公共経済学


(春)教授 矢野 誠

(秋)専任講師 土居 丈朗


 「市場競争を通じて最適な資源配分が実現する」というのは,アダム・スミス以来の経済学におけるもっとも基本的な結論の一つである。しかし,この結論はどんな状況においても成立するというわけではない。つまり,市場競争を通じて最適配分が達成されない場合もある(市場の失敗)。一方で,経済学的観点からみて理想的な政府の役割とは,そのような非最適状況を補正することにある。他方,現実社会では政府活動が必ずしも効率的な資源配分に寄与していない場合も数多く存在する(政府の失敗)。
 本講義では,市場経済において,政府の果たすべき役割を理論的モデルに基づいて検討し,その結果にもとづき,現実社会における政府の活動の評価を行うことを目的とする。講義は前半と後半の二部にわけられている。
 前半のおもな内容
 1.公共経済学とは
 2.不完全情報市場の分析
  A.不完全情報の理論
  B.リスクと課税
 3.費用逓減
  A.公共事業
  B.幼稚産業と産業政策
 4.競争政策
  A.参入規制と不完全競争
  B.競争政策
後半の主な内容
 5.所得再分配と租税の理論
  A.最適課税の理論
  B.最適所得税と所得再分配
 6.非完備市場の分析
  A.公共財の理論
  B.クラブ財・地方公共財
  C.国際公共財
  D.外部性
 7.公共選択の理論
  A.政府の失敗
  B.投票モデル
  C.政治家・官僚のモデル


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