演習


専任講師 駒形 哲哉


 旧ソ連・東欧の共産党政権の崩壊以後,資本主義と社会主義との比較,社会主義の理論的可能性といった角度から経済体制を論ずることが少なくなった。だが,行政指令型計画経済の限界は明白とはいえ,市場メカニズムを前提とした分析枠組みで万事解決といえるのか。IMFによる市場移行戦略「ビッグバン・アプローチ」の失敗は,経済が既存の諸制度と一つのシステムを形成しており,単に市場メカニズムを外から移植するだけでは,システムが機能しないことを示した。近年,法律や慣習などの制度と経済との連関についての研究が盛んに行われているが,このような視点は経済体制の伝統理論には見いだせないだろうか。この授業では,単純な価格メカニズムではとらえきれない経済現象の理解,市場取引きだけにもとづかない制度の設計の議論を,経済体制の伝統理論と最近の理論の両面から検討したい。議論の材料としては,村上他著『経済体制論』(岩波書店,1973年),岩田昌征編『経済体制論第4巻。現代社会主義』(東洋経済新報社,1979年),青木他編著『市場の役割,国家の役割』(東洋経済新報社,1999年),大野健一著『市場移行戦略』(有斐閣,1996年)などを考えている。


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