研究会
当研究会は,貿易,資本移動,技術移転など,国境を越えて生ずる経済現象を研究の対象にする。そのうち,先進工業諸国と発展途上諸国の間で生じている問題,たとえば発展途上国産の軽工業製品に対する先進工業諸国の市場開放問題,直接投資とりわけ巨大多国籍企業のもたらす問題,技術の選択や移転問題,債務累積問題,さらには援助の規模と質の検討などを取り上げる。しかしこれら国際面の問題は,発展途上諸国の経済構造やその変容のメカニズムの理解なしには解明されえない。そこで研究会では,発展途上諸国の国内経済分析と対外経済を並行して進めていく。他方,先進工業諸国が果すべき役割を,上述の発展途上諸国分析を踏まえて検討したい。
ところで,これまで多くの発展途上諸国でそれぞれに工業化の実験を重ねてきた。そして70年代以降,この分野で多くの開発理論が提示されて来たが,低開発性あるいは南北格差は依然として未解決の部分が多く残されている。その意味でこの時期にわれわれが過去の業績や現実に関する数多くの情報を整理,検討し,新たな開発理論を模索する意義は充分に認められる。研究会はその為の作業場としたい。
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