線型代数学確認問題 第10講 2021/12/15 LA2021WL10

I
教科書第8章にある $$ A= \begin{pmatrix} 1&2&3\\ 2&1&3\\ 3&3&6 \end{pmatrix} $$ によって$\mathbf{K}^3$を $$ \mathbf{K}^3=V(-1)\oplus V(0)\oplus V(9) $$ とスペクトル分解します。任意の$\vec v\in\mathbf{K}^3$に対してこの分解に応じて $$ \vec v=\vec v_1+\vec v_2+\vec v_3 $$ と分解するとき $$ P_j\vec v=v_j\quad (j=1,2,3) $$ と$P_j\in M_3(\mathbf{K})$を用いて表されました。このとき $$ P_1+P_2+P_3=I_3,\ P_j^2=P_j\ (j=1,2,3),\ P_iP_j=O_3\ (i\not=j) $$ が成立することを示しましょう。ただし 固有多項式が \begin{equation*} \Phi_A(\lambda)=(\lambda-\alpha_1)(\lambda-\alpha_2)(\lambda-\alpha_3) \end{equation*} と因数分解されるときにC-Hの定理によって \begin{equation*} \Phi_A(A)=(A-\alpha_1I_3)(A-\alpha_2I_3)(A-\alpha_3I_3)=O_3 \end{equation*} が成立することは用いて構いません。また具体的に$P_j$を求めて示しましょう。
[解答ビデオ], [解答PDF]
II
以下の対称行列$A$を直交行列で対角化して$A$が定める2次形式を 対応する直交座標変換で簡単にしましょう.
(1) $A= \begin{pmatrix} 3&-1&-2\\ -1&3&2\\ -2&2&6 \end{pmatrix}$ (2) $A= \begin{pmatrix} 5&4&-2\\ 4&5&-2\\ -2&-2&2 \end{pmatrix}$ (3) $A= \begin{pmatrix} 3&-1&-1\\ -1&1&-1\\ -1&-1&3 \end{pmatrix}$
(4) $A= \begin{pmatrix} 3&-1&2\\ -1&6&-1\\ 2&-1&3 \end{pmatrix}$ (5) $A= \begin{pmatrix} 4&-2&2\\ -2&1&4\\ 2&4&1 \end{pmatrix}$
解答ビデオ (1), (2), (3), (4), (5)
III
$A= \begin{pmatrix} 15&-5&-6\\5&-2&-3\\27&-9&-10 \end{pmatrix}$ とします。以下では $$ \Phi_A(\lambda)=(\lambda-2)^2(\lambda+1) $$ であることを用いても構いません。$A$が対角化できないことを示しましょう。
[解答ビデオ], [解答PDF]
IV
$P\in M_n(\mathbf{R})$に対して $$ (P\vec v,P\vec w)=(\vec v,\vec w)\quad (\vec v,\vec w\in \mathbf{R}^n) $$ と $$ ||P\vec v||=||\vec v||\quad (\vec v\in\mathbf{R}^n) $$ が必要十分であることを証明しましょう。
[解答ビデオ]
V
3次の直交行列の全体を$O(3)$とします. $P_1,P_2\in O(3)$ならば$P_1P_2\in O(3)$, ${}^tP_1\in O(3)$であることを示しましょう.
[解答ビデオ]
VI
$A\in M_3(\mathbf{R})$は対称とします。$A$が定める2次形式は正定値、すなわち $$ (A\vec x,\vec x)>0\quad (\vec x\not=\vec 0) $$ が成立するとします。
(i) $A$が正則であることを示しましょう。
(2) $A^{-1}$が対称であることを示しましょう。
(3) $A^{-1}$が定める2次形式が正定値であること、すなわち $$ (A^{-1}\vec x,\vec x)>0\quad (\vec x\not=\vec 0) $$ であることを示しましょう。
[解答ビデオ]
[参考ビデオ](2014年度収録)
VII
$A\in M_{m,3}(\mathbf{R})$とします。すなわち$A$が$m\times 3$型の行列とします。$A=(\vec a\ \vec b\ \vec c)$と列ベクトル表示をします。また$B={}^tAA$と定めます。
(i) $B$が非負定値であること、すなわち $$ (B\vec x,\vec x)\geq 0\quad (\vec x\in \mathbf{R}^3) $$ が成立することを示しましょう。
(2) $B$が正定値であることと$\vec a,\ \vec b,\ \vec c$が線型独立であることが必要十分であることを示しましょう。
[解答ビデオ]
VIII
$B\in M_{3}(\mathbf{R})$は 対称 とします。
(1) $B$が非負定値であることと$B$の固有値$\alpha,\beta,\gamma$が $$ \alpha,\beta,\gamma\geq 0 $$ であることが必要十分であることを示しましょう。
(2) $B$が非負定値であるとき$B$が正定値であることと$\det(B)>0$が必要十分であることを示しましょう。
[解答ビデオ]
IX
$\mathbf{R}^3$中の部分空間 $$ V_1=\{ \begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}\in\mathbf{R}^3; x-y+z=0\} $$ $$ V_2=\{ \begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}\in\mathbf{R}^3; x+y+z=0\} $$ を考えます。$V_1$に関する鏡映を$Q_1$, $V_2$に関する鏡映を$Q_2$として $$ R=Q_1Q_2 $$ を考えます。
(1)等式 $$ R\frac 1{\sqrt 2} \begin{pmatrix} 1\\0\\-1 \end{pmatrix} = \frac 1{\sqrt 2} \begin{pmatrix} 1\\0\\-1 \end{pmatrix} $$ を示しましょう。
(2) $\vec p_1=\frac 1{\sqrt 2} \begin{pmatrix} 1\\0\\-1 \end{pmatrix} $を含む$\mathbf{R}^3$の正規直交基底を求めましょう。(以下$\vec p_1, \vec p_2, \vec p_3$とします。)
(3) $P=(\vec p_1\ \vec p_2\ \vec p_3)$として、座 標変換 $$ \begin{pmatrix} x\\y\\z \end{pmatrix} =P\begin{pmatrix}\xi\\\eta\\\zeta\end{pmatrix}$$を用いて$R$を表しましょう。
[解答ビデオ]
X
(1) $\vec f_1=\frac 1{\sqrt 3}\begin{pmatrix}1\\1\\1\end{pmatrix}$ を含む$\mathbf{R}^3$の基底$\vec f_1, \vec f_2, \vec f_3$で $$ \det(\vec f_1\ \vec f_2\ \vec f_3)=1 $$ を満たすものを求めましょう。
(2) $\vec f_1$を軸として$\frac {\pi}3$回転する行 列を求めましょう。すなわち基底$\vec f_1, \vec f_2, \vec f_3$で表現すると $$ \begin{pmatrix} 1&0&0\\0&\frac 12&-\frac {\sqrt 3}2\\0&\frac {\sqrt 3}2&\frac 12 \end{pmatrix} $$ となる行列を求めましょう。
[解答ビデオ]