研究会◆
現代の金融はいったいいかなる役割を果たそうとしているのか。こうした問題がまさに問い直されようとしています。不沈と思われていた大手都銀の経営が破綻したり,巨大証券会社が消滅したりと,戦後経済のなかでよそうもされなかったことが現に生じており,問題は社会問題ともなっています。戦後の日本経済にあって,金融部門は手厚く保護され,いわゆる「護送船団方式」の下,規模格差の固定化,業態の固定化等の政策が行き届いていたといってようでしょう。今それらが,音を立てて崩れようとしています。その原因は何であったかの。言うまでもなく,かの「バブル」の崩壊です。しかし,さらに原因をさかのぼると,それは戦後日本経済ないし戦後の日本資本主義の構造そのものにあったといわねばならないように考えられます。今日の金融問題を読み解いてゆくとき,このような歴史的な視点をも備えた構造的視覚が求められているといってよいでしょう。
いまひとつ現代の金融問題を考えるとき重要な視点は,現代経済は企業活動のみならず,政府も,さらにも家計も実に深く金融諸関係のなかに組み込まれているという点です。まさにあらゆる経済主体が,債権・債務のネットワークの中に組み込まれているということです。ここには選択の余地すらないといって過言ではないでしょう。資産管理よりも負債管理の如何が,それぞれの経済主体のパフォーマンスを決めているように思われます。したがって,金融問題は焦眉の興味深い問題だといった表面的な関心から,われわれの日々の生活そのものがかかる問題なのだとの認識を持って取り組むべきであろうと考えます。
上記のような視点から,この研究会では,現代金融の諸側面を歴史,制度,理論のバランスを考えつつ勉強してゆきたいと考えています。そして,可能ならば,問題克服の道を探ってみたいと思います。
なお,担当者の講義科目は「経済学史1」です。経済学史の勉強をしてみたいという諸君の参加も歓迎します。
いずれにせよ,詳細は「経済学部研究会案内」を参照して下さい。
講義一覧へ