環境経済論
(1) 春学期2単位・講義
(2) 本講義においては,急速に進歩しつつある環境経済学の基礎を展開する。環境経済学の理論としては,伝統的な新古典派的なアプローチ(公共経済学的アプローチ),新制度学派的アプローチ,物質循環論的アプローチ,体制論的アプローチなどがある。本講義においては,なるべく多様な分析方法を提示し,問題に応じてアプローチを使い分けることも重要であることを強調する。どのアプローチも相互に矛盾するものではないのである。また,前半は理論の説明を主に行い,後半は現実の環境問題に対する経済理論の適用に主眼をおいて講義する。
講義は以下にかかげた項目から選んで行う。
(3) 具体的には次の事項にしたがって講義する。
第1章 環境破壊の現状
第1節 資本主義社会の環境破壊
第2節 四大鉱害と四大公害
第3節 地球環境問題
第4節 社会主義社会と環境破壊
第2章 公共財としての環境
第1節 公共財の性格とパレート最適性
第2節 環境財の最適供給
第3節 政府の失敗
第3章 オープンアクセスと環境問題
第1節 共有地の悲劇
第2節 オープンアクセスと資源の過剰使用
第3節 取り引き費用
第4章 外部不経済とピグー税
第1節 外部不経済としての環境汚染
第2節 外部不経済の内部化
第3節 パレート最適とピグー税
第5章 環境保全の経済的手法
第1節 税と課徴金
第2節 補助金
第3節 権利の売買
第4節 デポジットとリデンプション
第6章 権利の配分とコースの定理
第1節 具体的事例
第2節 コースの定理
第3節 コースの定理の限界
第7章 枯渇資源と再生可能資源
第1節 枯渇資源問題の特徴
第2節 再生可能資源の特徴
第3節 再生可能資源の持続的使用
第8章 物質循環と環境問題
第1節 物質循環とはなにか
第2節 自然環境と経済系
第3節 再生産可能性
第9章 廃棄物問題の現状
第1節 一般廃棄物
第2節 産業廃棄物
第3節 不法投棄の諸問題
第10章廃棄物とリサイクルの経済学
第1節 バッズとグッズ
第2節 廃棄物と負の価格
第3節 市場リサイクルと逆有償
第4節 リサイクルの地域性と最適規模
第11章 規制的手法と非規制的手法
第1節 環境基本法と環境基本条例
第2節 規制的手法
第3節 非規制的手法
第12章 経済主体の役割とパートナーシップ
第1節 地方自治体の役割
第2節 企業の役割
第3節 家計・市民の役割
第4節 パートナーシッブ
第13章 国際貿易と環境問題
第1節 貿易自由化と環境問題
第2節 南北問題と環境問題
第3節 環境基準の調和
第14章 国境を越える環境問題
第1節 外部不経済の越境陸
第2節 ダブル・スタンダード
第3節 公害輸出と公害逃避地
第4節 「共同実施」の可能性
第15章 マクロ経済と環境政策
第1節 常識のウソ,―蚊が増えるとGDPは増えるか?―
第2節 環境制約と経済成長
第3節 環境ビジネスの可能性と意義
(5)
・植田和弘『環境経済学』(岩波)
・植田・北畠・寺西・落合『環境経済学』(有斐閣)
・柴田弘文,愛子『公共経済学』(有斐閣)
・Baumol & Oates Theory of Environmental Policy, Cambridge UP.
・Siebert, Environmental Economics, 3rd edi-tion. Springer-Verlag
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