国際金融論
この授業では,国際金融の主要テーマを歴史的な視野を重視しながら概観する。授業の展開は,第一次大戦前の金本位制の時代から今日における変動相場制までの国際金融体制の変化を,ある程度まではクロノロジカルに追っていくことになるが,もちろん,現代の世界経済を理解するためにとくに重要なできごとにスポットライトを当てる。なんといっても,歴史を観察することの意味は,まさに歴史が現代を理解するための鍵だからである。一つ例を挙げよう。2001年12月にアルゼンチンは「債務不履行」の決定をしたが,歴史的経験では,債務国が「債務を返済しない」とアナウンスした場合,債権国の側はどのような有効な対抗策がとれたのか?歴史的経験からすれば,不況に苦しむ債務国にとり「債務不履行」は賢明な政策と言えるのか,それともこのような時には,あくまで債務を返済するべきなのか?これはまさに,歴史の教訓が生きる,きわめて現実的で重要な問題の一例である。
また,1990年代にわが国が経験した不況は,1930年代の大不況に性格がいくらか似ているといわれる。この2つのエピソードでは,「国際金融」が実に大きな意味を持ったが,その側面にとくに着目しながら,両体験を比較することもこの講義の重要なポイントである。
特に教科書は定めないが,講義の流れは,ある程度次の2冊に従う。
拙著『世界経済の謎』(東洋経済新報社)
Barry Eichengreen “Globalizing Capital”(Princeton)
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