労働経済論
(1) 春学期2単位・講義
(2) この講義では労働供給の理論と測定における近年の成果について,標準的理解を得ることを目標としている。
労働供給行動にかんする数量的分析は,税制や年金などの制度面の政策的関心から1970年代以降さかんに行われ,理論と測定の両面で著しい進歩があった。主体均衡理論を厳密に適用する分析方法によりすぐれた分析概念が導入され,測定においてもselectivity bias 等の問題の指摘とその解決方法をめぐって,新たな測定法が開発されるに至った。理論と測定の両面において,労働供給の分析は今日の数量経済学のなかでも最も進歩した領域となったと言ってよい。この講義では労働供給分析の事例により,資料の発生を叙述する理論の構成と,理論にそくした測定法についても深く考察する。
なお,秋学期に開講される講義「労働経済論」の議論につながるよう,労働供給関数,賃金関数の測定にかかわるselectivity, treatment effects (ability bias )などの問題を,discrete/continu-ous choice model のフレームワークを中心として論じたい。
(3) 近年の労働供給にかんする理論構成と測定法の開発に主に焦点をあてて講義をすすめたい。
- 1.Mincer, Cain and Watts, Ashenfelter and Heckman らの理論と集計データ,個票データによる測定
- 2.reservation wage の概念,Wage equation, Hours equation の測定とselectivity bias, treatment effects (教育効果の測定)の問題と測定
- 3.Qualitative Response Models (Logit Model, Probit Model )と測定の問題
- 4.Panel Data 開発の意義と測定の問題
- 5.小尾,樋口,清家らにおける自律度の高い理論構成による分析
(4) 教科書はとくに指定しない。
(5) 参考となる文献を講義のなかで適宜紹介する。
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