自由研究セミナー
「都市の美学―西と東の建築空間と人間の意識構造の差異」
建築家の芦原義信は、著書『隠れた秩序』において、日本のような緑陰涼風の原理に基づく街並みや都市景観では、「床」と「屋根」が空間の要素として重要であるわりには、「壁」は不必要である、と述べている。パリでは壁面が都市の表情として視線を引きつけるが、日本では、緑陰とか涼風のほうが、壁面の表情より重要である、と語り、西と東の景観要素の違いを指摘している。こうしたことは、それぞれの国の都市が、それぞれの国の歴史や伝統や市民の意識の相違から生じてくる問題であり、そう簡単にこの違いを克服できるものではない。
堅固な壁に護られた空間と、障子を開け放すと庭との境がなくなる日本の建築の空間とはおのずと空間の捉え方が相違している。
この研究会は、さまざまなテクストを使用しながら、日本人とヨーロッパ人との空間意識、街並み、建築にたいする捉え方の相違に焦点を合わせて、文化の有り様を検討していく予定である。
研究会は参加者のレポート発表と討論によって進められる。また、研究発表の基礎的な方法や文章作成のトレーニングも行う。使用テキストの順序は第1回目の授業で決める。
テキスト
芦原義信『隠れた秩序―二十一の都市に向かって』(中公文庫)
和辻哲郎『風土』(岩波文庫)
オールセン『芸術作品としての都市』(芸立出版)
坂井洲二『ドイツ人の家屋』(法政大学出版局)
芦原義信『続・街並みの美学』(岩波・同時代ライブラリー)その他
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