アジア社会史
アジアの伝統的社会が,植民地支配の浸透に伴ってどのような社会変容を体験していったかをインドネシアのケースを例にとり分析する。オランダのインドネシア統治は,当初は重商主義的なもので,土地と住民に対する支配にさほど興味を示さなかったが,18世紀後半頃から徐々に,集荷のみならず生産レベルにも関与するようになった。そして植民地経営の財政的基盤を確立するために地租を導入したり,村落首長の任免に関与するなど伝統社会への干渉が開始された。19世紀後半になると,オランダの大規模資本によるプランテーション農業が開始された。これらの農園企業は住民の土地を賃貸し,住民を労働力として使用したが,稲作農業を中心とする村落経済とはまったく別個の経済圏を形成した。それに対して,1942年にオランダに代わって政権をとった日本の占領統治は,この二重経済の枠組みを排除した他,村落の支配構造の改革,新たな社会組織の導入など,生活のほぼすべての分野において村落社会を大規模に撹拌するものだった。
[教科書]
・ブーケ著,永易浩一訳『二重経済論−−インドネシア社会における経済構造分析』秋書房 1979年
・倉沢愛子『日本軍政下ジャワ農村の社会変容』草思社 1992年
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