研 究 会


助教授 延近 充

 日本経済は10年以上にわたって出口の見えない深刻な不況に陥っている。この間,世界の中で例外的に好調な状態を保っていたアメリカ経済も陰りを見せている。アジア経済は数年前までの急速な経済成長から一転して不安定となったが,そのなかで順調な経済成長を続けた中国のWTO 加盟は世界経済に新たな変化をもたらすに違いない。
 各国・地域経済の諸問題の分析はもちろん重要であるが,それらを単独で分析するだけでは充分ではない。1980年代後半以降,冷戦という戦後世界を規定してきた要因が消滅するとともに,国境を超えて移動する巨額の資金や巨大多国籍企業の提携・合併のような世界市場の再編の動き,経済的な相互依存が深まり一国の経済政策が他国に与える影響が大きくなって,混迷を深める経済問題や地球環境問題などの解決のために各国間の協力の必要性が強まる一方,政策手段は手詰りとなり活路を見出せない状態に陥るという世界的な一大転換期にあるからである。
 こうした現代資本主義が直面している諸問題の根源を明らかにするためには,理論的検討と現状分析を世界史的視野から行う必要がある。その際には,第2次大戦後,冷戦対抗のもとで,アメリカの主導によって構築された資本主義の復興・成長の国際政治・経済の枠組みとその崩壊のメカニズムの分析が不可欠である。
 本研究会の基本テーマは,このような問題意識から現代資本主義の直面している諸問題を分析することにある。本年度の共通テーマとしては,戦後の日本の経済復興・成長とそこに内在する問題点について,日米関係を基軸として考えていく。研究会員個々の研究テーマとしては,環境問題や個別産業問題も含め,広く現代経済の抱える問題に関心をもって選択し研究してもらいたいと思っている。


講義一覧へ