経済体制論


専任講師 駒形 哲哉

 「経済体制」とは制度の体系を指す。制度の体系は生産力の発展と相互連関的に作用しあいながら変化する。また同時に,歴史的諸条件や地政的条件にも大きく規定される。それゆえ,理論的次元での抽象的考察が重要であるとしても,経済体制が歴史的諸条件などに規定される以上,具体的対象を絞って論ずることにも十分意味があろう。そこで今年度の講義は前年度とはやや趣を変え,WTO 加盟で注目される中国経済を検討対象に選び,中国における社会主義の成立,計画経済の意味,改革解放下での市場経済の形成と移行問題などについて考察する。担当者自身の観察事実もふまえて論ずる予定である。

主なテーマ
 1.「社会主義」の選択は誤りだったのか?
資本主義的発展の経路と現代社会主義成立の経路中国社会主義の成立と特殊な資本蓄積メカニズム

 2.計画経済の機能と構造―「組織」の理論から
1国家=1企業の制度

毛沢東モデルの特徴と毛沢東の「経済学」

「社会主義市場経済」とは何か?

 3.計画から市場への移行―改革・開放
資本蓄積方式の大転換―農村・農業と軍事工業の構造変化

財政・金融の役割の変化―「カジノ市場経済」?

「改革」と「開放」との断裂―産業構造の迂回と解体,そして再編

「改革・開放」の漸進的展開―なぜ漸進主義なのか?

政府の役割,計画経済の「遺産」―「良い遺産」と「悪い遺産」

市場経済の形成と所有制改革―私営化は必然か?

 4.体制移行と経済発展の問題
発展格差をどうみるか(都市と農村,沿海と内陸,都市の貧困,少数民族)

労働移動と人口―「戸籍制度」の行方

中間層の形成・共産党の役割の変化

情報化経済への挑戦―IT 化がもたらすもの

成長制約要因―資源問題

 5.総括―WTO 加盟以後の中国


主な参考文献:
北原勇・鶴田満彦・本間要一郎『資本論体系10現代資本主義』有斐閣,2001年
小島朋之「中国の動向」財団法人霞山会『東亜』(月刊)
中国資本蓄積研究会『中国の経済発展と制度』アジア経済出版会,1976年
中兼和津次『中国経済発展論』有斐閣,1999
年南亮進・牧野文夫『中国経済入門』日本評論社,2000年
村上泰亮,熊谷尚夫,公文俊平『経済体制』岩波書店,1970年
渡辺利夫・白砂堤津耶・加藤弘之・文大宇『図説〔第2版〕中国経済』日本評論社,1999年
渡辺利夫,小島朋之・杜進・高原明生『毛沢東,Y 小平そして江沢民』東洋経済新報社,1999年

*授業に際して,必要に応じて講義資料を配布する。進行方法,評価方法の詳細については開講時に説明する。


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