研 究 会


教授 中山 幹夫

 ゲーム理論は1944年,フォン・ノイマンとモルゲンシュテルンの共著『ゲームの理論と経済行動』の公刊によって生まれたが,80年代に入ってから産業組織論や情報の経済学などへの関心の高まりのなかで,それまでの均衡概念をさらに扱いやすくした方法論上のイノベーションと,生物学などからの刺激もあって,経済学に取り入れられるようになった。今日では,とくにミクロ分析のための強力な道具となっている。
 また,とくに近年,慣習やしきたりにもとづいて熟考しないで行動する人間や生物,遺伝子,オートマトンなどの機械,プログラム,アルゴリズムなどがプレイヤーであるようなゲームを考察するという,限定合理性の研究も盛んである。さらに,フロンティアでは知識や推論能力自体に制限を加えるという新しいアプローチもチューリング・マシンや様相論理の方法によって試みられている。
 ゲーム理論は演繹的な構造物であるから,仮定や定義から出発して階段を1歩づつ昇るように根気強く思考することが必要で,知的好奇心や強い興味,関心をもっていることが望ましい。数学は,最低限,好きでなければ理論の面白さがわからず楽しくないであろう。英語については,文学的にではなく,論理的に読解することが必要である。
 テキストとしては,現在のところ未定であり,適宜コピー,資料を配布する予定である。参考文献としてはとりあえず以下の7点をあげておく:

1. Osborne and Rubinstein, A Course in Game Theory, MIT Press,1994.
2. Gibbons, 経済学のためのゲーム理論入門(須田・福岡訳),創文社,1995.
3.岡田章,ゲーム理論,有斐閣,1996.
4.中山幹夫,はじめてのゲーム理論,有斐閣,1997.
5.梶井厚志,松井彰彦,ミクロ経済学・戦略的アプローチ,日本評論社,2000.
6.中山幹夫,武藤滋夫,船木由喜彦共編著,ゲーム理論で解く,有斐閣,2000.
7.武藤滋夫,ゲーム理論入門,日本経済新聞社,2001.

 報告は,完璧である必要はないが,理解したことと,わからなかったことを区別して人に説明するという努力を評価する。その他の活動については,学生諸君の自発性に委ねる。


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