研 究 会
この研究会では,「応用ミクロ経済学」,その中でも特に(1) 労働経済学(2)「新」応用ミクロ経済学,を取り上げます。労働経済学は,労働の需要と供給の分析から始まり,賃金格差,教育,家族などの問題を扱う分野です。「新」応用ミクロ経済学は,これまで経済学が余り取り上げてこなかったような,社会,家族,個人が複雑に絡み合う問題(教育,犯罪,医療,等)を経済学的に考えます。対象は,日本,欧米,発展途上国等を問いません。金融・産業組織・貿易理論なども応用ミクロ的なアプローチが重要ですが,この研究会では特に取り上げません。
このような3分野を扱いつつ,本研究会で共有したいのは目標とアプローチです。我々の目標は,現実の新しい経済社会問題と向き合わなければならない時に必要な,自分の頭で思考し分析する技術を獲得することです。アプローチとしては,個人の最適化行動と均衡概念に基づく分析手法がどこまで有効か,その可能性を追求するという「応用ミクロ的」視点を重視します。実際,本研究会で扱う分野は,そのような方法論を共有することで,互いに影響を与え合いながら発達してきました。そのためには,ミクロ経済学と計量経済学の基礎の理解が前提です。
卒論は次の2つのタイプから選びます。一つは,問題発見から始まり,モデル分析・実証等まで自分で考える方法です。そこでは,テーマはオリジナルであることを重視し,「問題の重要さ」,「切り口の新しさ」,及び「分析の有効性と説得力」で評価します。もう一つは,研究室の研究グループの一員として,その研究の一部を担当することです。この場合,テーマの大枠は与えられ,作業はデータ収集と分析が中心となりますが,その中で自分なりの工夫をしたり,分析手法を習得することで,一人ではできないような研究に貢献できます。この場合は,「研究への実質的な貢献」及び「データ分析の説得力」の観点で評価します。
いずれにせよ,これまで「経済分析」があまり行われていない領域を積極的に発掘したい人,日頃議論されていることを冷静に分析したいと考えている人を歓迎します。
3年生には,上記の分野の基本文献や,研究が進んでいる米国での成果を読んでもらうと同時に,計量経済学,ミクロ経済学の基礎作りをしてもらいます。4年生は,卒論研究を行うとともに,3年生を含めた研究会の議論をリードする役目を期待されます。
これまでは大体,前期は比較的まとまった内容の本を,後期は,様々の応用分野の論文をいり混ぜて読んでいます。過去に研究会で扱った論文は,私のホームページ
http://www.econ.mita.keio.ac.jp/staff/hakab/index.html
を通じて閲覧することができます。ホームページには,その他,ゼミの運営方針等の重要事項がかかれていますので,志望する際には必ず目を通しておいてください。
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