日本経済思想史

教授 小室正紀

 江戸時代には,社会や経済についての様々な思考が展開したが,これらのものは,日本の近代化や工業化,さらに現代社会にまで少なからぬ影響を及ぼしている。この講義では,江戸時代から明治前期までの,(1)社会経済認識の展開,(2)経済倫理の特質について考察をする。特に,市場経済の展開に対する当時の認識を,倫理観との関係に注目しながら,整理してみたい。
 なおこれらの問題を検討するに当っては,儒教・洋学・国学などの思想や,当時の人々の宗教観との関係が無視できない。また各々の時代の経済史的状況にも目を向ける必要がある。こうした考察を通して,単に日本の問題にとどまらず,広く前近代社会の社会経済思想と工業化・近代化の関係を考える視角を提示したい。

[参考文献]

・逆井孝仁・藤原昭夫他編『日本の経済思想四百年』日本経済評論社,1990
・源 了圓『徳川思想小史』中央公論新書,1973
・西川俊作『江戸時代のポリティカル・エコノミー』日本評論社,1979

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