研 究 会
20世紀の経済社会の発展は,人々の生活に大きな変化をもたらした。すべての人々にとって80年前後におよぶ生涯が,これほど確実な時間として浮かび上がった時代はない。と同時に,雇われて働く近代家族の生活目標が,これほど揺らぎ不確かになった時代もない。21世紀の今日,われわれは生涯の確実さと生き方の不確かさとの乖離に直面しているのではないだろうか。
本研究会では,このような人間生活の特徴を,近現代の経済社会システムとの関係において検討する。20世紀において人々がどのように生活してきたのかを振り返るとともに,21世紀の経済社会をできることなら自分たちの生き方をとおして考え論じ合いたい。今日の生活のあり方について自らの立場から強い関心を持ち,その関心に社会科学の言葉で形を与える努力を惜しまない諸君の参加を希望する。
この3年間は,「近代家族」「生活変動」「経済格差と社会階層」を切り口にしてきたが,今年度は,「〈消費〉の再検討」を共通テーマに輪読と議論を重ね,今日の生活問題と政策課題を検討する。
導入として,見田宗介『現代社会の理論』(岩波新書,1996年)と,松原隆一郎『消費資本主義のゆくえ』(ちくま新書,2000年)を用いる(前者は新歓合宿で読了する予定)。その後は,消費への理論的な接近として,N. クセノス『稀少性と欲望の近代』新曜社,M. ダグラス他『儀礼としての消費』新曜社などを,また実態的な接近として,内田隆三『消費社会と権力』岩波書店,J. クラマー『都市と消費の社会学』ミネルヴァ書房,J.B. ショア『浪費するアメリカ人』岩波書店などを取り上げる予定である。具体的な運営は参加者と相談して決定したい。
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