近世日本経済史

助教授 友部謙一

 近世日本における農家経済の変遷を中心に,そこに生じた制度的変化や人口学的変化を観察しながら,日本型プロト工業化の過程で果たした農家の役割について論じる。
 近世農家経済史−おもに近世前期の<小農自立>にかんする議論−には厚い研究蓄積があるが,講義ではまず、そこでの論点を改めて整理し、そのなかで「なにが明らかになり,なにが依然として不明であるか」を示していきたい。つぎに,日本型プロト工業化で示された人口−経済連関の要としての近世後の農家経済のワーキングを確認しながら,それと近世前期の<小農自立論>との接点を積極的に探ることにしたい。また,徳川農民の人口学的行動(結婚・出生・死亡・移動など)の分析を通じて,農家経済の「構造」の一局面を明らかにして,そうした条件下での,農家の経済行動を明治・大正・昭和のデータをも使いながら,検討する。詳細な参考文献は講義のなかで適宜指示していく。

[テキスト]

・斎藤修『プロト工業化の時代』(日本評論社,1985年)
・速水融『歴史人口学の世界』(岩波書店,1997年)

[参考文献]

・佐々木潤之介『増補・改訂版 幕藩権力の基礎構造』(御茶の水書房,1985年)
・速水・宮本他編『日本経済史』(岩波書店,1988年)とくに1・2巻
・古島他編『日本経済史大系』(東大出版会,1965年)
・斉藤修『比較史の遠近法』(NTT出版,1997年)
・斉藤修『賃金と労働の生活水準』(岩波書店,1998年)
・西川俊作『日本経済の成長史』(東洋経済新報社,1985年)

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