研究会(3年)
現在,日本との関係が非常に緊密になってきている東南アジア社会の歴史あるいは現状をわれわれは一般にあまりにも知らないことが多い。そこでかなり入門的ではあるが,東南アジアの歴史と現状をおおまかに知ることがこの科目の第一の目標である。
そして第二に,まったく異質の文化をもった社会にアプローチし,分析する際の手法を学ぶ。
春学期においては,まず歴史的な経緯を知るために,植民地社会が抱えていたさまざまな問題を中心に考える。
秋学期は話題を現代に移し,急激な開発政策の結果近年生じているさまざまな社会変化や新たな社会問題を取り上げて考察する。
最初の数回は,倉沢が,講義形式でオランダの植民地であったインドネシアのケースを述べる。その後は,各学生が自分の関心のある国を取り上げ,類似のテーマで研究発表を行う。
秋学期も最初の数回は倉沢が講義形式で,現在東南アジア社会で問題になっている幾つかの点をピックアップしながら述べる。後半は演習形式をとり,同様のテーマに基づいて学生が研究発表を行ったり,全員で同じ文献を読んで,それに基づくディスカッションをしたりする。
具体的にはイギリス,アメリカ,オランダ,フランスの植民地であった国々の社会を比較しつつ,検討する。その際に,日本の植民地であった,朝鮮,台湾の社会との比較の視点も取り入れる。具体的には,産業構造,村落構造,教育,衛生問題など,様々な角度から分析する。
秋学期には,開発によって生じた社会組織の変容,労働形態の変容,教員関心の高まり,都市化・出稼ぎ・移民などによる人間の移動,受信する情報量の増加に伴う意識や行動パターンの変化といった問題を考察する。さらにそれらの国々の経済開発との関連で,日本のODAの現状や問題点なども考える。また,開発の結果台頭してきた都市の新中間層と,彼らが果たす政治的役割についても考察の対象とする。
[リーディング・リスト]
・倉沢愛子『日本占領期のジャワ農村の社会変容』草思社 1992年
・倉沢愛子編『東南アジア史のなかの日本占領』早稲田大学出版部 1997年
・ブーケ著,永易浩一訳『二重経済論−−インドネシア社会における経済構造分析』秋書房 1979年
・Richard Tanter, Kenneth Young edit., The Politics of Middle Class Indonesia, Center for Southeast Asian Studies, Monash Papers on Southeast Asia No.19. 1990
・Hal Hill, ed. Indonesia's New Order, The Dynamics of Socio-Economic Transformation, NSW: Allen & Unwin. 1994
・Richard Robison & David S.G. Goodman, edit., The New Rich in Asia, Routledge. 1996
・浅見靖仁 1995.「中間層の成長とタイ政治社会論の新動向」『総合的地域研究』9号
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