研究会


教授 池尾 和人


 本研究会は,「日本経済の応用ミクロ分析」をテーマとしたゼミナールであると理解されたい。
 現在の日本経済は,キャッチ・アップ過程を完了し,成熟化しつつあるにもかかわらず,依然として旧来のままの開発主義的な制度的枠組みにとどまっており,そのことが経済の活力を喪失させることに結果しかねないという危機に直面している。この意味で,自由主義的な制度的枠組みに脱皮することが火急の課題となっている。
 けれども,規制緩和・経済構造改革といった制度的枠組みの転換をめざす動きは,掛け声だけは盛んであるが,実態としては遅々として進展していない。それどころか,経済状況の悪化とともに,当面の効果だけを考えた,長期的な改革の方向とは逆行するような政策すらとられるようになっている。こうしたことでは,日本経済の将来は暗いと言わざるを得ない。
 こうした状況において,日本経済についてトータルな考察を行うことは,単に知的な興味を引くことにとどまらず,若い世代の将来にかかわるきわめて実践的な意義をもつことでもあると思われる。学生諸君には,この点を自覚した上での,できるだけ積極的な参加を望みたい。
 本年度は,例年通り4月は,ウォーミング・アップとして『日本経済の優先課題2000』を読むつもりでいるが,その後の輪読テキストについてはいまのところ未定である。いずれにせよ5月以降は,3年生には,三田祭論文の作成に向けて,日本経済の現状にかかわる具体的なテーマにいくつかのパートに分かれて取り組んでもらうことになる。また,秋学期には,4年生の全員に卒論の中間報告を担当してもらう。


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