国際貿易論


教授 大山 道廣

 本講義では国際経済学を国際貿易理論と国際金融理論に分けて解説し,その応用問題として地域経済統合や国際経済協力について考察する。
 国際貿易理論は国際分業理論と貿易政策理論に分けられる。国際分業理論は国際貿易の構造,特に各国の輸出入パターンがいかに決まるかを分析するものである。これに対して,貿易政策理論は,貿易政策の効果,自由貿易政策,保護貿易政策の根拠,貿易政策の決定過程などを研究するものである。両方とも,貨幣的要因を捨象した国際経済の実物経済モデルを用いて展開される。第1講と第2講でそのようなモデルの理解に必要な基本的な概念と考え方を説明する。第3講から第7講までは広い意味での国際分業理論,第8講から第10講では貿易政策理論を取り上げる。
 国際金融理論を学ぶには,国際収支表や国際収支,特に経常収支の概念を理解しておく必要がある。第11講では,これらの基本的な概念について述べる。第12講では,現代の国際金融問題を考えるにあたって避けて通れない為替レートの決定要因をめぐるこれまでの学説を展望する。第13講では代表的な国際マクロ経済モデルを紹介し,マクロ経済政策の効果と経常収支の調整メカニズムを説明する。
 最近,貿易政策の分野でも金融政策の分野でも国際的な政策協調の必要性が広く認識されるようになった。第14講では,ヨーロッパ同盟(EU)や北米自由貿易地域(NAFTA) に代表される地域経済統合がグローバルな協力機構といかなる補完的,代替的関係にあるかを考える。第15講では,政策協調の理論的意義について考察し,グローバルな多角的経済協力機構である世界貿易機構(WTO) や国際通貨基金(IMF) の考え方を見る。

教科書
大山道廣『新訂 国際経済学』放送大学教育振興会,2001年


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