読者が陥りがちな誤解が,『三国志演義』を近代的な歴史小説と混同し,史実性という観点から理解し批評してしまう点である。中国の古典「小説」は近代文学における「ノベル」とは別物であり,まして近代的な歴史小説とはまったく異なる。むしろ,民間に流布する物語的歴史像として,歴史書に描かれた体系と対立するものと考えるべきである。
本セミナーでは,『説唐』『楊家将』など我が国ではあまり馴染みのない歴代の王朝を扱ったさまざまな通俗歴史物語や小説を時代順に紹介するとともに,史書との相違点・物語の変遷と受容などのトピックを取り上げて検討する。それを通じて,中国の歴史と歴史物語とはいかなるものか,認識を新たにしていただきたい。
なお,受講者全員に,授業での調査発表を分担してもらう。また,中国語・漢文資料を多用するため,基礎中国語を習得していることが望ましい。
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