演 習(秋学期集中)
この演習では,「国家戦略の経済学的分析」をテーマとして,経済理論・ゲーム理論の考え方を用いて,政府が選択する国家戦略をどのように考えればよいかを経済学的に議論します。日本政府は国家戦略がないと言われて久しいですが,その原因は日本の政治経済の諸制度によるものであったり,日本政府がゲーム理論で言う「戦略的行動」を考慮に入れていなかったり,日本政府が直面している実行可能性の制約が狭くて望ましい政策選択ができなかったり,色々と考えられます。他方,欧米諸国の政府は(成否は別として)しかるべき国家戦略を持って行動していると解されています。この差は何かを考えるよりどころとして,アメリカを中心とした外交史を描いた文献H. A. Kissinger, “Diplomacy”, Simon & Schuster, Inc.を用いて講義・議論を進めます。
授業は前掲書をテキストとして,教員が各回に取り上げる題材(各時代の外交問題)を解説し,それをケーススタディーとして皆で議論をしながら理解を深めるという形で進めます。議論のポイントは,その時代の各国政府が置かれていた政治経済,軍事的環境を前提として,それぞれの政府がどのような戦略をとるのがよかったか,あるいは誤った戦略を選択した政府はなぜそのような選択をしてしまったのか,などを経済理論・ゲーム理論の考え方を用いて議論することです。成績評価は,出席状況等の結果を総合して決定します。
この演習は,数式を用いた経済理論を直接的には使いませんが,経済学的な考え方を自分の言葉で説明できる能力が必要となります。それとともに,政府の政策決定プロセスを経済学的に考えたい学生を歓迎します。受講する学生は日吉のミクロ経済学初級,マクロ経済学初級(経済原論I,II)を履修済みであることが望まれますが,それ以上の予備知識は前提としません。この講義は政治学や外交史,国際関係論の講義ではありませんから,国際政治や世界史の知識は前提としません。より詳細については,最初の授業で説明します。
この講義はあくまでも,政治学や外交史,国際関係論の講義ではありませんから,政治学や外交史,国際関係論の知識や理解を深めることが目的ではなく,外交問題を題材にして,国家戦略を経済学的に考えることを目的とします。
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